便利屋にオリ主を突っ込んで曇らせる話   作:ナマス

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社長が思ったより難しい........


Deception

 今日はとても機嫌がいい。何せ久しぶりにそこそこのお金が入ったのだから

 いつもならどこかで想定外な事態が起きたりなんやかんやあった後爆発したりして失敗したりするというのに、面白い程こちらの想定通りに事が進んでくれた

 なんだかこのまま順風満帆に便利屋68の株が上がっていきそうな予感が今ひしひしと感じてる

 この頃失敗続きだったのもアウトローになるための土台だったと考えれば全て良く見えてくる

 

「くふふ!アルちゃんすっごく機嫌よさそ~!」

 

 私の右を歩いている小悪魔めいた笑みを浮かべているのは浅黄ムツキ

 

「はぁ。社長、前みたいに無計画に使ってすぐ使い切らないでよ」

 

「わ、私なんかがこんな恩恵を授かっても良いのでしょうか......」

 

 溜息をつきながら私の左を歩いているのは鬼方カヨコ。そして私の後ろにいるのが伊草ハルカ

 これが私のかけがえのない仲間たちであり、便利屋68の社員達だ

 

「わ、分かってるわよ!ちゃんと今度は計画的に資金繰りするわ!」

 

 でも今日ぐらいは少し奮発して........なんて、夢が広がることを考えていた時

 ふと、横から声がかかった

 

「そこの君たち、自分を買わないか?────絶対に損はさせないと約束するよ」

 

 聞こえたのは左の路地。その光景に私たちは絶句した

 体はぎりぎり服だと分かるぼろ布で覆われ、両足と左腕は付け根から消え、左目を瞑って座り込んでいる少女がそこにはいた

 

 私たちはこんなことを今までやっているし、大きな怪我をしたことがないと言ったら嘘になる。しかし、ヘイローのおかげで傷の治りも早く、体も頑丈なためすぐにもとに戻る。

 一体どんな仕打ちを受ければこんな体になるのか、想像が付かなかった

 ただ言えるのは、断って『ハイさよなら』というわけにはいかないということ

 

 私がなりたいのはアウトローであってド畜生ではない

 

「.......とりあえず、私達のオフィスへいらっしゃい。話はそこで聞くわ」

 

 いつものように笑みを浮かべていかにもアウトローな顔で彼女を抱きかかえる

 彼女は想像の何倍も軽かった

 

 

 

        ~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

 応接間のソファーに座らせ、最近漸くまた使えるようになった水道の水をコップに灌ぐ

 

「私は便利屋68の社長、陸八魔アルよ」

 

 よほど喉が渇いていたのだろう。彼女はコップの水を一気に飲み干した

 

「社長殿、まず話を聞いてもらえることに感謝します。こんな体の身売りなんて、無視されてもなんら疑問も持ちません」

 

 オフィスに招待したはいいが何を話せばいいかわからない。とりあえず何ができるのか聞いてみた

 

「社長殿はアウトローを目指しているのならば、きっと裏社会での抗争は絶えないかと思います。今もきっとここにいない他の社員方はそれに身を投じている。そうでしょう?」

 

 いや抗争が絶えないのは風紀委員会で社員もここにいるのが全員。なんて、私が言えるわけがなかった

 

「.........ええ、そうよ」

 

 言ってしまった。私の悪い癖が出てしまった。

 ムツキはニヤニヤしながら、カヨコはジト目でこちらを見ている。が、言ってしまったものはしょうがない

 どうしようかと頭を悩ませようとすると

 

「ならばきっと自分の力はそれにぴったり嵌まるものかと思います」

 

 いきなり体全体に重りをつけられたような感覚が襲った

 笑みが崩れそうになるのをなんとか痩せ我慢で耐える。正直組んでいる足はプルプルしているし、顔から脂汗がにじみでてきていて取り繕えているか怪しい

 

「自分の力は重力を操る能力。範囲は約100m前後。ただし視界に映っていないと使えません。これを使えば並大抵の相手は動けなくなります。.......まあ、やはり社長クラスとなると流石にキツイですが」

 

 これを百メートル前後の範囲で使うことができるとは........彼女は一体全体何者なのか。いったいどんなものを要求されるのか。なんだろう、このまま「お前の命だ」とか言って押しつぶされてしまう最悪の想像が目に浮かんできた。

 しかし、要求されたのは存外ちっぽけなものだった

 

「そしてこの力を使う対価として求めるのが水と住です。お金はいりません。ただ毎日を生きていけるだけの水と雨風をしのげる寝床......まあこのオフィスで寝させてもらえればそれで充分です」

 

 水と寝床。生きるために必要なものを、彼女は今まで持ってこなかったというのだろうか

 こんな強力な力を持っていても両足と片腕がない生活と言うのは、どんなもなのだろうか。全く想像が出来なかった

 

「まあ、自分を一度お試しということで使ってみてください。その後気に入らないのならば自分を殺すなり沈めるなりしてくれてかまいません」

 

 彼女は私のことをなんだと思っているのか。いやさっきの抗争の下りで私のことを完全なアウトローと認識しているのだろう。とても嬉しいが、現実とのギャップで失望させられたらどうしよう

 ただ言えるのは、ハルカと同じで放ってはおけないということ。とりあえず次の仕事までこのオフィスで暮らしても良いと言いたいのだが、いい加減私にかけている重力をなくして欲しい。もう姿勢を保つので精一杯で話す余裕なんてない

 

 何とか彼女に解いてほしいと伝えるために頑張って笑みを浮かべた

 解いてくれたのはこれから約10分後だった




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