次回あたりに行う予定です
ペガサス=J=クロフォードから衣食住を提供してもらう代わりに、自分が持つ知識とカードプール、
一応、元の世界で中学生であった遊人に勉強を教えてくれるだけでなく、当然のように決闘の戦術や知識も教えてくれ、遊人は着実にこの時代の決闘知識を身に着けていった。
だが、まだわからないことも多い。
特に。
――俺が元の時代で使っていたデッキはガスタだった。だが、この時代に来て気が付いたら……
遊人は自分のデッキに目を落とす。
そこには遊人の視線の先にあったカードの名は『精霊獣使いウィンダ』。
元々、遊人がいた時代で愛用していた『ガスタの巫女ウィンダ』に風貌こそ似ているが、名前もステータスも、もちろん効果もまったく別物になっている。
確認してみたところ、デッキにあるすべてのカードが『ガスタ』から『精霊獣』あるいは『霊獣使い』に変化しており、魔法や罠カードもそれらのカードに対応したものへと変化していた。
――ペガサスさんの話じゃ、何らかの超自然現象で俺は過去に
と、疑問を覚えていた。
だが、考えても答えたからといって納得のいく答えが出てくるわけでもない。
何より、考えるにしてもまったくといってもいいほど情報がない状態ではどうすることもできないため、遊人はこれ以上、このことについて考えることはやめた。
それよりも目下の問題は。
――このデッキの癖をつかんで、自在に回せるようにしないとな……月光さんたちがいくら高いレベルの
時間跳躍による影響で変化してしまったデッキに対応しきれておらず、まともな決闘ができないことにある。
効果はもちろんのこと、どのようなタイミングでどの効果を使うべきなのか。どうやって攻めていき、どうやって相手の攻撃や妨害を回避するのか。
そういった基本戦術を一から作り直さなければならないのだ。
確かに、ペガサス会長が自身の後継者育成のために集めた孤児たち、通称『ペガサスミニオン』の面々は、一人一人がかなり高いレベルの決闘者であるが、遊人も本来のデッキであれば彼らに勝利することは難しくとも、簡単に敗れるという失態を犯すことはなかったはず。
しかし、いまだカードの内容を把握できていないがために、相手のライフを1ポイントも削ることなく敗北するという事態に陥っている。
決闘者として、それ以上の屈辱はない。
その想いを二度と味わうことがないように、遊人は自分のデッキを把握することに注力するつもりでいた。
だが。
「遊人ボーイ!」
「え、ペガサス会長? なにかあったんですか??」
突然、ペガサスが遊人に割り当てられた部屋に乱入してきた。
事業家として、そしてデュエルモンスターズの新たなカードを生み出すため、日夜、世界を東奔西走しているため、普段はペガサスが何の約束もなしに部屋にやってくるということはまずない。
だというのにこうして顔を出したということは、何か遊人に関わる緊急の案件があるのではないか。
そう考え、遊人がペガサスに問いかける。
冷静な遊人に対し、ペガサスはまるで遊園地に遊びに行く前の子どものように目を輝かせながら。
「Youが提供してくれたカードデザインについて、興味を引いた人がいたのデース。その人物と、ぜひ一度会ってほしいのデース」
「なんというか、随分と唐突な……ちなみに、どなたなんですか?」
なんとなくの好奇心で遊人がペガサスに問いかけると、ペガサスは不敵な笑みを浮かべ。
「海馬ボーイデース! 海馬瀬人といえば、Youももちろん、知っているはずデース!!」
高らかにそう告げた。
ペガサスの口から飛び出してきた人物の名に、遊人は目を丸くし。
「あ、の……いま、なんと? 聞き間違いでなかったら、『海馬瀬人』と言いませんでした??」
「Yes. もちろん、あなたのよく知る海馬ボーイデース!!」
一応、ペガサスの方が年上であるためか、圧倒的な攻撃力で相手をねじ伏せるパワーデッキのパイオニアと言うべき伝説の決闘者、海馬瀬人を『
なぜここで、あの伝説の決闘者の名が出てくるのか。
確かに、自分がペガサスに提供したカードデザインと知識の中には、海馬瀬人が愛用する『
だが、まさか本物の
「……」
「遊人ボーイ? どうしましたカ?」
「あ、す、すみません……ペガサス会長だけでもいっぱいいっぱいなのに、まさか伝説の決闘者として名高い海馬瀬人にまで会えると思うと、限界突破してしまいまして」
脳の処理許容量を大幅に超えてしまったために動作が停止してしまったようだ。
心配そうに声をかけてきたペガサスにそう返すと、ペガサスは大声で笑いそうになるのを必死にこらえていた。
「構いまセ~ン……ククッ……それで、遊人ボーイ。海馬ボーイと会うことは問題ありませんカ?」
「願ってもない。むしろお願いします!」
「Alright! デハ、海馬ボーイの予定もかんがみ……」
こうして、遊人は期せずして伝説の決闘者の一人と邂逅することとなる。
そして、この出会いが、遊人を波乱の運命へと誘うことになるのだが、そのことを遊人本人も、満面の笑みを浮かべているペガサスも、知らずにいた。