吾郎の妹ポジになった転生者   作:とくめいです

24 / 68
ちょっと日数のたったある日。まだハルはデビューはしてません。アクア視点となってます。

追記
高峯の愛称が判明したのでミネさん→たかみーに変更しました。渡辺が判明した際には変更します。忘れてるのを発見した場合は感想や誤字報告等でお知らせ下さい。いつになるのか分からないので忘れる可能性があります(笑)
現在のメンバー自体に関して変更はありません。


24

 今日はアイがメインとなる動画撮影。アイとハルナがいる時はだいたい俺たちも現場に居たりする。

 それは家に置いとくよりは目の届く所に置いておいた方が良いという考えからなのだけど、当然、副次的な効果もある。

 

「ママ頑張るよ〜♪」

 

 ニッコニコのアイの笑顔とかご褒美かよ。ハルナもこちらを見てにっこり。笑顔も普通に出来るようになったかと思うとそうでもなく、やはり俺たちの姿が見えてないと表情は固いのだという。こんな俺たちでも力になれるというなら、いくらでも力を貸そう。

 

 いつもの会議室に俺たち以外はミヤコしか居ない。つまり斉藤家だけだ。これ、家でやっても良くね? まあ、私生活あんまり見せるのも良くないとは思うけど。

 

 

「今日はわたくし、ハルがアイさんに突撃インタビューしちゃいます」

「されちゃいます♪」

「アイさんへ聞きたいことが有りましたら、番組へのメール、コメントなどをお送り下さい。運が良ければ、なにか当たるかも」

「当たらないかも?」

「その他に応援やフツオタなんかも受け付けてます。ばんばん送ってくださいね」

「メールとか出せない方は、お手紙でもオーケー♪ 宛て先は概要欄やホームページにも書いてあります」

「では、行ってみましょうっ」

「「せーの」」

 

「「まるごと、Bこまちーっ!」」

 

 ジングルが鳴り、B小町の曲が流れ始める。ここだけは収録してある他のメンバーの声も一緒に乗るのでとても豪勢な感じだ。

 

「はーい、今週はみなさま如何お過ごしでしたか? 今日のMCは未だになんで居るのか分からない存在、ハルがお送りいたします」

 

 初めはハルナがMCとして出る、という話だったけど、後からB小町の持ち回りということになった。理由はハルナ自身が忙しすぎるのと、他のメンバーからの要望だ。毎回二人、ないし三人で回していけばそれなりに知名度も上がるというわけだ。

 

 あれから一回もなかったので、今回は久々の生での観覧。よって、起こるのは。

 

「ひゅーひゅー、ママかっこいーッ!」

「おい、あんまり大きな声出すとマイクに乗るから」

 

 隣のルビーのテンションは久々にアゲアゲだ。まあ、俺も楽しくないとは言わない。他のメンバーの配信の時は当然のように生では見れないわけだし。だけど、アイとの関係がバレるのは大問題だ。

 

 

 

 B小町の楽曲が流され、その間にアイがこちらにやって来た。ルビーを抱き上げると俺の座るソファーの横に座り込む。

 

「ルビー」

「なぁに、ママ♪」

「アクア」

「どうしたの、アイ?」

 

 嬉しそうな反面、何かを押し殺したような笑顔。なんか気になったので聞いてみると、やはり彼女は笑って答えた。

 

「ううん。だいすきだよ」

「わたしも。だぁいすき♡」

 

 迷いなく即答するルビー。

 脊髄反射で答えるとかスゴイや、うちの妹。仕方なく、俺も答える。

 

「愛してるよ、アイ」

 

 すると、アイの表情が固まった。やべ、ちとクサかったかな?

 

「えと、あの。間違えちゃった。大好きだよ、アイ」

 

 言い直すと、アイが俺を抱きしめた。瞳の輝きがなぜか小さくなり、その代わりに大きく見開いて。

 

 もっと年若い女の子のように、満面の笑みを浮かべた。

 

「えっ? な、なに?」

「……わたしも、あいしてるよ」

 

 ぎゅ~。

 強く、つよく、抱きしめる。

 

 絶対に離さないように。

 

 まるで、自分に取り込むかのように。

 

「あー、ずるい。あくあばっかりー。ルビーも愛してるよー」

「うん、うん。愛してるよ、ルビー、アクア……」

 

 いつもと同じ抱擁のハズなのに、何かが違う感じがした。妙に引っかかる感じで、それは俺を不安にさせた。

 

 そのせいで俺は気付けなかった。

 

 俺たちを見つめるもう一人の、無表情な瞳を。

 

 

 

 

 

 

 

「では、Bネーム【三月兎】さんからの質問です。【アイさん。僕は食べ物の中で蟹が一番好きなんですが、アイさんは何が好きですか?】という事なのですが、アイさん、如何ですか?」

「私ねー、実はラーメンとか好きだよ♪ 特に袋のやつ」

「これは、意外なお答えですね。みなさま、明日のお昼はインスタントラーメンで御座いますよ?」

「特にあそこの「商品名は言ってはいけませんーっ!」、あ、ゴメン。てへ♪」

 

 ……ん? なんだろう。この違和感。

 

「では、次の質問にいきましょう。Bネーム【うす焼き侍】さんから。【私は歴史小説が好きなんですが、アイさんは最近、本は読みましたか? その本のどんな所が気になりましたか?】ということですが」

「あはは♪ 文字の多い本は進んで読まないな〜。でも、ミヤコママの育児雑誌かな? あれは読んでるよ?」

「ははあ。どこの辺りに興味をお持ちに?」

「だって、赤ちゃん可愛くない?」

「はい、可愛いですね」

 

 二人してにっこり。

 絵面はいいけど、なんだろ。

 

「ママ、答えちゃってる……?」

「!」

 

 そうか。

 アイが質問に答えているのが、違和感なのか。

 

 意図しているかは分からないけど、アイはこの手の質問にはたいていまともに答えたことがない。特に公の場に載る媒体では。

 俺たちやハルナとかプライベートな者に対しては好き嫌いははっきり答えるけど、インタビューとかではのらりくらりと躱していたのだ。

 

 これがどういう意味なのか。

 ……ただ単に気まぐれの可能性もあるけど。

 

「では、次の……て、あれ? マネージャー、これ……あ、いいんですか? はあ」

「どしたの? ハルちゃん」

「いえ。なんか私への質問が混ざってまして。オーケー出てるんですけど」

「じゃあ、私が読むね! えーと、Bネーム【ボタンイチゲ】さんからのご質問。ハルちゃんへ、だね。【ハルちゃんは、地方から上京したとの事ですが、東京に来て驚いたこと、感心したことはありますか?】だって」

「えっと。都会だな、とは思いましたけど。一番驚いたのはタクシーの数でしたね」

「そう言えば、田舎のタクシーって電話で呼ぶものだって社長言ってたな」

「そうなんです。こっちだと駅前とか普通にいっぱい待ってて。スゴイなって思いました」

 

 それはそうだな。俺も生前は東京に来た時驚いたもんだ。なんでこんなにいるんだって。田舎者あるあるなんだろうな。

 

「では次の質問へ参りましょう。Bネーム【キミヲマッテルゼ】さんから。【余暇のWORKOUTが愉しみです。アイさんは休みの日はどうされてますか? 私は上腕三頭筋を鍛えるのが楽しくて仕方ありません】とのこと」

「じょうわん……さん? なに?」

「ここ、ですね。アイさん、ここの筋肉のことです」

「わ、わ、触らないでハルちゃんっ」

「わ、ごめんなさいっ! 突然触るとかお嫌でしたよね?」

「いや、あの。ぷよぷよしてるの、バレちゃう〜」

 

 二人して腕を触りっこしてる。その姿自体は微笑ましいのだけど。

 

「けど、実はここの筋肉は鍛え過ぎると腕が太く見えるそうなので。アイさんはあまり鍛えない方が素敵かと」

「うーん。たしかに太く見えちゃうのはイヤかも♪ でも、ぷよぷよだってバラしちゃった〜」

 

 ここでハルナが、ミヤコに視線を送る。カットした方が、と伺ってるようだけど、ミヤコの方は静観。どうやら続行らしい。

 

「ママ……なんだか、いつものママみたい」

 

 その通りだ。よそ行きの顔を捨て去った、素のままのアイ。少し抜けてるけど、それすらも計算された愛らしさに見える。

 

 アイは、ここで自分をさらけ出そうとしてる、のか?

 

 それはある意味、冒険だ。何を聞かれてもさらりと躱す事でプライベートな姿を見せなかったのは、たぶんイメージを守るためだ。

 

 嘘は愛、と言っていたアイは、その実メディアに露出している姿を嘘で固めていた。

 

 それはおそらく、社長の入れ知恵もあっただろうし、本人の危機回避能力の賜物だったのだろう。本心を晒さず嘘で塗り固めれば、それは己を守る鎧となる。また、それは武器にもなる。何もわからないミステリアスな存在は、それだけで耳目を引くものだ。

 

 社長がオーケーを出したのだからミヤコも止めないのだろうけど。本当に良いのか? アイはかなり抜けてて、不用意な発言もかなりするし。ブランドイメージを無くしてまでやる事とは思えないのだけど。

 

「でも、ママ楽しそう」

 

 ルビーがぽつりと呟いた一言。それがたぶん正解なのだろう。

 

「そうだな。その通りだ」

「?」

 

 

 

 番組が終わる直前のエンドトーク。

 B小町のインストが流れる中、アイが今回の総括のようなことを話し出す。

 

「私ね。実のところ、かなりおっちょこちょいだし、ヘマも結構やらかしてるんだー」

「そうですね」

「ハルちゃんは、私生活でも一緒なことが多いから分かってるけどぉ」

「はぁ、まあ。そうですね」

「B小町でも、みんなに迷惑かけること多くて。たぶん、幻滅しちゃってると思うんだ」

「……」

「でも。それでも、私はみんなといることが出来て、良かったと思ってるよ」

 

 内心を吐露するということは、かなり怖いはず。それは自分自身の内面を曝け出していくようなものだ。

 

 でも、それが必要なときもある。

 人は理解し合いながら、絆を繋いでいくものだから。

 

「私がダメな時は、ちゃんと叱ってほしいし。頑張った時は褒めてほしい……ハルちゃん?」

 

 喋っているアイの頭に手を乗せ、ルビーにするように優しく撫でるハル。

 

「よーしよし」

「あ、あの。わたしお姉ちゃんなんだけど……」

 

 さすがのアイも、カメラの前でこれは恥ずかしかったようだ。

 

「B小町のみなさんも、同じ思いだと思いますよ。アイさんは、その、ほっておけないので」

「ハルちゃん……」

「たかみーさんやニノさん、なべちゃんさん、めいめいさんにありぴゃんさん、みーりゃんさん……みなさん、アイさんのこと大好きですから」

「そう、かな?」

 

 アイの瞳には、いつもの輝きが見えない。普通にかわいいだけの少女だ。そこにミステリアスな影はない。等身大の、ひとりの女の子のようにしか見えなかった。

 

「みなさん、私にものすごく警戒してますから。『私たちのアイを取るな』って、言ってるようにしか見えないんですよね」

「、……」

「ですから、B小町のみなさんもアイさんにビシバシ指導をお願いしますね♪」

「は、ハルちゃん? そりゃないよ〜」

 

 無表情に(おど)けた言い方をするハルナに、アイが、情けない様子で縋り付く。その瞳にはいつもの輝きが戻っていた。

 

 この三文芝居に意味があったかを知るのは、かなり後になってからである。

 

 

「来週の放送はみーりゃんさんと、この私、ハルがお送りする事になってます」

「みーりゃん、ちょっとまじめっ子だからハルちゃんとは合うと思うな〜♪」

「鋭意努力したい所存です」

「いや、だから固いって♪」

「では、来週のこの時間まで」

「元気に一週間、がんばってね♪ 合言葉は」

「「B(ビー)ー」」




星野アクア

色々と考察しながらよく見れるなという(笑)
アイの事が優先されててハルナが少し置かれてるのに気付いてないけど、それはまあ仕方ない話です。ポロリと『愛してるよ』とか言っちゃうイケメンムーブ。これにはアイも真顔にならざるを得ない(笑)

星野ルビー

置いておくと賑やかしてくれる嬉しい存在。清浄器として一家に一人……はうるさいか(笑)

雨宮ハルナ

今回の質問、コメントなどを選んだのはミヤコや社長なので気掛かりながらも仕事はしてます。ハルとしては不安だけど、ハルナだとそうは感じてません。いつも一緒にいるアイなので。

斉藤ミヤコ

今回は空気な存在です。

星野アイ

『45510』を読んだ為に追加したエピソードです。本来これは明かされない、本当のアイを見せてしまう事を選択しています。アイが本当の自分を曝け出せたのはアクアやルビーもさることながら、ハルナという存在がいてくれたため。自分より過酷な境遇でありながらも、生きるために甲斐甲斐しく振る舞う姿を見て、このままではいけないと奮起したから。怖がりな自分を捨てる覚悟を見せた訳です。
あと、アクアから先に『愛してるよ』と言われるとは思ってなかったので思考停止してますw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。