半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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書きたいとこ書けたぜ。


半分少女とトーナメント2

半分少女のヒーローアカデミア

 

トーナメント1回戦を終え、2回戦が始まる。第1試合のカードは緑谷くんと轟くん、轟くんは緑谷くんをライバル視してるところがある。オールマイトに似た個性を持ち、彼に目をかけられている緑谷くんとナンバーワンヒーローを超えるべく生み出され、そのプレッシャーをかけられ続けてる轟くん。今日はエンデヴァーが来ているそうだし、彼が何を言われていたとしても不思議じゃない。そんな2人が激突するこの試合、目が離せなくなりそうだ。

 

「2人、まだ始まっとらん?」

「あ、お茶子さ、ん!?」

「目を潰されたのか!?早くリカバリーガールの元へ!」

「瓦礫でも当たったの?こんなに腫れちゃって……」

「これはアレ、違う!」

「違うのか…」

 

違うんだ……まぁリカバリーガールのところへは実際もう行ってるだろうし、あれは悔し涙のあと、かな?あれだけやって敵わなかったんだ、そりゃ悔しいに決まってる。私だってガチンコで負けたら、しかもあの爆豪に負けたらその日は枕を涙でびちょびちょにしてしまうかもしれない。

 

「さっきは悔しかったな麗日くん。」

「今は悔恨より、この戦いを己の糧とすべきだ。」

「うん…!」

「……確かに。」

 

『お待たせしたぜエブリバディ!2回戦第1試合はビッグマッチだ!』

 

お、始まるぞ。緑谷くん、轟くんがステージに上がってくるのが見える。

 

『1回戦を圧勝!観客を文字通り凍らせた男!ヒーロー科、轟焦凍!!!

片やこっちはヒヤヒヤでの1回戦突破ァ!ヒーロー科、緑谷出久!!!』

 

「常闇くん、この試合どう見る?」

「緑谷が轟の懐に入れるかどうかだな。」

「緑谷くんは近距離タイプだもんね。」

「うん、あの氷結…デクくんどうするんだ?」

「そうだなぁ、轟くんの戦闘スタイルと2人の個性の相性を考えると……」

「考えると?」

 

『今回の体育祭、両者トップクラスの成績!正しく両雄並び立ち、今!緑谷バーサス轟、スターーーート!!!』

 

「開幕ぶっぱ。」

 

試合開始の合図と共に緑谷くんへ襲いかかる氷結の波、下手に避ければ捕まってゲームオーバー。そんな中、彼が選択するのは指だけのスマッシュ。向かってきていた大量の氷は根こそぎ吹き飛ばされ、余波で応援席にも寒風が吹き荒れる。

 

『おぉ!緑谷、轟の攻撃を破ったァ!!!』

 

「読み通りか、やるな加山。」

「それほどでも。けど見て、今の打ち消しに指を犠牲にしてる。そう何度も使える手じゃない。」

「緑谷くんがやや不利なのは変わらずか…」

 

その間にも緑谷くんは2発、3発とスマッシュを放ち氷結を打ち消すが、このままだとジリ貧……

 

「個性も身体機能だ。アイツらにも何らかの限度があるはずだろ。」

「個性、身体機能……あーーー!」

「うるせぇぞ、クソメッシュ。」

「かっちゃん!そう、身体機能だよ!」

「はぁ?」

「轟くんはね、氷結を使うと体が冷えるの!」

「てっめぇ、それいつから気づいてやがった。」

「最初の戦闘訓練のとき。」

「〜〜〜〜!」

 

うわぁ凄い顔……いや、黙ってるつもりはなかったんだよ?というか何回か轟くんが個性使うところはみんな見てるわけだし、周知の事実だと思ってて……

 

「事の経緯を説明しますので爆破はご容赦を……!」

「ちっ!要らねぇ。まぁ、デクの奴もそれを見極めようとしてんだろうな。」

「今から大声で伝えるのってありかな?」

「なしでしょ、相澤先生に睨まれるのが目に浮かぶぜ。」

「だよねぇ。」

 

氷結を相殺し続けていればいつか轟くんに限界は来るだろうけど、その前に緑谷くんが力尽きるかもしれない。仮にそこまでたどり着けても緑谷くんに攻撃するだけの余力が残っているか……

 

「あっ……!」

「まずいぞ!」

 

突風。緑谷くんがついに氷結に捕まったと思ったら、今までのとは比にならない衝撃波が会場全体を襲った。風が来る直前、緑谷くんが左手を握り直すのが見えた、恐らく左腕犠牲のスマッシュで相殺したんだ。

 

でもこれで緑谷くんの右指、左腕は全滅、次の攻撃を受ける手段がない!

 

『あぁっ!圧倒的に攻め続けた轟!トドメの氷結をーーー!』

 

怒涛の勢いで迫る氷結、会場にいる全員が轟くんの勝ちを確信しかけたとき。

 

「うっそ……」

 

起きるはずのないスマッシュが再び氷結を蹴散らした。

 

そして同時にチャンスはやってきた。緑谷くんへ近接戦を仕掛けた轟くんは

 

「動きが鈍い!」

「個性の使用上限!」

 

『モロだァ!生々しいの入ったーーー!』

 

初めて緑谷くんが攻勢に転じ、そして土手っ腹にデカいのを決めた。逆にもう緑谷くんはボロボロなのに、轟くんは決めきれない。使用上限で体に霜が降りてる。氷結の速度も規模も落ちてるし、体も上手く動かせてない。

 

でも緑谷くんはやはり限界だ、折れた右手を何度も酷使してる。けどそれ以上に体に鞭打ってまで、轟くんに訴えてる様に見える。

 

……まさか。

 

「緑谷くん、轟くんのこと知って……」

 

そうだ、そうに違いない。きっと彼はあのオールマイトに期待されてる、事情は分からないけど、必死に応えようとしてる。それと同じくらい轟くんが置かれた状況から救いあげようと頑張っているんだ。それなら彼の自傷覚悟の戦いぶりにも合点がいく。

 

そしてまた緑谷くんの右手が轟くんの胴体を鋭く捉えて。

 

『君の!力じゃないか!!!!!』

 

緑谷くんの力いっぱいの叫びがこだます。

 

それに呼応するように轟くんから熱が、炎が、火柱が立ち上る。彼がずっと避けてきた力が会場を圧倒する。

 

それを見て、私は思わず身を乗り出した。

 

「轟くん!」『焦凍ォ!』

「血に囚われることなんかない!」『やっと己を受け入れたか!』

「君から始めるんだよ!」『ここからがお前の始まり!』

「轟くんは轟くんだから!」『俺の血をもって俺を超えていき!』

「君が成りたいものになって!」『俺の野望をお前が果たせ!』

 

『エンデヴァーさんとA組の加山、急に激励か?……親バカと仲良しさんなのね。』

 

「あっ……。」

 

は????私何やってんの?轟くんが左側を使ったのが嬉してテンション上がったからって……こんな!人前で!大声で!!!はっずかしいいいいい!これ絶対みんなに何か言われる……顔上げらんない。

 

「はっずうぅぅ……」

「水穂ちゃん!水穂ちゃん…!」

「うぅ、何?」

「これやばいんちゃう!?」

「え?」

 

お茶子さんにユサユサ揺られ、嫌々顔を上げれば緑谷くんと轟くんの全開の個性がぶつかり合う瞬間だった。

 

セメントス先生の作った壁ごと貫いて激突した2つの個性は、そこに台風でも現れたかのような暴風を生み出し会場全体に吹き荒れた。

 

『なんっも見えねぇ!勝負はどうなってんだ!』

 

試合ステージを丸ごと覆い尽くしていた煙は晴れ、そこには……

 

『緑谷くん、場外!轟くん3回戦進出!』

 

 

※ ※ ※

 

1試合目から大波乱となったが、ステージの修復も済んで次が始まる。波乱を巻き起こした片割れである緑谷くんは手術だそうだ、あれだけの無茶をして後遺症が残らなければいいけど。

 

第2試合は私と飯田くん。機動力の高い彼に動き回られたら厄介だし、その機動力で即勝負を決めに来ると私は踏んでるけど。

 

『第2試合スタート!』

 

「レシプロ……バースト!!!」

 

……来た!タイミングを読み間違えないよう、彼が目の前に来た瞬間飛び上がる!

 

「よっ!」

「なに……!どわっ!」

 

後ろに回り込もうとした飯田くんに水流をお見舞いしてお終い!

 

『飯田くん、場外!加山さんの勝利!』

 

第3試合は常闇くんと三奈さん。これも前回の八百万さん同様に相性が悪く、三奈さんの酸を巧みに避けたダークシャドウが彼女を押し出して決着。

 

第4試合は切島くんと爆豪。1回戦を鉄哲くんに勝利した(ほんとに腕相撲だった)切島くんだったけど、彼の個性と爆破は意外と相性が良くなかった。というのも爆破対策に全身を硬化して速攻を挑んだんだけど、これは全身ずっと気張り続けるようなものらしく、綻んだところを突かれKOされてしまった。

 

『これでベスト4が出揃った!!!』

 

轟くんとの決着をつける時が来た。

 

※ ※ ※

 

『行くぜ準決勝!エブリバディ!用意はいいか!!!』

 

ステージへと登る。登れば反対側にいる轟くんと自然と目が合う。

 

「轟くん…」

「加山、お前の言ってたことが少しわかった。」

「私は何もしてないよ、無神経なこと言って轟くんを傷つけた。君がそう思えたのは緑谷くんのおかげ。」

「…そうかもな。今までのことは捨てられねぇし、親父のことは許せねぇ。でも考えるきっかけをくれたのはお前もなんだ。」

「そっか。私は父親を否定するあまり、自分のことさえも否定していた轟くんに自分を少しでも認めてあげて欲しいって思っただけだし。」

 

互いに位置につく。

 

「そろそろだな。やるか加山。」

「よし!全力でかかってこい!」

 

私の言葉に何故か轟くんは少しだけ笑った。

 

『スターーーート!!!』

 

初手に選択したのはお互いに氷結と水流、いつぞやの再現みたいだ。激突し壁のように広がる氷、私はその上を飛び越え轟くんに迫る。

 

中遠距離は轟くんの間合い、突っ込んで近接戦を仕掛けるのがベスト。氷結の細かい使用もできるだろうけど、その程度の威力じゃ私の炎に太刀打ちできない。そして右側に頼りがちな彼は左側の対処があまい!

 

「取った!」

「クソッ!」

 

轟くんを掴んだ勢いそのままに場外へ向けて投げる!私の力じゃ場外にまでは届かないだろうけど、体勢を整えようとする隙に水流をぶつけるのが狙いだ。

 

『加山の投げ!!!これは早々に決まっちまうのか!?』

 

まさか、隙を突くつもりだけど轟くんが簡単にやられるはずがない。

 

予想通り危なげなくするりと体を翻した彼は足元に氷結を展開、投げられた勢いを殺しつつ氷を生み出す力でこちらに滑ってくる。

 

「そうあっさりやられてやるかよ!」

「残念。さっき少しでももたついたら水でぶっ飛ばしてあげたのに。」

「危ねぇやつだな…!」

「なんの!」

 

轟くんの右手が突き出される。大味な動きだ、あえて私が近づきやすいように隙を晒してる。確かに近距離で戦いたい私としては好機だけど、下手に触れれば凍らされる。いくら氷を溶かせると言っても私も轟くんと同じく個性にキャパがある。それがわかってて誘ってるんだ。

 

「そんな安い誘いには乗ってあげない!」

 

腕を払い除け、素早く距離を取る。距離の長さは轟くんへのアドバンテージになってしまうけど仕方ない。去り際に水弾を彼に向けて4発放つ。上と左右、そして正面だ。簡単に対処されるだろうけどそれでいい、ただの時間稼ぎだし。

 

両足をしっかり踏みしめて集中する。実戦で使えるのは塩崎さんとの試合で試した。あとは全力でやるだけ。

 

「お前こそ雑な攻撃……熱?」

「ふっふーん!魅せてあげる!」

 

全身に炎を纏う私の姿に轟くんはしばし瞠目する。炎を使う姿をちゃんと見るのは轟くんもあの授業以来だろう、塩崎さん戦を見ていなかったとしたら尚更だ。

 

「行くよ!」

「チッ…!」

 

水蒸気を炸裂させ、また距離を詰める。その勢いを乗せた拳に轟くんは氷を纏った腕でガードする。……やっぱり轟くんは左半身を使うのが苦手だ。今のも炎に耐性のある左側なら難なく受けられた。けどつい右側を使ってしまうのは癖なんだ。だからその分、速い攻撃にはほんの少し対応が遅れるし、それが付け入る隙になる。

 

『速い速い!加山の瞬速から繰り出されるラッシュに轟は防戦一方だ!』

『全身に炎を展開しての戦法、まだ早いって散々言ったんだがな……。』

 

この戦い方には消耗が激しい分ちゃんとメリットがある。派手なだけじゃないですよ。まずは纏った炎が攻撃手段になり、相手の安易な反撃を許さない防御になること。そして水蒸気を生み出すのに溜めがいらないこと。こんな風に!

 

「ふん!」

「カハッ!!」

 

轟くんの胴体を真っ直ぐ捉えた拳、私の素の腕力じゃ到底出来ない威力で彼が吹っ飛んだ。

 

『重いの入ったァ!つか加山ってこんなパワー系だったっけ?』

『拳が当たるインパクトの瞬間、小さな水蒸気爆発を2回の衝撃を生んでんだな。』

 

「けほっ……お前、まだこんな隠し玉持ってたのか。」

「おっどろいたでしょー?でもこれから!まだまだ行くよ!」

「休ませねぇつもりか。」

 

轟くんはもう限界ギリギリだ。既に個性のキャパを超えて氷結にも勢いがないし、体の動きも悪い。それにたった今、私の攻撃を諸に受けてしまった。このまま攻めれば彼に勝てる!

 

『また重いの入ったァ!!!何とか場外は回避した轟だが、立ち上がれるか!!!』

 

遅い……緑谷くんの時みたいに氷を壁にして踏ん張ったけど、膝をついてしまってまだ立ち上がれてない。次だ、次で決ま、る……

 

「……あぁ!」

「やっとかかったか。好き放題やりやがって。」

 

そう言って轟くんがゆっくりと立ち上がる。

 

……左足が膝まで凍らされてる。体温が上がって感覚が鈍ってた?炎を纏ってる私にどうやって!

 

「どうやってって思ったか?確かにお前の炎は厄介だった。けどな、揺らいでるのが見えた。」

「…っ!」

「慣れてねぇんだろ。お前は均一に纏ってるつもりでも出力にムラがあった。恐らくだがその状態を維持するには相当な集中力がいる。そんなお前に当てるのはわけなかった。まぁ見極めてる間に随分貰っちまったが。」

 

バレてた……轟くんの言う通り、この状態を保つには結構集中しないといけないし、意外とムラがある。多分私が普段から炎を使わないのを見て、どこかに綻びがあると踏んだんだ。……散々轟くんの隙を狙っておいてなんてザマだ。

 

とにかく早くこの氷を溶かさないことには始まらないか。

 

「させるかよ!」

「クソッ!」

 

『形勢逆転ッ!!!轟を追い詰めてた加山!一転して氷漬けだ!!!』

 

くっそーーー!轟くんだって氷結の使いすぎで限界だってのに、私の拘束にここまでの規模を打ってくるなんて。さすがに瀬呂くんの時ほどじゃないけど、全身をガッツリ固められて身動きが取れない。

 

「ふんっ!」

「逃げる気か!」

 

体そのものを炎に変えるイメージで個性を使う。周りの氷が急速に溶けていき、もうもうと蒸気が立ち込める。轟くんも逃がすまいと追撃してくるけど、氷結に勢いはなく、彼の右半身も凍りついたのかと思うほど真っ白だ。

 

『加山、氷結を破る!!!これは轟、厳しいかァ!?』

 

「…言ってくれんな。」

「ねぇ、轟くん。私が試合前に言ったこと覚えてる?」

「全力でかかってこい、だったか?緑谷にも同じこと言われたな。」

「そ、そうなんだ。」

 

……ちょっと恥ずかしい。知らなかったとはいえ緑谷くんと一緒のことを轟くんに言ってたとは。

 

「ともかく。私は轟くんの「全力」見せてもらってないよ。」

「確かにな……」

「君は忘れられないって言ってた。でも、でも!今、私と全力をぶつけ合うことだけを、それだけを考えて欲しい。」

「……。」

 

轟くんからの返事はない。また怒らせてしまっただろうか、私をじっと見つめる表情からは感情が読み取れない。

 

 

 

……ダメ、か。

 

「はぁ……全く、お前といい緑谷といい遠慮なくこっち側に踏み込んで来んだな。」

「轟くん…」

「わかった。加山、お前が言い出したんだ……吠え面かくなよ。」

「…ッ!」

 

『轟ついに左側を使ったアア!氷も派手だがこっちも派手だぜ!ヒュー!』

 

凄まじい熱と共に炎が立ち上る。使用上限に達していた右側も見る間に回復し、炎に合わせて氷結をふかす。見せる構えは緑谷くんとの試合で見せたのと同じ、今度もその技で来るつもりだ。

 

あの威力に対抗するには水の個性だけでも炎の個性だけでも役不足だ。なら私の使えるもの全てを駆使するしかない。あれだけ煽っておいて、半端な力しか出せず負けたら笑い者になっちゃうな。

 

「けど、これしか思いつかないんだよね!」

 

轟くんが氷結を放つと同時に私も水流を打つ。私自身を巨大な水道管にするイメージ、ここで押し負けるわけにはいかない!

 

『激突ウウウ!水と氷が渦巻き、塔を作る!こりゃあとんだパフォーマンスだぜ!』

 

水の生成は止めない、私の作戦には氷だと不十分だ。間髪入れずにそこへ溜めた炎熱をぶつける。2つの炎が衝突し、冷やされた空気は爆発的に膨張し、水は一瞬で大量の水蒸気に変わる。

 

その瞬間、私は発生した水蒸気の掌握に全神経を注ぐ。蒸気に指向性を与え、全てを轟くんへぶつけるためだ。

 

「ま け る かああああ!」

 

正直なところ調子乗って炎使いすぎたせいで、こっちはキャパオーバーしてる。轟くん相手にペラペラ喋ってたけど、全く余裕がない。吐きそうだし、体は今にも溶けてしまいそうだ。

 

少しずつ意識が削れていく感覚、あと数歩で気絶してしまいそうな予感のする中、ふっと個性の使用が途切れた。使えなくなったのではなく、使用対象にしていた物が範囲内に無くなったが故の終了。

 

「はぁ…!はぁ……!」

 

試合は、勝敗はどうなった?私は場内にいる、立っている。轟くんは……?

 

視界が晴れ、結果が会場にいる全ての人へ明らかになる。

 

『これはこれは!この結末は!!!』

『……加山さん!決勝戦進出!!!』

 

……勝った。

 

「勝ったああああ!」

 

※ ※ ※

 

喜ぶのも束の間、場外で倒れ込んでる轟くんへ駆け寄る。めちゃくちゃしんどい、けどお互い全力でやろうって実力を出し合った相手が倒れてたら、いくら自分がぶっ飛ばしたとしても心配になる。

 

「轟くん、大丈夫!?」

「お、おぉ……」

 

轟くんの手を掴み、ぐっと助け起こす。擦り傷だらけだが、骨折とかはしてなさそうだ。

 

「お前の手、熱いな。個性、無茶な使い方しただろ。」

「……まぁね。」

「ほんと、加山も緑谷もイカれてるよ。」

「イ、イカれてる?」

「あぁ。」

 

酷い…でも今回相当めちゃくちゃやった自覚はあるので甘んじて受け入れるしかない。少しシュンとしていると、また轟くんが口を開く。

 

「君が成りたいものになって。」

「え?」

「緑谷とやりやってた時、お前が叫んでんのが聞こえた。」

「お?」

「血に囚われることなんかない。昔、母さんに同じこと言われたのを思い出した。おかげでもっと大事なことも思い出せた。」

「全部聞こえてたの?」

「あ?そりゃあれだけデケェ声で言われたらな。」

「〜〜〜〜〜!」

「おい、顔赤ぇぞ大丈夫か?」

 

そこから轟くんが体調を気にして氷を当ててくれたり、体調不良ってことでリカバリーガールのところまで運ばれたりしてみたい。何とか朦朧としながらも色々と誤魔化して次にちゃんと意識が戻ったのは控え室の中でした。

 

 

 

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