半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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みんなのヒロアカ二次が面白いもんで書いてしまいました。これから結構捏造あると思います。ていうか初手から捏造しまくりです。

よろしくお願いします。


過去編
半分少女の誕生


半分少女のヒーローアカデミア

 

───頭が痛い……

 

水滴に濡れた窓ガラスを眺める。

 

夕べから続く雨は、どんよりとした雲を携え止む気配がない。

 

「……っ、いたいなぁ」

 

脳を針で突かれるような痛みに顔を顰める。

 

こんな天気の日はいつもそうだ、あの時のことを思い出して酷く頭が痛む。

 

──────

────

──

 

もうほとんど覚えていない両親、私の父はヒーローだった。仕事で忙しく、一緒にいられる時間は少なかったけれど、私を心から愛していてくれていた。その時の温かみは今でも体に残っている。

 

母は普通の人だった。ヒーローではない一般人でヒーロー活動で家を空けがちな父に小言を零しながらも家庭を優しく包んでくれていた。父に会えない寂しさを私に感じさせることなど1度もなかった。

 

それがおかしくなったのは、私の個性が発現したすぐ後だった。父とそっくりな個性を発現した私を見て喜ぶ母、それが嬉しくって「私もヒーローになりたい」と笑っていた。そんな中に届いたのは、父がヴィランとの戦闘で亡くなったということ。当時の私には分からなかったが、泣き崩れる母の姿とお葬式の時に私を手を強く握り、式中に涙ひとつ流さなかったのを朧気に覚えている。

 

そして母と2人で暮らす家の広さに慣れた頃、朝から雨の降りしきる日、

 

 

 

────私はヴィランに誘拐された。

 

 

* * *

 

母が一瞬目を離した隙に、私はヴィランの腕の中にいた。

 

必死に手を伸ばしても、それは空を切るばかりで母には全く届かなかった。見る見る小さくなっていく母の姿に涙がこぼれる。

 

 

 

 

「きゃあ!」

「おい!さっさと車出せ!」

 

私を車に放り投げたヴィランは、運転席に向かって怒声じみた指示を出す。ヴィランがドアを勢いよく閉めるのと同時に車は急発進し、私は強かに体を打ち付ける。

 

「うぅ……、ねぇおじさんだれ!お母さんとこにかえ、がっっ!」

「だぁってろ!ガキ!」

「う、ごほっ!ごぇ……」

 

私を拐ったヴィランに、泣いて喚いて訴えるが返ってきたのは、堅く重い拳と罵声。

 

「お前……折角掻っ攫ってきたもんを殺すなよ。やかましいなら眠らせとけ。」

「わかっとるわ。」

 

鳩尾に強烈な一撃を貰った私は、生まれて初めて感じる痛みにただ蹲ることしか出来ず、わかったことは薬が流れ込んでくる冷たい感触と直ぐに意識を失ったということだけだった。

 

──────

────

──

 

何日経ったのか、激しい疲労とズキズキと全身を苛む痛みで目が覚めた。横たわる私の前にいるのは、白髪に黒いスーツの男と白衣を纏う老人。

 

「ドクター、ずいぶん変わったものを拾ってきたね?強個性持ちとは言え、ただの子供を拾ってくるなんて。」

「そう言うな、これも個性複数所持の実験体じゃよ。」

「おや?しかしそれは、生身の人間では耐えられないと君が僕に言ったんじゃないか。」

「なに、より確度得るためにちょいと確かめるだけじゃ」

 

じっけん?じっけん、たしかめるってなんのことだろう。

 

「こやつはな、一見水の個性しかないように見えるが、詳しく見ればもうひとつ個性因子を持っておった。」

「ほう?それは面白い。ちょっと僕にも検査結果を見せてくれよ。」

「これじゃよ。まぁ見ての通りじゃ。」

 

ドクターと呼ばれる老人から手渡された紙束をスーツの男はペラリペラリとめくっていく。

 

「なるほど、水の個性因子以外にも炎の個性因子が混じっているね?けど発現するほどじゃない。」

「それが面白いところじゃよ。つまりじゃな?この子は水の個性を持ちながら、まだ個性を許容する可能性がある。」

「読めたよドクター、それを僕に試せと言うんだね?」

「そういうことじゃ、【オール・フォー・ワン】」

 

言いたいことを言い切った白衣の老人は、スーツの男へ向き直る。対してスーツの男ーオール・フォー・ワンと呼ばれた男は楽しそうにクツクツと笑う。

 

「いや、実はちょうど良い個性を持っていてね。すごく強い炎の個性なんだが、僕には今ひとつだから君にあげるとしよう。」

 

そう言って私にニコリと笑いかけたオール・フォー・ワンの手が伸びる。大きい大人の手、けれどそれよりもその手が放つ、心底不気味な雰囲気が恐ろして体がビクリと震える。

 

「あぁ、そんなに怖がらなくてもいいんだよ?安心して、君はこれから素晴らしい力を手に入れるんだから。」

 

ガシリと私の頭を掴んだ手からなにか得体の知れない物が入り込んでくる。私の中を食い破り、焼き焦がしていく力。

 

─いたい、イタイ、痛い痛い!

 

ヴィランに食らった拳なんて目じゃない痛みで視界が赤く染まる。

 

 

 

 

そしてまた私は意識を手放した。

 

* * *

 

目を覚ました時の私は、彼らの操り人形だった。

 

水流を出せって言われたら、個性を使って的を打ち砕いた。

 

炎を出せって言われたら、個性を使って的を焼き焦がした。

 

砕く、焼く。砕く、焼く。砕く、焼く。

 

砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く砕く

焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く焼く

 

言われるがままに個性を放ち続ける。

 

熱が籠り、体が沸騰する。

 

─個性を放つ

 

炎に耐えきれなくて手が焦げる。

 

─個性を放つ

 

放つ放つ放つ

 

──

────

──────

 

「うーむ、つまらんのぉ。これでは前までと一緒ではないか。」

「そうだね。知能低下までは行かないが、ここまで意識が混濁していると個性を発現しても使い物にならないね。」

「やはり無改造での個性の後付け、複数所持は困難か。体も炎の個性にあっとらんようじゃし。」

 

どうやら私は期待外れだったようで、2人から注がれ視線はとても冷ややかだった。

 

「ところでドクター、そろそろここもヒーローが嗅ぎ回ってる。段々と騒がしくなってきた、潮時かな?」

「全くしつこい連中じゃよ。この子はどうする?処分ならそうするが。」

「いや、いいさ。別に手放したって痛くない個性だ。失敗作にはせいぜいヒーローの餌になってもらうよ。」

 

そう言って笑いながら去って行く2人を、茹だる頭と自分から煙が立ち上る視界で眺める。

 

─そっか、もう終わりなんだ……

 

 

 

 

私は耐えきれなくなって、意識と3度目のお別れをした。

 

──

────

──────

 

「……!……っ!……おいっ!君、大丈夫か!」

 

ユサユサと体を揺すられ、目を向ける。そこには髪も服も真っ黒で、目立つ、黄色いゴーグルをした人がいた。

 

「イレイザー!なにしてん……だ。おいこの子って!」

「マイクか!生存者だ、酷い熱を出してる。こんなところでぶっ倒れてたんだ、早いとこ医者に見せねぇとやばいぞ!」

「クソっ!ヴィランの連中こんな子にまで手ぇ出てたってのかよ!」

 

黒い人と金髪の人の声が頭に響く、かろうじて動く目を周りに向ければ派手な服装の人が、部屋を走り回っているのが見えた。

 

─ヒーローだ、ヒーローが来てくれたんだ。

─お父さんと同じヒーローが……

 

「お父、さん」

「君、名前は分かるか?」

 

黒い人が私に聞いてくる。

私の、私の名前は

 

「……みほ」

「そうか、みほちゃん……。大丈夫だ、ヒーローが来たから。っておい!目を閉じるな!みほちゃん!」

 

大好きなヒーローが来たってわかった途端、また瞼が重くなってくる。黒いヒーローさんがすごく叫んでるけど……

 

大丈夫、これは安心と言うやつだ。

 

* * *

 

─!─!─!

 

断続的な機械音が耳を刺し、私は薄く瞼を上げる。

 

「あら!目が覚めたのね!」

 

巡回中の看護師が、驚いた声を上げ各所に連絡を取る。

しばらくするとすっかり人に取り囲まれていた。

 

─血圧、脈拍正常です。

─そうか、ありがとう。体の方は一先ず問題なさそうだね。

─じゃあお話始めようか。

 

「初めましてだね。僕は君のお医者さんさ、直師先生だよ〜」

 

そうやってにこやかに話しかけられた私は、朧気だった目線をお医者さんという人に合わせる。

 

「せんせい?」

「そう!君はちょーーっと怪我をしちゃってね。僕が見てるのさ。なおしせんせいと呼んで欲しいな。」

「なおし、せんせい」

「よくできたね!じゃあ次は君のお名前を教えて欲しいんだ。」

 

たどたどしく話す私を見て、直師先生は柔らかく笑う。

 

「えっとね、私はみほです。」

「みほちゃんか、可愛い名前だね。次は君の上のお名前とかお父さんお母さんのお名前も教えてくれるかな?」

「それはね。……あれ?えっとね私はね……。……っっ!」

 

あれ?あれ?思い出せない。私はみほ、だけど上のお名前もお父さんお母さんのお名前も思い出せない。

 

おかしい、おかしい、おかしい

お父さん、お父さん、お父さん……確かお父さんって……?

 

─いたいッ!

 

お母さん、お母さん、お母さん!

 

─痛いッッ!

 

思い出したいのに頭が痛くてたまらない、考えるほど酷く鋭くなっていく。

 

「まずいな、ここまでとは……みほちゃん、落ち着いて。ゆっくり息をするんだ。無理しなくていい、痛いならやめるんだ。」

 

先生が何か話してくれてるような気がする。

 

私の痛みはそれでも増していく。

 

「……!先生、個性が!」

「参ったな……全員部屋から出て!早く!」

 

 

 

 

その日、とある大学病院は水と炎で一室吹き飛んだ。

 

* * *

 

「出向ですか?」

 

突然、サイドキックを勤める事務所の所長に呼び出されたと思ったら、地方に行けと告げられた。別に地方が嫌という訳では無いが、言われた地域は最近は物静かだったはずだ。

 

「あぁ、以前にヴィランの研究室へ乗り込んだことがあったろ?」

「ありましたね。全くのスカでしたが、女の子を助けられたので良かったと思ってますよ。」

「それなんだがイレイザー、その女の子がどうやら不安定でね。度々個性で病室を吹っ飛ばすものだから治療もままならないらしい。」

「それはつまり?」

 

厄介事の予感に冷や汗が垂れる。

 

「任務はお守り、そのためにお前の個性が必要だ。行ってこい抹消ヒーロー イレイザーヘッド。」

「分かりました……。その任務、お受けします。」

 

予想外の任務に内心、ため息がでる。

まさか、この個性をヴィラン捕縛以外に使うとは。




書きたいところは頭にあるけど、そこにたどり着くまでが大変ですよね。

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