便利屋にオリ主を突っ込んで曇らせる話   作:ナマス

6 / 19
Washing

 とりあえず次の依頼まで自分はこのオフィスで寝ても良いことになった

 この場にいる社員達の自己紹介を終えてオフィスの設備を一通り見て回った後、まず自分が行ったのはシャワーである

 ブラックマーケットで過ごしていた時は這いずって近くの川まで行って水を浴びていた。そこの川もお世辞にも綺麗とはいえない川だったが、体に付いた泥や汗を落とせる貴重な機会だったので文句はなかった

 

 だがやはり温水のシャワーと言うのは良いものだ。夏ならばまだよいが冬は凍死寸前だったのをよく覚えている

 頭を洗われながら呑気にそんなことを考える

 

「課長殿の手を煩わせてしまって申し訳ありません。良かったのですか?別にひとりでもシャワーぐらい浴びれるのですが......」

 

「そんな長い髪をどうやって片手で洗うつもり。絶対普段まともにシャワーなんて浴びてないんだから、今日ぐらいは厚意に甘えておいたら?」

 

 自分の髪は一年近く切ってなかったため座った時に自分の尻くらいまでの長さがある。たしかに片手でこの髪を洗うのは骨が折れるだろう

 わざわざまだ社長に買われるかどうか分からない自分のことをここまで気にかけてくれるとは、優しい課長である。さぞかしここの社員達は幸せ者だろう

 

 わしゃわしゃと優しい手つきで髪を洗われる。こんなことをしてもらったのは何時ぶりだろうか

 .......ああ、二年前ぐらいか。もうそんなに経っているのか

 あの時の彼女も課長のように優しい手つきで髪を洗ってくれて

 

『髪、もっと伸ばしたら?絶対似合うと思うのだけれど』

 

 なんて言われてような気がする。彼女が今の自分を見たらどう思うのだろうか。驚くのか、悲しむのか、失望するのか。────それとも、彼女はこんな体の自分をみても『似合ってる』と言ってくれるのだろうか。

 

「────ほら、終わったよ。なんなら体も洗う?」

 

「.........いえ、そこまで課長の手を煩わせるわけにはいきません。流石に体ぐらいは自分一人でも大丈夫です」

 

 いつの間にか頭にあった泡は全てシャワーで流されていて、鏡を見るとぼさぼさだった髪がきれいにストレートになっていた

 せっかくの厚意を無下にするのは心苦しいが、流石にこれ以上手を煩わせるのは無礼だと感じ、断って泡にまみれたタオルで体を洗う

 

 片手でも胴体だけなら体を洗うことは難しくない。ふと鏡を見れば、後ろで自分の髪を弄ぶ彼女がフラッシュバックして、もうあの頃には戻れないのだと強く実感してしまった




良ければ感想と評価をお願いします

R18版見てみたい?(書くかどうかは未定)

  • 見てみたい
  • 別に要らない
  • それよりも本編を見たい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。