少年のような少女は一人、砂浜を歩いていた。武器を探すわけでもなく、敵を探すわけでもない。森林を避けて歩いているだけ。
理由は勿論、虫の回避だ。
「ほんっと……あいつだけは……」
青は歩きながら、自身の印象破壊の一因とも言えよう、緑の悪魔を思い浮かべながら呟いた。
ふと、前を見ると、そこには見覚えのある、音符やピアノ等、音楽が散らされた服を着た少女が立っていた。
「奏ちゃん……」
そっと、青は掌に簡易的なピストルを描き、それを奏に向ける。そして、引き金を引いた。しかし、その時だった。引いた瞬間、奏の背後に卵が現れ、弾丸がそれに命中したかと思えば、その卵からオルガンが現れ、弾丸を止めた。
「……何が起こったんだ」
青は当惑していると、奏が振り向き、青を見つける。そして、手に持っていた銃を突然、青の頭上遥か上に発砲した。
「奏ちゃんクソエイム?」
「それはどうかな?」
青は上を見上げる。すると、上から巨大なパイプオルガンが落ちてきており、まさに青に向かっている。青は咄嗟に前へ走り抜け、それを回避した。しかし、着弾した際、大量のパイプが射出され、そのうちの一本が青の足を貫いた。
「あ゛ぁ゛! ……痛い!」
貫かれた左足を庇うように倒れる。青は落とした筆を震える手で掴み、足に絵を描き始める。足が切断されたような赤い線を。青の足は千切れた。
「ふぅ……ふぅ! ……」
そのまま、青は左足を描き、元に戻した。
「全く……酷いじゃないか!」
「そりゃ勝ちたいからねぇ!」
奏は手の中に卵を造り、それを割る。すると中から非常に細い糸……所謂ピアノ線が出てきた。
「楽器って色んな種類があってねぇ、このピアノ線でも楽器になり得るの! だから、奏の能力舐めない方がいいよ?」
「うん……体感した……から!」
巡った痛みを完全に取り除くことは難しく、立ち上がった青の足は震えていた。しかし、本人はさほどきにせずに筆を動かし始める。今度のキャンパスは空中だ。
「奏ちゃんの能力みたいに、僕のも色々できること見せてやる!」
そう言って、青は空中に青が持ってる筆にそっくりな絵を描きあげると、それを取り火の絵を描き始める。そして、完成間近でその絵を蹴り、奏にぶつけた瞬間、的確に二本目の筆を投げ、絵に当てた。すると、着いていた赤色の絵の具が火を完成させ、奏を燃やした。
「熱い熱い熱いよ!」
奏は思わず海中へ飛び込む。それをチャンスと思い、青は自身の腕をキャンパスに、日本刀を描きあげ始めた。
奏の口調小説で表現するの難し。
初登場能力
事実は漫画よりも奇なり
絵を描くことで、その内容を現実にすることができる
音楽の卵
卵を出すことができ、それを割ると楽器が現れる
(没)
「事実は漫画よりも奇なり」、元々『漫画を描くことで』発動したんですけど……ちょっと諸事情で都合が悪く、絵にしました。