便利屋にオリ主を突っ込んで曇らせる話   作:ナマス

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タイトル通りです。


Preparation
Meet


 ゆっくりと息を吐く

 冷たい空気が喉を通り抜け、体から熱を奪っていく

 ブラックマーケットの路地裏で残された右腕を見つめながら、ゆっくりと余生を楽しむ

 

 両足はもげて、左腕は捩じ切れて、左目は抉れた

 残されたのは右目と右腕

 後悔はしていない。本当に残したかったものを残せたのだから

 

 キヴォトス全一やらなんやら昔は騒がれたが、それはもう過去の栄光に過ぎない

 ピストルですらろくに撃てないこの体じゃあ、昔みたいに飛び回ることなんて夢のまた夢だ

 

 FOX小隊に喧嘩を売ったり、アビドスに冷やかしに行った日々が懐かしく感じてしまう

 

 今ヴァルキューレに見つかったらどういう反応をするだろうか

 驚くか呆れるか、はたまた悲しむか

 矯正局にぶち込まれてみるのも面白い

 看守が嫌になるほど話しかけて、暇を潰して過ごすのも悪くない

 

 そんなくだらない妄想をしつつ、今日も草を食べて過ごす

 好き勝手やってきたツケだと考えれば、妥当だ

 草食って泥水啜って地面の上で死んだように眠る

 一年前の自分が知ったら卒倒しそうだ

 

 あの頃は好きなもの食べてくだらない話をして、好きなように遊んで人生が最高で楽しくて仕方なかった

 しかし今の自分にはそんな気力はない

 死なない最低限度の生活をただ淡々と生きるのみ

 

 まだまだ人生これからだってのに、真っ白に燃え尽きたような生活

 その日々に自分はイライラすることもなければ、焦ることも不安になることも無かった

 何かを自分は待ち続けていた

 

 別に具体的なものじゃない、人かはたまた物か、それすらも分からないひどく抽象的な何か

 それはいつか自分の前に現れて、何かを変えてくれると馬鹿みたいに信じ込んでいた

 

 そんなことを考えて数週間、いや、時間感覚が曖昧で数ヶ月は経っていたかもしれない今日この頃。この意味ない生活の日々にいい加減体は限界を迎えてきていた

 

 いくらヘイローがあるとはいえ、泥水と草だけの生活に身体は音を上げていた。

 体にはもう力が上手く入らず、目の焦点はピンボケも良いところ

 自分の余生は後もう僅かだと感じて、けれどこの体じゃもう何も出来ないと諦めていたその時、彼女達と出会った

 

 一人は悪戯が成功したかのように笑い、一人は困ったような、だけど何処かしょうがないといった笑みを浮かべ、一人はオドオドしつつ、リーダーだと思われる真ん中の少女に着いていき、そして真ん中の少女は

 

─────とても楽しそうに笑っていたのだ

 

 それはいつの日かの自分と同じような気がして、キラキラとした『青春』をまた見れたような気がして

 

 そして、気付けば彼女達に話しかけていたのだ

 当時何がしたかったかは分からない。ただの暇つぶしや冷やかしのつもりだったかもしれない。ただ、今思えば

 

─────無意識にあの『青春』が、恋しくなっただけなのかもしれない

 

「そこの君たち、自分を買わないか?────絶対に損はさせないと約束するよ」




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