便利屋にオリ主を突っ込んで曇らせる話   作:ナマス

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次回は社長視点です


Negotiation

 コップに入った水を一気に飲み干す

 久しぶりに飲んだ透き通った水はこれでもかというほど五臓六腑に染みわたり、これだけでも生き返ったような気がする

 

「社長殿、まず話を聞いてもらえることに感謝します。こんな体の身売りなんて、無視されてもなんら疑問も持ちません」

 

 自分はこの少女たちが所属する事務所に来ていた

 ブラックマーケットにいるボロボロなやつの身売りなんて、厄ネタでしかないだろうに

 それでもなお目の前のリーダー格の赤髪の少女──このオフィスの社長らしい──は「とりあえず話を聞きたい」とこのオフィスに招待してくれた

 

 今目の前に座る社員らしき彼女たちの目線は、困惑と同情と警戒がよくわかるほどにじみ出ている

 ただ、社長殿は違った

 深く腰掛けて足を組み、目を細めながら薄く笑ってこちらを品定めしている

 初めて出会った時の楽しそうな笑顔からは信じられないほどにカリスマに満ち溢れている

 

「それで、あなたには何ができるの?私たち便利屋68が目指しているのはキヴォトス最高のアウトローよ」

 

 「そんな私達に『身売り』だなんて、ちっぽけなことだったら許さないからな」という雰囲気を社長からひしひしと感じる

 下手なことを話せばそのまま後ろのスナイパーライフルで頭を撃ち抜かれそうだ

 きっと他の社員たちがこのオフィスのどこかに隠れていて、社長が気に入らなければそのまま自分は撃ち殺されるだろう

 だがそれもいい。どうせここで死んでも何も悔いは残らない

 

「社長殿はアウトローを目指しているのならば、きっと裏社会での抗争は絶えないかと思います。今もきっとここにいない他の社員方はそれに身を投じている。そうでしょう?」

 

 社長はすこし沈黙して

 

「........ええ、そうよ」

 

「ならばきっと自分の力はそれにぴったり嵌まるものかと思います」

 

 そして自分は社長にその能力を使った

 

「.....!」

 

 先ほどまで余裕そうだった笑みが少し驚きに変わるが、すぐに戻る

 

「自分の力は重力を操る能力。範囲は約100m前後。ただし視界に映っていないと使えません。これを使えば並大抵の相手は動けなくなります。.......まあ、やはり社長クラスとなると流石にキツイですが」

 

 ブラックマーケットでそこら辺にいるチンピラに使えば地面とキスして動けなくなる程度には強めに使ったが、やはりというべきか社長にはあまり効いていないように見えた

 キヴォトスにおいてトップクラスの奴らとやりあう場合はある程度動きを制限するにとどまるのは昔から変わらない

 そもそもこの力の真骨頂は相手ではなく自分に使うことのほうだが.......今の体じゃあ意味がない

 

 

「そしてこの力を使う対価として求めるのが水と住です。お金はいりません。ただ毎日を生きていけるだけの水と雨風をしのげる寝床......まあこのオフィスで寝させてもらえればそれで充分です」

 

 ご飯はそこらへんの草でも意外と問題ない。ただやはり水は泥水だと当たり前だが下痢などを起こして脱水などをしょっちゅう起こしていた。確かに自分は死んでもかまわないが、別に苦しみながら死にたくはない

 

「まあ、自分を一度お試しということで使ってみてください。その後気に入らないのならば自分を殺すなり沈めるなりしてくれてかまいません」

 

 この社長はいずれブラックマーケットを牛耳る首領となる器だ。きっと足が付かない非道な事を沢山やってきたに違いない。今思えば最初に見たあの笑顔も相手方の重鎮を葬ったことなどの報告を受けての笑顔だったのだろう。このたたずまいがそれを証明している。何をやらされるかわからないが、きっと覚悟しておいたほうが良いだろう

 

 笑みが深まった社長を見て、自分はそう決心した




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