魔物の運命の歯車が動き始めます。ガガガガガ(雑な歯車の音)
少し遠くの地、佐世保にて演習をし終えた一行
夕立はすっかり元気になってぽいぽいしていて、秋雲はお絵描きもしつつ風雲探しに精を出しており、そしてその秋雲と知り合いだと言う神州丸は余程提督が新人な割に強いところを気に入ったのか、よく側に居て提督の行動も興味深そうに観察していた
「今日は少し長い遠征だぞ」
という提督掛け声と共に第六駆逐隊の元へ向かい遠征に行かせることを知らせ、少し遠くの地域に資材を取りに向かわせる、そして提督は少し用事があると明石の工房へと行き……
明石「アンドロイド……ですか。 一度も作ったことはありませんけど……」
深海提督を探しに行ったり個人的な用事で鎮守府を留守にしている間に何かあった際、提督である自分がいないと色々と問題。そこで代理を任せられる提督アンドロイドを作ろうと言い出したタク提督
タク「限りなく本物の人間に近い構造でお願い。 どうせ作るなら代理以外にも、私がそもそも居る際のお手伝いさんをやれる機能を付けたり……人間の男共を惑わす見た目にしたり……」
夕張「注文が多いですねぇ……。 まぁ……ガワは一旦作りますし構造は本物の人の様にしますので……それが出来たら性能あれこれの方は提督も手伝ってくださいね?」
そんなこんなで提督アンドロイドを作り始める……
アンドロイドの性能を支えるパーツは魔界に沢山あるということで一度魔界に帰るタク提督。その間にガワ作りを進める明石達
「男を惑わすならとりあえず胸部装甲をデッカくしておけば良いんですよ。貧乳好きより巨乳好きの絶対数の方が恐らく多いでしょうし」
「大きくするなら尻も……いやこうしたら不恰好かしら。とりあえず脚はスラっとさせておこっと」
「髪型は……うーん、男って金髪が好きそうなイメージがありますしとりあえず夕立さんのあの髪型を参考にしますか」
「顔はまぁ優しそうでおっとりした感じにしておけば男なら引っかかるはずよね。 ……まぁ前のあの提督は違ったけど」
時に独り言、時に二人で会話をしながら開発を進めていき……だいぶ時間が掛かったがなんとかガワを完成させる
明石「どうですか提督! なかなか良いデザインでしょ?」
タク「おっ、めっちゃ良いじゃん! 限りなく本物の人間に近い形……そして人間の男共が簡単に引っかかりそうなボディ、私の理想通りの姿だ……!」
思い描いていたデザインのアンドロイドのガワに大喜びの提督。ここに自分が持って来た色んなパーツを組み込み始める
この雰囲気にふさわしい、優しくおっとりした性格を構成するパーツにいざという時の用心棒をやれる戦闘能力を持たせるパーツや魔法が使える様になるパーツ、そして1番大事な提督業務をもやれる様になる超高性能の頭脳パーツと、充電要らずの魔力で自動発電出来るパーツを組み込み……ついに完成
早速試運転も兼ねて起動してみることに──
明石「そういえば喋り方についてのパーツも頭脳パーツに入っているんですかね?」
タク「うむ、入っているぞ。 さてどう動くかな……わくわく……」
「キドウチュウ……キドウチュウ……。 ……ん…んーーっ……おはようございます」
無事に起動した提督アンドロイド
このまま何も異常がなければ安心だったが……
「……アイテンタクル様、そちらに人間のような生命体が居ますけど……殺害しますか?」
と急に物騒なことを言い始め、魔法を放つ準備をしていたので急いで電源をオフにしたタク提督
タク「ごめん、命令が無い限り人を襲わなくなるパーツを組み込むの忘れてた」
明石「ちょっと! 危ないじゃないですか!」
夕張「そっか……本来は人と敵対する魔物という存在がいっぱい居るところで作られた頭脳パーツだし、そういうプログラムはされてても不思議じゃないわね……」
夕張は謎に納得していたが、タク提督は急いでパーツを魔界に取りに行き……そしてすぐ戻って来てパーツを組み込む
今度こそは大丈夫だと、再び試運転をして──
「キドウチュウ……キドウチュウ……。 ……んんーーっ……おはようございます」
起動は無事に完了、そして今度は襲い掛かろうとしないかの確認をして……
「……? 皆様方どうなさいました?」
明石「……今度は襲いませんね……」
夕張「大丈夫そうですね……よかった〜」
人を襲わないパーツがしっかり作動し、艦娘や一般人にも安心出来る提督アンドロイドが完成したのだった
タク「さて、提督アンドロイドよ! ……早速命令を下そうと思ったがまずお前の名前をどうしようか……なんか良い案ある?」
明石「……特に考えてなかったです」
夕張「アドミロイド、略してアドとかはいかがです?」
「それはちょっと……申し訳ないですけど却下でお願い致します……」
一生これで呼ぶことになる大事な名前をじっくり考える3人
アドミロイドが却下された事に少しガックシしていた夕張
こういう物の名付けは大抵夕張に任せていたので何も浮かばない明石
そして良い案が浮かばないなら今パッと浮かんだ名前にするとタク提督が
タク「今浮かんだんだけど……"エリー・バートン"という名前にして、呼ぶ時は基本エリー呼びにしようかと思うんだけどどう? 苗字たるバートンの部分は語呂だけどエリーに関しては機械らしい名前だと思うんだ」
「エリー……バートン……エリー・バートン……とても気に入りました!」
明石「なかなか良い名前ですね、アドミロイドよりも」
夕張「うぐっっっっ」
こうして提督アンドロイドのエリー・バートン、通称エリーが生まれたのであった
タク「さてエリーよ! お前への命令は……私がこの鎮守府と呼ばれる施設を留守にしている時、普段私がやっている提督業の代理を行い……そして私が留守にしていない時は……大淀さんと同じ仕事をして貰ったり無断侵入者の追い払う……だ!」
エリー「かしこまりました、アイテンタクル上官様♪」
明石「この
一仕事を終えて休憩しに行こうかと思っていた明石達
工房を離れて休憩室に行こうとすると、実は前に秘密裏に作った機械を見て欲しいとタク提督が言う
「見る以外何もしませんからねぇ?」
と少しだけ面倒くさそうにしつつその機械を見せてもらい──
「どうよこれ、遠征や出撃してある艦娘を上空から見守るドローン! 別にある専用モニターから見るんだけどしっかり見れるし、ドローン側は音もほぼ無くて透明化するから艦娘の気が散る事も敵に気づかれる事も無い!」
という、言葉だけ聞くと確かに凄そうだけど実際しっかり動いているのか見れてないから半信半疑の明石達
ならばと提督室にある専用モニターを見てくれと言い、休憩させてもらえない明石達は提督室に案内される
提督室に行く際にエリーから周りに自分達以外誰もいないのに人の気配を感じるとか言い出したが多分青葉さんがこっそり写真を撮っているんでしょうと明石が冷静に判断
そして提督室にあるモニターを見せ──
明石「というかもう飛ばしてあったんですね? これは……さっき送り出した暁さん達?」
夕張「こちらに気付きもせずに楽しそうに会話をしている……性能は本物の様ですね」
タク「ふっふーそうだろうそうだろう!」
と自慢げになってるタク提督
するとモニターに謎の深海棲艦の様な影が映り出すが、自慢中のタク提督と自慢聞き中の明石と夕張はそれに気が付かない
「暁さん…?という人が全身白っぽい怪物に襲われそうですけど……」
と唯一モニターを見ていたエリーがタク提督に報告
モニターをチラッと見た瞬間……暁が深海棲艦に思いっきり砲撃される
明石「遠征先に深海棲艦……?! あのルートは確か安全だったはずですがどうして……?!」
夕張「このままでは……ど、どうしますかていと…く……えっ?」
何も言う間もなく、タク提督は艦娘達にも見せたことがない、悪魔の様な翼を生やして窓から飛び出して行った
エリー「……一応、上官様の考えてる事は分かります。恐らくは猛スピードでこの現場に向かって暁さん達を救出しようとしている、のかもしれません……」
明石「正義感強いのは良いですけど……!! 具体的な場所とか分かるんですかねあの人!!」
しかしその心配もなんのその、明石達にはまだ機能を伝い切れていなかったが実は──
タク「はぁっ…はぁっ……あのドローンから魔物だけが分かる魔力を発する様にしといて良かった……これですぐに…迎えるっ……!」
…………
暁「な…なんなのよ貴方達は……っ!」
電「ちっ……アイツら地上の癖にまともに戦えてるのです……」
雷「私達、海上でしか戦った事ないから……」
響「これは……不味いかもしれないね……」
急に現れた深海棲艦に襲われ、応戦していたが少し不利になっており
謎の深海棲艦「クケケ……しかし運が良いなァ……、迷ってたらコンナトコロに艦娘が居るなんテ!」
艤装は持っているが地上だと流石に分が悪い暁達
しかしそれは深海棲艦も同じなはずなのに何故かこの深海棲艦は地上での戦いに慣れているどころか適応している
必死に戦うが相手の方が何枚も上手で徐々に追い込まれて行き……ついには暁が先にダウンしてしまい──
響「暁……っ!」
暁「ここまで……かしら……みんな……先に逃げて……しれ…えかん……たすけ…て……」
謎の深海棲艦「ケククッ、暁とやら……最早ココマデの様だな! サァ死ぬが良い……!!」
深海棲艦がトドメの砲撃をいざ放とうとした瞬間……深海棲艦の真上から頭目掛けて
響「この見覚えのある雷撃……まさかッ?!」
タク「間に合った……かな……??」
杖を片手に翼をバサバサと羽ばたかせるタク提督が上空に
得意の雷魔法でなんとか深海棲艦の動きを止める事に成功
その上どうやらダメージも通っているらしく──
謎の深海棲艦「…ってぇーー……アんだテメェは?? 俺にダメージを与えるとは生意気な……この死にかけの艦娘は後だ!! まずはテメェからだ!!」
響「ダメージを与えるとは生意気……って事はもしかして、司令官の魔法が普通に効いている……??」
タク「どうしてか分からんけど、地上にいる深海棲艦共には艦娘以外の攻撃も効くんかな。ならば……ようやく私の暴れられる時が来た!! さぁ覚悟しな……災いの魔物による殺戮タイムだ」
ことわざ的な意味でも物理的な意味でも目の色を変え、魔力のオーラを発するタク提督
すると杖の先っぽにある目玉の宝玉が杖の上を向いて魔力の刃を出して薙刀の様な形状になり、それを向けて深海棲艦に突撃をし、腹部に刺し貫いて
謎の深海棲艦「ぐひゅえッ……!! クソッ……オラテメェも俺の攻撃を喰らいやがれ!!」
それでもまだ余裕がある様子の深海棲艦、負けじと砲撃を放つが上手く狙いが定まらずにせいぜいカスるだけしか当たらず、逆にタク提督はゼロ距離で雷魔法を浴びせ続けて着々と深海棲艦を弱らせていく
タク「頃合いかな……トドメだっ!」
そう言い放つと深海棲艦からしか見えない視点でタク提督の口が顔全体が開きそうな程にガバッと大きく開き、そこから巨大な目玉が現れ……敵を焼き払える巨大なビーム攻撃を深海棲艦の頭目掛けて発射し、消し飛ばし去った
そして顔を元の形に戻し、暁に駆け寄る
タク「……ふぅ、……暁は大丈夫か!? すぐ鎮守府に連れ帰るから耐えてくれよ……響達も私に乗ってけ、他にこういう奴が居るかもしれないし飛んで帰ろう」
暁「ありが…と……。 がんばる…っ」
響「ありがとう……しかしよくここだって分かったね」
電「司令官は色々とキモいですから、駆逐艦の匂いを嗅いで来たんでしょう」
雷「もうそんなこと言わないのっ!! 魔物特有の何かがビビッと来たんでしょ??」
タク「種明かしすると透明化したドローンに……」
と、会話しつつドローンについて語りつつも急いで鎮守府に飛び去った
暁はなんとか生きたまま入渠が出来て無事に生還し、響達はいつの間にか増えていた知らない女性、提督アンドロイドのエリーに驚く
その時間より少し前、第六駆逐隊を担いで飛び去るところを何者かが見ており──
???「ふむ、あの者……何者だか知らないが、深海棲艦に見惚れた者をあれ程容易く……」
ー翌日ー
神州丸「……大丈夫ですか、提督殿」
タク「全身が痛い。可能な限り喋りたくないくらい全身が痛いから、どうしてこうなのかは白美姉達に聞いてくれ。こっちの世界には来れないけどそこに顔出して話すくらいはそこで出来るよ」
昨日の反動か全身が酷い筋肉痛になりどっと疲れていた
詳しい事情はタク提督が横たわっているベッドのすぐ横に現れている次元の穴から顔だけ覗かしている暗黒星雲三姉妹が話すという事で──
暁「……えと、それでこれはどういう事なの? 白美…さん?」
白美「なんで説明してないのよコイツは。 んーざっくり説明するとね……ホントの姉に力を取られたところまでは多分説明されてると思うけど、その内の闇の力が無い状態で昨日なった様な魔力を解放した本気形態になると……こうなる」
魔亜夜「倒れてるこの子には好き放題出来てしまう……姉貴がやろうとしていた可愛がりから、動けない隙に殺す事だってなんでも……」
紅香「早くて1日、長くて1週間はこの状態……だから復活するまでの間、お兄ちゃんの事をしっかり見て守ってあげてね! 艦娘さん…!」
事情を理解した第六駆逐隊と神州丸
しかし、ホントの姉に力を取られた……というところをしっかり聞いた記憶が無く、妹達にその事を聞いた事があるかと暁が問うが
「私は聞いてないよ」「覚えてないわね……」「聞いてないのです」「本艦も同じく聞いておりません」
誰もしっかりとは聞いていなかったのであった
白美「コイッツ……あんまり話したがらないからって……まぁ良いわ、私がしっかりと説明したげるからしっかり聞きなさい」
艦娘達には実は知らされていなかった提督の目的……、それは本当の姉によって奪われし魔力を再び得る為に数々の世界を巡り回り、その世界の特定の者から能力を奪い去る事で自身の能力を完全に取り戻す事。
そしてその能力は最後の1つである闇の能力を取り戻すところまで来ており、その闇は深海提督から奪えそう……という算段でこの世界にやって来ていた
魔亜夜「実は闇の力だけなら私ら暗黒星雲三姉妹から奪うでも良いんだけどね……信頼出来る人を殺したくないだってさ。優しいよね」
紅香「私達以外、そして勝てるかどうかが分からない強大過ぎる力の持ち主以外で、闇を奪えそうな奴を探した結果……この世界にいる深海提督って呼ばれる怪物しかいなかった感じ」
暁「な、なるほどね、理解したわよ…っ!!」
電「あんま理解して無さそうな顔なのです」
響「ふむ……ところで、君たちはどうして司令官と同行せずに留守番をしているんだい…? 仲も良さそうだし……何か事情が?」
白美「あー、それは……コイツのホントの姉の呪いかなんかのせいで"元の魔界以外の世界で、私達や他の魔物はコイツと一緒の世界に居れない"という状態で、つまり魔界以外の世界で一緒に存在出来ないからよ。 ……さて一通り話したし、私らも私らで魔物の世話とか仕事とかあるから一旦帰るわよ。じゃーね〜〜」
雷「ありがとうございます。 ……さて司令官、貴方が復活するまでの間、しっかり見守っててあげるわねっ!!」
(助かる)みたいな表情を雷に向けるタク提督
しばらくは一切動けないので提督業は早速エリーに任せる事に
そんなエリーの提督業スキルは……しっかり提督をやれている高レベルな物で、大淀さんからも高評価
このまま無事にやれそう…と思った矢先、謎の人物が鎮守府の前で待っていると青葉から伝言が入り、エリーはその人に会いに行き
エリー「こ、こんにちは……。本日はどの様な用事でしょうか……?」
???「ふむ……もしも居れば、の話なんだが……悪魔の様な翼を生やした人間がこちらの方に飛んで行った様に見えましてな。 その者と少しお話がしたい」
大淀「これって……どうしますか? エリーさん……」
小声でエリーにタク提督の事を言うか言うまいか相談する大淀。提督のあの姿を知っているという明らかに怪しい人物なので物凄く疑っていたが──
エリー「……大丈夫です。この人からはあまり悪いオーラを感じない……そちらの仰る悪魔の翼を生やした者は確かにこの鎮守府に居ます。 しかし今はとある事情で倒れており……、それでも宜しければそのお話しはしても大丈夫です」
魔物の機械は相手のオーラが分かるのか、それともエリー自身の能力なのか、少しだけ疑問に思う大淀だった
そして謎の人物をタク提督に会わせ──
大淀「この横たわっている方が、そのお方です」
???「なるほど其方が……」
エリー「……一応、お話しは手短にお願い致します」
タク「一応少しなら話せるが、まずはお前から名乗りな。 どういう組なのかも」
???「失礼……私は
聞いた事無い組織のお偉いさんだと名乗る謎の人物。
何故タク提督に目を付けたのかと大淀が問うとこう答える
内海「私達は深海棲艦に見惚れてしまい、奴らに協力する元人間達である深海棲艦の様な者が所属する深海教の信者達……通称"深海信者"を討伐する組織だ。 元人間とだけあってか陸上で活動しているので艦娘は不利な挙句普通の人間よりもしぶとい厄介な物でね……」
タク「ふーん……、まぁ艦娘が不利というのは昨日暁達が追い込まれていたからそうなんだろうなとは。 で結局私に目を付けたのは何故」
内海「……恥ずかしながら、其方にもその元人間の討伐に協力してもらいたいのだ。 組織にはこの世界の中でも指折りの強さを持つ人々が集まっているがそれでも奴らの力は強大で、日々負傷者や死者が出てしまって人手不足なのだ……」
タク提督に目を付けていた理由はとても単純で、組織へのスカウトだった
だが日々負傷者や死者が出ているという言葉を聞いて大淀が黙っておらず、そんなところに大事な提督を送る訳にはいきませんと断ろうとしたが──
タク提督の考えは、その深海信者と関わっていたら深海提督にも近づく可能性が僅かにはある、僅かでもある、そう判断し……良いだろうと許諾
タク「……ただしお前が見たであろう翼を生やした形態にはならずに、いつものこの姿で奴らと戦うからな。 その時のパワーが通らなかったら辞めるぞ、あの形態は今こうなってるところ見りゃ分かるだろうけどすっごく疲れるのさ」
内海「ご協力感謝する……。 その極度の疲れとやらが回復したら組織に正式な手順で組織に加えよう。 その時に大本営にある本部に来てくれ」
そう言った後、面倒事なく手順を完了させる為か自分を知ってもらう為か自身の名刺をタク提督に渡し、一礼をした後に帰っていった
…………
大淀「良かったんですか……? あんな得体の知れない組織に入るなんて言ってしまって……」
タク「良い、全ては深海提督に近づく為だからな……。 それはそうと神州丸、キミ確か陸軍だったよな……てことは陸での戦いには慣れてる?」
神州丸「悪漢から元帥殿や将軍殿を護る際に何度か戦っていましたので慣れております」
タク「ふーん…?♪ じゃあ艦娘であり陸での戦いにも慣れてる……深海信者達とやり合う人材としては最適解じゃん。 てことで神州丸にも同じ組織に入って私と共に戦ってもらうよ! 1人は少し寂しいしー……」
神州丸「さ、寂しいのですか……。 まぁ良いですよ、本艦の戦いの経験が提督殿を支えられるのなら……深海棲艦撲滅にも繋がるのなら」
そして「提督殿のお側に居れるのなら」と小声でボソッと言う神州丸だった
ー数日後ー
タク「疲労回復! 元気溌剌! しかし思ったよりも回復に時間が掛かってしまったな……」
大淀「おはようございます、提督。 復活されたという事は、例の組織のところに行くんですか?」
タク「もちろん行くさ。 準備したら出発する、留守の間はエリーに提督業を任せるし定期的に帰る予定だから安心しな」
準備と言っても大した事はせずに普通に朝ご飯を食べるだけ
共に行く予定の神州丸はどうやら野暮用があると言い、少し外出をしたがすぐに帰って来るとの事
少し時間が経ち、鳳翔さんの朝ご飯を食べ終えて神州丸の帰りを待つ
その頃神州丸は、人気の無い場所で何やら通信機を使って誰かとやり取りをしており──
神州丸「……はい、あの提督の目的はそんなところです。 ……はい。 そしてどうやら地上で活動を行う深海教と、その深海教に所属する元人間の深海棲艦の深海信者とやらが居るとか……。 そしてそれを撲滅する組織が大本営に有り、あの提督が入る事になりまして……はい。 ……本艦も何故か入るハメになりましたがね……。 あと大事な事を、将軍殿の考える"海軍を負かせて我ら陸軍が勝ってこの国を牛耳る"にはあの提督の活動を邪魔しなければならない、つまり始末しなければならない。 ……しかし彼は人では無く魔物……普通の武器は効かない可能性が高いです。 ……そうですね、将軍殿の言う通り、専用の特別な銃の開発をしなければなりませんね……。 ……あとこの前お伝えした提督アンドロイド用にも念の為特別な銃があった方がよ宜しい可能性があります。 ……ではそろそろ時間ですので失礼致します。 ……はい、また情報が入り次第」
…………
神州丸「お、お待たせしました提督殿……。 遅れてしまい申し訳ございません」
タク「なんかだいぶ時間かかったけど大丈夫か? まぁ良い……そろそろ行くぞ」
何者かの連絡をし終え、走って戻って来た神州丸
外に出る前と比べて頭にリボンを付けているので表向きはこれを買うのに時間がかかった事にしている様子
しかしタク提督は特に触れる事も無く、特に疑う事も無く、共に大本営にある組織の本部へと向かう──
内海「来てくれたか。 陸軍の艦娘も一緒に……とな、ではここに……」
正式に組織に加わる為の契約書にそれぞれサインをし……正式に組織に仲間入り
どうやらついさっき深海信者が現れたらしく、それの討伐に早速向かう事に
しばらくして、その元に到着
しかし2体おり、更には見知らぬ艦娘達が襲われていて──
深海信者A「コイツらは確か……駆逐艦の曙、潮、漣、そして朝潮に白露……」
深海信者B「全員駆逐艦なら大した事も無さそうだわね! 覚悟なさい、痛み付けたら貴方もこっち側にしてあげるから……」
艦娘達と深海信者の様子を草陰で伺う二人
どう倒すかの作戦会議を行っていた──
神州丸「……男と女、2体居る深海信者を確実に始末しつつ、あの駆逐艦達を救出するには……どうしますか提督殿」
タク「私がバーンっと飛び出して注目を浴びせてその隙に神州丸がその陸用の艤装でアイツらを撃ち抜く、で仕留め損ねたら私が魔法で奴らを……で行くぞ」
神州丸「バーンとって……なんとも脳筋な。 分かりましたよ」
曙「なんなのよコイツら……! 絶対アンタ達の様な存在にはならないわよっ!」
朝潮「それに霞に再び会う目的を果たすまでは……死ねませんっ!」
潮「っ……。 ……ん、近くから何かが音が……?」
わざと草むらを騒がしく動き回るタク提督、そして深海信者達の前にバーンと浮遊しながら飛び出し──
深海信者A「なんだオメェは!」
深海信者B「小賢しいわね……まずはアンタから死になさ……うぎゃっ!」
作戦通り、注目を浴びている間に神州丸が女側の頭を撃ち抜き、その直後に男の頭も撃ち抜くがしかし、普通の人間よりもしぶとくなっている深海信者は、大ダメージを負ったとはいえまだ息絶えてはおらず……そこにタク提督の雷魔法を深海信者達の頭上に放ち、そして猛毒の青き毒液を何度も浴びせてトドメを刺し──
深海信者達「ぐゅぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
2体の深海信者は断末魔を上げながら死に果てて行った──
神州丸「……お前達、怪我はしていないか……?」
襲われていた艦娘達に寄り添い、無事かどうかの確認をする神州丸
曙「だ、大丈夫だけど……貴方達は何者……?」
タク「君らが襲われてたあーいう奴をぶっ倒す組織に所属している二人組さ」
神州丸「私は神州丸、この物理的に浮いてるお方はタク提督だ」
潮「た、助けてくださりありがとうございます……!」
漣「陸軍の艦娘の神州丸さんと……聞き慣れない名前の提督さんですな……」
白露「私達も名乗らなきゃっ! 私は白露! 白露型駆逐艦の一番艦! 一番だよ一番!!」
朝潮「私は朝潮です! で、そちらの紫色の髪の子が曙、ロングヘアの子が潮、ツインテールの子が漣ですっ!」
神州丸「よろしくな。 ……しかしこの面子どこかで……?」
とりあえず襲われていた艦娘達の無事を確認し、安堵する二人
帰るところがあるか聞くと、特に無いと言うので一時的に自分達の鎮守府に来ないかと伝えるが、それとは別に行きたいところがあるので、まずはそっちに行くとの事
だがまた襲われる可能性もあるので神州丸が護衛に付く事に
タク提督は組織の本部に戻り、色々な報告を行う
それを終えたら今日は解散との事で、内海は個人の仕事を始めてタク提督は白亜香鎮守府に飛んで帰る事に──
潮「この地図通りに向かえば私達が行きたいところに着くはずですっ」
神州丸「この通り道といえば私達の鎮守府の通り道でもあるが……近いところに何かあるのか?」
白露「何かあるというか、私達のお友達が白亜香鎮守府? ってところに居るらしくて!」
神州丸「白亜香……?! ……既視感があるお前達の姿に白亜香に居る友達……そして我が鎮守府に所属する霞と……あと夕立は確かブラック鎮守府だった宿毛湾泊地に元々所属しており……過去に私がそこの近くを通った時にお前達と同じ顔を見かけた……まさか」
曙「え、もしかして貴方の鎮守府と私達が行きたい鎮守府が一致してるの……?」
漣「丁度着きましたねぇ……ここに貴方の仲間と漣達のかつての仲間が居たら、そういうことですな」
タク「あれ、上空から帰って来たと思ったら……君たち行きたいところにはもう行き終えたの?」
朝潮「あ、いえそうじゃなくて……」
タク提督にもこの事情を話す
それを聞いて驚きつつも、すぐに鎮守府にいる霞と夕立を呼び出して──
夕立「白露ーーっ!! お久しぶりっぽーーーーいっっ!!」
霞「みんな……! 生きてたのね……!」
夕立は白露に速攻抱きつき、霞はみんなが生きてた事に嬉し涙を流す
どうやらだいぶ前に流した霞の友達を探している貼り紙を見てここに来ようとしていたとの事
目的はそこに行って霞と再会したらそこの提督にお願いして再び艦娘業を霞と共に始める予定だったらしい
タク「我が艦隊に所属するのは大歓迎! 仲間が増えるのは良い事だし霞と夕立の友達なら二人も喜ぶだろうしね」
パァッと笑顔になり、よろしくお願いしますと5人は元気よく挨拶をし……正式に白亜香の新たな艦娘に加わったのだった
その後とても長い時間、元ブラック鎮守府所属仲間で色々話し合っていた──
その話の最中に出た、提督が魔物だという霞のとっておきの話題はさっき魔物の一面を見た曙達はあんまり驚かなくて逆に霞が少し驚いていたのだった──
深海教討伐組織に新たに所属したタク提督、目論見通りに目的である深海提督に近づく事は出来るのか
そしてここから彼の運命の歯車が動き始める──
〜次回へ続く〜
オマケtext
タク「ところで曙達よ! 君達の艦娘としての強さはどのくらいなんだ?」
曙「私はクソ提督からサンドバッグ同然の扱いをされていてあんまり戦いに出てなくて……」
漣「漣は初期艦故、戦いに出突っ張りで疲労マシマシ飯もメシマズでェ……セクハラもあって提督殴ったらぼのたんを人質にされちゃってもう殴れなくてェ……」
潮「私は……出撃回数が非常し多いのも当然でしたが、それ以上に嫌になるほど胸を触られ続けましたね……。 いよいよ私の初めてが奪われそうになった時には夕立さんが暴れ出してなんとかなりましたが……」
朝潮「私はずっと無休で出撃でした! 当時はそれが当然で提督の為と思ってました……」
白露「私は過去に何度も何度も無理ある出撃をさせられた結果轟沈しそうになったねー……」
タク「お、おう……あの鎮守府相当ヤバかったんだな……トラウマ思い出させてごめん。 ……とりあえず曙以外は結構強くて白露も恐らくかなり強い、曙はあんまり戦いの経験がないのなら……とりあえず演習かな。 友と一緒に戦いについて教えて貰ってね」
皆「は〜〜い」
タク「……そーいや、この前ブラック鎮守府の提督を
改造して創って送ったダークボーン君はなんか情報得てるのかな。 頃合い見たらここに来て私に伝える様に指示はしてあるが……まぁ気配感じないからそういう事か。 さて、大淀さんとエリーと共になんか仕事するかー」
…………
神州丸「……はい。 この前との発展は特にはありませんが……強いて言えば新たに艦娘が5隻増えたといった感じです。 あとは初依頼で深海信者を倒しました、褒めてください将軍殿。 ……スミマセンデシタ。 ……とりあえず今回の報告はこんなところですね……、新たな情報が少なく申し訳ございません。 ……はい、ではまた何かあればご報告致します」
神州丸「……彼の追う深海提督とやら……これは我が陸軍が討伐し、名声を得るぞ……。 ……しかし、力を取り戻す野望があるとはいえ深海棲艦を倒し世界を平和にするという目的は一緒……。 どうにか和解出来たら良いが、将軍殿の言う事が絶対だな。 ……さて戻るか、彼に懐いている演技をしながら……」
…………