「え......」
章平はまばたきを繰り返して、すぐにぶんぶんと頭を振るう。そして踵を返して、赤柳の元へ急いだ。来た道をそのまま引き返せば、すぐに彼と再会することが出来た。
「しこくくん!」
ショックが大きいのか、彼はまだ蒼白な顔をしていたがーーけれども、かろうじて正気を失うまいと、険しい顔をして章平を見上げた。
「アナウンスが鳴らない。あいつらを呼ばなければ」「うん......。知らせなきゃだよね。事件が、起こったって.......」
でも.....。章平は目の前の彼を気遣いながら、きょろきょろと周囲を見回す。近くに人気は無い。各自好き勝手に行動している中で、全員を探して集めるのは時間がかかる。二人で動き回っている間、それこそ犯人が現場に戻ってきて偽装工作を済ませてしまったら......事件を解決するのが困難になってしまうおそれがある。赤柳も同じことを考えているのだろう、"呼ばなければ"と先ほど口にしたはずだが、その場から動こうとはしなかった。膠着状態一一章平が再び探偵に声を掛けようとしたところで、二人を呼び止める音が鳴った。
「おやおや、お二人ともお揃いで。どうやらお困りのようですね」
「......モノヴォル」
「皆さんを召集する術が機能していなくて大変でしょう? まあ、ご心配には及びませんとも。すぐに.....」
――ピンポンパンポン♪
――死体が発見されました。一定の捜査時間の後、学級裁判を始めます。
「ほうら、ね? これで皆さん事件発覚を認識出来まし
た」
モノヴォルの台詞の後、タイミングよくアナウンスが流れる。誇らしげに振り返る狐の顔を、赤柳はじとと睨みつけた。
「.....お前、何故さっきは鳴らさなかったんだ?」
「基本設定があるんですよ。その通りにシステムが稼働しているというだけです。でもまあ、人数も減ってきたことですから、これまでの設定では事件発覚が困難になりますので~、つい先程、ちょいと設定をいじって改良しておきましたよ! というわけで、今ちゃあんとアナウンスが鳴ったわけです。ワタクシってばほんとに優秀! 有能!」
お喋りな狐の不快音が廊下に響く。章平は赤柳と共に、ぬいぐるみの言葉を大人しく耳に入れるしかなかった。程なくしてばたばたと足音が近付いてきたかと思えば、生き残った生徒たちが集合した。
「しょーへーちゃん! しこくちゃん!」
「二人は無事だったんだね」
「誰が……」
赤柳は黙って生徒手帳をかざして、更衣室の扉を開く。そこには、章平が先ほど目撃したものと変わらない光景があった。
「そんなっ……」
「ウソでしょ、こたろ……」
惨状をついに目撃してしまった他の生徒たちは、息を呑んでショックを受けた様子だった。何度繰り返しても、突然クラスメイトが亡くなっている現実を受け止めるのは難しく、まだ、慣れない。
その場の全員が事件を理解したことを確認して、モノヴォルはとことこと全員の注目が集まるところへ移動する。そしてそのままこつりとステッキを地面に叩いて、まるで冷静な現場監督のように声を上げた。
「捜査時間は特別に! 異性の更衣室への立ち入りを許可致しますよ。十分に捜査ができないと言い訳をされても困りますからね」
さあさあとぬいぐるみに促され、全員が現場に踏み入る。改めて遺体を間近で目撃した女子生徒たちは、ますます顔を歪め、中には顔を背けた者もいた。そんな生徒たちの様子にも構わず、自称紳士はぽてぽてと練り歩いていく。
「それでは、皆様お揃いですのでこちらを。おなじみモノヴォルファイル! ではでは、また捜査をよろしくお願い致しますね」
「…………」
生徒たちにいつものファイルを手渡ししていき、モノクロ狐はぽてぽてと去っていく。もはや見慣れたこの時間は、初めての時よりずっとはやく終了することになった。……単純に、配る相手である生徒が半数以下に減ったからだ。
「……とにかく、捜査をはじめましょう」
生徒たちの意識を変えるように、静かに白雪がそう言った。一同は顔を見合わせて、それでもやるべきことを成さねばならないと覚悟を決めて、各々動き出す。
【捜査開始】
早速、一同がいつものように散り散りになっていく。まずはファイルの内容を確認しよう。いつもなんてことない情報しか記載されていないが、手掛かりの一つだ。
『モノヴォルファイル4』
——被害者は"超高校級の漁師"伊海田航太郎。
死体発見現場は男子更衣室。
死亡推定時刻は午後4時頃。
後頭部に打撲痕があり、右手の親指には噛みちぎったような傷がある。
打撲痕と、噛みちぎった傷……。ふむ、とひとまず章平はファイルをしまう。くるりと向きを直して、まずは現場を見ることにした。焦げ臭い煙はまだ残っているようで、つんと鼻の奥を刺激する。
彼の惨状もまた、凄惨な現場であるはずだが――記憶にまだ新しい前回の二人の有り様と比べると――まだ心を乱さずに済む程度の現場だ。早速いつもの作業に取り掛かる星永に目を留めれば、彼女もこちらを見上げたところだった。赤柳がするりと横を通って、彼女に大まかな予想を聞いた。
「世絆、分かりそうか?」
「たぶん頭部を殴られた感じかなと思う……。もっと詳しく見ないと、分かんないけど……」
「出血は見たところ、指と、後頭部だけのようだからな……」
倒れたままの漁師をそのまま上から見下ろすようにして、捜査班は集まる。なるたけ現場は荒らさないように、けれどもくまなく調べねばならない。もう四度も遺体を検分している介護士が、いちばんの適任であることは周知の事実だった。
「世絆、今回も検死を頼めるか?」
「もちろんだよ。でも……」
当然の提案に、章平はそのまま見つめる。快く頷いた赤ずきんは、しかしすぐに表情を曇らせて遺体に視線を移す。
「見張りを置いちゃうと、動ける人が少なくなっちゃうよねえ……」
「そうだな……」
今まで彼女と共に現場に残り、見張り役を買っていた彼はもう、息をしないものになってしまった。代役を立てようにも、赤ずきんの言う通り捜査に割ける人員が減ってしまう。
「だからぼく、検死しながら見張りするよ」
「お前なら万が一……ということは無いと思うが、……大丈夫か? 僕で良ければ――……」
「んふふ。しこくちゃん、しばらく見ない間に……。なんかいーことあった?」
「はあ?」
思いがけない言葉が赤ずきんから飛び出したので、さすがの赤柳も、思わず気の抜けた声を上げた。それからすぐに表情を曇らせて、不貞腐れるように目を伏せた。
「無いだろ、良いことなんて何も……。人死が発生したんだぞ」
「それは、そうだね。……でもほら、しこくちゃんてば、前より朗らかになって――」
「ごほ! ごほん! 分かった一人でもいいなお前は」
「ええー? しこくちゃんって、意外と照れ屋さん?」
「佐渡、行くぞ」
「ほえ? でも、しこくくん……ずきんちゃんは」
「放っておけ!」
スタスタと構わず歩を進めていく彼と、その場に留まる赤ずきんとを見比べて、章平は慌てて王子の方へ着いて行く。しこくくんが照れ屋さんって、どういうことだろ? とても疑問に思う事だったが、今はそれより捜査が重要。静かにそっと胸にしまっておくことにした。
◇
兎にも角にも、まずは現場の調査。手掛かりを探していく。早速妙なものを発見した。
遺体の傍にある不思議なもの。どろどろになってカーペットにこびりついている何か……。原型を留めていないほどに変形してはいるものの、それが何なのか章平はすぐに分かった。
「ろうそくだ」
「溶け切ってしまっているな。何故こんなところに……」
「あろまってやつかな? ターリアちゃんがね、言っていたよ! よく眠れるんだ〜って!」
「そうか……。だが、……いや、これは普通のろうそくのようだな。特段香りに特徴のあるものではなさそうだ」
一本だけ燭台にセットされていたものが、火災の時の熱で溶け切ってしまったのだろう。それが容易に想像つく状態だった。思い付いたのは、眠り姫の彼女。眠れない時は良い香りのアロマキャンドルを焚いてベッドにもぐるのだとか……。赤柳は溶け残りに鼻を近づけたが、首を振った。
章平はそのままぐるりと周囲も見回してみる。換気しているとはいえ、煤のようなものであちこち部屋は汚れ、まだ焦げ臭い匂いが残っていた。
「燃えかすがすごいねえ。火事があったのはここだよね」
「犯人が何かの目的で火災を発生させた、ということだろうな……」
「何のため? アリバイ?」
「まず考えられるのはその可能性だな」
赤柳が腕を組んで頷く。アリバイ作りのために、火事を起こす。つまり、火事が起きた時に誰かと一緒だったと証言出来る人が犯人である可能性がある。
「うーん、ろうそくを使って……時限式の仕掛けを作って……。でも、狙った時間にうまく火事が起こるのかなあ」
「蝋の溶ける速さはおおよそ割り出せると思うぞ。それから、燭台の受け皿に水分があれば……終盤に水分と反応して、火のついた芯が弾けて飛ぶ。近くに可燃物があれば、燃えてしまうだろうな」
「わあ! そんな仕組みが……」
さすが名探偵。これだけの証拠から、仕掛けを割り出してしまうだなんて! 章平は赤柳の知識に、素直に感心した。けれども、章平の褒め言葉にも動じず、赤柳はまだ考え事をしているようだった。
「しかし、もっと不可解な点がある」
「なんだい?」
思わず章平が聞き返すと、赤柳は顎に手をやり不服そうな表情を見せる。
「消火設備が機能したらしいが……。現場が全く濡れていないのは、おかしいと思わないか?」
「…………。ん? あっ本当だね! どうして濡れていないのかな?」
消火設備、といえば……スプリンクラーか何か、散水設備が起動したと考えるのが自然だ。しかし、現場は明らかに火災の痕跡があるにも関わらず、その場にあるもの全てがからからに乾いている。
「お水を使わないで火を消した……ってこと? でも、うーん……? どうやって?」
そういえば、よく眼にする持ち運びの出来る赤いやつ――消火器の、その中身は水ではなく粉末状の薬剤である、という話は聞いたことがある。しかしそれも、伝え聞いた話……。実際に章平が学校の防災訓練などで目の当たりにしたものは練習用。消防署が貸し出している訓練用の水消火器と呼ばれる、それこそ水が充填してあるものしかない。そもそも、本物の火災に遭遇したのも今回がはじめてなのだ――。
「粉……じゃあ、ないよねえ」
「そうだな……薬剤であれば、粉末の汚れが残っているはずだが……」
探偵の言う通り、現場は整頓されてはいないものの、汚れというような汚れは血痕と、火事の跡くらいしかなさそうだ。粉末状のものが撒かれた様子はまるでなく――……。
今考えても答えは出ない。ひとまず現場の情報を集めて、それらが何を意味するのかは裁判で考えていくべきだろう。相棒もその考えなようで、ふたりで目配せをして再び調査に戻った。
◇
とはいうものの、現場で確認出来るものはほとんど燃えてしまっているようだ。黒焦げになった燃えかすが部屋中に残っている……。
「あれ……こんなに燃えるようなもの、このお部屋にあったかな?」
「いや……。前にプールでの懇親会があった時以来だが……その時は、ここまで燃焼するようなものはそんなに無かったと思う」
赤柳はあのプールで遊ぶ会以来の来訪のようだ。章平も、この場にはほとんど訪れなかったが……。けれど、その時の様子は覚えている。トレーニング機器と、ロッカーと……水着やウェアが一角にある。燃えそうなものはトレーニングウェアだが、それらはところどころ焦げているもののそれだけだ。大量の燃えかすになるほど減っている様子も無い。
「そうだ佐渡、一旦、僕とお前が遺体を見つけるまでの話を共有しておかないか」
「! うん、そうしよう! ぼくはねぇ、みんなと別れてから図書室でご本を探していたんだ。お話会をしたらどう? って、言ってくれたから」
「そうか……」
赤柳の提案に、章平はすぐに賛成する。自身の知ることを話すと、目の前の彼は神妙な面持ちで語り出した。
「佐渡、僕はな、伊海田から手紙で呼び出しを受けてトレーニングルームに向かったんだ」
「太郎くんに?」
「ああ、それがこの手紙だ。気付いたら個室のドアに挟まっていた」
それは耳を疑う告白であった。何故なら、その呼び出しの主はいま、殺されてしまった当人で――……。
ポケットから取り出されたそれを受け取って、中身を検める。大きくて少し粗い字で、舞踏会の誘いの前に話がしたいという内容が書かれていた。確認してすぐに彼に返すと、それは丁寧に再びポケットに仕舞われた。
個室のドアに挟まっていた手紙、といえば……。なんだか既視感のある状況である。章平が過去の事例を思い出していると、赤柳は続ける。
「呼び出しに従ってトレーニングルームへ向かう途中、焦げ臭いにおいがすると思ったら突然あの警報音が鳴ったんだ。出火はプールの方だと分かったんだが、トレーニングルームに入ろうとしたら、システムエラーとやらで……手帳をかざしても反応が無かった。ようやくドアが開いたと思ったら、そこで伊海田が倒れていたんだ……」
何かを隠している風でもなければ、嘘をついている様子も無い。知っていること、分かっていることしか言わない、いつもの捜査時間の彼だ。章平は一旦、その全てを素直に聞き入れることにした。
「それで……ぼくが通り掛かったのかい?」
「ああ……。もう呼吸も脈もないことが分かったんだが、アナウンスが鳴らなかったから……。おかしいと思って、誰か人を呼ぼうとしたところだったんだ」
「そうだったんだね……」
◇
「てことは、第一発見者が赤柳ちゃんてこと?」
「ああ……」
背後からふいに声が聞こえたかと思えば、そこに立っていたのは赤毛の神父だった。
「ごめぇん、聞く気はなかったんだけど聞こえちったからさぁ」
「いや、構わん。共有すべき情報だと考えていた」
「そっか、ならよかった〜」
章平も同じことを考えていたので、特に不快な気分にはならなかった。捜査時間というのは、残っている生徒たちで出来るだけ協力し合うべきだろう。彼も同じことを考えているのか、自身の知っている情報を開示してくれた。
「ちな、俺ちゃんねえ、白雪ちゃんの部屋で白雪ちゃんと衣装調整とかしてたんよ。カーテンもやんなきゃだったし〜」
「そっか、危ない道具を使う作業は、白雪ちゃんのお部屋でやるお約束をしていたんだったよね」
「そうそう〜。俺ちゃん商売道具、没収されちっててねぇん。んで〜、そのまま白雪ちゃんの目の前で作業してたら、あの警報があって、アナウンスが流れて……」
「それまでずっと一緒だったのか」
「流石にお手洗いとか行ったけどねぇ」
意外そうな表情で、赤柳は加連を見つめた。確かに、白雪姫と神父といえば、いつも言い争って喧嘩している印象である。あの犬猿な雰囲気だった相手と、まして個室の中で過ごしていただなんて……想像するのは難しい。けれど、ここ最近の彼らはお互いにお互いを支えて、必要としているような……そんな様子だった。そうでなくとも、あの時は、ほとんどペアで作業やらをしていたはずだ——……。
「でも、しこくくん。他の子もいろいろやることがあったみたいだから……アリバイはみんなあると思うよ」
「……単独行動は僕だけか」
「まあまだトリックとかあるかもしんないし! 俺らもそれだけで赤柳ちゃんとは決めらんないよ」
フォローするように加連がまあまあと言う。彼の言うことはもっともだ。犯人を見つけ出すためにも、とにかく、今は情報を集めなければならない。
◇
再び伊海田の周辺を観察していると、今度は彼の指が赤く汚れていることに気付いた。人差し指と親指だけ? ああ、これが噛みちぎった痕かとすぐに納得するものの、何故こんな怪我をしているのか不明だ。不審に思い視線を移動させれば……床に、血で書かれたような記号を発見した。
「しこくくん!」
すぐさま探偵を呼べば、彼は章平と同じく屈み込む。証拠を指し示してやれば、何が言いたいのか伝わったようだ。
「これは……メッセージだよね。えっと……なんだっけ、ターニング……」
「ダイイングメッセージ、だな。……そうだな。血文字……。一旦、瀕死の伊海田が遺したものだと考えて良いだろう、問題は……」
「なんて書いてあるか、だよね……」
じいと章平はその文字を見つめる。文字というよりは簡単な記号……そう、それこそ線と点の組み合わせ。
「なんだろう、棒線と点に見える.....」
「……モールス信号?」
「モールス?」
章平はその単語を知らないのでそっくりそのまま聞き返してしまった。けれども赤柳は丁寧に説明してくれる。主に電気通信や海上での船同士のコミュニケーションに用いられる、短点と長点の組み合わせで文字を表現する方法のことであるらしい。
二人の会話が気になるのか、まだそこにいた加連が割り込んできた。
「そういえば、こたニキと青錆ちゃんがねえ、モールス信号知ってるんだ〜って話しててさあ。俺と菊音ちゃんも、ちょぴっと教えてもらったんよね」
「そっか、漁師さんだから.......」
「青錆は何故知ってるんだ......。シュヴァン城は山奥にあるが、近くに街もあるだろ。使用する場面なぞ思い至らないが」
「面白そうだったから覚えたって言ってたな〜......。この前のことといい、モールスといい、マルチリンガルなことといい......。青錆ちゃんてほんとに何者?脳みそどうなってたんだろね?」
加連が不思議そうに首を傾げる。あの城主はついこの前、人間離れした芸当を軽々とこなして殺人を行った。
そうでなくても一一彼の出身地は日本ではない外国であったのだ。生まれた時から慣れ親しんだ言葉ではない言語で章平たちとごく自然に会話をしていた事実が、既に彼の頭脳が飛び抜けて優秀である証拠だった。
「.....ひとまずそれはいい、加連。これは解読出来る
か?」
「教わったって言っても......字を当て嵌めて解読とかまでは、出来ないけどねぇ......。そんな細かく覚えてないよお」
「とにかく、見てくれ」
有無を言わさぬ態度に、渋りながらも近付いて靴職人は記号を見つめる。フルーティストが指を差して一緒に解読を試みた。
「上の段は棒ふたつ、点ひとつ。下の段は棒がひとつに、点が3つ並んでるんだ」
「ツーツートン、ツートントントン......」
「2文字?」
加連の区切り方を隣で聞いて、章平はすぐにそう思った。二文字。たった二つの文字で構成される単語というと……かなり数が限られる。果たしてこれは、本当に意味のあるものなのだろうか? 章平が不安に思いながらも、しかし靴職人にはそれがなんなのか分かったようだった。
「......うん。これは......これは、ちゃんと知ってるやつだ。そっか、"ダイイングメッセージ"だもんね.....。ちゃんと教えたやつじゃないと伝わんないよね......」
「なんて書いてあるの?」
「意味は何だ?」
伝わった様子ではあったものの、章平と赤柳が揃って詰めると、加連は眉間に皺を寄せて困惑の表情を見せるばかりだ。もったいぶるというよりかは、訳がわからないといった風な様子で、ふうと頬杖をつく。
「意味.....。これ.....さあ、意味分かっても、しょーもないというか、犯人の名前とかじゃ全然ないっていうか.......なんだろ、なんでこれにしたんだろ.....? だったら普通SOSとかにしない?」
「SOSは僕も分かる。トントントン、ツーツーツー、トントントン......だろ?」
「え〜赤柳ちゃんも分かるんじゃん!」
「有名だから知ってるだけだ......。モールスは欧文と和文符号があったろう? これがどちらかさえ分からん
ぞ、僕は」
「でも、これ本当にそんな意味なんか無
い......。………………」
「......靴屋くん?」
不満気に首を傾げていた靴職人は、途中ではたと言葉を止めて静止する。思わず章平は声を掛けた。すると彼は、何かひらめいた様子で視線を上げる。
「......なんか分かったかも?」
「何が?」
「これが答えじゃないんだよ、たぶん」
「え、え? どういうことだい?」
「ごめん、意味は裁判ででもいい?」
「え?」
困惑していれば、神父は今まさにすぐにでも何処かへ行ってしまいそうだった。彼を引き止めるために、強めの口調でフルーティストは声を上げる。
「おい、重要な証拠の内容を何故伏せる?」
「ごめん後でちゃんと説明するから!」
かろうじて断りを入れ、神父はそのまま足早に去っていく。章平たちは釈然としないまま、彼のその背中を見送るしかなかった。
特徴的な赤毛が見えなくなると、章平は赤柳と顔を見合わせる。
「……とにかく、僕たちは捜査に専念しよう。あいつの勘違いという可能性もないとは言い切れん」
「そうだね、うん。ようし」
探偵の声掛けに、章平は改めて気持ちを切り替える。現場の他にも、調べなくてはならない事はたくさんあるのだ。
◇
「しこくちゃん……しょーへーちゃん……」
「世絆?」
章平たちが別のところへ向かおうと思った矢先、少し沈んだ様子の愛くるしい声がかかった。振り向けば思った通り、検死担当の赤ずきんである。
「どうしたんだい、ずきんちゃん? むつかしいお顔をしているよう!」
「ちょっと、分かんなくなっちゃってぇ……」
「分からなくなった、とはどういうことだ?」
困惑の様子を見せながら、しかし念の為の共有事項なのだろう。詳しい話を赤柳が促せば、すぐに彼女は説明を始めた。
「あのねぇ、こたろの致命傷、頭の傷かなあって言ったでしょう? なんかねぇ、違うかもなの……」
「違う? だが……目立った外傷はそこしかないんだろう?」
「うん、でも……。それより気になることがあるっていうか、なんていうか……。んー、やっぱり……窒息の方がぽいなあ……って……」
赤ずきんの言葉に、章平は思わずまばたきを繰り返す。頭の傷は直接死因に関わらない。窒息……。赤柳は少し顎に手をやって考え込み、再び星永を見つめた。
「窒息……絞殺されたということか?」
「ううん。首を絞められた痕は、なくって……でも、チアノーゼとか……なっちゃってるぽくて……。頭も、そんな深い傷ではなさそうなんだぁ」
「じゃあ、お水に沈められたとか……? プールが近いものね?」
「だが伊海田も、周囲にも。水が滴ったような形跡はなかったぞ」
「うーん……。……お水を乾かすために火事を起こしたとか?」
「…………」
絞殺ではないとすれば……と、思いつく限りのことを口に出してみても、なんだかあまりしっくりこない。近くに水場があるのだから、それを使うのが手っ取り早い気もするが、証拠はそう示していない。水分を蒸発させるために火事を起こしたところで、わざわざ火事でなければならない理由もなさそうだ。謎は深まるまま、しかし章平たちは捜査を続けるしかなかった。
ひとまず現場の捜査を中断して、他の場所も見て回ることにした。
◇
倉庫に着けば、赤柳は早速いつものようにバインダーを手に取り、備品のチェックをしていく。しかしどうやら今回は、ここで得られる手掛かりは少なそうだ。
「ろうそくと燭台はここから持ち出したもので間違いなさそうだな」
「やっぱり、誰が持って行ったのかまでは、分からないねえ」
「僕が個人的に行なっているだけのものだからな……」
赤柳はため息をつく。けれど、道具の出処が分かれば犯人の動きは見えてくる。少なくとも一度はここを利用したということなのだ。
「奇遇ですね、二人とも」
「泡淵」
かちゃりとドアの開く音がしたかと思い振り返ると、そこには車椅子の少女がいた。彼女はすぐに章平たちに近づく。
「もしかしたらと思って、ここも見に来たのだけど……。ひょっとして……」
「ああ。持ち出されたものは、ろうそくと燭台くらいだ」
それを聞いて彼女はこくりと頷くと、かたかたとタイピングをする。どうやら彼女も、これまでの調査を共有してくれるらしい。
「ひょっとしたらと思って、化学室を見て来たんです。劇物が沢山ありましたから……。でも、初めて来た時と変わらなかったわ」
「つまり……化学室の薬品には、手をつけられていないということか」
探偵の確認に、人類学者はこくりと頷いた。薬品に手を付けられていないとなると、やはり火災の原因はろうそくによるもので間違いなさそうだ。また、毒物による窒息というのも考えにくい……。
「あとはまた、みんなのアリバイを確認していたのだけど……」
「ぼくとしこくくんは、一人で居たよう。靴屋くんは、白雪ちゃんと居たって!」
「そう、じゃあ、他の人のことを共有しようかしら。私はせつなちゃんと一緒に居たの。娯楽室で……いろいろ、飾りの参考になりそうな装飾を見たり、アイディアを話し合ったりしていたわ。あと……」
「ありすは確か、グレーテルちゃんとお菓子のことをやってくれていたよね?」
「そう。国中さんと菊音ちゃんは、二人で厨房にいたそうよ」
「やはり、明確にアリバイが無いのは僕くらいか……」
他の生徒たちが皆、ペアで行動していた事実を知って、赤柳は考え込むように顔を伏せる。その表情は、事件について考える時のものでもあったが……少し、寂しそうにも見えた。
人魚姫が再びキーボードを叩く。
「でも、伊海田君は何処にいたのかしら? 赤柳君に、話を聞きに行くと……そう言っていた気がしたのだけれど」
「ああ……。僕も、あいつに話を聞きに行ったんだが……」
フルーティストは、先ほど章平に共有した話を人類学者に伝えた。手紙での呼び出し、ドアにロックが掛かっていたこと、システムエラー……。彼女も難しい表情を見せたが、すぐに顔を上げて微笑みを返す。
「赤柳君、お話してくれてありがとうございます。システムエラーについて……少し調べてみようと思います」
「そうか、助かるよ」
「人魚ちゃん、よろしくね!」
車椅子の少女はこくりと頷いて、またタイヤを走らせていく。章平たちも、次の場所へ向かうことにした。
◇
赤柳に着いて歩いた先の到着地点は、視聴覚室だった。相変わらずあの不気味な電話機が鎮座している。そう、モノヴォルに持ち出された今回の動機——"ペアレンツテレフォン"である。
電子生徒手帳をカードリーダーに翳して受話器を取ると、両親いずれかの声が聞こえるという代物。実際には本物の両親ではないようで……さらにどういうわけか、精神汚染作用がある様子だった。危ないものに再び近づく赤柳に、牽制の意も込めて声を掛ける。
「テレホンを調べるのかい?」
「一応。今回動機として提示されたものだからな……。少しは関係があるかと思う」
とは言ったものの、周囲を見渡しても不審なものは特に無いようだ。赤柳はテレホンの周りを観察しながら、時折手で触れて何かを探しているようだ。章平が細かいところも調べるべきかと考えはじめた頃に、目当てのものを見つけたのか、フルーティストはあっと声を漏らした。
「何か見つけたのかい?」
「ペアレンツテレホンを使用した回数ログがある」
「へえ」
テレホンの背面、分かりにくいがタッチパネルの液晶になっている部分があった。以前までそこはテレホンの本体と同じ色をしていたので気付かなかったが……。いまはくっきりと画面に数字の羅列が表示されている。どうやら起動さえすれば、いつでも見られるもののようだった。
早速数字を見つめる。ランダムな数字の配列。十桁ほどの数字の配列と、それに対する使用回数が表示されているのだが……。
「誰がどれなのかわからないね......」
「電子生徒手帳ごとにIDが割り振られているようだな。詳細は分からんが、ざっくり回数で誰がどれなのかは分かりそうだ。一番多いこれは......僕だろうな」
「ええ!? し、しこくくん、52回も使っていたのかい!?」
「よしてくれ......。今となっては、本当に愚かだったと反省している.....」
改めて他者から言われ耳が痛いのか、赤柳は忌々しそうに頭を抱えて首を振る。皆で一緒にやった時は、一回だけであんなに嫌な気分になったのに……意外と改めて使用する生徒は多かったようだ。
「回数が多いほど、へんな気持ちになりそうって......白雪ちゃんが言ってたしね......」
おそらく、あの時彼が自傷を試みたのも、この道具が影響しているのだろう。あの様子は明らかに平常ではなかった。"へんな気持ち"にさせられて――それがずっと影響していたのだろう。
「ぼく、そんなに使ってないから......この、5回のやつかも」
5回、6回、6回、6回、7回……と、誤差のような数字が並んでいる箇所がある。5回は章平だとして、他の4人も同じくらいの使用回数ということだ。つまり、章平はどちらかといえば多数派。5〜7回の使用回数に留まっている生徒が過半数いるということだ。
「それにしても、極端に少ない奴もいるな......。2回?」
最も少ない使用回数は2回のようだ。章平でさえ、5回は使ったらしいというのに……いくらなんでも少な過ぎる。これはおそらく、「何も聞こえない」と残念そうに言っていた靴職人の記録だろうか。ついついと画面を指で動かしながら、赤柳は記録に目を通していく。最後までスクロールを終えたところで、ふと彼は眉を動かした。
「……おかしい」
「どうしたんだい?」
「数が合わない」
彼の言葉に耳を傾けて尋ねれば、不審な事実が飛び出した。"数が合わない"? そんなことはあり得ないはず。何故なら、このテレフォンは――期限内に一度は使用しなければ、モノヴォルから罰を受ける……そういう一方的なルールが敷かれたはずだった。犠牲になった伊海田の他、懲罰を食らう生徒はいなかったはずだ。そもそもあの漁師がテレフォンを使用したのは、章平たちの目の前だった。ならば懲罰の結果殺されたというわけではないだろう。
「おそらく、ひとつの電子生徒手帳につきひとつのIDが割り振られ、その使用回数が記録されている……とは、思うが。僕たちの人数よりIDが多い」
「……ほんとうだ。太郎くんを入れても、ぼくたち9人だったのに……。10個もあるね」
「誰かが別人のものを使用した……? いや、はっきり言って、そんなことをする必要は無いよな……」
数が合わない、というのは大きな不審点ではあるが……。現時点で、それが何を意味するのかは謎のままだ。赤柳の言う通り、そんなことをする必要はない。
「覚えておいた方がいいかな?」
「そうだな……。ああ、頭の片隅にでも」
不自然なことは、事件に関係している。章平はそう思って、よくこのことを記憶しておくことにした。
◇
「……それと、佐渡。なんてことないことなんだが、確認しても良いか?」
「うん? なんだい?」
改まって彼が振り向くので、章平は首を傾げる。最近生徒たちとの関わりが希薄だったとはいえ、章平は彼ともっともよく話していたと自負出来る。そんなだから、こうして"確認"されることの心当たりがまるで無かった。彼は神妙な面持ちをして、何処か不服そうに切り出した。
「菊音のことなんだが……。お前から見て、何か違和感を覚えることはないか? 些細なことでも良いんだが……」
「え? うーん? ……特にないかなあ」
「そうか……」
言われた通りに思い当たる節はなかったかと、章平は少しの間記憶を探る。しかし……これと言って、彼女に不信感を募らせた覚えはなかった。素直にそのことを伝えれば、考え込むように彼は返事をする。その表情は、納得し切れていないような、腑に落ちない顔だった。
「どうかした?」
章平が声を掛けても、しっかりと合わせた視線をすぐに外して、ううんと首を傾けた。
「いや……。……誰も気にしていないようだから、気のせいだと思うんだが。……声、が……」
「こえ?」
「前回の事件が起こってから……正確には、僕が起きてからだが。菊音はあんな声だったかと感じる場面が多くてな。……いや、すまない。気のせいだろうから、これは忘れてくれ」
若干早口でそう言うと、彼は首を振ってすたすたと歩き始めた。声――と、いえば。先日彼が章平に言っていたことを思い出す。顔が分からなくても、声なら章平のことが分かるから、と……。そのことが妙に思い起こされて、しかし章平は自分の中で何が引っ掛かるのか分からないまま、彼について足を踏み出す。
――キーンコーンカーンコーン。
――皆様、お時間になりました。只今より、学級裁判を行いますので、学校エリア1階にある、赤い扉にお入りください。
「……時間か」
「しこくくん……」
もはやお馴染みの放送が流れて、足を止める。手掛かりを集められる時間は終了した。ここからは、手に入ったもので真実を見付けねばならない。
くるりと踵を返して、フルーティストは章平を見つめた。
「今回は厳しいものになるだろう。けれど、佐渡。お前が僕を信じてくれると言うのなら、最後まで頑張るよ」
「うん。もちろん僕は、しこくくんを信じるよ。しこくくんはずっと、ずぅっと僕にやさしかった。ぼくは、ぼくの知ってるしこくくんを信じるよ」
「……ありがとう。……行こう、佐渡」
章平の言葉は、本心そのものだった。今まで見てきた彼が、今ここにいる彼が、すすんで殺人に手を染めるとは思えない。章平の言葉を聞いた彼は、どこかほっとしたような優しい表情を見せてから、またくるりと踵を返す。章平はその背について歩いた。
◇
「……来たわね」
「赤柳ちゃん……」
「すまない、待たせた」
章平と赤柳が共に赤い扉をくぐると、そこにはもう生徒たちが揃っていたようだ。視線が集まる。なんとも言えぬ表情をしている彼らは、天井のモニターが起動するのに気付いて顔を背ける。モニターには、いつも通りぬいぐるみが映った。
「さあさあ、皆さんお揃いですね! 集合が迅速で助かりますよ!」
「集合に時間かかんないくらい、あんたが殺したんでしょうよ」
「はいはいはい、それではいつものようにエレベーターでどうぞ! 裁判場でお待ちしております!」
早口に捲し立てぷつんとモニターの画面が切れると、すぐにエレベーターの扉が開く。やれやれと白雪が肩を竦めて乗り込むのを見て、残った生徒たちも次々と足を進めて行く。
章平は赤柳に目配せをして、そして彼も章平を見つめてこくりと頷いてくれた。これからの話し合いに向けて心を決め、章平たちもまた、エレベーターへ乗り込む。全員が乗ればすぐに扉は閉じて、長い長い地下への道を進んでいった……。
◇◇◇
裁判場へ着くと、いつものようにモノヴォルが待ち構えていた。ぬいぐるみはすっくと立ち上がると、生徒たちを急かす。
「はいはい! それでは皆様、いつものように席に着いてくださいね」
言われるままに、生徒たちは自分の名前が書かれた席に移動する。暗い顔をしながら、有子が隣でぽそりと呟いた。
「……こんなこと、あと何回やらなくちゃいけないんだろう……」
「事件が起こる限り、ね」
「うう……」
「はいそこ〜。私語は謹んでくださいね〜。あっ! いま、ワタクシとっても先生っぽくありませんでした!?」
「先生が私語してどうすんの」
「ムキー! 先生に口答えするんじゃありません!」
「……いいから、始めてくれないか」
無駄にテンションの高い狐にうんざりしながら、生徒たちは意識を切り替える。章平も背筋をぴんとして、それに倣った。
緊張が張り詰める。四度目の学級裁判が、始まった。
◇◇◇
◇オマケ!
コトダマ一覧
【モノヴォルファイル4】
被害者は"超高校級の漁師"伊海田航太郎。
死体発見現場は男子更衣室。
死亡推定時刻は午後4時頃。
後頭部に打撲痕があり、右手の親指には噛みちぎったような傷がある。
【ろうそく】
燭台に立てられた一本のろうそく。どろどろに溶けている。香りがするようなものではなく、ごく一般的なろうそくのようだ。
【燃えかす】
遺体の周囲、トレーニングルーム中に残っている燃えかす。可燃物が激しく燃焼したようだ。
【消火設備】
更衣室の消火設備は、スプリンクラーなど、水を使う消火設備ではないようだ。
【呼び出しの手紙】
赤柳が受け取った、伊海田からと思われる呼び出しの手紙。
直接手渡しされたのではなく、個室のドアに挟まっていたという。
内容は以下の通り。
「赤柳へ。いまみんなでとっておきのイベントを企画してるから、赤柳にも参加して欲しい。その前に一旦ふたりで話をしたいから、16時頃にプールの更衣室、トレーニングルームに来てくれないか。あそこはあんまり人が来ないから、お前も気負わず話せると思うんだ。ps.気が向いたらでいいからな! 伊海田より」
【更衣室の仕組み】
更衣室のドアは、電子生徒手帳を認証パネルに翳してロックを解除しドアを開くシステムになっている。
異性の更衣室へ入ろうとすると、天井に設置されたガトリングが作動する。
【ドアのシステムエラー】
異変に気付いた赤柳がトレーニングルームに立ち入ろうとした際、電子生徒手帳をかざしても反応がなかったようだ。
その時、システムエラーと表示されたらしい。
【舞踏会の準備】
事件当時、それぞれグループに分かれて舞踏会の準備を行なっていた。
佐渡は図書室。
赤柳は校舎2階の廊下。
国中と菊音は厨房。
泡淵と星永は娯楽室。
加連と白雪は白雪の個室で、それぞれ火災警報を聞いた。
【ダイイングメッセージ】
伊海田の右手指で書かれたと思われるダイイングメッセージ。
「ーー・ ー・・・」と書かれているようだ。
【モールス信号講座】
モールス符号について、加連と菊音は、伊海田と青錆から少し教わっていたようだ。
加連の記憶によると、ダイイングメッセージは特に意味をなさないらしい。
【星永の検死結果】
伊海田の頭部の傷は、致命傷ではないようだ。
死因は窒息によるものとみられるらしい。また、首を絞められたような痕は無く、水に濡れた痕跡もない。
【化学室の薬品】
化学室の薬品類には、誰も手をつけていないようだ。
【ペアレンツテレフォン】
モノヴォルが用意したダイヤル式の電話機。
電子生徒手帳を翳して受話器を取ると、両親の声が聞こえる。……が、精神汚染作用があるようだ。
【使用記録】
ペアレンツテレフォンの使用記録は以下の通り。
52回:4675543129
33回:3465372513
26回:1075461345
18回:4576589432
7回:2573215469
6回:7457382519
6回:7532156987
5回:6434215678
2回:9097856432
【赤柳の違和感】
赤柳曰く、菊音の声がおかしいらしい。