次回はいよいよデュエルアカデミア入学試験です
とはいえ、まだ十代や三沢とは合流しないのですが
なぜか、伝説の
だが、デッキに慣れておらず、安定した展開を行うことができなかったということもあり、多少、傷をつけることはできたものの、敗北してしまった。
「ふぅん。貴様の実力、しかとみさせてもらったぞ」
「ありがとうございました」
「本来のデッキであったなら、こうはならなかった可能性もあるのではないか?」
「え……」
まるで、このデッキが自分のデッキ本来の姿ではないことを悟ったかのように言葉に、遊人は一瞬、どう答えたものか迷った。
だが、その答えを聞くつもりはないらしく、瀬人は言葉を続ける。
「いずれにしても、この俺のライフをわずかながらも削ったのみならず、ブルーアイズを1体破壊したことは一応、褒めてやってもよかろう」
「では」
「ひとまず、貴様の身の上話は真実であると思っておく」
どうやら、
信頼はしてもらえたことに、ほっと胸をなでおろす遊人だったが、安堵するにはまだ早かった。
「だが、いくつか条件はある」
「条件?」
「ブルーアイズ専用のサポートカード、あるいはブルーアイズのサポートを中心としたカードについては、俺に直接連絡しろ。むろん、ペガサスに話はしてもかまわん」
「は、はぁ……」
「それと、貴様が本来生きていた時代に存在しているという新たな召喚方法。シンクロ召喚、といったか。それに合わせたブルーアイズのカードも当然、存在しているのだろう?」
「え、えぇ……噂に聞いた程度、ではありますけれど」
「それでもかまわん、そのデータも俺に回せ」
どうやら、青眼の白龍に関するカード情報はすべて自分の手中に収めていないと気が済まないらしい。
ブルーアイズに対する愛の強さ故、なのかもしれないが、すこし行き過ぎなのではないだろうか、と遊人は苦笑を浮かべるも、それを口にしたら何を言われるかわからないため、無言を貫くことにした。
ブルーアイズ関連だけで話が終わるかと思ったが、ここで瀬人はさらなる条件を投げ込んでくる。
「そしてもう一つ。貴様にはデュエルアカデミアに入学してもらう」
「それについては、ペガサスさんと相談してましたから、そのつもりなんですが」
「海馬ボーイ。Youは遊人ボーイに何かをさせるつもりデスネ?」
「その通りだ」
ペガサスの言葉に、瀬人はそう返し、遊人に何をさせるつもりなのか。
その計画を語り始めた。
「近年、
「Oh! 言われてみれば、近年のプロ決闘者はデュエルアカデミア出身者がだいぶ減ったように思えマース」
「さらにいえば学内での成績もかなり低くなってきている。対策を講じさせてはいるが、中等部から進学した生徒を中心にその傾向が強い。おまけに妙なエリート意識が根付いてしまったようでな」
「なるほど。天狗になってしまった状態で世界を相手にし、決闘者であることをあきらめてしまう人間もいる、ということデスネ?」
「不本意ながら、そういうことだ。そこで貴様にはデュエルアカデミアに入学し、学生たちの成績上昇に一役買ってもらいたい」
つまるところ、遊人にはデュエルアカデミアの生徒として、周囲の生徒たちのやる気をあげる起爆剤のような役目を担ってほしい、ということのようだ。
「それは構いませんが……さすがに俺にばかりテイクの割合が大きすぎるように思えますが?」
「ふぅん、むろん貴様にはブルーアイズ関連のデータと今回の起爆剤としての役割も含め、それなりの報酬を用意するつもりだ」
その言葉を聞き、遊人は少しばかり思案する。
一応、現在は衣食住と生活に必要となるもの、デュエルモンスターズの新たなカードなどはペガサスが用意してくれているため、現在の生活ですぐに金銭が必要となるわけではない。
だが、いずれはペガサスの下を離れ、生活しなければならないということは遊人もわかっている。
ペガサスは大学に進学するまでは学費の面倒を見ると話しているし、ミニオンズの中でもペガサスの後継者と目されている月光と夜光も、いずれはI2社の社員として自分たちのことを手伝ってほしいと言っていた。
安定した未来が用意されてはいるのだが、人生と言うものは何が起こるかわからないものだ。
遊人は元居た時代で地割れに巻き込まれ、この時代に時間跳躍したことでそのことを痛感している。
用意された安定が万が一、崩れてしまったというときのために、先立つものを用意しておくことも重要ではないだろうか。
そこまで考えると、遊人はペガサスに視線を向ける。
その意図を察したのか、ペガサスは穏やかな口調で。
「遊人ボーイ。これはいわば、Youの
自分のことは自分で決めなさい。
やんわりとそう告げられた。
――俺の手札……I2社で月光さんや夜光さんのサポートをするという未来を選ぶことは変わりない。でも、それまでの道筋の間に、この選択があってもいいんじゃないか?
ペガサスに背中を押され、遊人は瀬人に自分が導いた答えを示した。
「わかりました。ブルーアイズ関連の情報提供とデュエルアカデミア生徒たちの起爆剤の件、俺にできる最大限であたらせていただきます」
「ふぅん、いい選択だ……磯野!」
「はっ!!」
「デュエルアカデミアの入試要項と例のバッジを持ってこい!」
「かしこまりました!!」
瀬人に命じられ、再び磯野が素早く社長室を出る。
それから十分とすることなく。
「お待たせいたしました!」
一枚の封筒と手のひらに収まるケースを手に戻ってくる。
その二つを瀬人が受け取り、遊人の前に差し出す。
「この封筒がデュエルアカデミアの入試要項だ。中身をよく確認し、試験に臨め。そしてこちらが我がK.Cの社員証だ。社長室に入ることができるランクで設定されている。決してなくすな」
「は、はい!」
「後程、社長室への直通電話を伝える。磯野、携帯の用意をしておけ!」
「かしこまりました!」
「さて……俺からは以上だ。ペガサス、貴様の方から何かほかに用がなければ」
「えぇ、海馬ボーイもお忙しいでショウ。Meたちは帰りマース。また会う日まで」
「し、失礼します」
こうして、遊人の海馬瀬人との邂逅は、ある意味、厄介事の種を受け取るという形で幕を閉じた。
この後、遊人はデュエルアカデミアの試験に向けて、夜光や月光、ミニオンズの何人かを交えて筆記試験の対策や実技試験のためのデッキ調整を行うことになるのだが、それはまた別の話。