吾郎の妹ポジになった転生者   作:とくめいです

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お遊戯会です。
アクア視点となってます。

あと、更新時間に間に合わなかった事をお詫びしますm(_ _)m


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『アクア君、上手ねぇ』

『そう? そうでもないよ?』

 

 

 お遊戯会の練習中、幼稚園教諭に誉められた時にわずかな後ろめたさを感じた。

 

 だってこれは、あからさまに才能によるものなのだから。

 

 前世である吾郎の頃にはこんなダンスをしたのは高校の劇の時か。もしくはキャンプファイヤーの時ぐらいしか経験はない。思う通りに動くどころじゃない。見せる角度とか、ポージングなんかも全て考えるまでもなく分かってしまう。勝手に身体が動いてしまうのだ。

 

 アイか、それとももう一方か。

 いずれにせよ、遺伝子によってもたらされたモノなのは間違いない。

 

 と、同時に優越感もあった。

 それはそうだろう。

 

 今までそんな事はほぼやってなかった人間が、ちょっと教えてもらっただけでちゃんとしたダンスを踊っているのだ。マニュアル読んだだけでガンダム操縦できるアムロみたいなものである。つまり、主人公補正というやつだ。

 

『うひょおおっ! 身体が、動くっ! 動くぞぉっ!』

 

 腕を振り、脚を降って身体を旋回させ、ぴたりと止まる。筋力や持久力などが養われてないから長続きはしないけど、身体を用いた動きに対してのセンスは非凡なものを感じさせる。少なくとも見ていた教諭数名と年少のみんなは手を叩いて喜んでくれた。

 

「すげー、アクア」

「ステキー」

「な、なんであんなにおどれんだよー?」

「けっこんしてー」

 

 なんか場違いな声も聞こえたけど、それはスルーしてルビーのもとへと戻る。横に座った妹の一言は嫉妬混じりの賞賛だった。

 

「ふ、ふーん……やるじゃない。ママの特訓受けた私に迫るとは」

「まあ、お互いやり過ぎたな」

「……もっと下手にしないと、だね」

 

 一般的に幼稚園のお遊戯会に才能の片鱗を探すのは難しい。

 

 フリルのよちよちしたダンスが十とするなら他の子たちは二とか三くらい。

 その中でルビーはおそらく三十くらい、俺がそのちょい下辺りとなれば目立つのは当たり前だ。

 

「アクア君、凄いね。将来はダンサーかな?」

 

 幼稚園教諭の一人がそう言って褒めてくれた。

 

「いえ、外科医を目指します」

「なんでぇ!?」

 

 ……この人、意外とノリいいな。

 

 ともかく。

 男の子のセンターは俺、女の子のセンターはルビーということに決まってしまった。

 

 ここから下方修正していくのは大変だなとは思ったけど、そうしないと俺等だけが目立つお遊戯会になってしまう。転生者二人が幼児たちを蹂躙するなんてそんな外道な真似はしたくない。平穏無事なお遊戯会を目指すのだ。

 

 

 

 

 

 お遊戯会は年長が水曜日、年中が木曜日、年少が金曜日となっていて、参加する組以外の子は来なくてもいい事になっている。

 

 一日毎に分けるのは面倒だという話もあるけど、やって来る両親などへの配慮も含めてなのである。人数多くて大変だろ?

 

 片親の子も居るけど、そういう所は代理で親族なんかが来てくれる場合がほとんど……そう考えると、ハルナの時はどうだったかな。

 ちゃんと行った覚えはあるけど、何をやってたかは思い出せない。親代わり失格だなぁと内心でぼやく。

 

「どうしたの? 緊張しちゃった?」

 

 アイがそう言って励ましてきた。気落ちしてるところを見せるわけにもいかない。首を振って「大丈夫」と答える。

 

 ルビーはミヤコのところにいる。社長はお仕事中。頑張ってね。

 ミヤコはともかく、アイは変装してないとマズイので今は俺らと同じ金髪、カラーコンタクトを入れて瞳も青くしている。

 

 それでも、輝きが抑えられないのはさすがというか。おかげで周りの親子や園児達の視線が釘付けだ。アイと認識はされて無くても、これでは意味が無いとも思う。まあ『どーしても、行きたいぃっ!』と駄々をこねられては致し方なし。星野家ではアイは一番上なのだ。

 

「おはよう、あくあ」

「おはよう、フリル。今日も可愛いね」

「ありがとぅ」

 

 近寄ってきたのは不知火親子。フリルは屈託ない笑顔で答えてくる。姉のころもは掴みどころのない性格をしてるけど、彼女はとても素直だ。きっと家でも可愛がられてるに違いない。

 

「あらあら、アクア君たら。うちの人より紳士ね」

 

 ころころと笑う不知火夫人。だけど、目は笑ってない気がする。少しやり過ぎたかもしれない。

 

 つい、昔の癖が出ちゃうんだよなぁ。それでもハルナと暮らすようになってからは止められてたんだけど。

 たぶん、この身体の遺伝子がそうさせてるに違いない。おそらく某劇団員とやらはダンス経験豊富でイケメンな女誑しに違いない(確信)

 

「フリルちゃん、綺麗だね♪」

「そう? ありがと、アイお姉ちゃん」

 

 アイの言葉に「うふ♪」と笑いながらくるりと回るフリル。

 

 今回のお遊戯会に合わせたお揃いの衣装は、女の子は妖精をモチーフにしたようなひらひらしたドレスだ。ちなみに男の子は童話の王子様みたいな格好である。白いタイツとか履くの初めてかもしれないな。

 

 これはここの幼稚園の備品で、各自洗濯してから返却することになっている。次の年の子たちも、同じことをするのだろう。

 

 後日談でもあるが、普通に洗濯機で洗おうとしてハルナに止められてた事を伝えておく。手洗いでないといけない物もあるんだよ、アイ。

 

「がんばってね」

「おう」「うん♪」

 

 ミヤコの声にそう答える俺たち。

 

 お遊戯会の内容は、有り体に言えばただのダンスだ。

 

 『Someday my prince will come』に合わせて動くだけ。まあ、幼稚園のお遊戯会なんてこんなものである。

 

 

 

 

 音楽に合わせてみんなで踊る。俺もルビーも、周囲に合わせたレベルのダンスをしている。女の子達が一列に並んで踊り、入れ替わって男の子が踊る。最後は男女一人ずつ挟まって二人で手を繋いで踊るという流れだ。

 

 当然のようにセンターの俺の相手はルビー。

 

「み、ミスらないでよ」

「そっちこそ」

 

 手を取る時にルビーが小さく言ってきたので、そう返す。手を握ると、ふにふにとした感触に少し緊張した。

 

『やわらかい……幼児だから当たり前か』

 

 産科医をしていた時も小児や幼児とは関わっていたし、何ならハルナとも手を繋ぐ事はしていた、ハズ。

 だから、子供の手が柔らかいのは当然のように知っていた。

 

 ルビーを見ると、やはり緊張した面持ちだ。練習は上手くできても本番はそれなりに緊張するものだし、気持ちも分かる。かく言う俺も、高校の時の劇ではやたらと声が上擦ってNG出しまくった覚えがある。

 

「ミスったらフォローするから」

「そっちこそ、私にフォローさせないでよ?」

 

 悪態をつき合う俺たち。

 気が付けば。いつの間にか曲は終わって、みんなで挨拶をしていた。

 

 無我夢中の中で、初めてのお遊戯会は終わったのである。

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、神ってたわ、スゴかったっ!」

「上手にできてたわね」

「さすがです、アーくん、ルビーちゃん」

「お前らだけ、なんか浮いてねぇ? 大丈夫か、これ」

 

 その夜、星野家のリビングで斉藤夫妻にハルナを交えて上映会が行われた。

 

 アイのハイテンションぶりは近年稀に見るレベルであったけど、逆にミヤコは冷静にキッチンの方から眺めている。アイと同様に高めなハルナが、家事の手を止めて見入っているからだ。そんな中一人手酌で酒を飲んでる社長はマイペースに的確に見ていた。

 

「これでも苦労したんだよ。な、ルビー」

「うん。がんばって手を抜いた」

「それ、絶対他のみんなには言うなよ。トモダチなくすぞ?」

 

 こくり、と二人して頷く。それを見て社長は少し笑ってから手をルビーの頭の上に置いた。

 

「ま、頑張ったな。うまかったぞ、ルビー、アクア」

「、……うん♪」

 

 ルビーの、存外嬉しそうな顔に俺も嬉しくなった。

 

 よかったな。

 前世が引きこもり厄介オタクでも、ちゃんと出来たじゃん。

 

 言葉にしない優しさは、持ってるつもりだ(フンス)

 




星野アクア

遺伝子のせいでダンスも上手くなって少しチョーシのってます(笑)

星野ルビー

内心ビクビクしてたけど、隣で済ました顔してる奴を見て奮起しました。おかげでみんなに褒められて、幸せな日だったとさ(昔話?)

星野アイ

いつもより多めの変装をしてお姉ちゃんという体で見学に来ました。お陰様で生でお遊戯会を満喫出来て嬉しくてテンションおかしいです(笑)

斉藤ミヤコ

撮影担当。その日の夕飯は星野家で取ったのですが、ハルナが台所に立たないので彼女がやってました。まあ、やれますからね。

斉藤壱護

晩酌しつつ子供褒めるだけの人生なら楽だったんだけどなぁ(笑)

雨宮ハルナ

テンションおかしい二号。二人を推してるハルナとしては、これは永久保存モノですよっ!
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