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半分少女のヒーローアカデミア
「予選通過は上位43名!落ちちゃった子も安心なさい、まだ見せ場はあるわよ!そして次からは本選!さて、第二種目は……これ!騎馬戦!!!」
第一種目の障害物競走を終え、しばしのインターバルを挟んだ後、ミッドナイト先生から第二種目が発表される。今年の種目は騎馬戦との事だ。1位から43位までポイントが割り振られ、組んだ騎馬の持ちポイントがその合計になる。ポイントは付けたハチマキに表示される。ただしそれを獲られても騎馬を崩されてもアウトにはならないらしい。個性を使って良いが悪質な崩し目的の攻撃はダメ。
そして何より重要なのが1位のポイントが1000万なこと。これを奪取すれば低ポイントの騎馬でも一発でトップになれる。
「さて、誰と組もうかな。」
チーム決めの時間は15分、やっぱり組むならA組の子がいいか……うーん難しい。こういう時に緑谷くんは頼りになるけど、1000万が重すぎるから今回は遠慮したいし、組まないのに話だけ聞きに行くというのも流石に無し。
「どうしよっかな〜」
「おい加山、決まってねぇなら俺たちの騎馬に入ってくれねぇか?」
「ん?」
切島くんに肩を叩かれ、振り返れば彼と三奈さん、瀬呂くんがいた。さらに奥には何故か不満気な顔した爆豪もいる。見る限り、この4人で騎馬を組んだみたいだけど、私を加える理由はなんだろう。
「いいけど、どうしたの?」
「俺たち組んだのはいいんだけどよ、今ひとつ機動力に欠けるっつうかさ。飯田は轟に取られちまったし……で、誰が良いかって話してたら爆豪が加山だって言うから声掛けたんだ。」
「なるほど。」
ポンと手を打ち納得する。でも意外だ、爆豪が私を推薦してくれるとは……しかし彼なら騎馬戦でそうそう遅れを取ることもないだろうし、私に断る理由もない。
「私としては願ってもないけど、三奈さんと瀬呂くんは良いの?5人組で変則的な組み方になっちゃうけど。」
「いいっていいって。加山の強さは俺だって知ってるし、あの爆豪が選んだんだ、異論はねーよ。」
「うんうん!クラスメイトの個性知らない爆豪でも覚えてるんだから間違いなし!」
「そっか、じゃあよろしく。爆豪もよろしくね。」
「ふん、足引っ張ったらテメェから殺るからな。」
「こっちこそ爆豪にポイント預けるんだから、取られたら水に沈めてあげる。」
「これ本当に大丈夫か?」
何を言いますか瀬呂くん、これでも中学からの付き合いなんですよ。
※ ※ ※
『さぁ!鬨の声上げろォ!!血で血を洗う雄英の騎馬合戦が始まるぜ!……カウントダウン!3…!2…!1…!スタートォォ!』
爆豪を騎手に立ち上がった私たちの騎馬は、スタートと同時に駆け出す。もちろん目指すのは緑谷くんの1000万。他の騎馬も緑谷くんに殺到して、あっという間に囲まれる。
だけど、彼と組んでいる発目さんのサポートアイテムを使い、危なげなく包囲を抜け出してしまった。追撃も常闇くんのダークシャドウがいなし、攻守共に隙が少ない。
「ちっ!デクが逃げた。追うぞ、方向転換だ。」
「おうよ!」
「了解!」
切島くんが急制動をかけ、私が蒸気を吹かしてできるだけスピードを殺さないよう騎馬を回す。
三奈さんと瀬呂くんも合わせてくれてる。急造のチームだけどすごくいい、さすが爆豪が組んだだけある。
「デクの奴、次も空中に逃げるな。俺が飛ぶ、着地は瀬呂がテープで巻き取れ。」
「任せとけ!」
爆豪の言う通りだ。機動力のある騎馬は数あれど、騎馬ごと浮かせるなんてできる組は居ない。その中で緑谷くんたちの持つサポートアイテムはアドバンテージだ、また囲まれたらきっと使うはず。そして空中で取れる行動もそう多くない、隙ができる。そこを狙わない手はない。
案の定、着地先でも再包囲を受けつつある緑谷くん。見るに、峰田くんのもぎもぎで足止めを食らってるみたい。もぎもぎの粘着力は相当なものだ、振り払うには……
「……爆豪」
「わーっとるわ。」
「そこの同中の2人、分かりあってるって会話やめてくんね。」
「分かりあってねぇ!」「分かりあってない!」
「息ぴったりじゃん!」
誰が爆豪と分かりあってるもんですか!こんな爆発さん太郎と……確かに中学の時からの仲で、散々いがみ合ってきたけど!ちょっとこいつの性格から能力まできっちり把握してるだけで……ん?
ダメだダメだ、今は競技中!緑谷くんはもうジェットパックのボタンに指をかけてる。爆豪も軽い爆破を起こして、タイミングを計ってる。
絶対に飛ぶ。
……飛んだ!
「調子乗ってんじゃねぇぞ!クソがァ!!!」
爆豪が急加速し飛び上がる。隙を突いた良い爆破が入ったけど、ダークシャドウに受けられてしまった。爆豪の攻撃でもビクともしないなんてタフな個性だ。勢いを失い、落下してくる爆豪へ瀬呂くんのテープが伸びる。
「ナイスキャッチ!」
「逃した……次は取る。」
緑谷くんたちも無傷ってわけじゃない、サポートアイテムも削ったし機動力も落ちたはず。まだ競技は始まったばかり、1000万を取るチャンスはある。
※ ※ ※
『さぁ!各チームのポイントはどうなっているのか!?現在のランクを表示するぜ!……あれ?なんかパッとしねぇ。ていうか爆豪0ポイント!?』
そうプレゼントマイク先生の実況が流れた時、爆豪のハチマキにするりと伸びる手。
「単純なんだよA組……」
「やられた!」
「てめぇコラッ!返せ殺すぞ!!!」
「ちょっ!爆豪なにやってんの!?」
ハチマキ取られた!あいつはB組の……物間だ!緑谷くんに気を取られすぎた……狙ってたんだ私たちの警戒が薄くなるのを。
「ミッドナイト先生が第1種目と言った時点で、予選からいきなり数を減らすとは考えにくいと思わない?」
「あ?」
「おおよそ40位以内と仮定して、その順位以下にならないよう走ってさ。後ろからライバルになる者たちの個性、性格を観察させて貰った。その場限りの優位に固執したってしょうがないだろ?」
「クラスぐるみか……」
物間、なんて頭の回る奴……散りばめられた材料から予測を立てる思考力、それを恐れずに実行する胆力、協力を得るためB組の人を説得した話術、A組には居ないタイプだ。この騎馬戦はポイントの争奪戦、必然的に低ポイントの騎馬は注目度が下がる。そこに示し合わせた仲間と高ポイントを奪取して上位に上る。こちらの個性は割れているなら、それに対策した騎馬を組めばいい。A組が1000万に気を取られてる間に奇襲すれば、労せずポイントを奪える。
「全員の総意ってわけじゃないけど、いい案だろ?人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点を狙うよりさ。あっそういえば君って有名人だよね?ヘドロ事件の被害者、今度参考に聞かせてよ年に一度ヴィランに襲われる気持ちってのをさ。」
煽りよる……私も舌を巻く言葉の上手さだ。爆豪の1位への執着をこき下ろして、彼の苦い体験であるヘドロ事件に触れる。大して交流もなかったろうに的確に爆豪の感情を逆撫でてる。
これは……キレるな。
「切島、加山、予定変更だ。……デクの前にこいつら全員殺そう……!」
ほら……
「爆豪落ち着け!冷静になんねぇとポイント取り返せねぇぞ!」
「おっおお……うううおおお!」
切島くんの心配は御尤も、肝心の騎手が焦ったら取れるものも取れない。だけど、
爆破一発
「しっ!進めテメェら、俺はすこぶる冷静だ!」
「これ冷静か?大丈夫なのかよ加山?」
「大丈夫でしょ。爆豪はキレてもクレバーな考えできる奴だし。」
「わかったよ。頼むぞマジで!」
「行け!!!」
爆豪の声とともに、物間の騎馬へ突貫する。相手の出方を見たいところだけど、こっちは0ポイント、とりあえず近づかなきゃ話にならない。
「死ねぇ!!!」
「…………」
爆破は簡単に避けられた。策士タイプに見えて、存外動ける方らしい。けど見え見えの突進なんて避けられるのは想定内、爆豪なら返しの一撃で……
「なっ…!」
「へぇすごい、いい個性だね。」
「それって爆豪の……」
「爆豪、お前も個性だだかぶりか!?」
私たちの目の前で炸裂した爆破、けどそれは爆豪のじゃない物間のだ。攻撃しようとして逆に攻撃された。でもそれよりも物間が爆豪の個性そっくりの技を繰り出して来るなんて……切島くんと鉄哲くんみたいな例…なの?
「クソがっ!」
間髪入れずに2度目の爆破、完全に入った!個性で相殺した気配もないし、これなら楽に取り返せ、る……
爆煙の晴れた先にいたのは涼しい顔をした物間。さっきの爆破とは違う、明らかに硬質化した皮膚で攻撃を受け切られてしまった。
「ホントいい個性だよ。僕の方がいいけどさ。」
「嘘……」
「うっ!?」
「また俺の個性だだかぶり!?」
「違ぇ……こいつ、コピーしやがった。」
「…正解。ま、馬鹿でも分かるよね。」
コピー、コピーか!それなら今までの個性使用にも説明がつく。爆豪が攻撃する前、物間が切島くんに何をするでもなく触れたのが一瞬見えた。多分、相手に触ることが発動条件。持続時間は分からないけど、これで彼に攻守に使える個性をコピーされてしまった。
ポイントを取られ、爆破と硬化をコピーされた。不利な状況には変わりない、けど時間ももうない。
「爆豪!もう時間が……なにこれ!」
「うわっ!」
「凡戸、仕掛けて来たな。」
「物間、後は逃げ切るだけだ。このポイントなら確実に4位以内に入る。」
「くそ!逃げるな!」
動こうとしたところで、B組の凡戸って人の個性が降り掛かってくる。間は塞がれるし、相手は時間いっぱいまで逃げを打つ気だ。
「追え!!!」
「無理!」
「固まって動けねぇ!さっきの凡戸って奴の個性だ!」
「ちょい待ち!私の個性で溶かすから!」
「私も内側から焼く!」
「早く!0ポイントだぞ、早く!」
あぁ!口惜しい!物間がどんどん遠くなっていく。余裕ぶっこいてこちらを見る暇まであるらしい。
「怒らないでね、煽ったのは君だろ?宣誓でなんて言ってたっけ、恥ずかしいやつ……まぁいいやお疲れ。」
あいつ〜〜〜〜!
足の拘束を解いて、物間を追いかける。彼の爆破と硬化は当然として、騎馬の個性も攻略しないと……
「デクにやったのをもう1回やる。」
「それ失敗したじゃん!物間は馬鹿じゃない、防がれるのがオチだって!」
「うるせぇ、やるつったらやる。」
「待て!待てって!」
「瀬呂、しくんなよ。」
こうなったら聞かないか。まぁ元々人の意見を聞く性格じゃないもんね。爆豪がポイントを取り返すのを信じるしかない。
「勝手すんな爆豪!」
「切島くん、もうあいつに任せるしかないよ。」
先程と同じように爆破で騎馬から飛んだ爆豪は、物間目掛けて突っ込んでいく。飛び越えての奇襲には一瞬怯んだ物間だけど、円場くんの個性で防がれた。直前に息を吹き出す動作をしてたから、空気を固めるみたいな個性なんだろう。即席でどこにでも出せる優秀な盾だ、けど空気程度の柔な壁で爆豪は止められない。
「うああああ!!!」
ガラスを砕く様な音とともに、足止めを確信し背を向けた物間へ爆豪の手が伸びた。個性もなく、強引に壁を殴り壊した爆豪が引き抜いたハチマキは、2本!
『爆豪チーム!2本奪取で3位に!!!』
「これで通過は確実…」
「まだだ!!!」
「はぁ?」
「完膚なきまでの1位なんだよ、取るのは!」
「いててててて!」
残り時間も極わずか、だけど我らが騎手はまだポイントをご所望らしい。確かにこのままポイントを取られなければ通過できるだろうけど、「1位を取る」
これを目指さずして爆豪と騎馬を組んだ甲斐がない。
でもポカポカ頭を殴るのはやめて欲しい。私は切島くんと違って硬くなれないんだから!
「さっきの前に俺単騎じゃ踏ん張りが利かねぇ!行けぇ!俺らのポイントも取り返して、1000万に行く!!!」
「ったく!」
爆豪の言葉にポイントを取った安堵で緩んだみんなの意識が引き締まる。全員が今、1位を取ることへ向いている。他を牽引するには荒っぽいけど、爆豪らしい引っ張り方だ。
「しょうゆ顔!テープ!」
「瀬呂な!」
物間目掛けて瀬呂くんのテープが伸びる。外れるが、目的はそこじゃない。
「黒目!進行方向に弱めの溶解液!」
「芦戸三奈!」
これで地面の滑りが良くなった。
「クソメッシュ!俺に合わせろ!」
「加山!なんてね。任せといて!」
爆豪に合わせて水蒸気を炸裂させる。
「やああああっ!」
4人の個性を使った急加速によって物間に接近、防御も紙切れのように破り瞬く間にハチマキを取り返した。
ふふん、物間の作戦に爆豪の1位への執念が勝ったって感じ。安全圏に入ったからトップは目指さず逃げ続けるのは悪くないけど、どうなろうと上を取りに行く方がきっと強い。
「次!デクと轟んとこだ!」
『そろそろ時間だ!カウントダウンスタートォ!』
「ちっ!時間がねぇ!クソメッシュ、氷破るの手伝え!」
「言われなくても分かってる!」
残り10秒を切った!もうこの競技中のキャパは考えなくていい。ならありったけを!
「開いた!」
「……クソデク!!!」
「爆豪!」
「……!?1000万が!」
緑谷くんの額に1000万がない、轟くんに取られたのか!くっそ、物間にかかりきりで実況聞いてなかった!
「半分野郎!!!」
間に合うか!?轟くんの意識は緑谷くんに割かれてる。隙はある!
『…………タイムアッーーープ!第2種目、騎馬戦終了!』
「あ、」
「ぐっ!!」
ダメでした……
「爆豪、大丈夫か!?」
「平気かお前!」
「顔から行ったね。」
「うううっ!」
落ちた体勢そのまま地面叩いてる……悔しがる元気あるなら大丈夫そうだね。
※ ※ ※
『じゃあ早速、上位4チーム見てみようか!』
無事?無事、騎馬戦を終えて順位発表が始まる。当然1位は1000万を取った轟くんチーム。
『2位!爆豪チーム!!!』
「ああ!もう少しだったのに!」
「まぁ2位なら上々だって結果オーライ。」
「そんなこと思うかよ、あいつが。」
「うんうん。」
「だあああっ!!!!」
目の前で座り込みながら憤ってる爆豪を見ての通り、私たちは2位。あと少し時間があれば1000万を取れたかもと思うと私も悔しい。
3位は心操チーム、他クラスがA組を偵察しに来たことがあったけど、その時にいた人が上がってきた。
そして残る4位は、なんと緑谷くんのチーム。1000万を取られたけど、別のハチマキを奪って時間ギリギリで滑り込んだらしい。さすが人を見る目がある緑谷くんの選んだチーム、転んでもタダじゃ起きない。
『以上4組が最終種目へ進出だ!』
早くガチバトル書きたい。アニメは全部見てますけど、あの戦いが1番好きなんですよね。燃える。