さて、今の時間は早朝の6時前。お腹も空いてくる頃合いである
ドアはロックされているので、目の前の窓から外に出る。地面と少し距離があったので痛かった
そのまま片手で芋虫のように這いずって目の前の雑草まで行き、食べる
一年間食べてきただけあってこの辛いようで苦い味にも慣れては来たが、間違ってもやはりおいしいとは思えない
それでも虫みたいに食感が気持ち悪くもなければ、朝の露と一緒に食べれば水分補給もできてほどほどにお腹にたまる草はずっと自分にとって生命線だった
しばらくむしゃむしゃしていればオフィスのドアが開く音がした。
「ちょ、ちょっと何してるのよ!?」
オフィスにいなかった自分を探すために窓の先を見た社長がすっ飛んできて、食事中だった自分を抱きかかえる
「別にただの朝ごはんですよ。お腹が空いたので草を食べてました」
「なんでそこで『草を食べる』っていう選択になるのよ!?ほら、朝ごはんぐらい用意してあげるからそこに座ってなさい!」
オフィスに連行されてそのままもといたソファに座らされる
「社長殿、お気持ちは嬉しいですが別に自分は結構です。自分はまだ結果もなにも出していないのにご飯だなんておこがまし過ぎるので。安心してください、かれこれ1年は草を食べて生きているので自分はそんな苦だと思っていません」
「何も安心できる要素なんてないじゃない!?オフィスに備蓄してある食料.......はもう尽きてるから、ちょっとそこで待ってなさい!」
そう言って社長はオフィスから出て行ったと思ったら、10分後には何か買ってきた
そのままそれにお湯を加えて、しばらくして自分のところへ持ってきた
「ほら、お粥。食べなさい、社長権限よ」
断ろうとしたが、社長直々のご命令とあらば仕方ない。スプーンでお粥を食べた
「.........おいしい」
「そりゃあ草よりかはおいしいでしょうね。......って、な、なんで泣いてるのよ!?そんな泣くほどおいしかったの!?」
あれ、なんか涙が出てきた。こんな文化的な食事をしたのは一年ぶりかもしれない
社長が作ってくれたお粥は温かくて、甘くて、おいしくて。ただのお粥のはずなのに、なんでここまでおいしいのだろうか
視界が涙で潤んで、細かくは見えないが自分が泣いたことで社長は慌てふためいているようだった
「と、とりあえずこのハンカチで涙拭いてちょうだい。水もいるわよね。あ、後は......!」
室長が来るまで社長はずっとこの調子でオロオロし続けていた。とても昨日話した時のカリスマはあまり感じなかったが、とても優しかった
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R18版見てみたい?(書くかどうかは未定)
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それよりも本編を見たい