天上の人類ーThe celestial mankindー   作:ピエロギ

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「良いですか、落ち着いて聞いて下さい。前回の投稿から4ヶ月経ちました。加えて別作品も投稿していません」
作者「ウゥッ!ウゥゥ!ウッ!」



新たな問題

 静寂の中、機械音の鼓動のようなリズムが鼓膜を揺らす。目を閉じたまま、記憶がぼんやりと霧が包まれる感覚と思考が鈍く動き出してきた。

 

 徐々に意識が戻るにつれて、体が重く、喉が渇いていることに気付いた。瞼をゆっくりと持ち上げると、まばゆい光が網膜に突き刺さり、思わず目を再び閉じてしまう。

 

 徐々に光に目が慣れ、周囲の光景が明らかになる。白いカーテンで仕切られた部屋の中でベッドの上にいることがわかる。点滴スタンドに吊るされた透明な袋からチューブが繋がれ、他にも何かの機器に繋がっている。

 

 全身が重く、少し動くと鈍い痛みが走るが、痛みはどこか遠くに感じられ、自身の体に違和感が残る。

 

 「……?」

 

 直前の記憶がフラッシュバックする。

 

 なんとか顕現室にて、希望の灯を売る者、アンナを説得したが、その後に気を失ってしまった。自分が作業を全うできたのかはわからない。同期はできたのかを心配しているとドアが開いた。

 

 

 

 コツン、コツンという足音と共にこっちに近づき、目の前のカーテンが開かれる。

 

 「起きたみたいですね」と二房の編んだ翡翠色の髪を揺らしながら、カインがベッドの空いているスペースに腰掛ける。

 

 「…ァァ」

 

 声が上手く出せない。喉が尋常ではなく乾いている。

 

 するとカインは手元で何かをスクロールすると、すぐにモーターの駆動音と共に配膳用のロボットがパックに入った水を運んできた。

 

 カインはそれを手に取り、口まで持ってきてくれた。ストローの様な吸引口から一気に水を吸う。

 

 一気に吸い込んだせいで、えづいてしまい、カインの手を汚してしまったが、彼は気にすることなく、布を用意して自身の手を拭き、顔を拭ってくれた。

 

 「…悪い…それで、結果は?」

 

 聞かずにいられなかった。正直な所、もっとやれることはあったはずだ。殺されなかったのはアンナの情けであったのは言うまでもない。

 

 「及第点といったところですね」

 

 失敗はしていないが、成功とも言い難い返答であった。

 

 「そうか…期待には沿えなかったみたいだ」

 

 「同期はできましたが、繋がり(リンク)は最低限といったところです。A.R.Cは起動できても、十全にその力は発揮できないでしょう」

 

 「…同期はできたのか。俺はこれから何をした方がいい?」

 

 体を起こしながら聞き返すと関節と手足が鋭い痛みが奔る。思わず倒れそうになるとカインが体を支えてくれ、体勢を持ち直せた。

 

 「無理は禁物です。あなたの内臓は重度の火傷でいくつかは炭化していました。ここにあった蘇生薬だけでは全身を復元するのに足りませんでしたので、重要な臓器と自然治癒できないもの以外はまだ傷が残っています」

 

 腕に目をやれば、火傷が残っていてヒリヒリと痛みが残っていた。

 

 「まぁ、あんだけの傷を注射一本で治せるなんてうまい話信じてない」

 

 「追加で副作用についてお伝えします」

 

 「まだ、あるのか?」

 

 「お父様の所では、専用の装置とお父様の高精度な演算によって副作用がなく再生できましたが、ここでは直接患部注射で治しました。数日は再生痛に悩まされると思いますがリハビリを行っていけば以前と変わりなく、動けるようになると予想されます」

 

 カインは詳しく自身の症状について教えてくれた。今自分がどのような状態なのかを聞いて冷静になる。

 

 「……レオはどこにいるんだ?」

 

 いつもなら横にいる相棒の姿が見えない。

 

 「彼ならお兄様の補助を受けて、外の死体処理を行っています」

 

 「死体って蟻のことか?」

 

 「ずいぶん近くに巣を作っているようで、警備設備で処理しても次から次へと新たな個体が来ています」

 

 「…内部に侵入する可能性は?」

 

 「オービットネットワークを接続したことで外壁に脆弱な部分があることは判明しています。現状、修復用の資源がこの施設に残っていませんので外から採ってくる必要があります」

 

 「…呑気に休んでいる暇はなさそうだな」

 

 「現状、蟻たちの死体を使えば、有機素材と蟻たちの体内に微量に残存している虚素を抽出できます。バイオリアクターに投入すれば燃料を合成してくれるはずですから、電力は確保できます」

 

 「修復には何が必要だ?」

 

 「金属資源と虚素純度が非常に高い物質。周囲地域を探査機で調査した所、近隣の廃墟にまだ使えそうな金属と地下に高い虚素の反応がありました」

 

 「金属の方はいいとして、地下の方、絶対に蟻たちの巣なんだろう?」

 

 「ええ、それが最も可能性が高いでしょう」

 

 「蟲の巣は人間が通れるようになってない道が多いから登攀用のサイバーウェアや梯子なんかの簡易的な足場を持って行かないとまともに探索できないと思う」

 

 経験則から巣に行くことの問題を述べる。

 

 「その対策は後々こっちで考えます。今は傷を癒すことに注力してください」

 

 「了解。少し眠らせてもらう」

 

 「お疲れさまでした。ジャック」

 

 そう、カインは言い残すと部屋を出ていった。無機質な白で覆われた部屋の照明が暖色に変わる。

 

 再び睡魔に身を委ねるまで、そこまで時間はかからなかった。

 




恥ずかしながら帰ってまいりました。四ヶ月も投稿がなかったのは完全に投稿主の怠慢ッ!本当に申し訳ない...
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