「どうしたの?話し聞こうか?」から始まる異世界召喚物語   作:白白明け

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皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m


しばらくの間は毎日、投稿予定です(^^)




第六話

 

ピンク髪の騎士-亞呂恵が警備兵達を引き連れて火風とアーエーの元にやってくる。

普段は仕事をサボりがちな彼女だが、今回は愛羽と会う為に、ではなく街の平和を守る為に、頑張った。四条に言われたとおりに捜査をやり直せば、確かに宿屋の帳簿に名前がない身元不明の死体が四体みつかった。損傷が激しくバラバラになっていた死体を更によく調べると魔法具を使った形跡があり、爆発の原因はその魔法具である可能性が出てきた。

亞呂恵は四条が冤罪だった事に小躍りして喜んだ。

そして、捜査を終えて憧れの人との食事と言う最高のご褒美を想像して、だらしない笑みを浮かべていた亞呂恵の目に飛び込んできたのは街に向かって飛んでくる怪虫の群れ。

慌てて警備兵達を引き連れて現場に向かうと其処に居たのは怪虫を従える冒険者風の女と()()()()()

亞呂恵が二人を事件の黒幕だと勘違いをするのも無理のない話しだった。

 

「逮捕なのー!」

 

「おおー、あれは宿屋で四条を逮捕していた騎士ですねー。どうするのですー?」

 

「ど、どうするもこうするもない!私達が此所を離れれば、具足虫達は再び街に向かい飛んでいくぞ!逃げられない以上、説得をする他にない!」

 

火風はアーエーにそう言いながら、剣を抜いて走ってくる亞呂恵に対して声を張りあげた。

 

「聞いてくれ!私達は真犯人などではない!」

 

「真犯人さんはみんなそういうの!」

 

しかし、亞呂恵は聞く耳を持たない。彼女にとって重要なのは四条が犯人ではないという事実だけだ。その事実さえあれば、彼女は憧れの人である愛羽と食事(デート)ができる。

その出会いから始まる恋の予感。地方で暮らす騎士(おんな)と首都で活躍する勇者(おとこ)のラブロマンス。

 

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三国が泣いた!

 

「恋は盲目!愛は慟哭!聞く耳なんて、持たないの‼この好機を掴めるなら、多少強引な位が丁度良いの!言い訳は豚箱で聞いてやるの!冤罪じょうとうなの!」

 

「な、なあ⁉それが騎士の言葉か⁉」

 

「これが私の本音(ことば)なの‼」

 

亞呂恵が振り下ろす剣を火風は手斧で防ぐ。

両手で握り振り下ろした剣を片手で持つ手斧で防がれた事に驚く亞呂恵に対して、火風は説得に応じない彼女に舌打ちをしながら、もう一方の手で握った手斧の斧頭(ふとう)で反撃する。

 

「少し頭を冷やせ!」

 

「ぐっ⁉」

 

亞呂恵が着ていた鎧が凹む。亞呂恵は痛みを堪えながら、手斧を両手に持つ火風を睨み付ける。

手斧の二刀流。そんな武器(エモノ)を使う冒険者をこの街で見たことはない。

銀色の短髪。くすんだ緋色の目。特異な武器(エモノ)

一度、見れば忘れないだろう相手を前に亞呂恵は気を引き締める。

 

「私の推し活の邪魔をしないで欲しいの!」

 

「なんなんだこいつは!仕事に私情を持ち込み過ぎているぞ⁉」

 

緊迫した雰囲気で対峙する二人を横目で見ながら、アーエーは亞呂恵が連れてきた警備兵達から逃げ回っていた。小さな体躯でちょこまかと走り続けるアーエーのことを警備兵達は捕まえられずにいる。

 

「鬼さんこちら~、手の鳴る方へ~、です~」

 

「お、鬼は、おまえだろう・・・」

 

息を切らしながら自分捕らえようとする警備兵たちを遊ぶように躱していくアーエーの顔には余裕があった。

基本的に人間よりも魔族の方が身体能力(スペック)が高い。魔力量も勝っている事がほとんどだ。だから、蟲笛を鳴らす時に火風はアーエーに託し、アーエーを追いかける警備兵たちの顔には諦めの色が浮かび始めていた。

 

「稀にそれを覆す個体が出てくるのが人間の怖いところなのですがー、こいつらはそうじゃありませんねー。ダメダメですー」

 

舌足らずな口調で辛辣な事を呟きながら、アーエーはこの場を逃げ出す算段を付ける。

火風は具足虫の軍勢が再び暴走するのを防ぐ為、逃げられないと言ったがそれは違う。

具足虫の軍勢が街へ向かうのを防ぎたいなら、彼らを連れて逃げれば良いだけだとアーエーは走り回りながら、蟲笛を回し、鳴らし始める。

 

「これで彼らはアーたちに付いてきてくれるのではー?」

 

それを見て、火風はギョッとする。

 

「待てッ!シューハマーッ、それはマズい!」

 

「えー?」

 

動揺してうろたえた様子の火風にアーエーが可愛らしく首を傾げたその時、大人しくしていた具足虫たちが一斉に羽ばたき始める。

 

「蟲笛の一度目はご安全に(集まれ)ッ!の合図だが、二度目はヨシ(突撃)ッ!の合図だと四条は言っていた!」

 

「・・・えー、どうしてそういう大事な事を早く教えてくれないのですかー?・・・・・・・・・アーは悪くないのですー」

 

「拗ねるな!蟲笛を止めろ!」

 

「言われずともー」

 

アーエーは無表情で分かりづらいが慌てて蟲笛を止める。しかし、既に音色を聞いた具足虫たちは止まらない。

幸運だったのは具足虫の軍勢が突撃の対象として選んだのが街でなかったこと。

不運だったのは具足虫の軍勢が亞呂恵と警備兵たちの臀部を狙いはじめたこと。

 

〈てきのけつに、たまごをうみつけろー‼〉

〈おー!〉×数百匹。

 

「きゃー⁉エッチなのー⁉」

「ぎゃー⁉」×警備兵10名。

 

阿鼻叫喚の様相を呈するなかでアーエーは手を打ち合わせる。

 

「おー、アーの機転で逃げるチャンスが訪れましたー。火風、逃げましょー」

「馬鹿!放っておけるか!彼らを助けるぞ!」

「ええー」

 

心底、嫌そうな表情をするアーエーを引きずりながら、火風は具足虫の軍勢から亞呂恵たちを助ける為に動き出すのだった。

 

数十分後、具足虫たちに服を(かじ)られ、ボロボロになった亞呂恵と警備兵たちの姿があった。

火風の奮闘により何とか臀部の貞操が守られた彼らは半泣きになりながらお礼を言う。

 

「うう~、助かったの。ありがとうなのー」

 

「いや、元々は私の相棒が仕出かした不始末だ。こちらこそ、迷惑をかけて済まなかった」

 

亞呂恵にハンカチを差し出しながらそう言う火風は男前だった。

亞呂恵は受け取ったハンカチで涙を拭いた後、「でも」と言いながら目を光らせる。

 

「それとあれとは話が別なの。貴女達は怪しいの。詰め所で話を聞かせてもらうの!」

 

「ま、まだ私たちを信じてくれないのか?」

 

「わたしは公私をしっかりと分ける人間なの!」

 

「どの口がー」

 

「そこ!うるさいの!」

 

亞呂恵はアーエーを指さした。アーエーは頭の上に乗っている具足虫に手を伸ばす。

亞呂恵は直ぐに土下座(ごめんなさい)をした。

 

「で、でも!私には真犯人さんが必要なの!じゃないと、昨日逮捕した容疑者さんが犯人さんになってしまうの!それはマズいの!」

 

顔を上げた亞呂恵が訴える。彼女の中で何よりも優先されるのは四条を無罪にすることだ。

でなければ愛羽(推し)食事(デート)ができない。瞳に炎を滾らせる亞呂恵にアーエーは若干、引いた。

対して火風は亞呂恵の熱意を好意的に受け取っていた。

 

「真実を追究する姿勢は嫌いじゃない。その熱意を信じて真実を話すが、私たちは貴女の言う逮捕した相手、四条の仲間だ」

 

「本当なの?」

 

「本当だ。彼らに見覚えがあるだろう?昨夜、四条が連れていた虫と同じ虫だ」

 

火風に言われて亞呂恵はアーエーの頭の上にいる具足虫をジッと見つめる。

 

「・・・言われて見れば同じなの。昨日見たときは暗かったから、気がつかなかったの」

 

「あいつの無罪を信じるあなたに頼みたい。私たちの事も信じてくれ」

 

「・・・わかったの。(愛羽様との逢瀬の為に)信じてあげるの」

 

「ありがとう!」

 

「(愛羽様の逢瀬との逢瀬の為だから)お礼なんて要らないの。当然のことなの!」

 

「偏見に囚われず判断を下せる。あなたは素晴らしい騎士だな!」

 

「当然なの!」

 

握手を交わす二人をアーエーはジト目で見ていた。

何やら意気投合した様子の二人に溜息を吐き、言う。

 

「それでー、これからどうするのですー?宿屋を爆破した奴の手がかりはー、私たち以外にあるのですかー?」

 

「あるの!これを見て欲しいの!」

 

そう言って腰に下げていた袋から証拠品を取り出そうとした亞呂恵を側に居た警備兵が慌てて止める。

 

「あ、亞呂恵副長!部外者に捜査情報を漏らすのはマズいです!」

 

「構わないの!これも早く事件を解決する為なの!」

 

「で、ですが、隊長に知られれば始末書では済みませんよ!」

 

「大局を見るの!事件の解決は何よりも優先されるものなの!」

 

止めに入った警備兵をそう言って制した亞呂恵の事を火風は「流石だ」と腕を組みながら頷いて感心していた。

尚、亞呂恵が事件解決を急いでいるのは早く愛羽と食事(デート)がしたいからだが、彼女がそのことを知る日は来ない。

 

「これが手がかりなの!」

 

そう言って亞呂恵が取り出したのは掌に収まる程に小さな鉄のオブジェだった。

火災による熱で形が歪んでいるオブジェは、元の形が人型であった事が分かるが、それが誰を模して造られたものかまでは判別できない。

 

「爆発の爪痕が一番酷かった場所にこれがあったの!真犯人さんの持ち物で間違いないの!これが何なのか分かれば、真犯人にグッと近づくの。貴女たち、見覚えはないの?」

 

亞呂恵からオブジェを受け取った火風だが、彼女には見覚えのないものだった。

 

「わからないな。シューハマーはどうだ?」

 

「おー、これはー・・・、わかりませんねー。四条に聞いてみてはどうですー?」

 

手がかりが得られなかった亞呂恵は戻って来たオブジェを残念そうに見た後、「そうしてみるの」と言いながらオブジェを警備兵の一人に手渡した。

 

「これを牢にいる容疑者さんに見せて、何か知っているか聞いてくるの」

 

「ハッ!わかりました!」

 

オブジェを手に駆けていく警備兵を見送って、亞呂恵は火風とアーエーに向き直る。

 

「それじゃあ、私たちは私たちで捜査を開始するの!」

 

亞呂恵の号令の元、此所に美少女合同捜査本部が立ち上げられるのだった。

 

 

 

 

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