天上の人類ーThe celestial mankindー 作:ピエロギ
「レオ、追跡できるか?」と6層に踏み入った後、ライとエレノアを追えるかと問う。
「大丈夫だ、かなり痕跡が残ってる。こっちだ」と走り出す。その道中、ソルジャーやフローターの死体や巨大なものが通り過ぎた痕があった。
「かなり近いな」と廊下を走りながら、レオが言うと奥の方からエンジンの作動音のような音が聞こえていた。
俺たちは全速力で走り抜けた。
すると鋭い刃で入口が刻まれたのであろう部屋の中で今にも巨大な機械が、人_エレノアに襲い掛かろうしているのが見え、サイドアームを構える。
それを見たレオは、何をするのかを理解したのか叫んだ。
「耳塞げ‼」
次の瞬間には、引き金を引き、散弾が奴の装甲に炸裂した。その瞬間、キーーーーーーンという高周波の音が部屋全体に響き渡り、突進していたデカ物は近くの棚といった障害物を巻き込みながら横転した。
レオはエレノアに近づく。先ほどの突進によって生まれた障害物の波を避けたものの、すべてを避けることができずに、脚部を負傷したようだ。
「背中に乗ってください!早く離脱しますよ!」と声をかける。エレノアはレオの背中に背負われているときに
「あなたたち、まさか救助に来たの!?でも、あなたたちがこの階層にいるってことはッ!?」
「えぇ、お仲間さん、上までたどり着いて、いま治療されています」と答えると安堵した表情になる。
「そう、よかったわ、ライ、早くここからおさらばしましょう」
「ああ、本当に良かった、お前たち、エレノアを救ってくれてありがとう、心から礼を言う」と所々に切り傷がある男、ライも合流した。
「さぁ、動こう」と言おうとした時に、静止していたジャガーノートが動き出す。
所々の装甲は剥がれており、配線が飛び出ている箇所がある。皆警戒をする中、姿勢を持ち直し、頭部当たりと思われる場所が開く。すると
「UGYAAAAAAAUAAAAAAAUAAA」と声とも言えない獣の咆哮を放った。奴の照明が赤色に変化し、ボンっと背部の装甲が剥げると中から新たな車輪が追加された。
「総員、エレベーターまで走れ!」とライが言うと俺たち4人は倉庫の扉から廊下にでた。
廊下を曲がり、来た道を戻る。エレノアを背負っているレオの速度に合わせ、レオを挟み込む形で後方を警戒する。
「もう一度、先の銃を使えないか?」とライが聞いてきた。
「撃った弾丸、共鳴弾は一回目の効果時間が一番長いです。2回目以降はもって1回目の効果時間から3秒ぐらいしか止められないでしょう」と言いながら、今の速度でエレベーターまでたどり着けるかを考える。とても間に合うとは思えない。もう一度は戦うことを強いられるだろう。
「そうか、奴ももうこっちに手札がその銃弾しかないと学習しただろう。次は全力でこちらを仕留めに来る」とライが言うのでさっき、ジャガーノートがした行動に対して疑問が出た。
「――ジャガーノートに対して肉腫弾を使用しましたか?」
「いや、奴の中身はクローン兵士だが、装甲が厚すぎて通常弾薬しか奴には撃ってない」と話していると廊下を勢いよく、こちらに突進してくる、奴の姿が見えた。
「なら、やれることはあるかもしれません、頭部が今、露出している。共鳴弾で止めている間に、持っている肉腫弾を叩きこむ。完全に破壊できるかはわかりませんが大きなダメージが与えられるかも」とライに提案すると
「それしかなさそうだな、レオ君、このまま進めば広めの廊下になる。エレノアを背負ったまま君は進んでくれ」
「ごめんなさい、脚を負傷したばかりに」と背負われているエレノアが申し訳なさそうに答え、次の様に提案した。
「でも二人だけで戦うなんて無謀よ。私はどこかの部屋に置いといてくれればいいわ。そしたらレオ君も一緒に戦えるでしょう?」と
(確かにそっちの方が不測の事態が起きた時のバックアップになるが、ジャガーノートが俺たちを狙わずにエレノアに行くことも考えられる)
だが、ライは覚悟を決めたように
「わかった、そうしよう。俺たち3人であのデカ物をやる。それでいいか?」と問う。
俺たちはそれぞれ、了解の意を伝えると所々にここのクローン兵士の死体がある、広い廊下にでた。
レオは作戦通り、一直線に走り、廊下の先にある部屋に向かっていく。俺とライは廊下の中腹あたりで、迎撃態勢をとる。さっきまで狭い場所を走り回っていたジャガーノートは広い所に出たため、今までよりスピードを出す。
こちらとの距離が接近したことを確認してからはさらにブースターを使い、距離を詰める。俺たちは通常弾薬で先ほどの横転で露出した、配線や機械部品に射撃をする。すると相手は後部の車輪を使い、車軸をブレさせながら猪口才にも銃弾を避ける。
タックルをするような体勢で突進しながら爪による斬撃ではなく、轢き殺そうとしてくる。
サイバーウェアによって強化された脚力によって壁を蹴り上げることで、垂直方向に回避する。空中で体を捻りながら、下を通ったジャガーノートに弾丸をお見舞いし続ける。
相手はドリフトしながら、方向転換をし、露出した頭部がこちらを見定めていた。
(エレベーターのある方向を自身の体でもって塞ぎ、まずは他の2人との分断を図ったのか)
目の前からは、こちらを射殺さんとばかりの殺意が伝わってくる、どうやら俺たちを処分すべきと判断を下したようだ。
(なら、好都合!レオとの挟撃ができる)と射撃を続ける。
今度は停止した状態から十分な加速をするため、ブースターが勢いよく周囲の空気を取り込んでいるのがわかる。これまで以上に凄まじい音を成り上げた。だが、次の瞬間、奴の後方のブースターが爆発した。
後ろからレオがネイルで、加速装置を穿ったのだ。
その時に体勢が崩れたのを見逃さなかった。サイドアームに切り替え奴の頭部に向かって共鳴弾を放つ。その瞬間、再度、あの高音が響き渡るが、皆サービジョンによる聴覚調整によって問題ない。完全な静止状態を作った。次の瞬間、加速したライがフルオート射撃で、頭部向けて撃ちまくった。
閃光が一通り続いた後に奴は糸が切れたように沈黙した。デカイ鉄塊となり果てた残骸を通り抜け、レオのいるほうに向かう。
「いい仕事だ、レオ」
「なに、あいつが汚ねぇケツをこっちに向けていたからネイルで、小突いただけだ」と自慢げに鼻をこすりながら言った。
「助かった、お前たちがいなかったら今回は何にもなせずにくたばっていた」とライが近づいて話す。
そうこうしながら、レオのネイルを回収するために奴の骸に向かう。近くでみるとわかるが銃弾による変形が装甲に見えない。旧時代はこんなものが大量生産されていたのだろうとすると寒気がする。ブースターを貫通したネイルと力いっぱいに引き抜く。すると
「避けろ!」
とライが叫び、レオがこっちに向かって飛び込んできた。