天上の人類ーThe celestial mankindー   作:ピエロギ

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灰は灰に

 動かなくなった機械兵器の山が、そこかしこにできている。そのほとんどは、溶け、奇怪な形となっており、静かな鉄クズと変わり果てていた。

 

 その死骸の山の奥、そこでは火炎が巻き上がり、辺りの骸を物悲しい光で照らし出す。すぐに火炎は収まり、また新たな骸を作り出す。

 

 その部屋の中は煤や灰が巻き上がっていた。あらゆるものが燃え尽きたのだろう。降り積もった灰が雪のようにして床に積もる。そこに、火焔を灯していた人影が倒れこむ。

 

 「アァァ、ガァッ」とむりやり声帯からひねり出した声にもならないものがその者の口からこぼれると、一緒に黒い煤が口から洩れ出た。

 

 (――もう、残り火しかない)と心の中で小さくつぶやく。体の感覚がない。腕を見るともう肘から先がなく、肩近くまで炭になってしまった。

 

 体からは体液や焦げたものが零れ落ちていく。片目はすでに潰れ、そのときに出た血や液も燃えた。

 

 無事であった目の方の瞼が重い。このまま一度瞳を閉じたら、ずっと開けることはできないと直感的に理解する。

 

(まだ、死ぬわけには…)と辛うじて意識を保つが長い間は持ちそうにない。すると、床がミシミシと音を立てていた。長い戦闘で、この倉庫部屋はその原型を留めていない。

 

 すぐに、床に亀裂が入り、さっきまで築いていた骸の山と一緒に落ちていく。本能的に体に残っている小さな焔を集めて、壁に引っ掛け、少しでも衝撃を抑えようと注力する。

 

 なんとか、地面に体を打ちつけることはなかったが、すでに、体にはほんの少しの残り火さえない。もう、自身を守る手段は何一つとして残っていなかった。

 

 視界が霞んでいく中、落ちた暗闇のどこから、何かが近づいてくる。それは、俺の体に巻き付くとどこかに引きずり、運んでいく。最後に感じたのは、何かの液体に沈む感覚だけであった。

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 濃い霧が周りを囲んでいる。意識がはっきりしない。自分が何をやってきたのか?何のために戦っていたのか?それさえも頭から抜け落ちている。

 

 そのとき、目の前の霧が開かれ、ある映像が映し出される。これは?と疑問が出るのと同時に頭の中で強い衝撃が奔る。これは、記憶だ。過去の。あの時、決別の日の。なぜだかわからないが、そうした確信めいたものが電流のように奔った。

 

 映像の中では、二人の男が、真っ白な部屋の中で立っていた。片方の男、―多分俺だろう―が扉に手を掛けていて、もう一人の男が呼び止めている。

 

「本当に行くのか?」とその男が聞くと

「あぁ、このまま、ここにいたら永遠に彼女の魂が解放されることはない」とぶっきらぼうな言い方で答えた。

 

「それも、あの時、近くにいたお前だけが見たことだろう。何の確証もない。それが俺たち黎明会を抜ける理由なのか!?」と怒気を含んだもの言いに

 

「そうだッ!、もう俺にはそれしか残っていないんだッ!。のこのこ生き残っちまった、この俺が最後に決めた命の燃やし方なんだよッ!」と冷たく答えると、相手は

 

「それじゃあッ好きにしろよ!。だがな、分かってると思うが、黎明会は脱会者に対して決して容赦はしない。生きているならどこへ行ったとしても追い詰める。ましてや、“墓守”であったお前が、抜けるんだ。今は頭が不在で組織の立ち上げをやる必要があるが、必ずいつか追い詰める。その時には…」と次の言葉は予想できた。

 

「「殺し合いだ」」と二つの言葉が重なる。

 

「ここで、お別れだ。もう決して語り合うことなどない朋よ」と言うと、俺は、ドアノブに手を掛け、白い光が差し込む先に進んでいくのが見える。もう、数年経ったあの時の記憶。その一連のやり取りを見届けると意識が加速した。

 




もうそろそろで500UAだ~うれしい~
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