半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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プール回です。ここと合宿の峰田はあまりにも脳内ピンクすぎてすごい。

半分少女を書くに当たってアニメを見返してますが、ヒロアカずっと面白くてビビりますね。


半分少女とプール

半分少女のヒーローアカデミア

 

死柄木弔と遭遇してから数日、一学期は夏休みまで残すところあと僅かになっていた。高校初めての夏休みを迎えることもあって、教室はいつもより賑やかだ。

 

「夏休み中の外出を控えろって、相澤先生酷い〜!。」

「学校からの要請じゃ仕方ないよ。」

「残念ですわ。両親とベネチア旅行の予定でしたのに……」

「ブルジョワや!」

 

お家の違いをサラリと見せつけられて卒倒してるのは、お茶子さん。A組女子一同、遊びに行けないのを残念がっている。前々から夏休みになったらアレしようコレしようと時々話し合っていたからね。しかし先日のショッピングモールの件もあって雄英も慎重になってるからどうしようもない。

 

「せっかくおニューの水着買ったのにぃ……」

「諦めなって。最近、物騒なことばっかなんだからさ。」

「それでも遊びたい!どっか行きたいー!」

 

三奈さんが外出自粛になって一番残念がっている。三奈さんって元気だしテンション高いし、普段からアウトドア派なんだろう。そんな彼女にせっかくの夏休みを家で過ごせというのは、ある種の拷問かもしれない。

 

「外出出来ないなら学校で遊べばいいんじゃない?プールとか!」

「そうね。学校のプールなら危険も少ないし、先生も許可してくれると思うわ。」

「いいね!それならお金もかかんないし。」

「では、私が許可を貰ってきますわ!」

 

葉隠さんの妙案に女子全員乗り気だ。学校で遊ぶなら相澤先生も悪い顔はしないだろう。

 

「水穂も来るよね?」

「うん、私もプール遊びしたいし。」

「よし!じゃあさじゃあさ、終わったあと家に遊びに行っていい?」

「いいねー!」

「三奈ちゃん、透ちゃん、それはどうかしら……」

 

友達が家に来る、余程人付き合いが嫌いじゃなければ、大体の人が嬉しいことだろう。実際私も嬉しい、そういうのなかったから。私は雄英に住んでるので、プール後にその足で向かえるし都合がいい。しかし2人は重要なことを失念している。

 

「私はいいけど、相澤先生もいるから課題やらされるだけだと思うよ?」

「「あ゙……」」

「固まってもうた。」

「水穂ちゃんが相澤先生と暮らしてること忘れてたのね……」

 

期末試験の対策地獄を思い出したらしい2人が、石のように動かなくなる。

 

……南無

 

 

※ ※ ※

 

「プールだあああ!」

「泳げ泳げー!」

「お二人とも!水に入る前はまず柔軟ですわ!準備運動なしは危ないですから。」

「「はーい。」」

 

ついに迎えた夏休み、私を含めたA組女子はかねてからの予定通り、プールに来ている。水着に着替えた瞬間、我先にと飛び出して行った三奈さんと葉隠さんを八百万さんが諌める。プールと言えど舐めたら死ぬから、ちゃんと体は解さないとね。

 

「しっかし、よくあの内容で相澤先生が許可くれたね。」

「使用目的が日光浴したいからってやつ?」

 

そう話始めたのは耳郎さん。日光浴というすごく適当な理由で先生の許可が取れたことが不思議らしい。私は柔軟しながらそれに答える。

 

「それそれ。先生なら学校施設を遊びで使うって言っても許してくれなさそうじゃん。」

「確かに!そう考えると不思議やわ。」

 

私からすると特段不思議に思うことはない。けど初対面の時からビシバシ指導されているA組からすると、すんなり通ったことが気になるのは当然か。

 

「八百万さんが許可を取ってくれたのも大きいけど、シンプルに私たちの行動を制限してることに負い目があるからだと思うよ?」

「そうね、相澤先生優しいもの。」

「私もそう思いますわ。先生はお優しい方ですから、こうやって自由にプールを使うことを融通してくださったのかと。」

「へー、意外かも。もっと厳しい人だと思ってた。」

「相澤先生の優しさってすっごく分かりにくいからね。」

 

そんな風に和気あいあいと話しつつ、柔軟をしていると見知った面々が入ってくるのが見えた。飯田くん、緑谷くんをはじめとしたA組男子たちである。

 

「加山くんじゃないか。」

「あれ?飯田くんと緑谷くんも遊びに来たの?」

「俺たちは体力強化の訓練に来たんだ。緑谷くんに誘われてな。」

「うん、元々は僕と上鳴くん、峰田くんの3人だったんだけど、どうせならみんなでやろうと思って。」

「そうなんだ。」

 

ふーん、あの2人がそんな殊勝なことを……いや待てよ、それなら最初から全員誘えばいいし、今日まで訓練をやることを私達が知らなかったのも変じゃない?まさか……

 

「ひゃっほーい!女子の水着だぁ!」

「俺たちのエデンがそこにあるぜ!」

 

……やっぱりそういうことか。

 

あからさまな欲望を叫びながら入ってきたのは、この訓練を企画したらしい2人だった。飛び込んできた瞬間、他の男子がいるのに驚き、我々が学校指定の水着なことに落胆している。

 

多分、この前話してた新しい水着がどうこうという会話を耳ざとく聞いていたのだろう。そしてそれを見たいがために緑谷くんを言いくるめて、訓練を企画、それは見事成功したかに見えた。が、現実はこれであったと。

 

全く油断も隙もあったもんじゃない。ここは飯田くんにみっちり扱いてもらおうか。

 

「飯田くん、峰田くんたちの話してた訓練って多分建前だよ。」

「そうなのか!?」

「訓練するって言いながら女子の水着覗きたかっただけだと思う。もうこうなったら2人は特に厳しくやってあげて。」

「彼らにそんな思惑があったとは……しかし元から俺は訓練のつもりだった。この委員長である飯田天哉が2人を念入りに鍛えてやろう!」

「頼んだよ、委員長。」

「任せたまえ!」

 

やる気を満ち溢れさせ、飯田くんは彼らの所へ歩いていく。太陽を反射するゴーグルがキラリと光り、大変眩しい。

 

「上鳴くん!峰田くん!プールを使って体力強化という素敵な提案をありがとう!俺は感心したよ!さぁ、みんなと一緒に汗を流そうじゃないか!!!」

「ま、待って!」

「俺たちはー!」

 

アッハッハッ!と気持ちのいい高笑いと共に、飯田くんは逃がさないようガッチリと捕まえる。2人の情けない悲鳴が聞こえるが、自分が蒔いた種だ、ちゃんと責任取ってもらわないと。

 

「そろそろみんな体解れたでしょ。早いとこ遊ぼうよ!」

「そうですわね。では、水中バレーをしませんこと?私、ボールも持ってきましたの!」

 

今日を相当楽しみにしていたらしい八百万のプリプリしながらボールを取り出す。後ろで元気よく訓練を始めた男子たちを後ろに、私たちはプール遊びに興じ始めた。

 

よーし!遊ぶぞーーー!

 

※ ※ ※

 

「加山さん、パスですわ!」

「任せてー!おりゃ!!」

「ぷぎゃ!ちょっといきなり個性使うのずるいー!」

「いえーい!1点もらいー。」

 

水蒸気で加速した渾身のスパイクで1点をもぎ取る。急加速したボールに対応出来なかった葉隠さんが顔面に貰ったようで抗議してくるが、これはルール無用のガチンコバトル、使える手はなんでも使わないと。

 

楽しい、楽しすぎるぞ水中バレー。友達と遊ぶのがこんなに楽しいとは知らなかった。かれこれ1時間以上は遊び続けてる。全員、運動はできる方なので、ずっと試合が終わらない。もうお互いに何点取ったかなんてみんな忘れてる。

 

さすがに遊びすぎなので、一旦上がろうか声をかけようとしていた時、男子たちの方が急に騒がしくなる。さっきまで休憩中だったのにどうしたんだろうか。

 

「て、かっちゃん来てるじゃん。」

「爆豪ちゃん、また怒ってるわね。何話してるのかしら。」

「なんか男子たちで、勝負するんだってさ。」

「なにそれ面白そう!」

「私たちも一度休憩ついでに、お手伝いしに行きましょうか。」

 

プールから上がり、男子たちのところへ向かう。彼らが行う勝負というのは、50m自由形を誰が一番速く泳げるかとのこと。個性使用ありで、3回に分けて予選を行い、残った3人で決勝をするんだって。

 

始まる前から周りへバチバチに火花を飛ばしてる爆豪が入るのは、第1予選。他は上鳴くん、口田くん、常闇くん、峰田くんの4人だ。

 

息抜きを兼ねた勝負みたいだけど、全員本気みたい。

 

「位置に着いて、用意……」

 

八百万さんの構えたホイッスルが鳴る。

 

「爆速ターボ!!!」

 

やはりいの一番に飛び出したのは爆豪で、得意の爆破を駆使してあっという間にゴールした。けど全く泳いでない、空中を行ってるんだけどこれいいの?

 

「どうだ!このモブども!」

「どうだじゃねぇ!」

「泳げよ!」

「自由形っつっただろうが!」

「自由形すぎる。」

 

やっぱり周りからは大不評だったけど1位は1位なので次の予選へ。第2予選は、瀬呂くんが順調な滑り出しを見せたが、レーザーで飛んでいた青山くんが力尽きて墜落したのに巻き込まれてアウト。そのまま轟くんが1位になった、彼も泳がなかったのでブーイングが起きた。ルール守らない人が多すぎる。

 

最後の第3予選は、緑谷くんが勝利した。飯田くんがコースロープの上を滑るという曲芸を見せ有利をつけたが、ワン・フォー・オールを使った緑谷くんに僅差での敗北だった。

 

ちゃんと泳いで勝ったのが緑谷くんだけなんだけど……

 

「悔しいが緑谷くんの勝ちだ。しかし、これで3人出揃った。今から緑谷くん、爆豪くん、轟くんの3人で決勝戦を行う、いいな!」

「うん!」

「あぁ。」

「待て、一人足んねぇ。」

「何?男子は全員予選を終えたぞ。これ以上は……」

 

さていよいよ決勝戦というところで爆豪が待ったをかける。まだ誰かを参加させるらしい。

 

一体誰だろうと思いつつ流れを見守っていると、爆豪が指さしたのは、

 

「え゙、私?」

「そうだクソメッシュ、お前も出ろ。まだ体育祭の借り、返しきってねぇぞ。」

「あれはその日に決着つけたじゃん。」

「俺が満足するまでやるに決まってんだろ。黙って参加しろや。」

「わかったわかった、参加します。」

 

ほんとこの子は横暴なんだから……いきなり私を参加させたら予選の意味ないじゃんね?と言ってもあの時のことに申し訳なさがなくなったわけじゃないので、ここは大人しく参加する。

 

でも参加するなら本気で勝ちに行くからね。

 

「では、加山くんを加えた4人で決勝を行う!」

 

ここまでの予選で観戦側のボルテージは最高潮だ。プールサイドからの応援が激しい。これはバチッと決めていいところ見せたい。

 

「全員位置に着いて!」

 

足元へ意識を集中させる。熱を、水分を、全身から集めてくるイメージ。

 

今の私は爆豪みたいに上手く飛べない、けど爆発による加速力なら彼にも引けを取らないはずだ。幸いにもコースは直線、最大限の威力なら一気に飛べるはず。

 

「用意……」

 

ホイッスルの音が鋭く響く。同時に飛び込み台から踏み出そうとして、私は……

 

そのまま水中へ飛び込んだ。

 

「ぷはっ!なんで落ちたの?」

 

特に問題なく個性を発動したはずだったのに、私は少しも進むことなくプールへ落ちていた。何が起きたか分からず慌てて顔を出すが、他の3人も同じらしい。

 

「17時だ。プールの使用時間はたった今終わった。さっさと家に帰れ。」

「あ、相澤先生!」

「そんな殺生な!」

「今めちゃくちゃいいところなのに!」

「……なんか言ったか?」

『なんでもありません!!!!』

 

個性が使えなかったのは相澤先生のせいでした。もう閉めるから帰れって、ちょっとくらい多めに見て欲しかった。でも相澤先生の指示はA組において絶対、逆らおうとする子は基本いません、大人しく帰りましょう。

 

元々乗り気じゃなかったけど、こうなると逆に消化不良だ……

 

 

※ ※ ※

 

私服に着替え、女子組の見送りに正門へ向かう。みんな遊びすぎた疲労が今来たという感じでグッタリしている。

 

「じゃあ私はここまで、みんな気をつけてね。今日はすごく楽しかった。」

「私もですわ。」

「次会うのは林間合宿かしら。水穗ちゃんもそれまで元気でね。」

「うん!梅雨ちゃんもね。」

「合宿終わったらまたプール来ようよ!今度は自分の水着で!」

「賛成!絶対誘ってね!」

「あったりまえじゃん!」

 

会話もそこそこに、みんなと分かれる。帰っていく後ろ姿がどんどん小さくなるのはなんだか寂しい気がした。

 

けど今日は本当に楽しかった。こんなに大人数で遊んだのは初めてではしゃぎすぎちゃったけど。水泳、水泳?の勝負も決着がつかなかったので、今度また別の形でも勝負したい。

 

雄英に入ってからたくさんのことがあった。怖いこともあったけど、それ以上に嬉しいことがあった。友達ができた、友達と遊ぶことができた、秘密を共有するほど仲のいい人もできた。どれも私が今までの人生で得られなかったものばかりで、抱える手から溢れてしまいそうな程だ。

 

真っ赤に染まった夕焼け空に一陣の風が吹く。たなびいた髪から漂う塩素の香りは焼けたアスファルトの匂いに混じってツンと鼻を突いた。なんてことの無い風景、けど私はその瞬間をとても幸せだと感じた。

 

あと何回、みんなとこんな景色を見られるのだろうか。

 

 

 

 

 

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