巨大な山上での音が鳴り響いた丁度その時、島中にアナウンス越しにのどかの声も一緒に響き渡った。
「ただいまより討伐イベントを開催します! 島に出現する巨大生物を討伐した人にはなんと任意の武器一つを贈呈しちゃいます!」
突然の、気まぐれで決められたようなイベント宣言に残っている者達は皆困惑する。ただクリア時の好きな武器一つという報酬は少し魅力的で、ある者達は自身の能力でカバーできない近距離や遠距離を、ある者は推しの武器を、ある者はチート武器を思い浮かべていた。
間もなくして、島の森林部を中心とした地震のような振動がメンバーを襲い、すぐに討伐対象は見つけられた。全長凡そ三十メートルの、オオカミの下半身に成人男性のよりも立派な筋肉、そしてチャームポイントのような鳩胸と鳩頭、それに良く巻かれた角を持った存在、その名も「ハトタウロス」がそこには佇んでいた。そしてその目は普段よりも赤く光っているような気がする。
「ひぇ~……あれやんなきゃいけないの? 明らかに強いでしょ~」
そう言いながらも、フブキは刀を一本構えた。自身の能力から報酬はいらないと思ってはいたが、他のメンバーに渡すのは塩を送るような予感がし、討伐に向かうことを決意した。
決意してからの行動は速かった。キツネたる脚力によってハトタウロスの足元まで走りきることができ、何度か刀で切り付ける。しかし何度切り付けようが一向に歯が立つ様子は無く、全く傷は付かない。
「あちゃー……これはちょっとねぇ……」
そう言いながら、フブキは手に持っていた刀を何処かに投げ捨て、新たな刀を手に出した。その刀の鞘と柄は木で、刀身の研ぎ目は誰もが見ても美しいと思えるような名刀であった。試しに近くの大木を軽く切り付けると、大木は切れて倒れてしまった。
「一回使ってみたかったんですよね~!」
刀の名は『斬鉄剣』。とある伝説的泥棒集団の侍が使用するかたなである。フブキは早速ハトタウロスの足をそれで切ると、案外あっさりと足に深い切り傷を作ることができた。しかしその痛みによるものなのか、ハトタウロスは低い呻き声を上げながら足払いをした。巨大な身体から繰り出される払いは威力といい範囲といいえげつなく、フブキはそれに当たり吹き飛ばされ、遠くの崖に打ち付けられた。幸い、脱落する程では無かったが、意識は手放され、暫くの間目覚めることはない。
そんな戦いの様子を、遠くから静かに見守っていた者がいた。その者は露出度の高い衣装を身に纏い、蝙蝠形の髪飾りを付けていた。
ちょぉっとだけ迷走してるかもしれませんが頑張ります
そういや何処かで言っているかもしれませんが、基本何かを出す系の能力はその何かに条件はありません。なので、フブキの刀を出す能力も、実在しない刀も出せます。