ペルソナって知ってる?   作:からかさ(仮)

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 DANDAN筆がおそーくーなーるー、DONDON更新おくーれーてーくー。
 地球の皆ー! オラに速筆力を分けてくれー!

 ……はい(諦め)
 という事で、最初は柊アリス視点(短め)→いつもの影山和希視点でいきます。
 それでは、本編どうぞ。


反逆が芽生え、偽りの王が牙を剥く。

 思い返せば私の人生は、そのほとんどが暗闇の中にあったと思う。

 学生時代をイジメに怯えて過ごし、いじめっ子のいない服飾学校に進学してもかつてのトラウマで友達を作れず、卒業後に努力して手に入れた少しばかりの居場所もあの女に潰されかけた。

 そんな時、たまたま見つけたEMMAの力に……偽りの光に引かれた私は、その魔力にすっかりと取り憑かれた。

 人に傷つけられる苦しみも忘れて、それが己の夢を踏みにじる行為だとすら気づかず、私は人を傷つけ続けた。

 だから、私は傷つけられることを受け入れた。

 ……傷つけられることを許してしまっていた。

 

やっと出番だね、嬉しいよ。

 

「うっ……!?」

 

 頭に声が響くと共に、強烈な頭痛が襲いかかる。

 あまりの痛みに立っていることすら出来ず、私は膝をつき頭を抱えてしまう。

 

後悔も自罰も悪いことじゃないけど、視野狭窄はいけないね。

お前の罪は、都合のいい見世物じゃないんだよ?

 

「分かってる……! もう、私は間違わない……!」

 

 痛みに負けない怒りを吐き出しながら、聞こえる問いに答えを返す。

 己の行為を正当化するつもりもないし、犯した罪を忘れるつもりもない。

 どんな理由を並べ立てても、私が罪を犯した事実は未来永劫変わらない。

 

『何が間違わないだ!! お前は罪人なんだよ!! 一生ここで罰を受ける存在なんだよぉ!!』

「うるさい!! 少なくとも、お前から罰を受ける筋合いなんかない!!」

 

 それでもこいつを許しちゃいけないのは、こいつがやろうとしている事が昔の自分と同じ事だからだ。

 他者を傷つけ、支配する最悪の所業……それを許すという事は、昔の自分を許すことと同じだ。

 絶対に許されない、許してはいけない罪。

 そんな事にすら気づけずに、私は全ての傷を己への罰として受け入れてしまっていた。

 かつての自分が犯した罪を、無条件で受け入れてしまっていた。

 

「もう、許さない! 私の罪も、私を傷つけようとする人たちも! 許すつもりは絶対にない!!」

 

そう。過去の罪を受け入れては、今のお前に明日はない。

契約、そして覚悟なさい。

自分の罪を許さぬ覚悟を! それでもなお、許してはならない敵と戦う覚悟を!

 

 より頭痛がより激しくなると同時に、顔に仮面のような異物感を感じる。

 その両端を掴んで、顔から剥がそうと腕に力を込める。

 

「ゔっ……ぐ、ぁっ……!」

 

 あまりに強く力を込めたからか、爪から血が滲みだし……じわじわと皮膚ごと仮面が剥がれ、そこからも血がこぼれていく。

 

我は汝、汝は我。

鉛の雨に晒されようとも、決して歩みを止めてはダメ。

雨が降り止んだその先で……あなたは、何度でも輝けるのだから。

 

「ゔぁあっ!! はぁっ、はぁっ! ……お願い」

 

 ようやく剥がれた私の仮面を、血に濡れた視界でしっかりと見つめる。

 それは顔の上半分を覆うウサギのようなデザインをした、濃く滑らかな紫苑のマスク。

 己の姿を改めて見直し、私は静かに息を吸う。

 そして……心に滾る怒りと共に、空へと強く叫びを上げた。

 

「私の罪に……怒りに! 付き合って! ボニー!!」

 

 

 

 

 

 

 アリスさんが叫ぶと共に、その全身を青い炎が包み込む。

 それは決してアリスさんを傷つけることなく……爪や顔から流れる血のみを燃やし尽くして反逆の衣装を作り出し、同時に背後へ女型の異形が出現する。

 

「武装した、メイド……? 凄い強そう……」

「男を車ごと尻に敷いてんのか? とんでもねえナ」

 

 そこにいたのは、装甲車に横座りしてタバコを咥えた女性型のペルソナだ。

 着崩されたメイド服はたすき掛けのように右肩と胸がギリギリのラインで露出しており、左腕にはゴツイ装甲と細長い猟銃のような物を肩に担いでいる。

 そして椅子ほどの大きさの車の運転席には、小さな人形がハンドルを握っており、タバコから吹き出る煙がタイヤにまとわりつき、ペルソナを車ごと浮遊させていた。

 

「すげぇペルソナだが……お前さんも、大分際どい格好だナ」

「そう? 私は可愛いと思うんだけど。影山さんはどう思う?」

 

 そう言われて、僕はアリスさんの変化した姿を改めて見つめる。

 アリスさんの変化した姿は、一言で言えば露出の少ないバニーガールのような姿だ。

 紫のワイシャツの上から羽織ったノースリーブの丈が長い燕尾服に、太ももに届く長さの黒いソックスとロングブーツと、これまた二の腕に届く長さの黒手袋。

 髪の色はいつの間にか薄い黄緑と紫のツートンカラーに変わっており、胸元には水色のリボンとハートのブローチが付けられている。

 

「どう? 私、可愛い?」

「凄く可愛いです! けど、それで戦えるんですか?」

 

 そこまで露出が高い訳でもないし、この姿自体は全然可愛いと思う。

 でも、この格好で戦えるのかと言われると疑問が残るが……いや、それは全身白ローブの僕も同じことか。

 ……そういえば、僕の白ローブの下はどうなってるんだ? まさか際どいアレじゃないよな?

 

「ん、影山さん? 何で自分のローブの中覗いてるの?」

「いや、ひょっとして僕のローブの下は際どいのかなって不安に……あ、全身黒タイツなんだ。際どいな」

「マジで何やってんだ……ヨっ!」

『ぎっ!? クソがぁっ!』

 

 不意打ちを狙って斧を振り下ろそうとする黒い巨人に、リカが伸ばした鉤爪を斧に巻き付けて攻撃の方向を逸らす。

 状況を不利に感じたのか、黒い巨人は斧を捨てて一歩後退し、僕たちの間にしばしの膠着状態が生まれる。

 

『この、クソ豚がぁ!! 私に逆らって許されると思うなよ!!』

「許される? 許すわけないでしょ。私の罪も……お前がやった事もね!!」

 

 そうしてアリスさんはいつの間にか持っていた巨大なハンマーを両手に構えると、黒い巨人へと駆け出していく。

 振り回される二本の斧をギリギリで躱しながら、ハンマーを振りかぶった次の瞬間……ハンマーの後ろにエンジンが構築され、吹き出すエネルギーが攻撃の勢いを加速し、黒い巨人の片足を強烈に叩いて粉砕する。

 

「すげぇナ! 加速機能があるのか! 名付けるなら、ブースト・ハンマーだナ!」

「リカ。ステイ」

『ぎぎゃあああっ!! 足がっ、足がぁっ!!』

「こんなんじゃ、終わんない!

 ―――撃ち抜け! ボニー!」

 

 更なる追撃とばかりに、アリスさんの仮面が消え去り背後にペルソナが出現する。

 そうしてボニーが銃を構え、まるで撃つような動作をすると共に……極彩色の球体が四つ現れ、それが収束発散して周囲の空間を歪ませる。

 

― サイダイン! ―

 

『ぎゃああああっ! クソっ! 許さない、絶対に許さないからなぁっ!!』

「ふざけないで! そんなの、こっちのセリフだよ!」

 

 空間を歪ませる攻撃に体がえぐれた黒い巨人へと、アリスさんはいつの間にか持っていた銃を両手に構えて連射する。

 

「カービン銃か! 良いチョイスだ!」

「リカ? 今度は何なの?」

「元は馬上での取り回しを考慮した小型ライフルだ! 反動や命中精度にゃ難があるが、どうせシャドウとの戦いは至近距離だから問題ねえナ!」

「そういう事じゃなくて……まあいいや、それよりアリスさんだ」

 

 よく分からないタイミングで熱くなるリカから目を逸らし、勝負の行方を観察する。

 危ない場面があったら迷いなく手を出すつもりだが、今までの怒りを発散するためにも、アリスさんには全力で戦ってもらいたい。

 

「私はお前を許さない! 私の事を殴ったことも! 影山さんとリカちゃんを傷つけたことも! 絶対に、後悔させてやる!!」

 

 二本の斧で防御してなお耐えれないほどの銃弾を浴びせながら、本気の怒りが籠った声でアリスさんが雄叫びを上げる。

 そこには、かつてのトラウマに怯えるアリスさんは存在しなかった。

 絶対的な理不尽に立ち向かう反逆の意思がペルソナが呼応し……何かが割れる感覚と共に、世界が一瞬アリスさんの色に染め上がる。

 

―――パキィンッ!

 

「さあ、ショーの時間だよ!」

 

 アリスさんが巨大なハンマーの塚先を地面に叩きつけるとウサギの仮面が消え去り、背後にペルソナが出現して左手の銃口を敵へと構える。

 そして、アリスさんが号令のようにハンマーを敵に向けると同時に……強力な念動力を持った弾が発射され、まるでブラックホールのように敵を引き込みながらUターンしてアリスさんへと迫っていく。

 

『なっ!? クソっ! やめろ、離っ―――』

「これで……終わりだよっ!」

 

 エンジンによる加速エネルギーに身を任せてグルグルと回転しながら、限界寸前まで回転量を高め上げる。

 そして、凄まじい勢いのついたハンマーが迫り来る念動弾にヒットし……敵ごと吹き飛ばしながらド派手に爆発し、空に紫の花火が打ち上がった。

 

『ぎっ……ぐぎゃあああああっ!!』

 

 

 

SHOW'S OVER!

 

 

 

「凄い……一人で倒しちゃったよ」

「ま、所詮はロックキーパーだナ。どんな手を使おうが、強い意思には勝てねえってとこだヨ」

『いぎゃっ! がっ、あっ……』

 

 黒い巨人……ロックキーパーがセーラー女の姿に戻り、空からべちゃっと落ちて呻き声を漏らす。

 かろうじて生きてはいるようだが、体はボロボロになっており戦うことは不可能に近い状態だ。

 

『ぐぞ……何どが逃……うっ!』

「許さないんじゃなかったの? 勝手に逃げないでよ」

 

 それでも四つん這いになって逃げようとするセーラー女の前に、アリスさんが立ち塞がる。

 さらにその後ろから僕たちが近づき逃げ場のなくなった場所で、セーラー女が鬼のような形相でアリスさんを睨みつけた。

 

『この……根暗豚ゴミカス女がぁ!! 私が与えるのは罰だ! 裁きだ! お前は惨めに這いつくばってりゃいいんだよ!! ごの卑怯者がぁぁ!!』

 

 ボロボロになってなお罵詈雑言を吐き散らす女に、一瞬回って痛々しい視線を向けてしまう。

 アリスさんもその姿に怒りを通り越したのか、もはや哀れな物を見る表情でセーラー女を見つめていた。

 

「……私、こんな身勝手な言葉を受け入れてたんだ」

「一周回って哀れですね。もう、終わらせましょう」

「おっと待て、まだ“ネガイ”を回収できてねえ。殺るならネガイを元の持ち主に戻してからだ」

「ネガイ?」

「上にあるバカでけぇ宝石だヨ。牢獄塔の連中から奪ったやつだナ」

 

 そうして上を見上げると、とんでもない大きさの赤い宝石がキラキラと光を放って浮遊している。

 リカに乗ってこの城の屋上に来た時も見かけたが、改めて見直すと本当に凄まじい大きさだ。

 

「この世界を支える要素は二つ。柊アリスのトラウマと、この世界に囚われた人間たちのネガイだ。その一つであるトラウマを克服した以上、ネガイを返せばこの世界は完全に消滅する。ま、オレサマの目的達成だナ」

「ちょっと待って、リカちゃん。何で私がトラウマを乗り越えたって分かるの?」

「ペルソナに目覚めたのもそうだが、ロックキーパーが目に見えて弱くなってたからナ。それに、攻撃したら聞こえてくるはずのトラウマも聞こえなかったろ? ロックキーパーはお前さんのトラウマによって強さが変わる。だから乗り越えたって分かったんだヨ」

「あ……そっか。だから私一人でも勝てたんだ」

 

 なるほど、トラウマの克服による弱体化があったからアリスさん一人で倒せたのか。

 アリスさん一人で倒した時にはかなり驚いたが、そんな理由があるなら納得だ。

 

「あ、そうだ。この世界の出口ってどこだろう?」

「それも聞かなきゃですね。トドメはしばらく後に……っ!?」

「アリス! やっと見つけ……何その格好!? ってか、他にもいるし! これどういう状況なの!?」

 

 城の外壁からいきなり飛び上がってくる人影を確認し、瞬時に警戒態勢をとる。

 まるで猫のように軽い身のこなしでスタッと着地したそれは……赤いボディスーツに身を包み、何故か胸の谷間を見せつけてくる猫の仮面をつけた女豹のような人型だった。

 

「リカ! シャドウだ! 胸を見せつけてくる猫のシャドウだ!」

「誰がシャドウだっての! 私は人間! ってか、見せつけてる訳じゃないから!!」

「嘘だ! 胸があるからって見せつけ痛いっ!!

「ゴタゴタうっせぇ! このノンデリが!!」

 

 いつの間にかハリセンを手に持ったリカが、全力で飛び上がり僕の頭を引っぱたく。

 その痛みに悶絶する僕を差し置いて、アリスさんが驚愕の表情で女豹のような人物に口を開く。

 

「貴方、ひょっとして高巻さん? だとしたら、その姿は……」

「あー、姿に関してはノータッチでお願い。……あんたのこと助けに来たんだけど、どうやらその必要もないみたいだね」

 

 高巻さんと呼ばれた人物が周囲を見渡し、ため息を吐きながら仮面を外す。

 青い瞳に白い肌と、綺麗な金髪をツインテールに纏めた人物……その顔は、僕もよく見覚えがあるものだった。

 

「高巻杏!? あのモデルの!?」

「へえ、私のこと知ってるんだ。良かったら応援よろしくね」

「……あの、高巻さん。高巻さんは何でこんな場所にいるの?」

「あー、それはね……」

「お前さんが心の怪盗団の一員だから、だろ?」

「それも知ってるの!? ……待って、あんたはシャドウ?」

「違ぇヨ! あんなのと一緒にすんな!!」

「「……へ?」」

 

 あのモデルの高巻杏が、赤い女豹のボディスーツで、心の怪盗団の一員?

 待って、情報が渋滞して追いつかない、本当に少し待って欲しい。

 

『クソ……クソクソクソ……! まさか、新手が来るなんて……! どうすれば……!?』

「ってか、そのセーラー服の子ボロボロじゃん! あんたら一体……って、ひょっとしてそいつ、トラウマルームにいた奴!?」

「話せば長いから簡潔に言うぞ。そいつはロックキーパー、この世界に鍵をかけた元凶だ。こいつを倒せば現実世界に帰れるし、ネガイを還せばこのジェイルは消滅する。理解したか?」

「っ、確かに出口も無くて困ってたけど……嘘じゃないよね?」

「いや、押し問答する時間あんのかヨ。どうせネガイを返させるって目的は同じだろ? だったらそれまででも協力したらいいじゃねえか」

「うーん……了解、分かった。詳しいことは後で聞く。でも、自己紹介だけはしてくれる? どう呼べばいいか分かんないから」

「いいぜ、オレサマはレプリカ。間違っても、リカちゃんじゃねえからナ」

「えっと……僕は影山和希です。さっきは取り乱してすみませんでした、杏さん」

「別にいいよ。ただ、この世界では“パンサー”でお願い。私のコードネームなんだ」

「わ、分かりました。パンサーさん」

「パンサーさん……まあ、それでいいや。それより、どうやってネガイを返すの? 具現化はされてるみたいだけど」

「それは……こいつに聞くしかないですね」

 

 未だに見慣れない赤い女豹姿の杏さ……パンサーさんから視線を外し、僕は改めてセーラー女の方に向き直る。

 こいつがあの赤い宝石を返しさえすれば、現実世界に戻ることが出来るんだが、この態度を見ていると素直に返すとも思えない。

 

「ねえ、ネガイの返し方を教えてよ」

『まだ来ないのか……!? 早く、早く来い……!』

「……あのさ、せめて返事を……」

『クソがっ!! 早く来なさいよ、亡霊(スプーク)っ!!』

「うるさっ! “スプーク”って何?」

 

 いきなり叫び出し何らかの名前を呼ぶセーラー女を警戒するが、周囲には何の変化も起こらない。

 ハッタリか時間稼ぎか、それとも本当に何かがいるのか。

 色々な可能性が考えられるが、それでもペルソナ使いが四人いる現状をひっくり返す何かがあるとも思えな……

 

「ロックキーパーの敗北に、怪盗団の侵入。予想はしていましたが、まさかここまでとは。厄介ですね」

「「「「!!」」」」

 

 まるで近づく気配すらなくいつの間にか立っていた人影に、その場にいた全員が反射的に距離を取る。

 そこに居たのは、どこかモコモコとした白いワンピースに、白いマフラーで口元を隠した感情の見えない少女。

 赤髪ロングヘアーの左側から、触覚のようにハート型の編み込みを垂らしており、特徴的な赤い瞳はまるで機械のように無機質だ。

 

『遅いわよ! やっと来たの!? ていうか、スプークはどうしたのよ!!』

「彼は諸事情により来れません。よって、私が代わりに参上しました。が……レプリカ。貴方がまだ稼動しているとは思いもしませんでした」

「そりゃ、こっちのセリフだナ。救いを謳って人間を狂わせる偽神様が、恥知らずにも復活するなんて思いもしなかったぜ……!!」

 

 赤い瞳の少女がいきなり視線を向けると同時に、リカが明らかに苛立った口調と表情を少女に向ける。

 今まで多少荒ぶることはあれど、基本的には冷静だったはずのリカがここまで怒るなんて初めてだ。

 何か因縁があるなら聞きたいが……今はそれどころじゃないことは分かっている。

 

『クソっ! そんな問答はどうでもいい! さっさと力を寄越しなさい!!』

「よいのですか? もしそれで負ければ、貴方は完全に消滅……」

『うるさい!! いいからさっさとやれ!!』

「……了解しました。渋谷ジェイルの王権を移行、“オペレーション・オブ・ジ・エンド”を実行します」

 

 赤い瞳の少女が手をかざすと同時に、一つの仮面が出現する。

 それは、毒々しい色の皮膚を縫い合わせたような悪趣味なウサギの仮面であり、それが勝手に動き出しセーラー女の顔に張り付いた。

 

「チッ! させるかヨ! 来い! ワルキュ……」

「邪魔はさせません。

 ―――来なさい。イェソド」

 

 リカがペルソナを呼び出すよりも先に、赤い瞳の少女の背後から無数の仮面が張り付いた球体が出現する。

 その球体が回転を高めると同時に……赤黒い球体状のエネルギーが三つ放出され、それが無差別に僕らへ襲いかかる。

 

マハエイガオン(W E A K !)!! ―

 

「うひゃっ! あぶなっ……リカ!」

「ぐぉっ!! クッ、ソ……!」

「リカちゃん! 誰か、回復は……!」

「私に任せて! ―――おいで! カルメン!」

 

― ディアラハン ―

 

 僕に向かってきた球体の一つは何とか回避することができたが、至近距離から二発の弾を受けたリカが地面に転がりダウンしてしまう。

 幸いにもパンサーさんがすぐさま回復を行い、大事には至らなかったが……気づいた時には赤い瞳の少女は来た時と同じように、何の前触れもなく消え去った後だった。

 

「すまねえ……あの野郎は、どこに……!」

「リカちゃん! 動かなくていいから、大人しく……」

『……くひっ』

「……アリスさん。申し訳ないんですけど、そんな暇ないみたいです」

 

 セーラー女が気味の悪い笑みを漏らすと共に、空に浮かぶ巨大な赤い宝石が、無数の小さな宝石へと変化して渦のように降り落ちてくる。

 そして宝石がセーラー女の体に吸収され、メキメキと音が鳴り響き……ゆっくりと、それでいて確実に、異形の化け物へと姿を変えていく。

 

「何これ……! 何が起こって……」

「アリス、構えて! 来るよっ!!」

『くひゃっ、くひゃはっ! もう、お前は必要ない……! この世界の王は、この私なんだからなあァーーー!!』

 

 そこにいたのは、継ぎ接ぎだらけのウサギの怪物。

 元からあった二本腕と背中に縫い付けられたもう二本の腕に、縫い目の隙間からキラキラとした赤い煙を撒き散らす異形の化け物

 

 

― 渋谷ジェイル 偽王 ―

アリス・プレデター

 

 

 それはもはや、トラウマを超えた歪で醜悪な存在。

 人々のネガイを奪い嘲笑う、紛れもない欲望の怪物だった。




 という事で、渋谷ジェイルの偽王“アリス・プレデター”の登場です。
 見た目はマッドラビット・アリスとロックキーパーを組み合わせた化け物ですね。
 普通の人が見たらSAN値チェック入ると思います。まあ鴨志田ほどではないけど。

 アリスさんの怪盗服は、シャドウアリスの露出を減らしてフェチ度を増やしたような姿だとお考え下さい。
 と言うのも、茜ちゃんのシャドウを見るに、ジェイルでのシャドウの姿は現実世界の“なりたい自分”をある程度反映してると思うんですよ。
 それが歪むからあの悪役みたいな姿になると考え、アリスの怪盗服にシャドウの要素を反映しました。

 ペルソナであるボニーは“ボニーとクライド”がモデルで、アルカナは運命。
 スペックは今明かしても仕方ないので、また今度にします。

 代わりと言っては難ですが、以下はリカのペルソナスペック。

ワルキューレ
アルカナ:奇術師
耐性/電撃
弱点/呪怨
スキル
1 ジオダイン
2 マハジオダイン
3 ディアラハン
4 メディアラハン
5 サマリカーム
6 アムリタシャワー
7 電撃ブースタ
8 電撃ハイブースタ

 シンプルに電撃魔法と回復特化。
 呪怨弱点なのでマハエイガオンをモロに受けてダウンしちゃいました。
 赤い瞳の少女……(0w0)<ダリナンダアンタイッタイ

 色々書きましたが、次で第一章は終わりになると思います。
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