半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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期末試験の話とショッピングモールの話、同時に書いちゃったからタイトル決められなかった……

ショッピングモールでの緑谷と死柄木弔のやり取り、死柄木弔がヴィランとして一歩踏み出したのがめちゃくちゃ怖くて好きです。笑顔怖すぎ。


半分少女と休日2

半分少女のヒーローアカデミア

 

激闘の演習試験、私たちのチームは何とかクリアできた。ありがとう八百万さん。試験後は控え室で後のチームを見てたけど、あれは中々見どころがあった。

 

特に峰田くん、彼は瀬呂くんとともにミッドナイト先生と当たったけど、開始早々に瀬呂くんがダウン、瀬呂くんに助けられた峰田くんは、そこから逃げ出してしまった。これはクリアならずかと思ったけど、逃げたのは彼の作戦で、ミッドナイト先生をゲートから引き離したあと、もぎもぎで動けなくするという見事なものだった。眠ってしまった瀬呂くんまで回収して、文句なしのクリアである。峰田くんは脳内ピンク色なだけではなかったのだ。

 

でも私が一番目を見張ったのは、やはり緑谷くんと爆豪のチーム。オールマイトと戦う爆豪とそれを回避したい緑谷くん、ただでさえ仲が悪いのに作戦まで不一致だったので、初戦はボコボコにされてた。しかし緑谷くんが爆豪を殴り飛ばしてからは状況で変わった。そこに何があったかは分からないが、2人の協力体制が敷かれ、爆豪の篭手を借りた緑谷くんの爆破でオールマイトを牽制することが出来た。

 

爆豪の必死の足止めで、緑谷くんがゲートを潜ってクリアするかに見えたけど、彼は爆豪を見捨てなかった。オールマイトが爆豪に意識を集中していたところを殴りつけ、そのまま救けてクリアしてしまった。爆豪はプライドを曲げてまで緑谷くんと協力し、緑谷くんは勝ちが危うくなっても爆豪を捨て置かなかった。

 

不安なペアだったけど、これで爆豪が緑谷くんを拒絶することも、緑谷くんがビビって何も言えなくなるってことも少しマシになるんじゃないだろうか。このことが2人が仲直りする一歩になればいいなと思う。

 

そんなふうに昨日のことを反芻しながら教室のドアを開ける。

 

「みんなおはよーう。……って4人ともどうしたの!?」

「よ、よう加山……は、はは。」

「上鳴くんが暗い!?」

 

開けた瞬間、目に飛び込んで来たのはクラスメイト4人のどんよりムード。三奈さん、上鳴くんと切島くん、砂藤くんだ。あのウェーイ系な上鳴くんが沈んでるなんて尋常じゃない。

 

「俺たちは演習試験ミスって、補習確定組だ……」

「き、切島くんまで……演習試験で負けちゃったんだよね。」

「ぐふっ、それ言わないで……ぐすん、みんな合宿の土産話楽しみしてるから!」

「三奈さんごめんごめん!!ほら、ね?泣かないでー!」

 

凄まじく暗い3人と、とうとう泣き出してしまった三奈さんにてんやわんやである。ごめん、本当にごめん!女の子泣かせちゃったよ!!!

 

「まだわかんないよ!どんでん返しがあるかもしれないし!」

「よせよ、緑谷。それ口に出したら無くなるパターンだから。」

「赤点取ったやつは合宿行けずに補習地獄……そして俺らは実技クリアならず!これでわからんお前は偏差値猿以下だああ!」

「ぎゃあああ!」

「……荒れてるなぁ。」

 

気休めを言った緑谷くんが処されてる……目潰しはいかんよ目潰しは、危ないから、上鳴くん。しかしこの赤点は実際のところ相当厳しい気がする。いくら相澤先生でも赤点は補習ありは嘘でしたとは言わないだろうし。

 

「俺もまだわかんねぇよ。峰田のおかげでクリアはできたけど、寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされてない以上は……」

「同情するならなんかもう色々とくれ!!!」

「……ほんと荒れてるなぁ。」

 

もう限界すぎて意味不明な要求をしているな上鳴くん。そこへスパーンッ!と戸を開け、相澤先生が入ってくる。日々、先生からメリハリを叩き込まれてるA組は直前までどれだけ騒いでても即時に着席して沈黙を作ることが出来る。

 

「今回の期末試験だが、残念ながら赤点が出た。したがって林間合宿は

 

……全員で行きます!」

『どんでん返し来たあああ!』

 

あ、合理的虚偽の顔!!!今回は完全に騙された……でもA組で学校に居残りになる人は誰もいなかったんだ、良かった良かった。

 

「行っていいんすか俺!」

「ほんとに!?」

「あぁ、赤点だが筆記はゼロ。実技で切島、上鳴、芦戸、砂藤、それと瀬呂が赤点だ。」

「え!?やっぱり……確かにクリアしたら合格とは一言も言ってなかったもんなぁ。」

 

瀬呂くん許されなかったか。八百万さんの助けがなかったら私もこちら側だったかもしれない。本当に彼女には頭が上がらないね。

 

「今回の演習試験、我々ヴィラン側は生徒に勝ち筋を残しつつ、どのように課題に向き合うかを見るため動いた。でなければ、課題云々の前に詰むやつばかりだったろうからな。」

「本気で叩き潰すと言っていたのは?」

「追い込むためさ。そもそも林間合宿は強化合宿、赤点取った者こそここで力をつけてもらう。……合理的虚偽ってやつさ。」

『合理的虚偽ぃぃぃ!?』

 

やっぱりこれでした。相澤先生は生徒のやる気を引き出すのが上手い。いつも知らないうちに手のひらで踊らされてる。

 

「またしてもやられた、さすが雄英だ!……しかし!2度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎがでるかと!!!」

「確かにな、省みるよ。」

「みないんだろうなぁ……」

「ただ全部嘘なわけじゃない。赤点は赤点、お前らには別途、補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残ってよりキツイからな。」

 

その言葉に居残りを免れたとお祭り騒ぎだった5人が固まる。補習はちゃんとあるんだ……確かに林間合宿に行けるとは言ったけど、補習がなくなるとは言ってないな。

 

※ ※ ※

 

林間合宿の詳細が説明されてから次の日の休日、私は巨大なショッピングモールに来ていた。クソでかい、人多い、こんなに混雑してるところには来たことがないので、ちょっと怖い。まぁなんで私が慣れないショッピングモールに来てるかと言うと、昨日の放課後の会話が発端である。

 

合宿のしおりが配られ、色々必要だなぁという話になって、葉隠さんの「明日は休みだからみんなで買い物行こ!」の言葉で、ショッピングモールへ行くことになった。こういう馴れ合いが嫌いな爆豪とお母さんのお見舞いに行った轟くんは不参加である。私は特に用事もなかったし、欲しいものもあったので、断らなかった。絶賛後悔中です。

 

「みんな欲しいもの違うし、集合時間決めて自由行動にすっか。」

「さんせーい!」

「じゃ、3時にここで集合だ!」

『異議なーーし!』

 

……知らん間にみんないなくなってる。残ってるのは私を除いて、お茶子さんと緑谷くんだけ。もう既に疲れてるので、落ち着いた性格の2人が残ってくれて嬉しい。

 

「緑谷くんとお茶子さんは、なに見る?」

「僕は重めのウェイトリストを新しく買おうかな。」

「私は虫除け…………む、虫除けーーー!」

「僕、虫!?」

 

緑谷くんを見て急に顔を赤くしたお茶子さんは、叫びながらどこかへ走り去ってしまった。そういえば演習試験の時も、似たようなことあったな。梅雨ちゃんにお茶子さんとペアだった青山くんと何話してたの?って聞かれて。

 

うーーん?ちょっと察するところがないこともないけど、置いておこうか。

 

「なんか2人きりになっちゃったね。」

「せっかくみんなで来たのに……」

「しょうがないよ、一緒に回ろ?」

「そ、そうだね。」

 

他のA組の人たちと回れないのは少し残念だけど、緑谷くんと回れるならいいや。そう思って歩き出そうとしたとき、急に私たちの間へ入って肩を組んでくる人がいた。

 

「お前ら雄英生だろ?体育祭で2位やつとボロボロだったやつ。」

「あ、はい。」

「……なんですか?」

 

少し、いやかなりムッとする。声をかけられるならまだしも、知らない男にこんなに至近距離でベタベタくっつかれて気分は良くない。デリカシーというものがないのかと、男を睨むようにして見る。

 

「……ッ!」

「保須でヒーロー殺しとも遭遇したんだって?いやーこんな偶然あるもんだなぁ。」

「よく、ご存知で……」

 

全身が一気に硬直する。なんでこれほど近づかれるまで気づかなかった!フードを深く被ってるし、格好も違うけど、私はコイツを知っている。

 

USJ襲撃事件の主犯格、敵連合のリーダー

 

「死柄木弔……!」

「え!?」

「おっと、さすがにお前は気づくよな、加山水穂。……でももう遅いぜ?」

 

冷たくガサついた指が私たちの喉元に触れる。たったそれだけの動作なのに、その感触による不快感よりも生死を握られたという恐怖が立ち上る。あとほんの少しの動きで私たちは殺されるという確信。

 

「USJ以来だ。お茶でもしようぜ、お二人さん。」

「……なんの用だ。」

「言っただろ、俺はお前たちと話がしたいだけだ。僅かでも変な挙動を見せてみろよ、お前たちはチリになって死ぬ。簡単さ、俺が五指で触れれば。」

「こんな人混みで事を起こしたら、あっという間にヒーローに捕まるぞ……!」

「だろうな。でも見てみろよ。」

 

そう言われて死柄木弔の見ている方向を見る。そこには何も無い。何もおかしなことはない、ただの日常があるだけだ。多くの人が平和な、普通の休日を過ごしている。

 

「いつ誰が個性を振りかざしてもおかしくないのに、なんで笑って群れている?法やルールってのは結局、個々人のモラルが前提だ。するわけねぇって思ってんのさ。……捕まるまで30は壊せるだろうなぁ。」

「お前ッ!」

「加山さん、落ち着いて!……わかった。話を、聞く。」

「それでいいんだ。せっかく会えたんだ、腰でもかけてゆっくり話そうじゃないか。」

 

私たちの命だけじゃなく、今この周辺にいる人すべてが人質に取られている状況……コイツの機嫌を損ねたら大勢の人が死ぬ。ここは従うしか、ない。

 

設置されているベンチへ3人で座る。状況は最悪極まりないが、周りからは不自然に思われている様子はない。

 

「俺はなんでも気に入らないんだけどさ、今一番嫌いなのはヒーロー殺しさ。」

「仲間じゃないのか?」

「世間じゃそうなってるらしいな。けど俺は認めちゃいない。ほとんどの人間の注目はヒーロー殺しに行っている。雄英襲撃も保須の脳無も全部ヒーロー殺しに食われた。誰も俺を見ない、なぜだ?いくら能書き垂れようが、ヤツも気に入らないものを壊してただけだろ?……お前たちは、俺とヒーロー殺しの何が違うと思う?」

 

ジッとニヤケ面を近づけ、死柄木弔がそう囁く。

 

「……何が違うかって。僕は、お前を理解も納得も出来ない。ヒーロー殺しは納得出来なくても理解は出来たよ。……僕もヒーロー殺しも始まりは、オールマイトへの憧れだったから。」

「へぇ……」

「僕はヤツに助けられた。少なくともアイツは壊したいから壊してたんじゃない。お前のようにいたずらに投げ出したりもしなかった。やり方は間違ってたけど、理想に生きようとしてた……だと思う。」

「そっかそっか。お前は?加山水穂。」

「私も緑谷くんと同じ。ヒーロー殺しは、ステインはヒーロー社会を改革するために武器を取った。確かにお前と同じくその手段は破壊だった。でもお前にはそこに乗せる信念が決定的に欠けてる。癇癪を起こしておもちゃを壊してしまう子供と同じだ。」

 

もうこの際だ、思ってることは全部言ってやった。これで死柄木弔が暴れだしたら一巻の終わりだけ、ども……

 

「あぁ、スッキリした。点が線になった気分だ。なんでヒーロー殺しがムカつくか、なんでお前たちが鬱陶しいかわかった気がする。

 

……全部、オールマイトだ。」

 

死柄木弔の顔がくしゃりと歪む。これほど気色の悪い笑顔は見たことがない。人はこんなにも醜い表情ができるのか。ヤツの粘着質な感情が透けて見える。私たちが死柄木弔へ図らずも切っ掛けを与えてしまったような予感がする。

 

「結局、そこにたどり着くんだ。はは、何ごちゃごちゃ考えてたんだろうな、俺は。こいつらがヘラヘラ笑ってるのも、オールマイトがヘラヘラ笑ってるからだよな!」

「うぐ……!」

「お前、何言って……」

 

私たちの首に触れる指の力が、絞めるように強くなる。なんなんだコイツは、いきなりペラペラと喋りだして!

 

「あのゴミクズが!救えなかった人間なんていないように、ヘラヘラ笑ってるからだよなァァ?……話せてよかった、ありがとな!」

「こ、っの!」

「おいおい暴れるなよ。無関係の一般市民が死んじまうぜ?」

 

いよいよ本気で絞めてきてる!苦しさに思わず、指を剥がそうとしてしまうけど、死柄木弔の声に手は中途半端な形で止まってしまう。ヤツの様子がさっきからおかしい。何とか抜け出さないと本当に絞め殺されそうだ。

 

でも下手に動けない、助けも呼べない。そんな状況でどうやって!?

 

「……デクくんと水穂さん?」

「「……ッ!」」

「……お友達じゃ、ないよね?」

「お茶子さ、ん!」

「手、離して……」

「なんでもないよ!大丈夫!だから来ちゃダメ!!!」

 

良いのか悪いのか、このタイミングでお茶子さんが戻ってきた。いや、悪いなこれは、彼女は何が起きてるのか把握できてない。その状態でここにいるのは危険まである。……緑谷くんが言ったので離れてくれたらいいけど!

 

「なんだ友達待ってたのか、邪魔してごめん。じゃあ俺、もう行くわ。」

(追ってきたら分かるよな?)

「ゲホッ、ゲホッ!……待て!死柄木弔!!!」

「え!?死柄木って……」

「オール・フォー・ワンは何が目的なんだ!」

「は?緑谷くん今なんて。」

「……知らないな。それより気をつけとけ、次会うときは殺すと決めた時だろうから。」

 

敵連合、死柄木弔があの白髪の男と、オール・フォー・ワンと繋がっているというのは何となく察してた。脳無なんていうものを作り出せるのはヤツしかいないからだ。けど、たった今予想外のところからその名が飛び出した。

 

 

……なんで緑谷くんがオール・フォー・ワンを知っている?

 

 

 

 

 

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