天上の人類ーThe celestial mankindー 作:ピエロギ
荒野を走行する車(迷彩柄のジムニーに似た)が4台、整備もされていない砂道を走っている。日差しは強く、車内を照り付け、座席に座っている者たちの姿をあらわにする。
誰もかれもが、戦いに慣れた風貌であり、その手には何かしらの武器を持っているか、すぐに手の届く場所に置いている。その中に助手席に座るオレンジ色の髪の男が話を切り出す。
「バンカーに向かうっていうのにGHの兵士もいないし戦闘車両で行くって感じでもないしであんまり重要な仕事じゃなかったりすんだろうか?」とぼやいている男、レオである。
「そんなことあるか、根無し草の俺たちじゃ受けられたこと自体、かなり珍しいんだぞ」とレオの質問に答える。
今俺たちは、シティを離れ、バンカーへ向かっている。
「確かに、バンカーへ行けるハンターは少ないのよ、それだけバンカーからもたらされる利益は大きさからその情報の秘匿性を守らないといけないのよ」と後部席から女性、エレノアが答える。
エレノアがいる理由は今回の仕事の枠は俺たち以外にも回されていて、その中にエレノアの所属するチームも入っていたからだ。
「バンカーっていっても空爆や攻撃を防ぐ防空壕や掩体壕としてではなく、一つの大きな軍事地下拠点と思ってくれたらいいわね。内部には兵舎や食料生産工場、そして兵器の製造ラインがある完結した軍事拠点、過去の人類が生み出した遺跡ね」とバンカーに行ったことがあるであろうエレノアが話してくれた。
「そこで生産されている物品は現在でも再現することが困難であるからって理由でバンカーを重要視することはわかるんですけど、それなら、企業の兵士たちだけにやらせればいいと思うんですよね?というか、なんでバンカーを掃討しなくちゃならないんでしょうか?」とレオが聞く。
この疑問は俺もあった。しかし、バンカーへの情報のアクセスすることはこの依頼を受けてもなお許可されていない。せいぜい、今エレノアが話した内容とバンカーから製造されるものが、企業でも製造できないといったものばかりというものぐらいだった。
俺も興味津々にエレノアが答えるのを待つ。
「そうね、多分、他の参加者も今この仕事を受けたことのある同じ車に乗っている経験者から話を聞いている頃ね」
そう、今乗っている車の人員の割り振りは別に各パーティーとというわけではない。
実際この車には俺とレオ、エレノアともう一人、やたらフードの深いパーカーを着ている男?女?が同乗している。俺たちは知らないが、エレノアは知っているようで、バンカー経験者のようであった。
(つまり、経験者の口から情報を渡すのか、情報漏洩のリスクをそこまで恐れる理由は何かあるんだろうか?)と疑問に思いながらもエレノアの言葉に耳を傾ける。
「まずね、バンカーを大人数で占領すること自体が不可能なの、だから少人数しかバンカーには駐在している兵士しかいないわ」
「理由を聞いても?」と聞くと
「バンカーは軍事施設なのよ、だから連帯クラスの人員や兵器でバンカーに近づこうものなら対空兵器はもちろん対地ミサイルや対虚物ライフルで迎撃されてしまうわ。しかも向こうは弾薬や資源の底が見えない、いわゆる超技術によって戦闘継続能力がとんでもない化け物なのよ」
今聞いた情報で事前に電子情報で渡せない理由が分かった。レオもわかったようで
「なるほど、だからバンカーの情報はそう教えられないのか!下手にばれたらバンカー自体を守っている企業の少数の兵士を制圧するだけで奪われるから」とエレノアに向かって答える。
「ピンポーン!あと、企業の兵士を使うには少し不味いことがあって、どういうわけか最新鋭の装備を付けた兵士たちだと、施設内の防御システムが厳しめに働くのよ。いつもそういった装備で訓練している兵士たちに装備をわざわざランクダウンさせて死地に向かわせるのはコスト的にも割に合わないからね」
「そこで俺たちの出番ってわけですね。死んでもトカゲのしっぽ切りができる俺たちにもってこいの仕事だ」とレオが言う。その通り、俺たちのようなハンターは企業から業務委託を受けているだけ。信頼や命を失えば簡単に切り捨てられる存在だ。
「確かにそういった面もあるけど、この仕事を受けられる時点でかなり優遇されているはずだし、そんな人材を見殺しにするほど企業、少なくてもGHは腐ってないわよ。だから私たちにはGHからこんなにも“プレゼント”を貰ったじゃない」とトランクを指さす。
そこにはバイオハザードマークが付いた、AMMOと書かれた大きなケースが置いてあった。
「少し、話が逸れたわね、あと何だったかしら?掃討する理由だったかしら?バンカーはね、内部に侵入者が入ってから14日間後に変遷、内部構造が変化し、防衛設備が再設備され、内部で彷徨う過去の人類のクローン兵士らが再配備されるのよ」と言葉を区切って、エレノアは続ける。
「彼らの体からセキュリティデバイスを集めれば、内部の設備を利用することができるわ。大きな設備、生産ラインの区画なんかは動かせないみたいで、どこにあるのかは事前にわかっている。必要なのはそのデバイス、言ってしまえば黒い板ね。兵士の体以外にも、保管庫なんかに入っていることもあるわね。デバイスにもレアリティがあって、P,S,C,Mの順でレアリティは上がっていくわ。C,Mはほとんどお目にかかれないから、P,Sを集めることになるわね。生産ラインを稼働させられるほど、集めることができたら仕事は終わり」
と思わず、噛まずにここまでの説明をよくできるな感心していると、目の前に緑色のドーム状の施設が見えてきた。近づくと有刺鉄線で守られたその施設がバンカーであることを証明するように巨大なミサイルランチャーが空を見上げていた。
「到着したわね、詳しい話はバンカー地下一階の広間、“ロビー”でブリーフィング中に他のメンバーと一緒に話すわ、それじゃ、レオ君と君は後ろのボックスを持って、中に入ってね」というと彼女はそのメイン武器であるクロスボウを持って他の車両に乗ってきたメンバーと話し合いに向かった。