半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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ヒロアカロス……最終回が載ったジャンプは永久保存版です。

3話に続き、4話もUAが1万を超えました!ありがとうございます!!!


半分少女と林間合宿3

半分少女のヒーローアカデミア

 

「補習組、動き止まってるぞ!」

「……おっす。」

「すみません、ちょっと眠くてぇ〜。」

 

林間合宿3日目、今日も朝から全員が血反吐を吐きながら個性強化を行っている。みんな、昨日の疲労も抜け切ってないだろう中、一段と辛そうなグループがいた。そう、補習組だ。

 

夜中の2時まで補習を行い、7時に起きてそのまま訓練だ、キツくないはずがない。ろくに寝れてないから、全員ずっと寝ぼけ眼でフラフラしてる。私たち、我ーズブートキャンプ組が課されてる筋トレもしんどいが、三奈さんたちはそれ以上だな。

 

「お前ら気を抜くなよ。ダラダラやるな、常に原点を意識して行え。向上ってのはそこから来るもんだ。何のために汗水垂らして、何のために口うるさく言われてるか、頭に入れておけ。」

 

3日目にして疲れからダレ気味だった私たちに相澤先生から檄が飛ぶ。

 

──原点

 

ちょうど昨晩、そんな感じの話を洸汰くん相手にしたところだ。私の原点、それは救けが必要な人の手を掴み、引っ張り上げられる人になること。相澤さんが私にしてくれたように。

 

訓練があまりにもキツすぎて、課題をクリアする意味を忘れるところだった。何のために努力するのか、それを思い浮かべれば、疲労困憊だった体に気力が湧いてくる。

 

「頑張れ!私ッ!」

 

頬叩いて気合いを入れ直す。私の目指す場所へは未だ道半ば、たかが疲れたくらいでモタついてる暇はない。

 

「そうそうみんなー!今日の晩はね、クラス対抗で肝試しをするよー!頑張って訓練したら、ちゃんと楽しいことが待ってる!これぞ、アメとムチー!」

 

今一度、頑張って訓練しようとしてたところにピクシーボブさんから声がかかる。そういえば今日は肝試しの日だった。クラス対抗というのは聞いてない、絶対に物間率いるB組が本気で仕掛けてくるぞ、これ。

 

まぁでも私はそんなに怖いのは苦手じゃない。小さい時、夜中にトイレに起きたら、私が寝床に居ないのに気づいた相澤さんが暗闇に佇んでるとこにバッタリ会うなんてことが何回かあって、その度に泡吹いて気絶してたから。ザンバラに伸びた髪、クマの深い目、日々の激務でフラフラになってる相澤さんを明かりの消えた部屋に配置するだけで、一級品のホラーである。そんな一級品ホラーに鍛えられてるので、そんじょそこらの脅かしには動じない。

 

「というわけで、今は訓練に励むのだ!!!」

『イエッサー!!!』

 

各々の目標に、目先の楽しみも増えたところで訓練頑張っていこー!

 

 

※ ※ ※

 

夕方になり、私たち夕食作りに勤しんでいる。今日のメニューは肉じゃがだ。昨日のカレーに引き続き、材料はほとんど変わらないので楽である。多分、プッシーキャッツはまとまった食料の調達、保存を考慮して同じものを仕入れたんだろう、実に合理的だ。

 

今日の私の担当は炊飯組、肉じゃがの方は爆豪が張り切ってる。すっごい速さで野菜を切りまくってて、あれは私の腕に匹敵する。……料理までできるとかさすが才能マンだな。

 

「緑谷くん、そっちはどう?」

「うん、薪は組んでるから着火してくれると助かるな。」

「任せといてよ!」

 

同じ炊飯組で薪の用意をしていた緑谷くんに話しかける。彼の組んでくれた薪は凄く綺麗で、すぐに火を着けられそうだ。そういえば昨日は轟くんが着火係やってたなと思いつつ、手元に灯した炎を慎重に着火剤の新聞紙へ移す。

 

「緑谷、オールマイトになんか用があったのか?昼間、相澤先生に聞いてたろ。」

「あぁ、えっと……洸汰くんのことで。」

「あのことかぁ。」

「加山知ってんのか。ていうかそもそも洸汰って誰だ?」

「「……え?」」

 

自分の知らない名前が出てきたと不思議そうな顔で私たちを見る轟くん。緑谷くんがマンダレイの従甥って教えてあげて初めて「そんなやついたな。」って反応した。初対面で緑谷くんの股間を殴りつけた子を忘れるとは……

 

「洸汰くんがさ、ヒーローというより個性主義の超人社会自体を嫌ってて、僕は彼のためになるようなこと言えなくてね。オールマイトならなんて話したんだろうって思って。……轟くんならなんて言う?」

「場合によるな。」

「……そりゃ場合によるけど!」

「だよね。」

 

何か轟くんなりの答えが帰ってくると思ったけど、その通りすぎる正論を言われてしまった。

 

「素性もよく知らねぇ通りすがりに、正論叩かれても煩わしいだけだろ。大事なのは何をした、何をしてる人間に言われるか、だ。言葉だけで動かされるならそれだけの重さだったってだけで。言葉には常に行動が伴う……と思う。」

「…………」

「行動、か。」

 

言葉を発した人が何をした人間なのか、確かにそれは重要だ。何もしていない人が上辺だけで、あれこれ言ってきても響くはずがない。昨日、ペラペラと話してた私はそう見ればえらく滑稽だ。洸汰くんにとって私は何をしてきた人間でもない。

 

「……あぁ、そうだね。轟くんの言う通りだ。通りすがりが何言ってるんだって話だ。」

「ほんとにね。これは反省だなぁ……ありがとう、轟くん。」

「……?」

 

頭をポリポリとかく。洸汰くんを救けたいと思うなら言葉じゃなく、行動で示さなきゃいけない。見ていてくれるとは限らないけど、そう在らなければならないんだ。でなきゃ私はただの説教くさい奴になってしまう。

 

「言っとくが、デリケートな話にあんまズケズケ突っ込むのもあれだぞ。お前らそういうの気にせずぶっ壊してくるからな。」

「うっ、なんか、すみません……」

「……ごめん。」

 

体育祭の話を引き合いに出されて2人で消沈する。あれは私としても大反省なことだ。指摘されるとグサリとくる。

 

「君たち!手が止まっているぞ!最高の肉じゃがを作るんだ!」

 

つい長々と立ち話をしていた私たちに飯田くんから注意が飛んでくる。彼は昨日もそうだったけど、訓練後なのにめちゃくちゃ元気がある。体力があると言うより気力があると言うべきか。みんなヘロヘロなのに爆豪に負けないスピードでジャガイモを剥いている。

 

委員長、恐るべし。

 

※ ※ ※

 

「腹も膨れた、皿も洗った!なら次は肝を試す時間だーー!」

「肝試しー!」

「試すぜー!」

 

夕食も終え、私たちは広場へと集まっていた。これからクラス対抗の肝試しである。夜の森ってだけで結構、雰囲気あるな。

 

「……その前に、大変心苦しいが補習組はこれから俺と授業だ。」

「嘘だろーーーー!?」

「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになっていたので、こっちの時間を削る。」

 

無慈悲に言い切った相澤先生の捕縛布が三奈さんたちへ伸びる。あんなに楽しみにしてたの知ってるのに容赦がない。「勘弁してくれー!」「試させてくれー!」と引きずられていく彼女たちは、可哀想すぎて見るに堪えない。合宿のイベントを丸々一個潰される悲しみはいかほどのものか。……南無三。

 

「はい!というわけで。」

 

特に連れていかれた補習組へのフォローもなく、ピクシーボブさんの説明が始まる。肝試しは森の中を1周するコースを2人1組で行く。B組の仕掛けてくる脅かしを抜けつつ、途中にある自分の名前を書いた札を取って戻ってくるという内容だ。

 

「創意工夫によってより多くの者を失禁させたクラスが勝者だ!」

「失禁……」

「やめてください、汚い。」

「なるほど!競争させることでアイデアを推敲させ、その結果より個性の幅が広がるというわけか!さすが雄英ッ!」

 

失禁とか言わないで欲しい。飯田くんの言う通りなら肝試しも個性強化の一環というわけか。彼はとにかく雄英を良い方向に解釈して、自分から燃え上がっていくなぁ。

 

一緒に行くペアはくじ引きで決める。A組は21人なので普段なら誰か余るか、3人組になるけど、補習組が連れていかれたので16人だ。三奈さん達には悪いけど偶数なのは大変よろしい。

 

「さてさてクジはっと……お、8番か。おーい!8番の人ー!」

「あ!それ僕!」

「ペアは緑谷くんね。よろしく!」

「よろしく、加山さん。」

 

くじ引きで当たったペアは緑谷くんだった。彼って怖いの得意なんだろうか?苦手なら道中、後ろからこっそり背中へ水を垂らして反応とか見てみたい。え?脅かしていいのは相手側だけ?……はい。

 

しかし私たち以外のペアは中々面白いことになっている。まずは爆豪と轟くんのペア、轟くんが嫌いな爆豪は尾白くんにペア変われと凄んでいる。標的にされた尾白くん可哀想だ。次に女子と組めず、女に飢えた峰田くんは、A組1のナイスバディな八百万さんと組んだ青山くんへ交代を強請っている。こっちは普通にちょっとキモイ。

 

まぁペア決めでごちゃごちゃしたけど、肝試しスタートだ。

 

※ ※ ※

 

『きゃあああ!!!』

『いやあああ!!!』

 

日の落ちた森に先行した組の悲鳴が森にこだまする。今のは葉隠さんと耳郎さんだろうか。B組の脅かしはなかなかのものらしい。

 

「次、5組目!ケロケロキティ、麗日キティ、GO!」

 

5組目であるお茶子さんと梅雨ちゃんが出発する。怖いのが苦手らしいお茶子さんと平気な梅雨ちゃんの良いペアだ。そろそろ自分たちの番も近づいてきたな。どんな脅かしが出てくるのか楽しみだ。

 

 

 

──異臭?

 

「ピクシーボブさん、焦げ臭くないですか?」

「確かに、なんだろうこの焦げ臭いの。」

 

異臭は私の勘違いじゃなくピクシーボブさんも感じ取っていた。他のみんなもこの異変に気づき始める。

 

「黒煙……?」

「何か燃えているのか?」

「まさか山火事!?」

 

見れば森のあちこちから煙が上がっている。尾白くんが山火事を疑うが、今は夏だ。湿度の高い日本の夏で自然に森林火災が起きるとは思えない。私たち以外に人もいないし、火の不始末も考えにくい。

 

嫌な予感がする。この炎は

 

……誰かが故意に。

 

「な、何!?」

「ピクシーボブッ!?」

 

不意にピクシーボブさんの体が浮き上がり、森の方へ引き寄せられる。突然の出来事に全員が慌てて、そちらへ振り返る。そこには……

 

頭から血を流し、意識を失ったピクシーボブさん。

 

そして

 

「飼い猫ちゃんは邪魔ね。」

 

ピクシーボブさんが倒れ伏す側に彼女を倒したと思われる不審者が2人。

 

──あぁ、こいつらは

 

「なんで、なんで……」

 

峰田くんが後ずさる。

 

「なんでヴィランがいるんだよ!!!」

 

──そう、こいつらはヴィランだ。

 

 

 

 

 

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