吾郎の妹ポジになった転生者   作:とくめいです

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またしても続き。推しの子なのにアイもアクアもルビーも出ないとかどうなってんのっ!(右舷、弾幕薄いぞ、みたいな感じで。)

途中に、回想場面が入ります。いつもの顔文字から顔文字までです。


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 ふわふわ。

 ふわふわ……

 

 ここが天国なのでしょうか。

 賽の河原とかはもう過ぎた? 三途の川も渡ったのかな? それとも、黄泉比良坂かな? いずれにしてもおどろおどろしい雰囲気は皆無で、ふんわりとした柔らかいものに包まれているような感じだ。

 

 ああ……安らぐ。

 なんでしょうか、この開放感。

 ずっと浸ってしまいたい、背徳的でさえあるこの安心感……。

 

 いや。

 だめだ。

 

 私にはそんな、資格はない。

 

 両親を死に誘い、保護してくれた方々を衰弱させ、あまつさえあの人まで死に追いやった。

 

 私なんかが生きていて、良い訳はない。死ぬにしても、こんな安らかな死は生ぬるい。

 

 地獄の業火で焼かれ、血の池で溺れ、針の山でその身を傷つける。

 

 それくらいが、私にはお似合いなのだ。

 

 死によって開放されるなんてダメだ。それは私には過ぎた救済だ。私は……

 

 

 

 

 

「は」

 

 …………。

 

 はて。

 この状況は、なんでしょうか。

 

 天井はあるもののけっこう低くて、周りはカーテンのようなもので包まれていて……コレは天蓋ベッドでしょうか。

 

「あ、起きた」

「わ、とと……」

 

 聞いたことのある声。そちらを向くと、九条さんと森本さんが並んでこちらを覗き見るようにしています。……アレ?

 

「寝顔を覗き見るのは、さすがにどうかと思います(プンプン)」

 

 起き上がり、正座をして二人にも正座をさせます。そして、お小言開始。わたし怒ってますよ、という体で言ってるのに、二人ともくすくす笑ってます……そんなに迫力無いかなぁ?

 

「ごめん、雨宮」

「申し訳ありませんでした、ハルナさん」

 

 そうして頭を下げれば、私としては許すほかはありません。ところで、ここは何処でしょうか?

 

「ここは九条のお家だって」

「貧血のハルナさんを放ってはいけませんので、こちらにお連れしましたわ」

 

 そうだ。

 確か、私は公園で……そこへ九条さんが来て……それから。倒れたのか。

 

「その節は大変ご迷惑をおかけしました」

「よろしくてよ。体調のすぐれない友人を見捨てておくほど、落ちぶれてはいませんわ」

 

 手の甲を当ててオホホのポーズ。

 む、今日のポーズは決まってますね。どうやら絶好調なようです。

 

「とか言ってー。雨宮、誘拐されてるのかと思ったよ、あたしゃ」

「なぁ、なんてことおっしゃいますの?」

 

 森本さんのツッコミに慌てる九条さん。あれ、この二人って初対面じゃないの? 打ち解けるのが早過ぎます。これが真の陽キャ……(愕然)

 

「とりあえず。お宅にはお許しを頂いてますので、今日はこちらにお泊りになって下さいな」

「ええ……でも、それは」

 

 既に窓からの光は無く、夜になっている。数時間は意識を失っていたらしい。そう言えば今日は双子ちゃんはミヤコさんと遠方へ出掛けるので遅くなると言っていたし、アイさんと社長は仕事でやはり遅めになると言ってました。

 

 つまり、急いで帰っても家事をする理由はあまり無いということです。

 

「それに、森本さんのお顔も立ててあげて下さい。貴女のことを心配して同行して下さったのですから」

「そんな、大したことじゃないけどな」

 

 森本さんがはにかみます。裏表の少なそうな彼女ですから、その言葉は本当なのでしょう。経緯はよく分かりませんが、その辺は追々聞けばいいことです。

 

「分かりました。森本さんにもご迷惑お掛けして申し訳ありません」

 

 ぺこりと頭を下げると、彼女は何故か不満顔です。

 

「あのさ。バカ丁寧に言わなくていいよ」

「え?」

 

 謝罪がいらないと言われてドキッとした私。ですが、森本さんは頬をかきながら訂正しました。

 

「ありがとう、でいいよ」

 

 ……

 そう、ですね。

 

「ありがとう、やすみさん」

「ん」

 

 満足そうな森本さん。

 

「九条さんもありがとう。すごく、助かりました」

 

 九条さんにもそうお礼を言うと、今度は彼女が不満顔をしました。

 

「わたくしには苗字呼びですの? 忘れてませんか?」

「そうでした。ありがとね、一華ちゃん」

 

 広いベッドの上で、笑い合うのは初めての経験で。それまでの陰鬱とした気持ちが少し軽くなりました。

 

 

 

 

 

・・(⁠-⁠_⁠-⁠;⁠)⁠・・

 

 

 

 

 篠原の手によってハルナさんの処置は終わり、今はベッドに寝かされています。制服はクリーニングに特急で出したので、代わりに私の部屋着を着てもらっていますけど。

 

 顔色は未だよくありません。押っ取り刀で来た医者が診察したところ、貧血の症状は改善しているとのこと。血を増やすための鉄が入ったお薬を持参していました。

 

『詳しくは検査してみないと分かりませんが、とりあえずはこちらを』

「大事でしたらただじゃおきませんわよ?」

『はは、怖いなぁ。身体的には健康ですよ、彼女は』

 

 身体的には、という言葉を強調する医者。それはつまり。

 

「やはりあのことですの?」

『あなたは、ご実家にいらしたのですか。だったらご存知のはずですね』

 

 ハルナさんの保護者だった雨宮吾郎医師の死は、基本的には周知されてません。全国紙でも僅かな紙面でしか扱ってなかったそうで、ニュースでも次の日には放送もされなかったので、一般の方はほとんど覚えてない。おそらく、あの森本という子も知らないはず。

 

 あの子は今、彼女の横にいる。この話を聞かれることはない。

 

『ハルナさんは強い罪悪感に責め苛まれてます。両親の死。祖父母の死。そして雨宮医師の死。その全てに関わってきて、自分だけ生かされている。自分は疫病神だとぽつりとこぼしてました』

「そんな……」

 

 それだけの不幸を押し付けられて、なぜ自分が悪いと思うのか。私には理解出来ない。

 

『ですが、少し安心しました』

「え?」

『心配してくれる友人が二人もいる。それは彼女に生きる意味を与えてくれるかもしれない』

 

 医者はそう言ってくれるけど、本当にそうなのか疑問は残る。今のあの子には、双子の子どもたちの方が比重は重い。自分などが支えになるのだろうか。

 

 そんな自分の内心を見透かしたように医者は言葉を続ける。

 

『双子ちゃんは育っていきます。そのうち、ハルナさんを必要とはしない人間関係を築きます。育てる側と育つ側は同じ世代とは言えません。流れる時間は違うのです』

 

 そうか。今は子供にかかりきりでも、いずれはその必要が無くなる。その時に彼女のそばに残るのは誰なのか。

 

『彼女には同世代の友人が不可欠です。しかも、あの子は時代の寵児。付き合うにも相応の立場や格が求められてくる。あちらの子は世界的ヴァイオリニストの娘さん。それにあなたは七聖堂グループを統括する九条家の御息女だ。将来性は十分でしょう』

 

 医者は感動したように言う。あからさまな追従にしか聞こえないので、私は否定する。

 

「ハルナは優しくて高潔です。立場とか将来性とかで友人を選んだりはしませんわ」

『それはそうでしょう。あの子は今どき珍しいほど純粋だ。だからこそ、思い悩むのです』

「……」

 

 たしかにそうかもしれない。

 彼女の周りで起こった数奇な出来事は、彼女自身には何も関わりはない。

 ご両親は事故であり、引き取った祖父母というのももとより高齢だった。雨宮医師に関しても、事故自体には関わりはなかった。

 

『あの子の才能が埋もれるのは世界の損失です』

「それほど買ってるのですね。あなたの推しはアイではなくて?」

 

 これはアクア君からの情報だ。あの子は目端が利き過ぎる。

 

『おや、ご存知ですか。僕は美しいものの奴隷(ファン)ですから。それこそ雨宮医師(せんせい)と同じです』

 

 にこやかに笑う医者に昏いものを感じた。それが何なのかは、若輩である私には分からない。

 

『私には息子は居ますが、娘はおりません。雨宮さんの娘さんなら私にとっては姪のようなものです。気にならない訳はない』

「それ、ハルナには言わないで下さいな」

『公私混同はしませんよ』

 

 私の言った意図を理解してないのか、彼はそう言って笑う。

 

 雨宮医師の娘、とか言われたら絶対にむくれますもの。

 

 

 

 

・・(⁠ノ⁠◕⁠ヮ⁠◕⁠)⁠ノ⁠*⁠.⁠✧・・

 

 

 

「こ、こんなごちそう……いいの?」

「構いませんと言ったでしょう? ハルナさんは少しあっさり目にして、鉄分の吸収を良くするようにさせましたわ」

「うん、ありがとう」

 

 客間に運ばせた夕食を見てハルナと森本嬢も驚いていた。まあ、少し大袈裟に手配したせいでもありますけど。

 

 ハルナのほっこりとした笑顔。

 これを見られただけでもお招きした甲斐があったというものですわ。

 

 森本嬢も、目を白黒させながらも料理に手を出してます。マナーとしては及第点ですが。それに対して、ハルナさんはほぼ完璧。あの人が教えた筈はないのに、どこで覚えたのでしょうか。まあ、ハルナだから仕方ありませんわね。

 

「森本さん、無理なさらず気軽になさいな。マナーをどうとか言うつもりはありませんのよ?」

「いや、いちおう頑張る」

 

 どうやら負けず嫌いのようです。

 まあ、覚えておいて悪いことではありませんけどね。

 

「やすみさん、ここはこうすると持ちやすいですよ」

 

 優しいハルナがフォローをしてます。ナイフとフォークを持つ手が固すぎるのです。少しはマシな姿勢になって喜んでます。単純ですわね。

 

「森本嬢は経験が少し足りないようですわね」

「こんなの必要なレストランとか二回くらいしか行ったこと無いよ」

 

 おや。そういう場に行ったことがあるだけでも一般人とは言えないのですけど?

 

「あと、私の名前は『やすみ』だからね。いつまでも『あなた』とか『森本嬢』なんて呼び方しないでよ」

 

 少しむくれたような顔をする森本嬢。確かに言いづらいですわね。

 

「承りましたわ、やすみさん」

「ありがとよ、一華」

 

 お互い名前で呼び合う。

 

 ふむ。

 あの医者の言うことも一理あるかも知れませんわね。




雨宮ハルナ

思い悩む事と体調不良が重なると死にたくなる。これは人の真理。なので、物理的なケアと精神的なケアで安らぎました(笑)テーブルマナーとかはいつものチートで知ってます。

九条一華

初期は我が儘お嬢様だったのに、いつの間にか気遣いのできるいい娘になりましたw 双子ちゃんが、アイの子供ということは知りませんが、雨宮先生が死んでるということは知ってます。

森本やすみ

お高めなレストランには一回しか入ってません。僅かな見栄を張る(笑)ちなみに八歳くらいの頃なので、当然のようにマナーとかは分かりませんでした。この辺が純粋培養お嬢様とは違います。いちおう種別としては庶民なので。 

田沼造硯

美しいものの奴隷というスタンスに共感して吾郎と友人関係になった人。ちなみにハルナの写真とかは見せられてないので、その当時は推しの範疇には入ってません。そういやこの人結婚してるんだよな……奥さんが怖いことになってそう(笑)

斉藤家、星野家

今回は完全に空気になりました。
ハルナのリフレッシュが目的なので、日常から切り離してます。視界の中に入ってる限り双子ちゃんやアイの事が優先されてしまうから。

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