ペルソナって知ってる?   作:からかさ(仮)

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 初期主人公の口調を一部修正しました。
 だいぶ人物像がふわふわしてた時期だからね、しょうがないね(自己完結)
 それと人物紹介も編集し直したので、暇があったら見てください(主にニジュウメンソウの紹介文)

 今回はプロローグぶりの長谷川善吉→夢と現実の狭間→仙台ジェイルに飛ばされた影山和希の視点で行きます。
 それでは本編、イクゾー!


第二章:仙台ジェイルにて悪意ある者が動き出す。
底知れぬ激怒と共に異世界は再開する。


「教祖の付き添いで来てみりゃ……病院中大混乱だな」

 

 EMMA神聖教団の教祖が昏睡してから数時間が経過し、俺は現在病院の待合室に待機していた。

 昏睡事件による人手不足の都合上、俺が救急車の付き添いになったのだが、やれ“病室が空いてない”だの“これ以上受け入れる余裕は無い”だの、かなりの病院をたらい回しにされてしまった。

 とはいえ、現在入院している昏睡者の数を考えればそのような対応になるのは仕方がないというのも事実。

 そうしてようやくたどり着いたこの病院で受け入れが許可され、個室の確保や刑務官による受刑者の監視等の話をつけたところで……俺は目の前の光景に驚くことになった。

 

「おい! 次の病室はどこだ!?」

「先生! 次から次へとコールが鳴り止みません!」

「ええい、対応しきれん! 何故次から次へと昏睡者たちが目覚めているんだ!?」

 

 俺が話をつけた頃にはそこらじゅうを医師と看護師が走り回っている、静寂とは程遠い光景が広がっていた。

 何でもいきなり昏睡者が目覚め出したらしく、病院は混乱に陥っているらしい。

 さらに先程部下に電話し確認を取ったが、東京中の昏睡者が一斉に目覚めており、走り回る医療関係者には気の毒以外の言葉が見つからない。

 とはいえ他の地方の昏睡者や教団信者は依然目覚めておらず、茜も昏睡したままなのが現状なのだが。

 

「しかし、何でいきなり目覚め出して……まさかあいつらがやったのか? だが、いくら何でも早すぎる」

 

 昏睡の影響で警察の仕事が忙しくなり、事件が起こってから直接怪盗団と会うことは出来ていないが、双葉の調査も行き詰まっていたことぐらいは知っている。

 怪盗団が異世界に侵入する方法を見つけたのだとしても、流石に異世界を攻略するのが早すぎるし、俺に連絡が無いのはおかしい。

 となると、何か別の要因で昏睡者が目覚めたか……もしくは、怪盗団にとっても予想外の出来事があったのか。

 

「クソっ、まずはあいつらに連絡を……って!」

「えっ、善吉!? あんた何でここにいるの!?」

 

 エレベーターから降りてくる高巻を目にした俺は、驚きのあまり携帯を操作する手が止まる。

 いったい高巻が何でここに……いや、そういやここは柊アリスがいる病院か!

 

「たらい回しにされ過ぎて、ろくに病院の名前も見てなかったな……高巻。ひょっとして、この騒ぎはお前が関係してるのか?」

「あー、私というか何と言うか……色んなことがあり過ぎて、まず何から話せばいいか……」

「そうか、なら場所を変えるぞ。ここで話すのはまずいからな」

 

 そうして病院の裏に移動した俺たちは、お互いにあった出来事を話していく。

 高巻の話を聞く限り、影山和希やリカちゃんと言う謎のペルソナ使いだったり、かつてジェイルの王だった柊アリスがペルソナに目覚めたというのも驚きだが……その中でも特に気になったのは、王城にいたロックキーパーが呼ぼうとした“スプーク”という存在や、その代わりに現れたという“赤い長髪の女”についてだ。

 

「EMMA神聖教団の教祖を善吉の目の前で昏睡させた奴がスプークで、ロックキーパーが呼んでたのもスプーク……つまり、そいつが今回の事件の黒幕ってこと?」

「いや、黒幕とは限らねえ。限らねえが……事件に関わってるのは間違いねえ。茜の安否も掛かってんだ。絶対にとっ捕まえて、洗いざらい吐かせてやる……!」

 

 顔も知れない敵に底知れぬ怒りが湧き上がるが、何とかそれを抑えて冷静であろうと務める。

 亡霊(スプーク)を名乗る正体不明の存在に加え、渋谷ジェイルに現れロックキーパーを化け物に変えた赤い長髪の女。

 その動機は不明だが……日本中の人間を、ひいては茜を昏睡させた罪は絶対に許される物ではない。

 幸いにも今回の件で、かつて王だった連中に触れればジェイルに侵入出来ることが判明した。

 蘇ったジェイルから人々を救出しながら敵の正体を暴き出し、何としてでも罪の報いを受けさせ……

 

『僕をとっ捕まえる、ねぇ? 君たちには無理だと思うけどなぁ』

「なっ! てめぇ!!」

『そこに居るのは高巻杏さんかな? それとも、怪盗団の“パンサー”と言った方がいいかなぁ?』

「えっ!? 何で私の事知って……!」

 

 突如として俺の携帯から聞こえてくる声に、抑えかけた怒りが再び噴出しそうになる。

 その声は取調室で聞いた物と同じ、紛うことなき亡霊の声。

 

『僕はスプーク。渋谷の昏睡者の目が覚めて、ちょっとだけ傷心中の亡霊さ』

「てめぇ……! 自分が何をしてるのか分かってんのか!? 昏睡した人間がどんだけ危険な場所に追いやられるのかを!!」

『ははっ、知ってるよ。認知世界やジェイルの存在も、昏睡した人間がジェイルに閉じ込められてることも。知った上で僕はEMMAへの信仰を集め、ジェイルの復活を促した。全ては、僕が(キング)となるためにね』

「何っ!?」

 

 こいつが王だと……!? だが一年前に王だった奴らは、たった今目覚めた柊アリスを除いて全員昏睡状態にある。

 何より、こいつのような話し方をする奴なんて王には居な……いや、違う。

 ジェイルの中にはただ一つ、王の存在しないジェイルがあった。

 俺が一週間前に送られ、それ以降入れなくなった場所……王が自殺し統治者の存在しないジェイルが!

 

「まさかとは思うが……お前、沖縄ジェイルを支配したのか!?」

『随分と勘がいいね。そうだよ、僕が沖縄ジェイルの王になったのさ』

 

 だとすれば、EMMA神聖教団の教祖が目覚めないのも、既に王が居ない沖縄で昏睡者が発生したのも頷ける。

 EMMA神聖教団の設立を扇動して凄惨な事件を引き起こしEMMAへの注目を集め、ジェイルを復活させ沖縄はおろかおびただしい数の昏睡者を生み出し、沖縄ジェイルを乗っ取り自らの手で教祖すらもジェイルに送り昏睡させた。

 これが全て本当ならば、こいつは絶対に許してはいけない大悪党だ。

 

『あ、因みに茜ちゃんは無事だよ。まあシャドウに襲われないよう牢屋に閉じ込めてるから、精神面は無事かどうか知らないけど』

「なっ……! ふざけた事抜かしてんじゃねえ!! さっさと茜を解放しやがれ!!」

『いやいや、元はと言えば君たち怪盗団が悪いでしょ。認知世界の事を知ってる癖に、世間に広めようとはしない。だから僕のような悪人が現れるし、獅童や近衛のような人間が認知世界を利用した犯罪を起こすんだろ? 自業自得だ』

「っ……!」

 

 その言葉に、俺は一瞬言葉を失った。

 異世界に入る手段が無くなったため認知世界の証明が出来ていないだけで、認知訶学の存在は現在政府上層部により秘匿されている。

 恐らく、認知世界の存在が公表される事も、それを悪用する人間を裁くための法律も生まれない。

 いわばグレーゾーンにある世界、それを利用している以上、俺たちだってこいつと同じ悪人である事実に変わりはない。

 

「なに責任転嫁してんのよ! あんたのような悪人が認知世界を悪用するからいけないんでしょ!」

『は? ふざけんなよ社会のゴミが。改心とか抜かして人の心を勝手に塗り替えることの何が正義だ? 結局はテメェらの身勝手の癖に、正義振りかざして調子に乗ってんじゃねえよド屑』

「全国の人を昏睡させて、身勝手なのはあんたでしょ。それに私たちは正義を振りかざすために怪盗団になったんじゃない。どうしようもない悪人に虐げられて声も出せない、そんな弱者を救うために改心やってんの。他人に迷惑しかかけてないあんたと違ってね」

『……』

「高巻、お前……」

 

 亡霊の言葉に揺らいでしまったが、俺が怪盗団に協力してから行ってきた行為に悔やむべきことは何も無いと信じている。

 かつてのように異世界を利用する悪人がいて、俺たちしかその悪人を止められない。

 だったらグレーゾーンの世界でも、俺はこの亡霊に噛み付いてやろうじゃねえか。

 

「おい亡霊。お前がどんな思いでジェイルを復活させたか知らねえが、これ以上好き勝手やるって言うなら容赦しねえ。必ずてめぇの悪事を暴いて、その罪を償わせてやる!」

『……ははっ、そうかよ。だったらこっちも容赦しない。僕が持つ全てを利用して、この現実を破壊し尽くしてやろうじゃないか!!』

「……?」

 

 ボイスチェンジャーを使ったような耳障りな声には、この世の全てを恨むような苛立ちと怒りが込められている。

 だが、俺はその声に僅かな違和感を覚えた。

 苛立ちと怒りと、ボイスチェンジャーにより隠された声の裏側に……どことなく“怯え”のような感情を感じたからだ。

 

『既に宣戦布告は行った。君たちが僕を悪だと断罪するのなら、持てる全ての力を使って僕を捕まえてみろよ! ま、君たちは僕のジェイルにすら入れないだろうけど。じゃ、ばいばーい』

「っ、待て! まだ話は……クソっ、切れやがった」

 

 にわかに感じた怯えの感情はあっという間に消え去り、人をコケにするような態度で電話は切られた。

 “現実を破壊すること”が亡霊の目的ならば、奴のやろうとしている事はこの社会をぶち壊すことだ。

 そんな事は、何としてでも阻止しなければならない。

 

「何としてでも止めるぞ、高巻。こんな野郎に好き勝手させる訳にはいかねえ」

「そうだね。皆に報告して、何としてでも止め……あれ? 善吉。また携帯鳴ってるよ」

「あん? こんな時に誰が……何だ、浅倉か」

 

 確かあいつには、教団が殺した被害者の遺族に聞き込みを行うよう頼んだはずだ。

 俺が病院について行く都合上、一人でかなり嫌な役目を負わせちまったところ悪いが……正直今はそれどころじゃない。

 そうして聞き込みの報告を聞こうと電話に出たところで……俺は部下の言葉に、開口一番凄まじい衝撃を受けることになった。

 

『善吉さん大変です! 今さっき連絡を受けたんですが、警視庁にて多数の昏睡者が発生! それと同時に、“亡霊”を名乗る人物からの犯行声明が届いたそうです!』

「なんだと!? 浅倉! 何があったのか詳しく説明してくれ!!」

『すみません、本部でも詳しいことは把握出来ておらず……ただ、本部のパソコンに書類に偽装した不審なアプリが送られており、それを開いた職員が昏睡したと……』

「不審なアプリだと? まさか……送り主は誰だ! 逆探知は!?」

『アプリは既に消されており、逆探知も出来なかったそうです。探っていた人員が言うには、“何かが入った形跡はあるのに何も存在しない。まるでデータに潜む亡霊のようだ”と……』

「っ、んなバカな話があるかよ……!」

 

 開いた人間を昏睡させる不審なアプリ、そんなのは十中八九EMMAしか有り得ねえ。

 まさか亡霊が言っていた宣戦布告ってのはこの事か!?

 だとすれば、犯行声明を送ってまで警察を動かす理由は何だ? わざわざ多数の昏睡者を出してまで、警察に喧嘩を売る必要はあるのか?

 

「悩んでも仕方ねえか……! 俺もそっちに向かう! お前は今ある情報を整理してくれ!」

『了解です! 一刻も早くお願いします!』

 

 そうして切れた電話を仕舞いながら、俺は改めて高巻の方に向き直り声を上げる。

 

「すまねえ高巻、俺はまだ怪盗団に協力出来ねえみたいだ……!」

「いいよ、行ってきなよ善吉。そっちも大変なんでしょ?」

「面目ねえ! 他の奴らにもすまねえって伝えといてくれ!」

 

 そうして走り出そうとしたところで、慌てて振り返り言葉を投げる。

 急がなくちゃいけねえが、同時に絶対に言っておかなきゃいけないことだ。

 

「先に言っておくが、絶対に京都ジェイルには入るな!」

「っ、何で!? 茜ちゃんを助けるんでしょ!?」

「お前の話を聞く限り、ロックキーパーを倒さなきゃジェイルの外に出れないんだったよな! 茜のジェイルには元々ロックキーパーがいねえ! 仮に出口が無かった場合、一方通行で永遠に出られない可能性がある!」

「あ……!」

 

 一週間前の昏睡被害者は一年前の改心事件による被害者だったが、警察に昏睡被害を出したことを考えれば、亡霊はアプリさえ開かせればどんな人間も昏睡させる能力がある可能性が高い。

 もし怪盗団が異世界に閉じ込められることがあれば、亡霊は容赦なく“現実の破壊”に乗り出すだろう。

 茜を放っておくことになるが、牢屋に閉じ込められている以上最低限の安全はある……ああクソ!! 本当なら全部放り投げて助けに行きてえが、助ける側がやられてしまう事があれば、茜を余計な危険に晒すだけ……!!

 

「どっちにしろ不確定な情報しかねえんだ! 自分の身を第一に考えろ! 絶対に無理はするなよ!!」

 

 そうして俺は車を走らせ、警視庁へと向かっていく。

 極めて厄介な相手だが、実害と犯行声明が届いた以上警察も本気になるはずだ。

 そして俺も、もはや手段は選ばない。

 警察としての立場と、怪盗団としての力を利用して、どんな方法を使ってでも奴の正体を暴き出す。

 

「絶対に暴き出してやる……! 首洗って待ってろよ、スプーク……!!」

 

 亡霊だか何だか知らねえが、もし対面することがあったらタダじゃ置かねえ……!!

 胸に滾る怒りを吐き出し、俺は車を走らせ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 どこからともなく、声が聞こえる。

 これは他の誰でもない、紛うことなき僕の記憶。

 

助けて! お姉ちゃん、あ……

 

 あの時、僕は大切な義妹を……今にも攫われそうな心願(ここね)を助けようとして、一緒に白い車に拉致された。

 

諦めろ。おまえの……は、EMMAさまの生贄だ。

 

 酷い、酷い景色が見える。

 血の気が引くほど縛り上げられ、全身をズタズタにされる光景。

 身につけているものを全て奪われた獲物を、狂気の視線で見つめる信者たち。

 棒状の何かが目に突っ込まれ、顔のパーツが無くなる絶叫が響き渡る。

 僕の体はまともに動かない状況で、何かが抜け落ちたかのように力が抜ける。

 地獄のような光景……なのに、生きてた。

 死ぬしかない体で、ピクピクと必死に足掻いてた。

 

EMMA様! 今こそ復活の時です!

 

 頭の中がぐちゃぐちゃになる。

 ああ、幼い(ぼく)が目の前にいる。

 僕に、何かを言いたがってる。

 

『許さない……許さない許さない許さない……! 私なんか―――』

 

殺 し て や る

これ以上はいけませんよ。

 

 

 

「まったく、我がトリックスターはこれだからいけない。せっかく忘れたトラウマどころか、幼い頃の記憶まで思い出そうとするとは」

 

 

 

『影山和希は一つ目の王冠を獲得しました。不安定な記憶の消去・及び身体状態の確認が終了。これより、ナビケーションを再会します』

 

 

 

 

『ましてや、幼き頃にワタクシと出会った記憶など、思い出さない方が幸せでしょうに』

 

 

 

 

『キーワードが入力されました。ナビゲーションを開始します』

 

 

 

 

 

 

「うーん……ここどこ? ってか、またなのぉ……?」

 

 僕の名前は影山和希、どこにでも居る……とは言えなくなった高校生。

 渋谷ジェイルと呼ばれる場所でペルソナに目覚め、ロックキーパーを倒した僕は、()()()()出口に入り現実へと帰るはずだった。

 しかし目覚めた僕が立っていたのは、趣味が悪い金ピカの銅像が並ぶ、明らかに現実とは思えないような街並みの中。

 考えたくは無いが、ここはどう見ても現実ではない。

 渋谷ジェイルとは違う、新たな異世界の中だろう。

 

「またロックキーパーとか倒さなくちゃいけないのかな……だとしたら、シャドウに見つからないように動かな……」

「おい、何でここに居るんだヨ?」

「んひゃっ!? ……何だよ、リカかよぉ……!」

「分かったならオレサマの首から剣を離せ。お前さんは薩摩人か何かか?」

 

 反射的に抜いた剣を下ろしながら、改めて周囲の景色を見回す。

 まるで中世の塔のような建物が並び、その奥には魔王がいそうな城が厳かな雰囲気を醸し出している。

 しかし、そんな雰囲気もそこら辺に乱立する金ピカの銅像が台無しにしており……多少はポップな感じのあった渋谷ジェイルと比べて、この世界は相当に趣味が悪いように思えてしまう。

 

「リカ。ここって何処なの?」

「ここは“仙台ジェイル”。夏目安吾って奴が王を務めてた、クッッッッッソ趣味の悪い異世界だナ」

「あー……まあ、趣味は悪いよね。絶対あの銅像ない方がいいよ」

 

 あれさえ無ければ中世ファンタジーみたいないい感じの世界になるだろうに、何であんなもの用意しちゃったのかな……

 異世界の景色は王が現実をどう見てるかで決まるらしいし、多分あの銅像の人が王なんだろうか。

 

「……ん? 何だ、向こうから誰か走ってきてるぞ?」

「あれ、ひょっとして夏目安吾って人? まさかそんな……」

「人か!? たっ、助けてくれ! とんでもない化け物に襲われ……」

『フフフ……待っていたぞ! 勇者たちよ!』

 

 え、何? 走る人の更に後ろから四人の一般人が追いかけてきてるんだけど。

 サラリーマンっぽいおじさんに、ホストとホステスのような若い男女……あっ、もはやただのおじいちゃんもいる。

 

『フフフ……待っていたぞ! 勇者たちよ!』

『ほほほほほ! よく来たわね、勇者たち!』

『ケケケッ……よく来たな、勇者ども……!』

『ふぉっふぉっふぉ……待っておったぞ、勇者たちよ』

「あの、全員で一斉に言うのやめてもらえます?」

「二回目言ってる奴もいるナ。ってか、口調の割に見た目が適当すぎるだろ」

 

 どことなく四天王感のある人たちが、先程まで追いかけていた人をガン無視して僕らに向かってまくし立てる。

 シャドウがいるかもしれないのに、あんまり騒がないで欲しいんだけど……そう思いながらふとリカの方を見ると、何故だか鉤爪を装着して戦闘態勢に入っていた。

 

「おいピエロ、相手は四体だ。二体は任せたぜ」

「え、あれって異世界に居すぎて脳が狂った人たちじゃないの?」

「油断するな! 奴らはとんでもない化け物……って、こっちにも居るのか!?」

「オレサマはシャドウじゃねえ! こっちにスコップ振り上げんな!」

 

 あっ、さっきまで逃げてた人がいつの間にかスコップを両手にこっち側に着いてる。

 いや、よく見たらこの人……あの悪趣味な金ピカの銅像と同じ人だ!

 ってことは、この人が夏目安吾ってこと!?

 

『我は漆黒の魔王(プリンスオブナイトメア)の四天王が一人、ドーマ! ここを通りたくば我を倒してみるがよい!』

『私は漆黒の魔王(プリンスオブナイトメア)の四天王が一人、アンテ! 言っておくけど、私をドーマのやつと同じだと思わないことね!』

『俺さまは漆黒の魔王(プリンスオブナイトメア)の四天王が一人、クーガ! 先に言っておくが、俺さまをドーマやアンテのヤツらと同じだとは思わねえことだ!』

『ワシは漆黒の魔王(プリンスオブナイトメア)の四天王が一人、ペテロじゃ。ワシが最強。他はいらんわ』

「だから一気に言うのやめて下さいってば」

「仲間内でディスりあうのやめろヨ。最初の奴が一番可哀想だろ」

「やめろぉ!! 俺の黒歴史(プリンスオブナイトメア)を連呼するな!!」

 

 そうして名乗りを上げた四人組が黒い泥に変わり、一斉にシャドウへと姿を変える。

 ランタンを掲げたカボチャ、下半身が蛇のようになった女、ケルベロスのように首が三つある狂犬、そして最も手強そうな馬に乗った全身鎧の騎士。

 特に馬に乗った騎士は一切の隙も見当たらず、油断なく僕らを見据え……

 

『むむっ!?』

「えっ、な、何……?」

『ほう、ほうほう……』

 

 そんな油断のない騎士が僕の首元を見た瞬間、物凄く隙まみれの動きでこちらに近づきながら、キラキラとした視線で舐め回すように僕を見てくる。

 が、その表情は一瞬にして落胆に変わり、次の瞬間には励ますような穏やかな笑顔を浮かべていた。

 

『ツルペタじゃな! 残念!!』

「よし! 潰そう!!」

 

 鎧の欠片も残さずにこの世から抹消してやる。

 そんな思いで、僕は剣を振り上げた。




 喉仏の有無で性別に気づく→全身を舐めまわすように見る→胸なし! →『ツルペタじゃな! 残念!!』斬首

 次回、四天王死す! デュエルスタンバイ!

 この小説での認知訶学へのスタンスについて。
 正直、認知訶学が獅童やら近衛に知られていて政府が知らないって無理があると思うんですよ。
 だから現在は認知訶学の存在自体がタブーになってて、政府により全力で秘匿されてると解釈してます。
 え? 認知世界をフル活用してる怪盗団が放置されてる理由? 知らんよ公式に聞いてくれ(適当)
 認知世界の設定自体ゆるふわなところが多いので、せいぜい上層部がちょっと知ってる(けど干渉はしない)ぐらいの解釈で許してください。

 誤字報告してくれる人、毎回助かってます。見つけた方は是非とも報告していただけるとありがたいです。
 そして評価・感想・お気に入り登録、クッッッソ嬉しいです。
 特にどんな些末なことでも感想があると気持ちよくなれます。作者キモくね? キモいな(自己完結)
 色々適当に喋りましたが、次回もよろしくお願いします。
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