この調子で評価増えるといいなぁ……! 是非とも、本作をご贔屓にお願いします。
今回の話では、現実世界(怪盗団視点)→認知世界(主人公視点)でいきます。
それでは本編、どうぞ。
喫茶店ルブランの屋根裏に、かつて怪盗団として共に戦ったメンバーが集まる。
私の名前は
私たちが心の怪盗団として一年ぶりに集結した理由は単純明快で、今世間を賑わせている昏睡事件を解決するため。
しかし、集まった私たちは最大の問題……事件の解決に最も大事な部分で行き詰まっていた。
「クソッ! なんでキーワード入れてんのに、ジェイルに入ることすら出来ねぇんだよ!!」
「まさか、ジェイルへの侵入すら許されんとはな……双葉、EMMAの解析はどうだ?」
「ダメだなこりゃ……これ、私じゃ無理だ。ハッキング以前にプログラムが無い。物理的にどうしようもない、完全にお手上げだ」
「双葉でも無理なのね……今までキーワードが分からずに侵入できない事はあったけど、まさか侵入すら許されないジェイルがあるなんてね。驚きだわ」
「ねぇ双葉ちゃん、プログラムがないってどういうこと? 確かにEMMAは普通のAIじゃないけど、それでも双葉ちゃんや一ノ瀬さんですら太刀打ち出来ないなんてことあるの?」
「いーや、一年前のEMMAならある程度は解析できた。でも、今回のEMMAは根本的に話が違う。解析が難しいとかそういう話じゃない、
さっきまでカタカタと鳴らしていたパソコンを放り出し、双葉はテーブルにうつ伏せになってしまう。
それも仕方がないことだろう……ほとんど寝ずに一週間近く調べたけ結果が“EMMAはお化けでした”となれば、脱力するのも無理はない。
本当ならリーダーやモルガナにもこの場に居て欲しいし、EMMAをよく知るソフィアや一ノ瀬に頼りたいところだが、皆東京から離れた土地にいるためまだ合流はできていない。
善吉に関しては普段の警察の仕事に加え、昏睡被害の調査や後始末、更には茜ちゃんのお見舞いもあるとなれば合流は難しいだろう。
頼れる仲間の不在に、今までになかった状況への不安。
拭いきれない嫌な雰囲気……それを抱えながら、それでも私たちは現状を何とかしようと努力していた。
「……なあ、EMMAがお化けってどゆこと? ちゃんとスマホの中にあるじゃん」
「こいつ、話聞いてたのか……? もういい! おイナリ、説明してやれ!」
「うむ、おい竜司。一週間前にお前と出くわした際、俺は金欠で電気を止められ公園の水で腹を満たしていたな」
「おう、お前が両手に新品の画材抱えてほくほくしてた時の話だよな」
「いや、画材買う前に電気代払いなよ……」
「何を言う! 美を追求するためにも、素晴らしい画材は電気代より……」
「そういうのいいから。続けてくれる?」
「……すまん、続きを話そう。あの時、俺のスマホはとっくに充電が切れていた。にも関わらず消えたEMMAが作動し、俺は異世界に飛ばされた。お前たちと同じ、“キーワードが入力されました”という音声と共にな」
「つーまーり、今のEMMAは電気や電源すら必要としない。正真正銘、人智を超えた何かだ。分かったか? 竜司」
「あーん? まぁ何となく分かったけどよ……じゃあ、何で俺たちが倒したEMMAが復活したんだ? まさか今更お化けになって、俺たちを祟りに来た訳じゃねぇだろ?」
「それなんだが……一応、考えつくことはある。皆、“EMMA神聖教団”って知ってるか?」
「それって、あのカルト宗教よね? 最近、生贄殺人を起こしたってニュースの」
EMMA神聖教団、確か数ヶ月前にテレビで話題になっていた怪しい新興宗教だ。
私たちが偽神となったEMMAを倒してから、EMMAが失われたことを嘆く人々により作られたらしい。
失われてなお、そんな宗教が生まれるほどの影響力に私たちも当時は驚いたが……それが、まさか殺人にまで発展するだなんて。
「え、マジ? そんなニュースあったっけ?」
「竜司! あんたねえ、ニュースくらい確認しなさいよ」
「生贄殺人事件……確か昏睡事件と同じ時期の事件だったよね。その頃はマスコミも昏睡事件ばっかり報道してたし、竜司君が知らないのも無理ないんじゃないかな」
「うむ。しかし、それとEMMAになんの関係が? 教団に入るような連中に、一からEMMAを作る力があるとは考え難い」
「いーや、そうとも限らないぞ。自分で作り上げることは無理でも……自分に都合のいいカミサマを、勝手に認知することはできるからな」
「! ひょっとして……! EMMAを信仰する強い認知のせいで、認知世界にジェイルが復活したってこと!?」
「あくまで仮説だけど、そうとしか思えん。じゃなきゃ、今の状況に説明がつかん」
確かにそうだ……私たちが倒した統率神も偽神も、元は人間に望まれて誕生した。
だとすれば、EMMAを望む人々の認知でEMMAが復活することは、別に不思議なことじゃないのかもしれない。
……けど、それだと説明できないこともある。
「じゃあ、何でキーワード入力してんのに、ジェイルに侵入できねえんだよ」
「それは……正直、分からん。こればっかりは、マジで考察のしようがない……」
竜司の言葉に双葉が押し黙り、その場にいる全員が無言になる。
私たちは一週間前、突如としてスマホに現れたEMMAに異世界へと飛ばされた。
それぞれが別々の異世界に飛ばされ、何とか出口を見つけ脱出することができたはいいものの……それ以降、まるで異世界に拒絶されるようにキーワードを入力してもジェイルに入ることは出来ていない。
「……だめね、今日は解散にしましょう。双葉。悪いけど、引き続きEMMAや昏睡事件について調べてくれる? 何か突破口が見つかるかもしれないし」
「おう! EMMA本体の解析が無理でも、私には広い情報網があーる! 昏睡者の周辺情報から小さな噂まで、全部徹底的調べつくしてやるからなー!」
「双葉ちゃん、頼りになるー! じゃあ、私たちは地道に聞き込みでもしようか。もしかしたら、ネットにない情報が聞き出せるかもしれないしね」
「オーケー! 私は病院で聴き込んでみる。……アリスのこと、心配だし」
「うむ、ならば俺は公園で張り込むことにしよう。よもすれば、昏睡者について拾える情報があるかもしれん」
「お前、ひょっとして水飲むためじゃねーよな? ……んじゃまぁ、俺は道行く奴を片っ端かな。リーダーや他の三人はまだ来れないけどよ、俺たちだけでもやれることはやって行こうぜ」
「おっ、竜司頼りになるー! その調子で大学の勉強も頑張ってくれよなー」
「やめて! パンクする! 俺の脳みそ死んじゃうから!」
竜司の情けない叫びに皆で大笑いした後に、解散した私たちはマスターに挨拶しながら店を後にした。
四軒茶屋の道を歩けば、シャッターの降りた店や人のいない店先が自然と目に映ってしまう。
これは、人々が昏睡したせいだ。
世間一般には原因不明の昏睡事件だが、私たちにとっては原因よ分かりきってる事件……だと言うのに、何も出来ることがないのはどうにももどかしい状況だ。
「……アリス、一体どんな目にあってるんだろう」
昏睡事件が発生してから、あのジェイルに関わったほとんどの人間が昏睡していると善吉が電話で教えてくれた。
それは一年前の改心事件の被害者だけでなく、加害者となってしまった
「アリスは……あの子はジェイルで、どうなってるの?」
一年前の改心事件では、ネガイを奪われた人々は
しかし今や、陶酔するべき
だからこそ、ネガイを奪われた人々が陶酔ではなく昏睡するようになった、それは理解できる。
しかし、だとすれば……
かつての人々と同じように
「……無事でいなよ、アリス。あんたの夢が叶うとこ、最後まで見届けるって決めたんだから……!」
重い心を奮い立たせて、私は病院へと歩いていく。
今の世間がアリスにどんな目を向けているか、私はよく知っている。
その上で、それでも私は信じている。
例え今の世間が彼女にどんな心無い言葉を浴びせようとも、私だけはあの子の夢が叶うことを信じているから。
「こんな所でつまづいてられないっての……! 絶対絶対、助けるんだから……!!」
こんなことで、あの子の夢が終わって欲しくない。
その一心で、私は病院へと歩を進めた。
☆
無数の化け物たちを打ち倒し、残るは女子高生の姿をしたあの女だけ。
『クソっ! 使えないシャドウどもが……!!』
「さあ、遊びの時間は終わりだよ」
明らかに苛立った様子を見せる女に対して、僕は容赦なく剣を向けた。
武器なんて使ったこともないのに異様に手に馴染むのは、さっき覚醒した力の副産物だろうか。
剣の塚に銃口のついた、フィクションの世界にしか存在しないような武器。
そんな武器を両手に構え、僕は女へと問いを投げかける。
「この世界から出る手段を教えてね。さもないと、殺すから」
『きゃはっ、そんなの無理だよ♡再構築されたばっかりの不安定な頃ならまだしも、今のジェイルは完全に閉じきってる。ここから出るにはトラウマを消すか、私を殺して入り口を開けぎゃえっ!?』
「そっか、じゃあ死んでね」
瞬時に二発の銃弾で女の額を撃ち抜き、高速で接近して首を刈り取る。
白目を向いた生首が空を舞い、地面へと落ちゴロゴロと転がっていく。
「……あはっ」
僕はその様子がおかしくって、仮面の下で小さな笑みを零してしまった。
「ひっ! 生首っ……!」
「あっ。あー……ごめんなさい、アリスさん。嫌なもの見せちゃいました。でも、こうでもしないとこの世界から出られ……」
「違う待って! 後ろっ!!」
「っ!?」
後ろから振り下ろされる巨大な斧を身をよじらせて回避し、その勢いで斧を持つ腕に斬撃を浴びせようとする。
しかしその一撃を予見され何も無い空気を斬る結果に終わってしまい、僕は心の中で舌打ちしながら目の前の黒い巨人を見上げた。
『お前ぇ……! よくも、やってくれたなぁ……!!』
女の胴体から溢れ出す泥の中から這い上がるように、四本腕の斧を持った全身真っ黒な巨人が姿を現す。
そうして現れた黒い巨人が女の生首を拾い上げ、それを自身の首元に押し付けると女の顔も泥へと変化し、巨人の頭部分にツノの生えた黒いツルツルのっぺらぼうが生えてくる。
「随分と変わったね。まあ、顔ない方がさっきの性格悪そうな顔よりいいと思うよ? さっきと違ってお肌もツルツルだし」
『殺す……! 殺す殺す殺してやるぅあぁぁ!!』
「あはっ! 殺せるもんなら殺してみろよ!! ―――
黒い巨人の顔へと目掛け、鋭い疾風が飛んでいく。
その疾風を目くらまし代わりに、僕は地を駆けて巨人の足を削ぎ落とすべく凄まじい勢いで接近する。
『クソっ! 防御を……なっ!?』
「あはっ! 硬ったいなぁ! 削ぎ落とすのも大変……っ!!」
「いっ……嫌ぁっ!!」
「っ、何だっ、これっ……!?」
そうして黒い巨人の足に刃が触れた瞬間、僕の頭の中に陰湿な声が響いてくる。
これは……記憶?
それも恐らくは適当に作り出したものじゃない、思い出すのもおぞましい程の誰かが体験したトラウマの記憶。
『隙ありぃっ!!』
「ぐっ!!」
流れ込んでくる記憶に気を取られ、振り下ろされる斧を食らってしまう。
辺りどころをずらすことで大きな怪我は避けることができたが、初めてのダメージに体が少し痺れてしまう。
「なんだ今のは……! お前、何を……!?」
『きゃはははははは! それはその女に聞けばぁ!?』
その言葉にビルを見上げると、明らかに狼狽した様子でアリスさんがへたり込んでいる。
まさかこいつに攻撃するだけで、あの声はアリスさんがいる場所まで響くのか……!?
そしてあの怯えようを見るに、さっきの声がどんなものなのか嫌でも予想がつく。
「アリスさんのトラウマの象徴、ね。お前って顔だけじゃなく、性格も最悪なんだね」
『きゃはははっ! その根暗女にはお似合いの記憶でしょお!?』
間違いない、これはアリスさんが経験してきたトラウマの記憶だ。
こいつを攻撃する度に、アリスさんのトラウマが掘り起こされる。
本当に性格が終わっている奴しか思い浮かばない最悪な嫌がらせ、どうしようもなく反吐が出る。
『きゃはははっ! 私を攻撃すればあの女のトラウマを刺激することになる! 君だって、涼しい顔してるけどキツいでしょぉ!? 他人のトラウマを聞くだけならまだしも、直接脳に叩きつけられるんだからねぇ!!』
確かに、声だけとはいえ人のトラウマを追体験するのは少しばかりキツいものがある。
だが、何より心配なのはトラウマを掘り起こされるアリスさんの方だ。
本当ならアリスさんの為にも一撃でぶっ倒したいところだが、この巨体相手にそれは限りなく難しいこと。
……となれば、この場でやるべき事は一つ。
『ほらほらぁ! 攻撃してみなさ……は?』
「いやさ、僕が君の土俵に付き合う理由ないよね?」
「えっ? きゃっ!」
瞬間、僕はビルの上へと跳躍して再びアリスさんを抱き抱える。
状況を理解できずに棒立ちになる巨人へと銃弾をプレゼントしつつ、僕はアリスさんを抱えたままビルからビルへと軽やかに飛び移っていった。
『がっ! この……! クソピエロがあぁぁぁぁーーー!!』
黒い巨人の叫びが虚しくこだまする中で、悠々とビルを飛んでいく。
あの女を出し抜けたのはまったくもっていい気分だが……化け物の闊歩する異世界の中で、追われる身と言うのは少々荷が重い。
「……君、凄いね。ビルの上を抱っこされて飛び移るなんて、生まれて初めてだよ」
「そうですね、僕も色々と初めてです。初めて同士、お揃いですね」
「ふふっ、そうだね。……君、名前は?」
「僕は影山和希って言います。化け物に追われてアリスさんに助けられて……気づいたらこんな姿になってました。ところで、アリスさんはここに来る前のこと覚えてますか?」
「私は……いつも通りお店で服のデザインを考えてたら、いきなりスマホが鳴って、気がついたらここにいたの」
「そうなんですね……僕は学校帰りに拉致されて、気がついたらここにいました」
「ら、拉致されて異世界に!? それって、君を拉致した人間が異世界に君を送ったってこと!?」
「いや、なんと言うか……正直、覚えてないんです。拉致された後の記憶がなくて」
学校からの帰り道、拉致された僕は気がついたらこの世界に迷い込んでいた。
拉致した人間が僕を異世界に送ったのか、はたまた別の要因で異世界に入り込んでしまったのか、僕にはさっぱり分からない。
「えっと、それでね……影山さん。君のその力は、何なの?」
「……分からないです。力に目覚めた時の記憶が曖昧で、思い出そうとすると、痛っ……!」
「だっ、大丈夫!? 変なこと聞いてごめんね、嫌な記憶なら思い出さなくていいから……!」
「いえ、大丈夫です。僕も思い出したいんですけど……」
あの時見た記憶を詳しく思い出そうとすると、頭痛が走り脳が思い出すことを拒絶する。
この力に目覚めた際の記憶、その正体は何なんだろうか。
あれは明晰夢のように頭の中に溢れ出し、僕が力に目覚めるきっかけとなったが……あの記憶がなんなのか、結局今も分からずじまいだ。
ひょっとしたらアリスさんのトラウマを聞かされた時のように、誰かのトラウマが入り込んだのだろうか。
常識的には有り得ないだろうが……ここは認知の異世界らしいし、その可能性もないわけじゃない……よね?
「ところで、どこに向かうつもりなの?」
「とりあえず、敵のいない安全な場所を探そうと思ってます。申し訳ないんですけど、アリスさんにはそこで待ってもらおうと思って」
「待つ? ……待って、まさか……!」
「はい。アリスさんに待ってもらう間、僕があいつを倒します」
あの化け物の言っていたことを信じるならば、奴を倒さない限りこの世界から出られないという事だ。
その上で、奴のトラウマを聞かせる能力を考慮するなら、戦いの場にアリスさんを居させる訳にはいかない。
「ダメ! 危ないよ! 第一、何で見ず知らずの私を……」
「大丈夫です。僕、強いみたいなので。それに、人を助けるのに理由は要りませんから」
「……それでも、私みたいな人間を助けちゃダメだよ。私には、助けられる価値なんてないから」
「っ、そんな事……」
そんな事ないと言いかけたところで、僕はニュースの内容を思い出す。
浮気、パワハラ、黒い噂……ニュースや世間が騙る胡乱な噂話はともかく、柊アリスが悪事を行ったのは紛れもない事実だ。
だけど……命が掛かったこの状況で、助けられることすら拒否するには、どれほど自分を嫌悪する必要があるのだろうか。
僕にはアリスさんがどんな人生を送ってきたのか分からないし、どんな悪事を犯したのかも詳しくは知らない。
ただ、それでも、僕の目の前にいるアリスさんは更生のしようもない悪人には到底見えない。
むしろ、己の犯した罪に怯える、か弱い人間にしか見えなかった。
「……ねえ、アリスさん。僕は」
『見つけたぞ! 侵入者だ!!』
「っ!!」
僕が話し出そうとしたその瞬間、ヘリのような白い仮面をつけた化け物が、両手にマシンガンを構えてビルの真下から目の前に浮上してくる。
「ごめんアリスさん! 飛びますっ!!」
「えっ? きゃああああ!!」
アリスさんを片手に抱え直してビルの上から全力で跳躍し、すぐ先にあった巨大な塀の上に着地する。
後ろから襲いかかってくる銃撃を塀を走りながら回避し、塔のような建築物の近くにあったポールへと飛び移り、もう片手で勢いよく滑り落ちていく。
『クソっ、もう居ないだと!? 牢獄塔の外に逃げたか……!』
「……何とか撒けましたね。隠れる場所があって良かった」
「はぁ……! この世界に来てから、ずっと心臓がうるさいよ……!」
幸いにも塔の階段下に隠れることで、ヘリの化け物の追跡から逃れることに成功した僕たちは、ここがどんな場所かを確認するため辺りを見渡し……絶句する。
塀だと思っていた物の内側には所狭しと牢獄が敷き詰められており、そこには数え切れないほどの人数が、全員無表情で檻の中に立ち尽くしていた。
「……これ、人間なんですよね。まったく生きてる感じがしないけど」
「一応、話しかけ……ひゃぁっ!?」
「!? どうしました!? 何か……」
「まったく、やっとマトモなニンゲンが来たと思ったら……ん? そこのピエロはペルソナ使いか? お前さん、悪いが助けてくれねえか?」
「!?」
無表情の人間が敷き詰められた牢獄の中に、明らかに人間ではない二頭身の小さな生物が話しかけてくる。
恐る恐る牢獄に近づくとそこに居たのは……ご当地に居そうなマスコットの姿をした、二足歩行の喋るシーサーだった。
……いや、マジで、なんだこれ? 化け物の仲間かな?
「ねえ君、化け物の仲間?」
「だったら何で閉じ込められてんだヨ。頼むから出してくれ、協力でも何でもしてやるからな」
「いや、普通に嫌なんだけど」
「何でだヨ!? オレサマはかのシュウゾウの……」
「か……可愛いっ!!」
「「は?」」
頬を染めて謎生物を見つめるアリスさんの一言に、思わず謎生物と声が揃ってしまう。
そのあまりの場違いさに、僕は一瞬意識を奪われ……ヘリのプロペラ音が聞こえるまで、この近くにさっきの化け物がいるという事実を忘れてしまっていた。
『見つけたぞ! 牢獄塔に隠れていたのか!!』
「っ、まだ近くにいたのか……!」
「おうおう、こりゃピンチって奴だナ。なあお前さん。オレサマの目的に手を貸すなら、力を貸してやってもいいんだぜ?」
「いや、必要ないよ。僕が倒すから」
「へ? ……あーもうめんどくせえ! 騒ぎになるから荒い手は使いたくなかったが、こんなガサツヤローがいるならどうせ騒ぎになるだろ!」
「えぇ、酷くな……えっ!?」
謎生物の目が黄色く光った次の瞬間、その背後に異形の人型が姿を現し、檻が内側から破壊される。
これは、僕だからこそ分かる……! この謎生物が出した人型は、僕が扱う
「ふぅ、シャバの空気は久々だナ……なあ、そこのシャドウ。ちょっと運動に付き合ってくれヨ」
不敵な表情を浮かべてぽてぽてと歩く謎生物は、手に鉤爪を装着しながら悠々と臨戦態勢を取る。
それに対して僕はアリスさんを守れる位置に陣取り、ひとまずは今の流れを静観することにした。
『バカな!? なぜ牢を吹き飛ばせる!?』
「理想は“心の怪盗団”がこの世界で暴れる間に脱獄することだったが、もうオレサマが大人しくする理由はなくなったってことだヨ。ってことで、いくぜ……! 変っ身!!」
「へっ!? せっ、戦車ぁ!?」
先程鉤爪を装着した意味はどこへやら、謎生物が戦車に変身すると共に爆音を轟かせてバカでかい砲弾を発射する。
凄まじい勢いで放たれたそれは、ヘリの化け物の仮面を破壊し地面へと墜落させた。
『があっ!? 不味い、応援を―――』
「おいおい、オレサマがそれを許すと思うか? さぁ…… ―――
戦車からマスコットのような姿へ戻った謎生物の背後に、檻を破壊した異形の人型……否、人型の
それは、少女のような姿をした十二の人型の集合体。
背後を忙しなく飛び回る人型が、一糸乱れぬ動きで星のような方陣を作り出し―――バチバチと音が鳴り響き、強烈な稲妻が化け物へと落ちる。
『かっ……! ぐぎゃあああああ!!』
「いっちょ上がり、ってナ。で、どうだ? お前さん。ちっとは信用してくれたかヨ?」
「っ……信用、ね。まずは名乗るのが筋じゃない?」
「それで手を貸してくれるなら、ナ」
「……」
謎生物に目を輝かせるアリスさんを押しやりながら、僕は謎生物の扱いについて思考を巡らせていた。
正直に言えば、あの黒い巨人を倒すためにも、僕以外の戦力が欲しい。
しかし、あまりに人からかけ離れたこいつを……信用することは難しい。
「ふーん。ま、オレサマの目的はおいおいってことでいいぜ。オレサマの名は“レプリカ”。コンゴトモヨロシク、ってナ」
「……分かった、手を貸してくれるなら力になる。頼んだよ、レプリカ」
「レプリカ……リカ……じゃあ、リカちゃんだ! これからよろしくね、リカちゃん!」
「それは止めろ。止めて。マジで」
とはいえこいつの強さを考えれば、僕に断るという選択は取れるはずもなく。
僕はこの謎生物“リカちゃん”を、新たな仲間として受け入れざるを得なかった。
リカちゃんの戦車砲撃は、原作で言う銃撃攻撃に当たります。
変身してのドデカ砲弾……ありだと思います!
という訳で、以下ペルソナ設定。
ワルキューレ
アルカナ:奇術師
・電撃属性の攻撃と回復魔法を得意とするペルソナ。ソフィアが使うピトスのように、複数で一体のペルソナ扱いとなる。スキルを使う際には独特の動きで方陣を作り出す。ステータス的には魔・耐が高く、力・速・運が微妙なペルソナ。
そして前回書き忘れましたが、ニジュウメンソウは速が最も高く、次いで力・魔もそこそこ高いです。
代わりに運が微妙、耐に関しては怪盗団含めて最低クラスのストロング回避スタイルのペルソナです。
その内、オリジナルペルソナの詳細とか纏めれたらいいなと思ってます。
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