吾郎の妹ポジになった転生者   作:とくめいです

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中学校でのハルナ、の取り巻く状況なんかを見せておこうかと思いました。感想欄からのアイデアですね。ありがとうございます。

あと、お気に入りが400突破してましたっ!
これからも応援してくれると励みになります。よろしくお願いいたします
m(_ _)m

追記

なんだかお気に入りやらUAが増えてるなと思ったら二次創作日間50位にいました(笑)
これからも宜しくお願いいたします
(∩´∀`)∩ワーイ


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 何を考えてるのかよく分かんない子。第一印象はそうだった。クラスで一番モテる荏田川(えだがわ)くんが話しかけても、なんの反応もなし。確かに凄く顔は整ってるけど、表情が固い……っていうか感情があまり無いように感じた。

 

 三年の先輩がクラスに押しかけて来ても素知らぬ顔であしらって帰ってしまうような子。少し痛快だと思ったのは内緒だ。

 

 あの子がアイドルだということは少し経ってから知った。友達にアイドルオタクがいて、そいつがやたらと推してくるグループを見たのがキッカケだった。

 

『森本ー、これ見てみなよぉ』

『またアイドル? アンタも好きだな』

『そんじょそこらのアイドル様じゃないぜぇ? 長期休養明けなのに、きっちり仕上げてきたプロだよ、プロ。アンタんトコも親がプロなんだし、こういうのは少し気になんじゃない?』

『そう言われちゃあ見るしかないなぁ』

 

 相変わらず人を乗せるのが上手いな。うちの親もスランプから脱する時はそれなりに日数がかかったらしいし。それが難しいのは理解してるつもりだ。

 

『B小町? いっぱい居ないんだね』

『数が多けりゃ良いってもんじゃないよ?』

『ま、そうだね』

 

 ちなみに、うちは一家全員が楽器を嗜んでいる。私はドラムに傾倒してるけどギター、ベースと一通りは弾けたりする。

 父はヴァイオリン、母はピアノとキーボード。一番下の弟はまだ無理だけど、いずれ何かの楽器をやり始めると思う。

 

 話が逸れたね。

 

 で、その友達からとある動画を見せてもらったの。パソコンのモニターに映し出されたのは、教室で見たあの女の子。ハルナだった。そう答えると友達が目の色を変えた。

 

「マジで? うそ。今度アンタの中学行くわ」

「学校違うだろ。来んな」

 

 ミーハーな奴だな。

 まあ、芸能人が身近にいるというのは普通にテンション上がるだろうけど。

 

 家に帰ってから動画の下の方に関連動画が増えていたので見てみたら。双子の赤ちゃんがめっちゃ動いててワロタ(笑)

 

 え。赤ん坊ってこんな動けるもんなの? それにとっても楽しそう。後で知ったけど、『ヲタ芸』というらしい。再生数も凄いことになってたし、コメントが多過ぎて画面見えねえよ(笑)

 

 その後にも関連動画があったので、ついでに見ることにした。友達の推しの満面の笑み。なるほど、と感じた。これは人気出るのも分かるなぁ。こんな笑顔を見せられたら、そりゃあイチコロだわ。

 

「あ……」

 

 アイドルの後に現れたのは、転校生の女の子。

 

「へえ……笑えるじゃん」

 

 ふんわりとした笑顔。それ自体は強烈なインパクトはない。ただ可愛くて、癒やされる。そんな微笑だ。

 

 ちなみに。弟のケンゴにヲタ芸の動画を見せてやらせてみたけど。全然動けて無くて笑ってしまった。

 

「ねーちゃん、笑うなー」

「ごめんごめーん♪」

 

 若干三歳の弟にこんな動きが出来るわけないよね……て、どう見てもこの子達の方が歳下なんだけど。恐ろしい双子もいたものだ。

 

「……」

 

 おや。ケンゴのやつ、動画のハルナを見て固まってる。マセてんなぁ。

 

「その子、うちのクラスに居るんだよ?」

「え? マジで? ねーちゃん、スゲェ!」

 

 私が凄いわけないだろ。単に転校してきただけなんだし。まあ、芸能人がクラスメートとかあんまり無いだろうし。

 

 

 

 

 

 翌日。学校ではハルナをひと目見ようとクラス外の生徒もわちゃわちゃ集まってきていて大変だった。クラス委員長が先生を連れてきて、ようやく散らす事はできたけど、その代わりに雨宮は事情聴取のために連れて行かれてしまった。

 

「みんな騒ぎ過ぎじゃん?」

「森本はドライだな」

「ほら、やっさんトコは親父さんヴァイオリニストだし。珍しくないんでしょ?」

 

 やっさん言うな。強面のおっちゃんみたいじゃん。友達の額にデコピンをくれてやる。

 

「いたーい(ペロッ)」

「人をスジモンみたいに言うからだ。それにクラスメートを珍獣扱いもどうかと思うよ?」

「……それもそうだね」

「やっさん、いいひとだな」

「お前もくらいたいか?(ググッ)」

「わ、ゴメンッ 勘弁してェ」

 

 私の発言のせいかどうかは知らないけど。少なくともクラスの中では普通の『雨宮ハルナ』として接するようになった。

 

 

 

 

 いつだったかは忘れたけど。近所のスーパーで買い物をしている雨宮を見かけた。野球帽とか被ってるけど服装と合ってなくて少し笑ってしまった。ロングのワンピでとってもガーリーなんだから、バケハとかでいいと思うんだけど。

 

「こんちわ、雨宮。買い物?」

「あ、えと。森本さん、でしたよね?」

「うん。森本やすみ。クラスメートとは言ってもよく覚えてたね」

「ええ、まあ。森本さんも、買い物ですか?」

「うん。まあ母さんと一緒に来たんだけど」

「そうでしたか」

 

 知り合いだと分かったせいか、雰囲気が少しだけ柔らかくなった。まあ、スーパーで知らない人から声掛けられたら緊張するもんね。

 

「お、結構買ってるね。うちは四人家族なんだけど、雨宮さんとこは?」

「ええと。同居してるのは三人ですが、家族は別に三人いまして」

「え、つまり六人?」

 

 買い物かごいっぱいの食材はそういうことか。これを持って帰るのも大変そうだ。

 

「今日はシチューにしようかと思いまして」

「え。雨宮さん、料理出来んの?」

「まあ、それなりには」

 

 むう。芸能人なのに、そんな事もしてるのか。あれか? 芸能人だからかな?

 

「ねーちゃーん」

「お」

 

 ケンゴが走ってこっちに来た。私の脚に飛び付くように抱きつく。

 

「母さんといなさいって言ったでしょ?」

「だってお母さん、全然動かないんだもん」

 

 ケンゴは今、三歳。来年からは幼稚園で元気いっぱいだ。だからといってスーパーの中を走るのは危ない。

 

「あと、スーパーの中で走らない」

「いてえ」

 

 コツンと一撃。もちろん強くなんて叩かない。でも叱ってるって姿は見せないと覚えないから。躾って大変だね。

 

「くす」

「え」

 

 微かな笑い声に振り向くと、雨宮が笑っていた。無表情が崩れ去り柔らかなに思えるその表情は……まるで、年上の女性のように見えた。

 

「あ、すみません。笑ってしまって」

「いや、いいよ。こっちもゴメンね」

 

 お互い気まずい雰囲気となったのを感じて謝ってしまう。その様子を見てたケンゴが指を指して声を上げた。

 

「あ、動画のおねーちゃん!」

「見てくれたんですか? ありがとうございます」

 

 にっこりと笑う雨宮。先ほどとは違うそれは大輪の花のようで。後ろにひまわりの花が幻視できるかのようだ。ちなみに弟もそれにやられたらしく、私の脚の後ろに隠れてしまった。

 

 

 

 

 これ以降、わりと話せる間柄にはなれたようだった。デビューが決まった時には、私事のように喜んだものだ。

 

「雨宮、おはよ……て、髪?」

「お、おはようございます……」

 

 薄い茶色、亜麻色っていうのかな? いつもの髪が黒くなって、カットもミディアムボブ。いつものぱっつんな前髪も少しおしゃれにレイヤー入っててイイ感じになってる。

 

「へ、変ですよね?」

「ううん。ぜんぜん! よく似合ってるよ! 可愛い♪」

 

 いつの間にかクラスの女子も集まってきていて、久しぶりにわちゃわちゃに巻き込まれた雨宮。思わず笑みがこぼれてしまう。

 

 話によると、それは変装なんだそうだ。

 

 まあ、まあ。たしかに芸能人という事を隠すには良いかもしれないけど。普通に可愛いので目立つのは変わらないんだよなぁ……

 

 とは言え学校に張り付いていたファンとか記者とかを排除するには成功したようだ。これもウィッグの着用を特例として認めてくれた学校側の配慮の賜物と言えるだろう。

 

 雨宮は芸能人ということもあり部活や委員会の活動なんかは控えていたので、放課後はだいたい残らずに帰ってしまう。

 

 少し寂しくもあるけど、それも仕方がない。

 私も軽音部の活動もあるしダベる余裕はない。最近マンガでも高校生の軽音を扱ったものが出てるらしく、世間的には興味をひかれてるらしい。

 まあ、そんな事情もあったのか、部長からこんな話が打診された。

 

「雨宮を……ボーカルに?」

「ああ。芸能活動しているのだから無理かもしれないけど、一度聞いてみてくれないかな?」

「聞くだけですよ?」

 

 正直、それは無理めな話だと思った。

 優先されるのは仕事のはずで、私らのやってるのはたかが部活動。

 

 当然、私だってこの部活動でのバンドでデビューとかは狙ってない。レベルもそうだけど、みんなのモチベーションはあくまで部活動のそれだ。そんなのに雨宮を引き摺り込むのは本意じゃない。

 

「社長と相談してみます」

 

 そう答えた雨宮は、いつも通りの無表情だ。

 断る口実だとも分かるし、期待してるわけでもない。後ろ髪を引かれたのは事実だけど。

 

 

 

「え……オーケー?」

「はい。学校での活動もある程度は必要なことだって社長が。もちろんいつも参加は出来ませんが、空いてる時は伺わせて頂く事は可能です。こちらの都合のいい話で恐縮ですが、それで構わないのであれば」

 

 部長に聞いたら、即オッケーだった。いや少しはポリシー持とうよ部長。まあ、いいけどさ。

 

「芸能人、しかも歌手よ? レベルの違いを感じるにはもってこいじゃない。これはいい経験だと思うわ」

 

 それは、確かに。

 

 

 

 

 でも、実際に参加した時に軽く合わせてみたら。

 

 それは圧倒的な差だった。

 

「え……声量すごくない?」

「リズム完璧だし」

 

 流行りの歌をコピーしてるだけなんだけど、それでも明らかに次元が違った。正直言うと、少し舐めてた自分が恥ずかしい。ここまでの差になるのか……やっぱプロは違うなぁ。

 

「あの、こんな感じで良いのでしょうか?」

「あ、ああ。流石だね」

 

 部長も若干引いてた。一発で合わせてくるのも、その完成度も。中学生の部活バンドに連れてきていい存在じゃないのは明白だった。

 

 

 そんなわけでこの話はご破産になった。雨宮自身の活動が活発になったのもあるけど、部員のモチベーションが下がりすぎるのも問題だったからだ。

 

 

 

 でも。

 

 私は家での練習に身が入るようになった。メインのドラムは当然だけど、ギターやベースもそれなりに弾けるのでそちらも注力するようにした。

 

『今はムリでも』

 

 あの子と組んで演奏したい。

 そんな妄想に取り憑かれてしまったのだから。

 

 想いよ届けと、スネアを叩く。

 その様子を見てる弟は目を輝かせている。

 

『オレもおっきくなったら、ギターやるよっ!』

 

 その思いが私と同じようなものだとは思わないけど、目指すものがあるというのはいいことだ。

 

 ともかくやれることをやってこう。

 それがロックってもん、なんでしょ?




森本やすみ

オリキャラです。少し尖りガチだけど普通の女子中学生です。まあ環境は普通じゃなさそうですが芸能人への共感が分かる子じゃないと困るのでそうしました。イメージとしてはけいおんの律、かな?

森本ケンゴ

まだまだ子供でギターも弾けない年齢です。彼の音感やら技術やらは姉から伝授されたものとしました。まあ、いつもの独自設定なんで。

雨宮ハルナ

転入後からデビュー辺りまで。
一般人と比べるとチートなまでに差があるらしい。どうでもいいけど、わちゃわちゃし過ぎだな、このクラス(笑)
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