賭けは当たり、見事歩けるまで回復したルイは持ち前の能力を活かして武器や資材を集める。ぼたんにやられた際、殆どを失ってしまったからだ。幸運にも、近辺には重火器や火打ち石といったものは近辺で集められ、ルイは更に体力回復を図る。
「一時はどうなることかと思ったけど……案外どうにかなるもんだなぁ」
夜の肌寒さが肌を刺してきたため、ルイは採集していた火打ち石を用いて火起こしを試みる。しかし、打ち金が見つけられなかったため、諦めて弾薬に含まれている火薬を用いて火を着けた。
「やってみたかったんだけどなぁ……」
ルイは暫し体を暖める。何の敵襲もない、穏やかな時間……だったのも束の間、突然の襲撃がルイを襲う。
襲撃とはいうものの、ルイはただ体を温めていただけ。そうしていたら、ルイは何者かに触れられたかと思えば、数秒後には完全に体を拘束され、動けなくなってしまった。
ようやく効いてきた目で襲撃者を確認してみると、襲撃者は無人島には似つかわしくない、毛皮のコートやフリルの着いた服を着用していた。
「り……莉々華!?」
「あ、気づいちゃいました?」
莉々華は拘束されたルイにピストルを向ける。セーフティは外れ、弾丸も装填されている。
「ま、こういうことなんで……勘弁を!」
莉々華は引き金を引いた。しかし、鳴り響いたのは乾いた「カチッ」という音だけだった。
「弾詰まり……!」
莉々華は手持ちのピストルを捨て、予備の銃を手に取ろうとした。しかし、その瞬間、両手に火傷を負ったルイが立ち上がり、莉々華を押し倒し、手に取ろうとした銃を奪って後頭部に突きつけた。
「逆転……! 詰めが甘いね」
ルイは引き金を引く。今度こそ、火薬の音が鳴り響き、マズルフラッシュが森中を照らした。
『一条莉々華 脱落』
すかさず連絡は来たが、ルイは無視する。それよりも優先することがあるのだ。
「いってぇ……やりすぎたかなぁ」
縄を切るために負った火傷。焚いていた火を縄の腕部分にのみ当て、腕を解放させた代償が大きく残っていた。近くには川が存在しない。能力を発動し、探してみると一ヶ所存在していたため、ルイは頭の翼を広げ向かう。
夜の飛行は心地が良かった。風が優しく体を撫で回し、月の光がほんのりと明るく照らす。そんな日の夜飛行は最高他ならない。
川には意外と早く辿り着いた。早速川の近くまで降り、腕を冷やそうとしたその時だ。突如として川の中腹が刀で叩き切られ、川の流れる向きが変化させられる。
こんな芸当……一体誰が……
初登場能力
デスゲームの下準備
10秒間触れた相手を束縛する