Fate the evil   作:空き缶_たおたお

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第三話「帝都、そして冬木へ」

 

━━━ふと、空を見る。

 

澄んだ青空に砂丘が漂う。

ここは何もない場所。

何もかもが砂になった場所。

 

あるのはただの神殿とは名ばかりの柱が1つ

そこに人影が1つあった

 

「あなたは人間好き?」

「■は大好き」

 

その人影はまるで人の形をした化け物のようだった━━━

 

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「・・・サーヴァントは夢を見ないはずなんだがな」

 

萎れた新聞を片手に硬いソファに寝そべっている風貌は英雄ではなくただのだらけた人間のようだった。

 

「キャスター、あなた本当にサーヴァントなんですか?」

 

「嘘の英雄なんでね。これくらいが丁度いいのさ」

 

 

「はぁ・・・で、ここの世界とあなたも持ち得た並行世界の知識の差異はどれくらいありますか?」

 

「まぁ近いんじゃないか?真珠湾攻撃とかしてるし」

 

「公表していない情報を知っているならかなり近いですね」

 

「では、まずこの聖杯戦争を鍵を握る勢力について教えてください」

 

「序盤ならルーラーとセイバーだな。」

 

「ルーラー?」

 

「裁定者。聖杯戦争を成り立たせるためのクラス。いわば聖杯戦争の監督役だ。」

 

「監督役なら聖堂教会がやるはず、まさか聖堂教会も聖杯戦争の参加者に!?」

 

「違う違う。ほら御三家の中のアインツベルン家ってあるだろ?あそこが不正してエクストラクラスを召喚するんだよ。そして召喚に応じたのがルーラークラスって事だ。」

 

「このサーヴァントがちと厄介なんだよ。裁定者という立場と参加者という立場も兼任するとかいう滅茶苦茶な奴なんだよ。」

 

 

「確かに審判がゲームに参加するというのは中々に類を見ませんね。」

 

「んで次のセイバー陣営だがこの聖杯戦争の鍵を握っているとも言っていいほどに巨大な勢力だ。仲間に出来るならこいつ等を仲間にした方がいい」

 

「セイバーは一番優秀なクラスとは言えそこまでとは具体的な事はわかりますか?」

 

「あーそこはわかんねぇ」

 

「は?なぜ分からないんです。平行世界の情報を見たはずでは?」

 

「あれはいわば夢みてーなもんなんだよ。例えるなら歴史本を速読みてーに数秒単位で情報をインプットされるわけ。詳しい事知りたいなら次回は速読の英雄を召喚するこった。龐統とか」

 

「はぁ・・・『魔法』の域まで達していると思いましたが結果が予知夢に近い結果なら確かにそれは魔術』な訳だ。」

 

「じゃあ最後はどうなるんです?聖杯戦争の決着は?」

 

「優勝者はマスターとなったルーラーとランサーのマスターだったかな。んでランサーのマスターが大聖杯奪って逃走。ルーラーは受肉して次の聖杯戦争へって感じだったかな。」

 

「優勝者が2人ですか随分奇妙な終わり方ですね。そしてキャスターが居ないって事は━━━」

 

「さぁ?負けたんじゃないか?」

 

「特段情報は聞けず挙句の果てには並行世界の敗北宣言・・・不幸だわ」

 

「仕方ねぇだろ!それが事実なんだからよ!」

 

「キャスターの脅威になり得るのはライダー、ランサーだけだと威風堂々に言っていたのは何だったのか」

 

「なーにあんた等がちゃんとしてれば俺達は負けねぇよ」

 

「よく言うだろ?負けません勝つまではってな!なんとか魂でも見せつけてやろうぜ」

 

高々に笑うキャスターとは裏腹に花宮中尉のため息が交じる

 

そして、冬木に向けての準備であっという間に運命の夜がやってくる。

「明日から冬木へと出発します。我々花宮隊は冬木にいる冬木隊と連携を取り、敵マスターの所在を調べることが役割です。」

 

「つまり捨て駒です。情報を得る為に自分の命をかける覚悟はありますか?」

 

 

「元より我々は花宮中尉に命を捧げた身であります!」

 

「わかりました。あなた達の命・・・確かに受け取りました。」

 

「各自明日に向けて準備!では解散!」

 

「ハッ了解であります!」

 

「随分威勢の良いこって」

 

「彼らなら私の身体全てを捧げてもいいと言ってもいいほどに我々はあの戦場という地獄を何度も一緒に体験したのです。」

 

「そこまでしてこの国を守りたいか?どうせ生き残る奴の大半は権力を持った上層部の人間だろ?そしてそれ以外は自分とは無関係な奴らだ。」

 

「そんな事百も承知です。だからといって何もしない理由にはならない。何もしないという事は相手に何をされても良い事と同じです。」

 

 

「それは殺されるよりたちが悪いものだ。だから、だからこそ私達は戦うんです。その最悪の未来を避けるために自分達の想いを残すために」

 

「んで結局やる事は人殺しだろ?そして後世には戦争に参加した愚者として名を残すか名前すら消される。それがお前の本望なのか?」

 

 

「それで良いんです。人殺しなんて間違ってると思える方が正常なんです。我々は間違いという汚名を被る事で後世の人々が正しく生きれるなら私は悪鬼にでもなりましょう」

 

「つくづく合わねぇな。俺なら恨んで恨んで恨みつくして人の頑張りを嗤う奴の方がよっほど人らしいぜ」

 

 

「貴方も本質的にはこちらよりの精神だと思いますけどね」

 

そして陽は落ち、月が輝く

この月が帝都で見る最後の月だ

 

「では帝都の見回りにいってきます。」

 

 

「まった」

 

「なんです?」

 

「あーそのなんだ。見回りは俺が行く」

 

「なぜ唐突にそんな事を?というより貴方はサーヴァントだ。聖杯戦争の隠匿の抵触するかもしれないし、戦場は冬木だ。ここで無駄に魔力を消費するのは得策ではない。」

 

「こんな深夜に出歩いてる奴なんてそうそういねぇよ。まぁあれだ並行世界でちょっとな」

 

 

「並行世界の時には我々の身に何かがあったという訳ですね」

 

「ああ、何かが起きる。きっと良くない事がな」

 

「・・・わかりました。見回りは任せますこちらも今日だけはより厳重に警戒態勢を敷きましょう。」

 

「助かる」

 

「くれぐれも我々の情報を漏らさないように私達の勝機は()()()()()だけなんですから」

 

「善処はするさ」

 

軍服を身にまとい陸軍基地の硬い扉を開く

時刻にして深夜3時、肌寒い1月末である。

そして陸軍基地から少し歩き、帝都へと向かう。

辺りは誰の1人も居ない。まるで自分以外の人間が急に消えているようだ。

 

───その刹那、キャスターの首元に手が伸ばされた。

その手を振り払い、足蹴りで牽制する。

 

「どうした?暗殺者。逃げないのか?暗殺に失敗したんだ、正面切っての戦闘は分が悪いと思うけどな。」

 

サーカス模様と髑髏の仮面が特徴的な大人の膝半分もない子供のような背丈をした人型が現れる。

 

「あー無視ね。サーヴァントも基本は元人間なんだ言葉を交わすぐらいはした方がいいぜ?」

 

アサシンは彼から逃げるのではなく彼の元へと変則的に動き、短刀と毒針などの様々な攻撃を繰り広げ、まるで虫のように軽やかに羽が生えているかのように空中を移動した。

 

「動きが素早く手数が多くても5回に1回は頭を狙ってる時点でお前の宝具は頭が条件ってのは馬鹿でも気づくぜ」

 

彼の手が自身の頭を向かうと同時に腕をつかみ腹に蹴りを入れ、骨のようなものが折れた音が鳴り響く

 

(アサシンとはいえあまりにも脆すぎる。こいつ本当にサーヴァントか━━━?)

 

 

「無駄口を叩く奴とは言え流石にサーヴァント。しかし俺を一発で倒せない程度ではたかが知れているな」

 

「へっまだ全員召喚されてない時に無駄に魔力なんて使いたくないもんでね」

 

 

「宝具を使え、力の出し惜しみをして死にたくはないだろ?」

 

仮面の下の口がほくそ笑む、明らかな挑発だ。

 

「てめー程度の素手で十分なんだよっ!」

 

キャスターの殴打をすばやくよけるが陣地作成スキルで即座に作ったトラップがアサシンの身動きを封じる

 

「これは━━━」

「これでもキャスターなもんでね!」

 

すかさずキャスターの拳がアサシンの霊核(心臓)を貫く

しかし、それは絶望の始まりてもあった。

 

「どういう事だ?」

()()()()()()()()()()2()()()()───!?」

 

キャスターの違う方向へと振り向いた瞬間、アサシンの最後の力と言わんばかりにトラップとトラップの合間をすり抜け彼の頭にそっと手をおき、小さく呟いた。

 

「───空想電脳(ザバーニーヤ)」

 

ダイナマイトのような爆発がキャスターの頭へと襲う。

しかしその爆発は静かでまるで音の無い花火のようだ。

 

 

こうしてキャスターは上半身の無い死体となり首の上から狼煙のように煙が上がっている。

アサシンは霊核を貫かれたせいか姿を保てなくなりそのまま消滅したのだった。

 

 

そしてこの狼煙は陸軍基地の中にも上がっている。

そこには女性と男性のそれぞれ1つの上半身のない死体があった。

そして遠くの誰かと喋るためにアサシンはその場からずっと動いていなかった。

 

 

「報告ですマスター。キャスターのマスターらしき人物とそれに組するものを排除しました。」

 

「ええ、良くやったわアサシン。しかし意外ねキャスターのマスターはあのおじいさんかと思いましたのに」

 

「詳しい事は分かりませんが大方裏切りにでもあったんじゃないですかね。」

 

「あらあら、日本はもっと誠実な国だと思ってましたわ。」

 

「誠実かどうかは人種は関係ないと個人的には思います。」

 

「相も変わらず生真面目ね。でも勤勉なのは好きよ。」

 

「キャスターも撃破出来ましたし鞍替えの可能性も無いでしょう」

 

「あの人形、対マスター用に調整したのだけれどまさか倒せるだなんてお相手の魔力不足かしら?」

 

「同じ気配で混乱させたのがでかいですね、本番はツーマンセルで行動させた方が効果的でしょう。」

 

「そうね今後はそうしましょう。さてとこれで日本軍が聖杯戦争に参戦する可能性は0になったわね、やっと日本の上層部への交渉がうまく行くわ。」

 

「開戦から終戦、そして講和までの相応納得いくシナリオ通りに運ぶはずだったのに日本にこんな厄介な案件があっただなんて最悪の場合、日本を消滅までいくところだったんだから日本人は私に感謝にすべきだわ。」

 

「戦になればどちら一方が完全に消滅するまでが戦では?」

 

「古いわねアサシン。昔だったらそうかもしれないけど今は違うわ。今の人口知ってる?大体25億よ?仮に国を滅ぼしてもその生き残りがゲリラとなって襲うし、国民の中にも反感を買うかもしれない。だからある程度やった取り込ませる方が遥かに効果的だわ。」

 

「しかも日本っていう場所は我々にとって色々好都合です。これを滅ぼすのはあまりに持ったない」

 

「・・・・そんな冷静な知性があるならそもそも戦自体を回避させるべきだと思いますけどね」

 

「仕方ないわ、競争こそが人の本質だもの。私達に出来るのは私達の国の安全を守る事よ」

 

 

アサシンにとって近代の考えは理解は出来ない。

条約や講和なんだの難しい話をしつつ戦争を正当化し結局は殺し合いを繰り広げている世界。

彼にとっては現代人における評価は冷静でありながら狂っている大人のフリをした狂人の一言に尽きていた。

 

 

話を元に戻すためにアサシンは不慣れな咳払いをし、こう言った。

 

「ではマスター。これで貴方の「最低限」の仕事は果たした。私が求めた聖杯戦争についての願いについて聞いても?」

 

その言葉には2つの意味がある。

1つ目は彼にとっての信条や信仰、願いに対してマスターの願いに衝突が無いか。

そして2つ目はその願いに大きな衝突や嘘があれば即刻マスターに牙を向かうという事を意味している。

 

「私の願いは国の安全を保障し続ける事よ。それさえ達成できるのであれば私は何もいらないわ」

 

「私達以外の国なんてしらないし、私達の国こそが私にとって『正義』です」

 

「・・・了解どうやら嘘は付いてないようだ。そして私の信条や願いにも反していない」

 

「何よりだわアサシン。最初に召喚した時は死を覚悟したんだからほんと「ハサン」が貴方で良かった。」

 

「ねぇアサシン」

「━━━いえ『裏切りのハサン』」

 

彼女の名はビアト・ディオランド

元々は名家の魔術師であったがそのアメリカの独立をきっかけにアメリカの地へと向かった稀有な家系であり、代々アメリカのエージェントも務めている家系でもあった。

 

そして彼女もまたアメリカのエージェントであり、数多いアメリカの危機を陰ながら事前に守っていた愛国者でもある。

 

彼女の魔術は人形魔術であり自動人形(オートマター)といった半自動的な人形操作に長けている人物でもある。

 

彼女の服装や風貌は西洋の人形のようであり、彼女の近くには自分と似た西洋の人形が横たわっている。

 

 

そして現在、彼女はアサシンが映っているモニター先とは真逆の方向を向いていた。

 

それもそのはず、彼女の部屋に無数の髑髏の仮面が蠢いていたのだから━━━

 

 

-----------------------

 

同刻

キャスター遺体現場

 

下半身しかないキャスターの周りに黒い靄らしきものが浮かび上がり、上半身を繋ぐ下半身の表面が水のように泡立ち肉片が飛び出た。

 

「━━━っぱぁ」

飛び出た肉片は徐々に人型へと転じ、やがて何事も無かったかのように元の状態へと戻っていった。

 

「ったく初回の蘇生は時間がかかる。いや()()()()()()!あははは!」

 

そんな自嘲めいた笑い束の間。軍服をきた軍の関係者らしき人達が彼へと詰め寄る。

 

「大丈夫ですか!そこの貴方!って貴方は木乃伊(ミイラ)上官!お怪我はありませんか!」

 

「いやー何、少し怪我をしてしまってね。何心配はないさ」

 

「しかし懐かしい面々だなぁ君達。そして君達と会ったってこと前の私は結局運命は変えられなかったって訳だ!わはははは」

 

「???まず我々は初対面のはずでは?」

 

「あー・・・まぁそんな細かい事は置いといて早速陸軍基地へと出発だー!」

 

「あ!ちょっと待ってください!」

 

「さぁ!最高で最悪な冬木の聖杯戦争の始まりだぁ!」

 

こうしてキャスターもアサシンも冬木へと向かう。

帝都以上より遥かな死を予感させながら・・・

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