吾郎の妹ポジになった転生者   作:とくめいです

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元日のお話し。
久しぶりにルビー視点となってます。


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「しんねん、あけましておめでとーございます」

 

 除夜の鐘を絶対聴こうと思ってたのにいつの間にか落ちてた私は、そんな事は気にせずに元日の子供のすべきを事を成すためにベッドを飛び起きてリビングへと向かう。

 

 そこには朝食の準備を終えてまったりしてるママがいた。

 

「お、早起きだね。ルビー♪」

 

 満面の笑みを浮かべて頭を下げる。両手を揃えて、前に突き出しおもむろにその言葉を発した。

 

「ママ、おとしだまちょーだい♪」

「うんうん、そうだろうね〜」

 

 にっこにこのママだけど、その身体は微塵も動かず。ま、まさか……

 

「お年玉くれないのー?」

 

 一転して泣き顔を作ってアピールする私。私だってコレくらいは出来んのよ、重曹ちゃんっ! それはともかく、ママは微動だにしない。

 

「流石にお金あげるのも問題なんだよね」

「なんでよー」

「ルビー、お買い物、できる?」

「うぐ」

 

 ママが正論言ってる……いや、驚くところはそこじゃないんだけど。

 

「それなら貯めておけば?」

「ミヤコさん」

 

 もこもこのセーターを着たミヤコさんがニコニコしながらポチ袋を渡してくれた。やったー、おかねだー♪

 

「……なんだ千円か。しけてんな」

「しけてるとか言う幼児イヤだわ……」

「ときどきおくち悪いよね、ルビー」

 

 は、ママがジト目でこっち見てる。新鮮な顔だ、推せるぅっ! じゃないや。

 

「はっ! そ、そんなことないよ? ミヤコママ、ありがとお♪」

「いえいえ、どういたしまして」

 

 どう思われようと構わないわ、お金だよ、お金。たしかにまだ使えないけど、自分の自由にできるお金って憧れてたんだよね〜♪ 前世では買い食いとかしたことなかったし。

 

 だけど、るんるん気分でポチ袋を崇めて喜んでいた私から取り上げる存在がいた。

 

「アイの言う通りだろ。今の俺たちじゃ使えないんだから」

「あくあ、返してよー」

「はい、アイ。預かってて。何なら通帳作ってもいいよ」

「あーっ」

 

 アクアの手によって、私のお年玉がママの手に渡ってしまった。うぐぐ、ほんの少しだけ早く産まれただけなのに兄ぶりやがって。

 

「それじゃこれは預かっておくね。あと、私のお年玉はコレ」

 

 そう言って見せてくれたのは銀行の預金通帳だ。名義は星野瑠美衣。私のだっ!

 

「ここに入ってるの、分かる? 二千円、入れておいたよ」

「ママ、最高、愛してるぅ。無限恒久永遠推しだよぉ」

「お、嬉しいなぁ♪ アレ? ずいぶん前のグッズのはずなんだけど……」

「ギクッ」

 

 ヤバッ 私の宝物だったからつい言っちゃったけど。どどどどうしようっ! こういう時は、厄介オタクのアニキにぶん投げようっ!

 

「お、お兄ちゃんから聞いたんだ(テヘペロ)」

 

 あ、アクアがスゴい渋い顔してる。巻き込んでゴメンね、でも何とかしてアクえもんっ!

 

「ハ、ハルねーが持ってたあのキーホルダーのこと?」

「あ……」

 

 ……せんせ、ハルちゃんに譲っちゃったのか。私の形見なのに。

 

「あ、あー……と。ハルナが言ってたけど、失くさないように預かっててって渡されたらしいよ?」

「そうなんだ……」

 

 アクアの言葉は言い訳っぽかったけど、海外に行くんなら確かに失くしちゃいそうだし。ハルちゃんに預けるのも分かる。家族なんだし。

 

「うーん。でもあれ漢字だったんだけど。よく読めたね?」

「そ、それは」

 

 あ、珍しい。ママのツッコミが的確でアクアが動揺してる。そこに救いの女神が現れた。

 

「私が教えたからですよ」

「なるほど。ハルちゃんなら読めるもんね」

「二人ともこの年齢では考えられないほど頭が良いですから、教えたことはすぐ憶えてしまうんですよ」

「うーん、やっぱり天才なんだね」

「そうですね(ニコッ)」

 

 煙に巻いてしまったハルちゃん。なかなかやるなぁ。

 

 と、そのハルちゃんもポチ袋を渡してきた。

 

「はい、私からもお年玉ですよ」

「ありがとぉ〜、ハルちゃん♪」

 

 まさか中学生のハルちゃんまでくれるとはっ! 開けてみると500円玉が一つだけど。

 

「ちゃんと消毒しておいたし、ルビーちゃんやアーくんは誤飲なんかしないだろうからお渡ししますね」

「ハルナちゃん、平気なの?」

「お小遣いの中からですし、大丈夫です」

 

 ミヤコさんがハルちゃんを気遣って聞いてるけど、私はそれどころじゃなかった。

 

 お金、しかも硬貨っ! 前世ではあんまり触ったこともなかったので、少しだけ憧れてたんだよね♪

 うん、重いな。おっきいな♪

 

「ありがと、ハルねー」

「はい。今年も良い子で過ごして下さい」

「うん」

 

 アクアも少し嬉しそうだ。ただ、なんか『俺の育てた子が小遣いくれた。(ホロリ)』みたいな表情してる。キモ。

 

「はあ、なんかいい所ハルちゃんに取られちゃったなぁ。仕方ない、こっちも出しますか」

 

 と言って、ママは手元の巾着から何かを取り出してきた。それは、携帯?

 

「新しく買うのはちょっと金欠で難しいんだけど、回線は開いたんだ。はい、二人とも」

「うわぁ……」

 

 携帯電話。

 赤ん坊のわたしの手にはまだ全然収まらないけど、ちゃんと電波も入ってるし、横の文字も出てるからネットにも繋がってる。

 

「これ、アイの持ってた奴?」

「そ。お古で悪いけど、新しいのはもう少し我慢してね♪」

「ううん、そんな事無いよ……ありがと。大切にする」

 

 アクアが珍しく和らいだ表情をしてる。わりと大人びてて、可愛げのないお兄ちゃんだけど。こうしてみると可愛い男の子だ。あ、別に変な意味じゃないよ?

 

「ママ、ありがとぉ。大切にするね」

「うん……ていうか、これ勧めてくれたのもハルちゃんなんだよね。二人とも早熟だから持たせてもいいんじゃないか、てね」

「お二人なら妙なことには使わないでしょうし」

 

 ほんわりと笑うハルちゃん……掲示板でレスバするのは暫くやめとくかな。

 

 でも。自分用の携帯電話が手に入ったのは、素直に嬉しい。なんだか少しだけ世界が広がった気がして。

 

「うふふ♪」

 

 電話帳には、ママ、壱護さん、ミヤコさん。そして、アクアの名前も入ってた。

 

 ……やっぱ、長過ぎだよね。愛久愛海(あくあまりん)て(クスッ)

 

 

 

 

 

・・(´~`)モグモグ・・

 

 

 

 

「おもちたべたい」

 

 ママとハルちゃんが食べてるのはお雑煮だ。私たちにはまだ早いらしいけど、どうしても食べてみたい。

 

 前世でまだ元気だった頃に、何回かしか食べたことなかったし。

 

「どうかな? ハルちゃん」

「まだ歯が揃ってないから、少し難しいかもしれませんけど二人とも頭は良いですから。小さく切って、よく噛んでと言い聞かせれば大丈夫かと」

「お野菜とかも平気?」

「よく煮てある大根なら大丈夫でしょう。葉物と根菜はよけてあげてください」

「ん。了解。ルビー、アクア。ちょーっと待っててね」

 

 ママがパタパタとキッチンへ向かう。ハルちゃんはもう信頼してるのか座ったままだ。

 

「お餅はくっつきやすいので、ちゃんと噛んで下さい。噛むとくっつき辛くなるので。あと、急いで飲み込まないように。喉に詰まっちゃいますからね」

 

 事細かに説明してるハルちゃん。まるで幼稚園の先生みたい……そういえば幼稚園も満足に行けてなかったな。これも少しトラウマだけど。

 

「大丈夫だよな、ルビー」

「もちろん。ちゃんと噛んで、慌てずに飲むからね」

「うん」

 

 中身大人だって言ってあるから、そこまでキツくは言ってこないアクア。ま、さすがにこんな事でリタイアなんてしたくないもん。ちゃんと噛んで落ち着いて飲み込むよ。

 

 

 

「! もちもちするぅ」

「お餅だからね♪」

 

 前世からかなり久々なお餅感覚♪

 こんなにモチモチしてたっけ? よく覚えてないなぁ。でも、なんだか楽しくなってくる。

 

「この分だとお汁粉とかも大丈夫かと」

「そうだね。お餅はいっぱいあるから、オヤツはおぜんざいだよ」

 

 やった♪ 甘いものは当然のように大好きなんで、単純に嬉しい。アクアもウンウンと頷いてる。こうしてるとお兄ちゃんも普通の幼児だ。かわいいね♪

 

 そこにピンポーンとインターホンの音。どうやらミヤコさんが来たらしい。ハルちゃんがドアを開けに行って戻ってきたら、その両手には大きな包みがあった。

 

「あっ、みんながついてたお餅?」

「そうなのよ。家だけじゃ処分出来ないし」

「しばらくは、お餅ざんまいですね」

 

 年明けの番組で、B小町のみんながお餅をついたのだとか。そう言えばやるとか言ってたけど、まだ見てないな。ちゃんと撮ってあるだろうから後で確認しないと。

 

 そののち、何日かお餅が続いたけど食べ切れなくて冷凍したらしい。

 

「俺たち幼児だからな。食べられる量なんて微々たるもんだし」

「ママもハルちゃんも、そんなに食べないもんね」

 

 まあ、暫くしてからハルちゃんがおかきに加工したら簡単に処理出来たらしい。主に壱護さんのお酒のツマミになったようだ。

 

「おいしい♪」

「よく噛んでねー」

「はぁい」

 

 おやつに出てきたそのおかきは出来たてで。ふんわり、さくさく。

 

「いっぱいありますからたくさん食べてね」

「……うん」

 

 アクアも気に入ったらしく、もぐもぐと口を動かしてた。ふふ、かわいい♪




星野ルビー

年明けからルビーはルビーです(笑)
笑顔から泣き顔になって、また笑顔とか。ころころと表情が変わるのいいですね。ところどころに地雷がありますけど、うまく処理できてるようでなにより。

星野アイ

お母さんとして通帳作ったりお金の管理にも気を遣ってます。たぶん、自分の時はそんな事されてなかったから思うところはあると感じますが。それでもいい母親になろうとしてます。

星野アクア

ルビーが電話帳を見て笑うのが、面白くない今日この頃。それでも親から渡された携帯には何らかの思いがあるようで、少ししんみりしてしまいました。

雨宮ハルナ

ママ役はアイにお任せして、アドバイザーに落ち着いてます。ちなみに先生からのお年玉は全部貯金してました。

正月のB小町

今年はアイは完全に正月番組に出ない方向です。なのでみんなで頑張ってます。
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