カタリロンパ   作:カタリベガタリ

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先日行いましたキャラクター人気投票にて、見事1位に輝いたのは猫塚でした。
お祝いに、番外編SSを公開いたします。
番外編なので、こちらの話はスキップして頂いても問題ありません。

本編をまだお読みでない方もお楽しみ頂けます。(前日譚をお読みいただいていると、よりお楽しみいただけるとは思います!)
是非ともご鑑賞くださいませ。



番外編 「ハイドくんたちのジキル化計画」

 

 

 

 

カタリロンパ

 

番外編

「ハイドくんたちのジキル化計画」

 

 

 

 

 

 

 俺の一日は、眼鏡をかけてから前髪を整えることから始まる。絶対に崩れることがないように、念入りに右目と右耳を隠して。……それでも飛び出てくる癖毛には毎度苛立たせられるが、それももう慣れてきた。

 こうして鏡の前で魔法を掛ければ、ほら。今日も"猫塚誠司"の完成だ。

 ナイトウェアを脱ぎ、制服に袖を通して整え終えたところで、控えめな扉のノックが3度鳴る。

 

「誠司坊ちゃん、起きられましたか?」

「今日は起きました。今出ます」

「かしこまりました。お待ちしております」

 

 身支度も済んでいるので扉を開ければ、そこに控えていたのは()()()()()()。旦那様のお付きの使用人だ。彼が毎朝俺の様子を確認しに来るようになったのは、この家に来てからしばらく経った頃からのルーティンだ。自分でも嫌になる気質のせいで、この家の人たちに要らぬ世話を焼かせているのは、本当に腹立たしいことのひとつだった。

 彼はそんなこと毛ほども気にしていないかのように、優しい微笑みで俺を迎えてくれる。

 

「おはようございます、誠司坊ちゃん。お加減はいかがでしょうか」

「おはようございます、桐崎さん。今日は問題無いです」

「それは良かった。参りましょう、拓斗様にお顔をお見せください」

「……はい」

 

 彼の後を着いて、ダイニングへ向かう。この家の人たちは、旦那様から使用人まで、全ての人が俺に過保護だ。その過保護筆頭が"拓斗様"。俺の義兄(あに)にあたる人だ。俺がひとりで屋敷を徘徊しようものなら、前を行くこの人が真っ先にお義兄(にい)様にお叱りを受ける。そのことで彼にマイナスな感情を抱かれるのも、自分が弁明に出るのも気が進まないので、極力大人しく従うことにしている。

 廊下の突き当たりの階段を下り、広間に出てから奥の扉を彼がノックする。

 

「誠司様がお見えになりました」

 

 一言そう添えて、彼は扉を開く。ぺこりと俺に頭を下げてから、入室するよう手を差し出して促される。ひとつ小さくため息をついて、俺は素直に歩を進めた。

 栗色の髪、慈愛の満ちた深緑の瞳。似通った顔立ちの美男美女が三人、中央のテーブルに腰掛けている。……()()()()()()だ。そのうちの一番若い優男。ふわふわでゆるやかな癖毛に柔和な表情をした彼――"猫塚拓斗"が、立ち上がってこちらに歩んでくる。

 

「誠司、おはよう」

「おはようございます、お義兄(にい)様、旦那様、奥様」

「ああ、おはよう」

「おはようございます、誠司さん」

「誠司。久しぶりだね、よく顔を見せておくれ。……うん、今日は顔色も良さそうだ」

「お義兄(にい)様も、お変わり無くて何よりです」

「うん。今の仕事が一息ついてね、昨晩帰ったんだ。……すまない、積もる話は後にしよう。食事の時間だ」

「はい」

 

 お義兄(にい)様に添えてもらった手の温度を肩に感じながら、一緒に席に着く。執事の彼が合図を出して、家政婦たちが食事を配膳していく。旦那様がにこやかに食器を手に持ち、朝食会が緩やかに始まった。

 

 

 

 

「誠司、学校はどうだい? たまにはお友達を家に連れて来ても良いんだよ」

「誠司さんは()()()がありますでしょう。あまりご学友と親睦を深められていないのではないですか?」

「……ご心配なく。都合が合わないだけですよ、お義兄(にい)様、奥様。ですが、折角そう仰って頂けたので、お誘いしてみますね」

 

 ……嘘だ。

 

「そうだ、この前のテストも満点だったそうだね。本当に優秀だ、君は。自慢の義弟(おとうと)だよ」

「光栄です、お義兄(にい)様」

「……そういえば誠司、昨日先生からお話があったのだが……。"病気"のことは、先生方は把握しておられるのかな? 何やら、話が噛み合わないようで……」

「すみません、旦那様。友人に心配を掛けないよう、佐野先生にはあまり吹聴しないでほしいと、僕がお願いしたんです」

 

 ……嘘だ。

 

「それなら良いのだが……。なにか、不便があればすぐに言いなさい。必要なら、学校にも再度連絡するからね」

「ありがとうございます。学校生活で困ったことはありません。皆さん、とても良くしてくださるので……」

 

 ……嘘だ。

 

 何もかもが真っ赤な嘘だ。

 それでもこの人たちには悟られてはいけない。心配させてはいけない。団欒を壊してはいけない。"猫塚誠司"は、完璧で優秀な最高の執事で、成績優秀で品行方正な優等生で()()()()()()()()。それが、それだけが――"俺"がここに存在を許される、唯一の()()()

 上げた口角が引き攣る前に下を向いて、料理を口に運ぶ。細めた目が歪む前に目を閉じて、味わうふりをする。にこやかに談笑する彼らの顔を伺って、隙を見て息継ぎをする。――タイミングのはかり方? そんなのはもう何年も前に覚えた。そうしないと生きていけない。生きてちゃいけない。取り繕った仮面が剥がれるのは、ひとりでいる時だけ。この人たちが見ていない時だけなのだ。

 ――それでも。

 

「……誠司? 大丈夫かい?」

「え?」

 

 お義兄様( このひと )は、馬鹿じゃない。

 

「料理が口に合わなかったかな?」

「いえ……。すみません、昨夜勉強のために少しだけ……夜更かしをしてしまって……」

「そうなのかい? あまり根を詰めすぎてはいけないよ。誠司が健やかでいられることが、最も重要なんだからね」

「はい……」

 

 完璧なはずの演技の、ほんの些細な違和感を、彼は見逃してくれない。だから俺はまた嘘を重ねて、"猫塚誠司"に傷が付かないようにする。違和のない嘘をつくコツは、真実の中に混ぜてしまうこと。もしくは、嘘の中にひとつだけ真実を混ぜておくこと。――もちろん、"猫塚誠司"は後者である。

 「上手に生きること」……役を羽織るとは、そういうことだ。幼き日の、あの誓いに基づいて。おれは今日も()()()()()。ちゃんと人間にならなくちゃ、俺に生きる理由は無いのだから。

 

 

 

 

 朝食会が終了すれば、お義兄(にい)様はそのまま出勤、俺は登校。部屋に戻ってバッグを持って、再びダイニングに挨拶へ出向く。

 

「それでは、行って参ります」

「ああ、誠司。これを」

「……? 僕宛てですか?」

 

 出掛けようと振り向いた背を引き留めるように、旦那様がお声を出されたので振り返る。彼は、真っ直ぐ俺にひとつの封筒を差し出していた。不可解に思いながらそれを受け取る。見た目も、手触りも。良く来る恩師からのそれではなかった。くるりとひっくり返してみれば――うわ。

 

「希望ヶ峰……」

「この時期に希望ヶ峰からということは……ふふ、そう、誠司さんも……」

「スカウターにはもう会っているのかな。拓斗の時はそうだったから」

「ええ……。はい、心当たりがひとり」

「まあまあ! 今夜はお祝いしないとね。ご馳走にしましょう、桐崎」

「かしこまりました。誠司坊ちゃん、おめでとうございます」

「……ありがとうございます」

 

 無理やり目を細めて口角を上げて、すぐにお辞儀をして部屋を出て行く。

 ――希望ヶ峰からのスカウト通知書。()()()()()()()()()()()()()()()

 あの男の言う通りならば、俺の"才能"は…………。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「2枚?」

 

 四限の後の休み時間。昼食休憩を兼ねた、他より長めの休み時間である。中庭へ出て、購買で手に入れたサンドイッチを完食して……本題。今朝の通知書の中身を検める。そこには学園からの挨拶状が1枚、スカウト通知書が2枚封入されていた。

 ……あんにゃろう、普通にミスって届けやがったな。そう思い、2枚のうちどちらが自分宛なのかを確認する。

 

「…………」

 

 そして俺は……今まさに、誰が見ても間抜けな面を晒していただろう。

 それは正しく――()()()()()()()()

 

「相変わらず悪いコだねぇ」

 

 ひょいと横から手が伸びる。口にくわえた"それ"を奪われて、俺はしぶしぶそちらに顔を向ける。視界に入ったのは――気色悪いニタニタ顔の成人男性。彼は"それ"を手元でくるくる回し見ながら銘柄を確認すると、またにんまりと意地汚く笑った。

 

「意外とおっさん臭いの吸ってんだねぇ?」

「返してください」

「やーよ。オジサンが校長センセに怒られちゃう」

「あなた、希望ヶ峰の人間だったんですね」

 

 カチカチと手元を弄って火をつける。奪った"それ"を吹かして、一言「あま」と呟いてから、彼はまた笑みを浮かべた。

 

「言ってなかったっけ?」

「明言はしていなかったはずです」

「んまぁ、こーんなオジサンが、校内堂々とふらふらしてるのでお察しよね〜」

「あなた、これはどういうことですか? 僕は一人なんですけど」

 

 またふわと煙を吐いて、彼は俺の手元をちらと見やる。まだ2枚の通知書がここにはあった。目を細めて彼は言う。

 

「キミが駄々こねるから、()()。これならキミの"秘密"も守れるし、何も問題ないでしょ?」

「何も守って貰えてないと思いますけど?」

「"そっち"隠して"こっち"で来りゃいいんじゃん」

 

 俺の手元の二枚の紙のうち、ひとつをぴっと取り上げて突き付けられる。"こっち"――……表向きではこちらでスカウトした、という()()を取る……ということだろう。

 

「お断りしても宜しいんですよね?」

「良いけど、オジサンしつこいよ? キミまだ1年生でしょ? ()()()()()と同じ目に遭うって、分かんないかなぁ〜?」

 

 ぴく、と思わず眉が動く。それがお義兄(にい)様のことではない……というのは、すぐに分かった。俺はわざと睨むように目を細めて、ムカつく笑顔を見上げる。

 ……本当に、どこまで調べているんだか。

 

「でもまあ、キミが3年生になっても首を縦に振らないなら、ウチも最終手段に出るしかないよね。()()()()()()()()()()ってこと、忘れてないよね?」

「……嫌な奴」

 

 制服の内ポケットから新しいものを取り出せば、またすぐひょいと彼に取り上げられてしまう。思わず舌を打ってものをしまった。彼は先程吹かしていた方を消し、今まさに取り上げた方を咥えてまた火を灯す。

 

「ああそう、ウチね。超絶優秀な元カウンセラーの教員がいるんだ。キミのクラスの担任になると思うよ」

「僕には関係ありません」

「……可愛くないねぇ」

 

 お前に必要だろ? と言わんばかりの台詞を、俺はそっぽを向いて否定する。顔を向けた先には、日当たりの良いベンチで談笑する同級生たちが見えた。

 彼はまた煙を吐き出す。

 

「まあ、キミの他にも、彼女の能力が必要な男のコがいるからさ。……ああ彼の件は、国がもう決めてたから、オジサンは迎えに行っただけなんだけどねー。いやぁ、やっぱヨーロッパの古い街並みって良いよね〜」

「……()()? まだ5月なんですけど」

 

 希望ヶ峰は秋入学だったはずだ。4月に高校生になったばかりの、幼い頃から才能溢れる生徒たちを、いちはやく学園に引き入れるため――とか、なんとか。海外からの留学生だとして、いくらなんでも"迎え"は早すぎる。

 彼は意地悪そうに微笑みながら、手元の火を消した。

 

「大人の事情ってのがあんのよ〜。友達居ない者同士、キミはあのコと仲良く出来ると思うなー」

「余計なお世話ですよ」

 

 ため息をついて立ち上がると、彼は不思議そうに首を傾げる。

 

「何処行くの?」

「そろそろ休み時間が終わりますので」

「45分まででしょ?」

「次は移動教室なんです」

 

 有無を言わさず歩き出すと、後ろから「ねえ、来るってことで良いよねー?」と声が掛かる。ベンチで談笑していた同級生たちが気付いて、こちらに顔を向けたのが分かった。

 俺は返事をせずに、足早に校舎へ避難した。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 放課後、真っ直ぐ帰宅。用はもう済んだのか、道中()()()に捕まるまでもなく、校門を出てからあっさりと車まで辿り着き、何事も無く屋敷に到着した。

 行きと同じように、反対に。車を降りて、運転手と共に門をくぐり。玄関で桐崎さんに出迎えられ、旦那様と奥様に挨拶をする。お義兄(にい)様は昨日までとは別件の仕事で、まだおかえりではないらしい。自室の前まで見守られ、ようやく一人の時間が帰ってくる……。

 

「おかえりなさい、スイ!」

「……………………」

 

 ……と、思っただけだった。

 

「あれ? また無視ですか? ねえ、スイ? 聞こえてますよね? スイ? ねえスイってばあ〜」

 

 ベッドに寝転んでいた"奴"は起き上がり、俺の返事が無いと不服そうにぼやきながらこちらに近付いてくる。どっと疲れが押し寄せた。口を利くのも億劫で、俺はそのままずるりとバッグを乱暴に床に落とし、倒れるようにベッドに埋まる。……ふかふかだ。せっかく霧崎さんがベッドメイキングを済ませてくれていただろうに、ぴんと張っていたシーツは一気にしわが寄ってしまった。

 "奴"はまたベッドに戻ってきて、今度は俺の様子を伺うように隣に腰掛ける。

 

「これまた随分とお疲れですね。そんなになるくらいなら、みんな殺しちゃえばいいのに!」

「うるさい……」

「ねえ、スイ? 僕知ってるんですよ? あのへんなおじさん、今日もお話していたでしょう? なんのお話ですか? ねえ、あの人の喉なら噛んでも……なんです? これ」

「お前宛てだよ」

 

 ぐいと一層距離が近くなった、甘ったるくて耳障りな声を黙らせるために、制服のポケットから()()()を差し出す。渡す意味で手を離せば、ぴらと紙切れは宙を漂い、そのまま緩やかに床へ落ちた。"奴"は覗き込むようにその文字を目で追う。

 

「……でもこれ、僕の名前じゃないですよ?」

「紛れもなくお前のだよ、それは……」

「ふぅん? でも、スイの名前です」

「お前の名前なんか知るかよ……」

「そうですね! 僕たちのひみつでした! うふふ。他の人になんか知られるはずないですもんね!」

 

 俺とは正反対に上機嫌で笑う"奴"は、再び床の通知書を眺める。

 

「き、ぼう、が、みね。あ! お義兄(にい)様の母校ですね! わあ、僕たちもついに、お義兄(にい)様と同じ学校に行くんですね!」

 

 指差ししながら幼児のように、ひとつずつ字を読み上げると、ぱっと顔を明るくさせてまた傍に寄ってくる。

 

「楽しみです! 今度は"()()()()()"が出来ると良いですね!」

「出来るわけねぇだろ……」

「そうですね! 出来なくても関係無いです! だって、()()も来るんでしょう?」

 

 ぴく、と思わず埋まった顔が動く。"奴"はまた離れて、くるくるとダンスを踊るように舞う。上、下、右、左。めちゃくちゃなステップでも、案外それなりに見えるものだ。

 

「もしかしたら、おんなじクラスになれるかもしれませんね! ふふ! そしたらスイ、今よりもっとずぅっとたのしいですよ! だっていつでも修也に会えるんですもの! 毎日お話出来るんですもの!」

 

 俺は身体を起き上がらせて、"奴"を睨む。

 

「お前、あいつに何も言うなよ」

「なにって? もちろん、修也との時間はスイが全部使ってくださいな。僕は修也とお話しません! 一秒足りともね」

「あいつになんかしたら、それこそぶち殺してやるからな」

「こわぁい! そんなことしませんってばぁ! だってスイのだいじなだいじな"()()()()()"ですものね?」

「誠司、居るかい?」

 

 突然ノックが3回鳴ったかと思えば、次に聞こえたのは少し低めの若い男性の声。――お義兄(にい)様だ。俺は慌てて起き上がり、床に落ちた通知書をベッドの枕の下に隠して、放り離したままのバッグを取り上げ机の上に置く。この間2秒。はいと返事をすれば、すぐさまガチャリと開いた扉の隙間から、柔和な笑顔が覗いた。

 

「すまない、もしやお友達と電話中だったかな」

「いえ、キリの良いところでしたので。おかえりなさいませ」

「ああ、ただいま誠司」

 

 朗らかに挨拶を交わせば、お義兄(にい)様はコツコツと上品な靴音を響かせて入室する。そして制服のポケットから覗く封筒を見て、静かに微笑んだ。

 

「スカウト通知かい?」

「あ……。はい、そうです」

「ふふ、すまない。驚かせたね。懐かしい校章だったから……。才能は……さしずめ"超高校級の執事"ってところかな?」

 

 お義兄(にい)様は、自分事のように嬉しそうに笑う。俺はポケットから封筒を取り出して、お義兄(にい)様に差し出す。彼は素直に受け取って中身を検めると、満足そうに頷いた。

 

「素晴らしい。1年生のうちにスカウトされるのは稀なんだよ。それもまだ5月のうち、というのは相当だ。誠司の活躍が、よっぽど目を見張るものだったのだろうね」

「光栄です……」

「これは受けるのかい?」

「それは……」

「ああ、いや、すまない。返事を急かしてしまったね。今の学校にも慣れはじめたばかりだろうし、折角出来たお友達とも離れてしまうだろう? ゆっくり考えると良い。この分なら、きっと来年もスカウトが来るだろうからね」

 

 言い澱めば、分かっていると言わんばかりにお義兄(にい)様は首を振った。そうしてまた慈愛に満ちた瞳を細めて、真っ直ぐに俺を見つめる。

 ……俺は出会った時から、この目がすこぶる苦手だった。

 

「誠司」

 

 なんとも優しい声色で、その名前を口にする。きっとこんな風に呼ばれたら、その辺の女は()()()()だ。容姿端麗、才色兼備、優秀で柔和で心優しい御曹司。ここまで完璧な生きものがこの世界にいるものかと、目の前に立っているその人を見ても、未だ信じられない。

 ――俺とはまるで真逆の()()だ。

 

「私たちは誠司の選ぶ道を応援するよ。好きな未来を選ぶと良い」

「……はい」

 

 俺は、その目を見て返事することは出来なかった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

カタリロンパ

 

番外編

「ハイドくんたちのジキル化計画」

 

 

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