「どうしたの?話し聞こうか?」から始まる異世界召喚物語   作:白白明け

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皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m





第十ニ話

 

 

騎士団-警備隊-牢屋。

火風とアーエー、そして亞呂恵の三人が捕らえられている牢屋に万秋がやって来た。

亞呂恵は三十代にしか見えない老人の登場に飛びかかる勢いで鉄格子に張り付くと、目を輝かせる。

 

「隊長さん!遅いの!」

 

万秋は犯罪者を入れるべき牢屋に入っている部下の姿を見て舌打ちを鳴らしながら頭を掻

いたが、次にその口から出たのは溜息だった。

 

「はぁ・・・お主は、一体なにをしておる」

 

叱責の前に溜息が漏れる。

それだけで常日頃から亞呂恵が万秋に駆けている心労が傍目にも分かった。

 

それを見た火風がアーエーに耳打ちをする。

 

「彼が亞呂恵の信頼している隊長の様だ。既に鳴虫で四条に助けは求めているが、更なる事態の好転を図れるだろうか?」

「どーでしょーねー」

 

万秋の登場に火風は状況が良い方向に転ぶことを期待している様子だったが、アーエーは万秋の顔を見た瞬間、警戒するように目を細めていた。

そんな二人の様子を見咎めるように万秋の片眉が上がる。

 

「・・・なるほどのぅ」

「なんですかー?」

 

「な、なんだ?どうした?」

 

険悪な雰囲気を醸し出す万秋とアーエーの二人の間を火風の視線が交互に行き来する。

万秋は腰の剣に手を伸ばし、アーエーの身体からは黒い魔力が立ち上る。

一触即発の空気に火風が息を呑む中、場違いに思える亞呂恵のとがり声と共に鉄格子が揺れた。

 

「隊長さん‼来るのが遅いの‼隊長さんが遅いから、私は怖い目に遭ったのー‼」

 

幼児のように声を上げながら、鉄格子を揺らす亞呂恵の姿に万秋は毒気が抜かれたのか剣から手を離した。

それを見て火風も慌ててアーエーを鎮める。

 

「あ、アーエー。なんだか分からないが、落ち着け」

 

アーエーは舌打ちをしながら、魔力を霧散させた。

 

「わかりましたー」

「フンッ」

 

万秋は火風とアーエーに対して鼻を鳴らした後、視線を外して亞呂恵に向き直る。

口から出た言葉は意外にも謝罪だった。

 

「すまぬ。少し野暮用を済ませてきたので遅くなった。が、もう安心せい。儂が来たからには、小紫耀の奴の好きにはさせんぞ」

 

やって来てから不機嫌な様子を隠そうともしなかった男が、部下に対して簡単に謝る姿を見せられて火風は意外そうに目を見張る。

アーエーに至っては訝しげに顔を顰めていた。

 

「別にいいの。隊長さんが謝ることじゃないの」

 

それはその通りだと誰もが思った。どう好意的に見ても咎められるべきは副隊長という地位に就きながら、事件の容疑者と共に牢屋に入れられている亞呂恵だったが、万秋はそれを口にする事も無く牢屋を見張っていた警備兵に命令する。

 

「おい、亞呂恵を牢から出してやれ」

 

「はい!万秋隊長!」

 

警備兵は直ぐさまに頷いた。

元々、亞呂恵の部下である警備兵たちは連隊長である小紫耀の命令があったから、嫌々ながらに亞呂恵たちを捕らえていたに過ぎない。其処に万秋が来たのなら、状況は変わる。

立場上は地方騎士団の一部隊の隊長に過ぎない万秋だが、部下たちの知らない所で騎士団本部の上層部とも繋がり(パイプ)がある事は周知の事実だ。

万秋には立場を超えて小紫耀の横暴を止める力がある。

 

「隊長さん!ありがとうなのー!」

 

牢屋から出た亞呂恵は思いっきり万秋に抱きついた。

それをなれた様子で受け止めながら、万秋は初めて柔らかい表情を見せた。

 

「礼などいらん。お主の失態を儂の功績で打ち消すなど、いつもの事だからな」

 

「えー、その言い方は酷いのー。代わりに日常の業務は私が沢山、がんばってあげているの」

 

二人の間には深い信頼関係があった。

どう見ても只の上司と部下の関係性には見えない。

小紫耀は二人の関係を下衆(げす)な言葉で評したが、それがあながち間違いでは無いのかと思えるほどに二人の距離は近かった。

しかし、事実がどうであれ、亞呂恵は万秋によって救われた。

そのことに火風は素直に胸をなで下ろす。

 

そして、自らも牢屋の外に出ようとしたところで、鉄格子の扉は閉められた。

 

「・・・え?」

「・・・チッ、ですー」

 

火風は閉まってしまった鉄格子の扉に目を丸くするが、アーエーはまるで分かっていたと言いたげな舌打ちを鳴らす。

 

「あっ、待って違うの!」

 

二人を残して閉じた鉄格子の扉を亞呂恵が慌てて開けようとするが、それを止めたのは万秋だった。

 

「あの二人も牢屋から出して上げなきゃ駄目なの!二人にかけられた容疑は冤罪で、一緒に真犯人さんを探そうって約束したの。だから!」

 

「それは無理じゃ」

 

「え?隊長さん。どうしてなの?」

 

亞呂恵は言葉の意味が分からない様子で動揺する。

万秋はそんな彼女を前にどう説明するべきなのか少し悩んだ。

 

此所に来る前に万秋は今回の事件について色々と確認していた。

宿屋の爆破から始まった事件。容疑者として捕らえられたのは“召喚勇者”である四条獅子丸。

彼は捕らえられた翌日に脱獄を図り、()()()()()()()()()()()()()

しかも、その際に他の犯罪者を連れて脱獄するという余罪(おまけ)付きだ。

 

亞呂恵がどんなに牢屋の中に居る二人を庇おうとも、彼女達が四条の仲間である以上、牢屋から出すことは出来ない。

加えて万秋には二人を牢屋から出したくない()()もある。

 

万秋は亞呂恵に言い聞かせる様に言った。

 

「宿屋爆破の第一容疑者は警備兵を殺し、脱獄しておる。此奴らはその仲間じゃ。牢屋から出す理由など一つも無いではないか」

 

「で、でも!この二人は絶対に犯人さんじゃないの!四条さんだって違う筈なの!必ず他に真犯人さんが居るの!」

 

「状況証拠の全てが、此奴らが犯人だと言っておる。亞呂恵、お主が書いた調書を読んだ。よく出来ていた。最近、多発する“外れ勇者”による犯罪。動機は己の無能を棚に上げた鬱憤晴らしよ。勇者の恥さらしじゃよ」

 

「・・・そ、それは・・・でも!」

 

万秋の言葉に亞呂恵は聞き覚えがあった。全て、取り調べの際に彼女自身が四条に向けた言葉と良く似ていた。

しかし、それでも今の亞呂恵は四条の無罪を信じている。初めは不純な動機で捜査に取り組んでいたが、今は違う。火風とアーエーの仲間である四条の事を信じたいと思っていた。

 

「決めつけるのは、良くないの!よしんば四条さんが犯人さんだったとしても、この二人は何も知らなかった筈なの!二人に罪は無いの!」

 

それは亞呂恵の失言だった。

捜査をした現場の人間が、僅かでも四条の犯行を示唆してしまった。

そのことに万秋が僅かに眉を潜める。

そして、亞呂恵の失言を喜ぶヒキガエルの鳴き声のような笑い声が聞こえてきた。

 

「ゲッゲッゲ、現場の人間もやはり四条獅子丸の関与を疑っているのか!これで犯人は四条獅子丸とその仲間達で決まりですな。万秋隊長殿」

 

小紫耀が部下の兵士達を連れて牢屋までやって来た。

小紫耀の登場に亞呂恵はトラウマが蘇り怯えた様子を見せた。

万秋はそれを見て目を細めると、亞呂恵の視界から小紫耀の姿を消す為に間に立つ。

 

「隊長さん・・・」

 

亞呂恵は思わず掴んだ服の裾が払われない事に安堵しながら、万秋を見上げる。

万秋はそれを一瞥すると直ぐに小紫耀に向き直り鼻を鳴らした。

 

「椅子の上でふんぞり返るのが仕事の連隊長殿が、このような小汚い現場に何のようですかのぉ」

 

万秋の口から出た分かりやすすぎる嫌味。

小紫耀は僅かに気圧されながらも、直ぐに引きつった笑顔を浮かべて言う。

 

「な、なに、私も連隊長として事件の解決に尽力せねば。だから、こうして態々、此所に出向いた訳ですよ。四条の脱獄の際、事態を収拾に導いたのは私な訳ですし、できる事は数多い」

 

「ほほう、それは素晴らしい心がけですな。しかし、連隊長殿に任せられる仕事はありませんので、どうぞ貴賓室にお戻りくだされ」

 

万秋のあからさまに邪魔だと言う態度に小紫耀は顔を赤くして憤る。

 

「し、失礼な!あんたが不在の時に容疑者の脱獄という大事件を収拾に導いたのは私なんだぞ!人が下手に出ていればッ、礼の一つも言えないのか!」

 

「ほほう。連隊長殿は()()がお望みか。ならば、儂が不在の間に儂の部下に暴力を振るい、あまつさえ罪人のように牢屋に入れた事に対する()()()()でもして差し上げましょうかのぉ」

 

万秋が剣呑な目で剣に手をかけた。すると小紫耀の赤かった顔色はみるみるうちに青くなっていく。

周りに居る小紫耀の部下の兵士は真逆(まさか)、一部隊の隊長が連隊長である小紫耀に剣を抜くなどと考えもしないが、万秋がその()()の存在で有ることを小紫耀はよく知っている。

80年前の戦争で王国を勝利に導いた生きる伝説。

精霊に見初められて不老の祝福(のろい)を受けたと噂される化物が、一般常識の範囲内に収まる存在だとは思わない。

 

「は、はは、じ、冗談が上手いですなあ。どうやら万秋隊長殿と私の間には、勘違いがあるようだ。私はただ・・・そう、ただ事件の解決に尽力せんとしただけなのですよ!しかし、その熱意が先走り、失態があったことは認めねばなりませんか。いやあ、申し訳なかった!」

 

小紫耀は最後の意地で頭を下げることはせず、無理に大笑いしながら謝罪の言葉を口にする。

万秋はそれを冷めた目で見た後、剣から手を離した。

小紫耀から見て分かるほどに大きな安堵の息は吐かれた。

 

「ご、誤解は解けた様ですな。で、では、私はこの辺で失礼するとしましょう。確かに万秋隊長殿の言うとおり、現場のことは現場の人間に任せるのが一番でしょうからなあ!」

 

逃げるように去っていた小紫耀の姿はあまりにもみっともなく、牢屋の中に居る火風とアーエーが首を傾げる程の有様だった。

 

「あの男は何をしに来たのだ?」

「さあ?恥をさらしにきたのではー?」

 

そんな事があった後、万秋は亞呂恵に再度、状況を説明する。

 

「事件の容疑者であった四条は脱獄した。これは事実だ。なれば、自ずと犯人も奴と言うことになる。その仲間である此奴らを釈放することは出来ん。これは道理であろう」

 

冷たい言葉に亞呂恵は怒りで身体を震わせた。

 

「どうして、どうして、そんなことを言うの!隊長さんはいつも私を助けてくれるのにッ、どうして二人の事は助けてくれないの‼二人は絶対に事件とは無関係なの!絶対なのー‼」

 

亞呂恵の癇癪に晒されて、万秋は思わず溜息を吐く。

道理を語る万秋に対して、亞呂恵は全てが感情論だ。

 

「亞呂恵。お主も騎士なら分かるだろう。疑わしきは罰し、民を守るが儂らの役目よ。明日の平和の為なら冤罪上等、その心意気はどうした?」

 

「やーなのー!そんな騎士の風上にも置けない事をいう人なんて知らないのー!二人が牢屋から出られないなら、私も中に戻るのー!それが嫌なら、隊長さんが二人を助けるのー!」

 

遂に完全に駄々をこね始めた亞呂恵に万秋は辟易とする。

 

「我が儘ばかりを言うな。無理を通したくば、道理を通せ」

 

「無理を通せば道理は引っ込むって教えてくれたのは隊長さんなのー!」

 

「それはそうじゃが・・・」

 

「おーねーがーいーなーのー‼」

 

亞呂恵にもの凄い力で身体を揺さぶられる万秋は疲れ切った声で亞呂恵に訪ねる。

 

「ええい、なら、なにか、此奴らが犯人ではないという証拠はないのか。目撃証言でも、なんでもいいから、なにかないのか」

 

「そんなの!・・・・・・・・・あったのー!」

 

亞呂恵が思い出したのは現場に残されていた魔法具の痕跡と鉄人形の存在だった。

それらを見つけて直ぐに街に向かってくる具足虫の大群を発見し、其処から先は色々あって忘れていた証拠の存在を思い出した亞呂恵は慌ててそれを万秋に報告する。

発見からこれまでの間、タイミングを逃して調書には残されて居なかった証拠の存在を知った万秋は眉間に皺を寄せながらに唸る。

 

「確かにそれは真犯人に繋がる手がかりかも知れんのぉ」

 

「なら!」

 

「じゃが、釈放は出来ん。明日、その二人が監獄送りになることも止める事は出来ん」

 

「なんでなの!」

 

今回は道理の通った正当な抗議だ。

亞呂恵はその確信があるからこそ、責めるような視線で万秋を見る。

万秋は亞呂恵から視線を外し、牢屋の中を見る。

万秋の視線の向かう先はアーエーだった。侮蔑の言葉は、吐き捨てる様に出た。

 

「儂は魔族が嫌いじゃ」

 

「魔族差別主義者ですかー?」

 

アーエーの揶揄う様な言葉に、万秋は獰猛な笑みを返した。

 

「儂の故郷は魔族に焼かれ、弟と妹は魔物に喰われた。娘は魔族に犯され自ら命を絶った。忘れもせん。たったの80年ばかし前の話じゃ。()()も忘れた事はなかろう」

 

「そうですねー。覚えているかもしれませんねー。()()()()()()()をー、人間にされた気がするのですー」

 

「現代に産まれた魔族に敵意は無い。親の罪を子が(あがな)う必要はないからのぉ。しかし、()()()()()()()を殺せるのなら、儂は何処までも悪辣になれよう」

 

「アーも、火風や四条やー、亞呂恵みたいなー、現代(いま)の子は好きなのですよー」

 

二人の間に湧き上がるヘドロのように黒い感情。

火風と亞呂恵はそれを見て何も言えなくなってしまっていた。

 

万秋はアーエーから視線を外し、亞呂恵の手を引いて此所から出て行く。

亞呂恵はそれに抵抗しようとしたが、掴んでくる力の強さに驚いてもいた。

これほどまでに感情を露わにする万秋を亞呂恵は見たことがなかった。

 

「た、隊長さん。いったい、どうしたの?アーエーさんと、何かあったの?」

 

「お主が知る必要は無い。じゃが、今回の件に関して儂は小紫耀の奴と同じ立場にあると知れ。あの魔族の娘(アーエー・シューハマー)を殺せるのなら、その他の二人には命を諦めて貰う他にあるまい。冤罪上等じゃわい」

 

万秋の目に宿る黒い炎を見て、亞呂恵は初めて、彼のことを恐怖した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牢屋に残された火風とアーエーの間には気まずい沈黙が流れていた。

その沈黙を破ったのはアーエーだった。

 

「ごめんなさいなのですー」

 

アーエーは申し訳なさそうに火風に頭を下げた。

 

「どうやら、私は火風と四条を巻き込んでしまったようですねー。私が居なければ、ややこしい事にはなりませんでしたー」

 

アーエーの謝罪を受けて、火風は彼女の肩に手を置いた。

 

「アーエー。真実を答えてくれ。今回の件、貴女に落ち度は少しでもあるか?」

 

「・・・ないと、思うのですー。薄々、気づいているでしょうがー、アーは昔、王国と色々もめましたー。ですがー、罪は既に償い終えている筈なのですー」

 

80年前の大戦。アーエーは魔国側として参加し、王国と戦った。

その中で多くの人間を殺したが、それは王国も同じだとアーエーは思っている。

多くの同胞が王国の兵士や騎士に殺された。

数々の魔族の村が人間の手によって焼かれた。

アーエー自身も捕虜なった時には思い出したくも無い事をされた経験がある。

 

王国も魔国も()()()と、アーエーは言う。

 

違うのは魔族が負け、魔国が敗戦国となった事だ。

戦後、戦争犯罪人として裁判にかけられたアーエーに課せられた求刑は懲役66年。

 

アーエーはその刑期を既に終えている。

 

「でも、当時を知る人からしたらー、やはりアーエーは嫌われ者ですねー。わかっていましたがー、火風と四条に迷惑が掛かることまでは考えていなかったのですー」

 

だから頭を下げようとするアーエーに対して、火風は肩に置いた手に力を込めることでそれを止める。

 

「火風。少し肩が痛いのですー」

 

「辛いことを思い出させてしまってすまない」

 

「別にもう随分と昔のことですからねー、気にしなくていいのですー」

 

「私が気にするんだ。だから、謝らせてくれ。すまない」

 

「・・・わかりましたー。許すのですよー」

 

80年前の大戦がどういうモノであったのかを火風は詳しくは知らない。知っているのは本で読んだり、話しで聞いたりした程度のことだ。

そんな事で戦争を語る気はなかったが、今日、実感できたのはそれが凄まじく辛いモノであったと言うことだ。

 

(戦争とはあれ程の感情を、互いに向け合わなければならないのか・・・。もう80年も過ぎていると言うのに・・・)

 

万秋から漏れ出していたヘドロのように黒く重い感情。

火風は戦争は80年も前の事だと思っていたが、当事者からすれば戦火が生んだ悲劇はたった80年で癒える傷跡ではない。

火風はそれ知った。だから、改めてアーエーの目を真っ直ぐ見ながら言う。

 

「アーエー、私は貴女が経験してきた悲しみを知らない。私の人生の艱難辛苦は、貴女が経験したものの一割にも満たないのだろうと思う」

 

血のように赤い瞳。その目が映してきた悲劇を軽々しく()()()なんて、言う気はない。

だけれど、火風はこんな時に()()()()()()()()を知っている。

 

「けれど、私は少しでもわかりたいと思っている。だから、()()()()()()()()()()()()?少しでも、貴女の力になりたい」

 

火風の言葉にアーエーは小さく微笑んだ。

火風の真剣な顔と見覚えのある軽薄な笑みが重なってみえた。それがたまらなく可笑しくて笑ってしまったアーエーは、照れ隠しをするように言う。

 

「お前は本当に四条が好きなのですねー」

 

アーエーの言葉に虚を突かれた火風の顔が途端に紅潮する。

 

「・・・いま、そういう話しはしてない」

 

「生き方にまで影響を受けるとかー、相当なのですー。あんな風に見えてー、四条は実は相当いい男なのですかー?此所まで好き好きオーラを見せられると少しだけ、気になりますねー」

 

「なあ⁉そ、それはどういう意味だ‼」

 

「雌は魅力的な雄を求める生存本能がありますからねー。所詮、人間も魔族も二足歩行しているだけの動物ですー」

 

「む、難しいことを言ってはぐらかすな!な、なんだ?あいつのことを好きになってしまったと言うことか?だ、駄目だ駄目だ!あいつの良さに気が付いて良いのは、私だけなんだからなあ‼」

 

「お前は揶揄うと本当に面白いですねー」

 

「んな⁉・・・く、こ、こ、こ!」

 

「くっ殺せ(コロ)?ですー?」

 

「うがー‼」

 

羞恥心がMAXにまで高まった火風が文字通り、爆発した。

ボカン!と冗談のような爆発音が響く。

牢屋の中に黒煙が立ちこめ、慌てて警備兵たちが中を確認すると、二人は身体を煤けさせながら、仲良く倒れているのだった。

 

 

 





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