半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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やっっと林間合宿編終わりです。マスキュラー戦から書くの大変でした。


半分少女と林間合宿5

半分少女のヒーローアカデミア

 

「完全に気絶してるね……早く施設に戻ろう。やることがまだある。」

「うん。」

「お前らそんな状態で何をしなきゃいけねぇんだよ!」

 

マスキュラーを倒したなら、すぐに動き出さないといけない。ここに留まってるだけでも危険だ。

 

「凄く強いヴィランだった。もしこの襲撃に来た奴らが全員同じレベルだとしたら、みんなが危ないんだよ。加山さんとかっちゃんが目的とも言ってた。それだけじゃない、僕たち生徒全員がターゲットかもしれないんだ。僕はこのことを早く相澤先生、プッシーキャッツに伝えないといけない。」

「そうだね。だから、行かないと。」

「お前ら……」

 

敵連合の標的に私も入っていた。またヴィランと遭遇して面倒なことになる前に、ヒーローを第一にした他の人たちと合流しないと。緑谷くんも重症だ、施設に戻って最低限処置しないと傷が悪くなる。

 

「洸汰くんは、私が。」

「え、でも……」

「ダメ。」

 

そう言って緑谷くんの腕を指さす。両腕の骨がぐちゃぐちゃになってるに違いない。私だって骨折れてるけど、さすがにそんな人に人1人を背負わせるのは酷だ。

 

「わかった、行こう!」

「ほら、掴まって。」

「う、うん。」

 

洸汰くんがしっかり背に掴まってるのを確認してから動き出す。

 

敵連合は目的である私たち以外にも率先して危害を加えている可能性が高い。みんなの無事は私たちが如何に早く施設へたどり着けるかにかかっているかもしれないんだ。悠長にはしてられない。

 

来た道を戻るようにして私は夜闇を駆ける。背中の洸汰くんはスピードに振り回されてかなり大変そうだけど、安全運転とはいかないから我慢してもらう。

 

走ってきた距離感からして、そろそろ施設が見えてくるはずだけど。

 

「あ、おい!あれ!」

 

そう言う洸汰くんが示す方向へ目を向ける。相澤先生だ、マンダレイさんのテレパスで異常を察知して来てくれたんだ。

 

「先生!」

「緑谷、お前……」

「良かった。僕、伝えないことがたくさんあるんです。でもまずマンダレイに伝えなきゃいけないことがあって!洸汰くんと加山さんをお願いします!」

「おい!」

 

緑谷くん、相当焦ってる。敵連合の奇襲、その1人との交戦、怪我……この危機的状況でテンションがおかしくなってる。そもそも私以上の重症でここまで動けてるんだ、ハイになってないはずがない。

 

「この火災を消すには加山さんたちの個性が不可欠です!2人を施設まで送り届けてください!お願いします!」

「待て!緑谷!」

 

言うだけ言って走り出そうとした緑谷くんを相澤先生が静止する。

 

「はぁ……その怪我、またやりがったな。保須でのこと忘れたのか?」

「それは……いや、でも。」

「だからマンダレイにこう伝えろ。……A組B組総員にプロヒーロー、イレイザーヘッドの名において戦闘を許可すると。」

「……ッ!はい!」

 

相澤先生からの指示を聞いた緑谷くんは、再び森の中へ駆けていく。しかし彼を1人にして大丈夫だろうか。マンダレイに指示を伝達しに行くだけじゃなくて、爆豪を探しに行ってしまうんじゃないかな?

 

……よし。

 

「相澤、先生。私、緑谷くんに着いて、行きます。」

「無茶言うな。その服に付いた血、不規則な呼吸……加山、お前肋骨が折れてるんだろ?大人しく俺についてこい。」

「緑谷くんを、連れ戻すだけ……です。彼、マンダレイさんに、伝えるだけじゃ止まり、ません。」

「……緑谷の無茶を止めに行くだけなんだな?」

「そのつもりです。」

「わかった。アイツと合流したらすぐに施設を目指せ、いいな?」

「はい。ありがとうござ、います。」

 

洸汰くんを相澤先生に預け、緑谷くんの後を追う。

 

向かうなら広場だろう、恐らくマンダレイさんたちがヴィランと交戦中のはず。

 

 

※ ※ ※

 

「見失った……」

 

戦闘許可のテレパスを聞き、マンダレイさんたちのいる広場まで行けたのはいいが、案の定緑谷くんは爆豪のところへ走っていってしまったらしい。概ねの方向だけ聞いて追ってきたけど、追跡が得意な訳じゃないし、途中で足跡も分からなくなった。

 

森には他にも生徒がいるから誰かと合流できたら緑谷くんを見てるかもしれない。それまではとにかく走ろう。

 

 

 

冷気だ……

 

夏場に似合わぬ冷たい空気に当たる。発生源を辿れば、戦闘音と森に生える氷壁、轟くんだ。肝試しのペアだった爆豪もいるはず。緑谷くんを探しに来たら緑谷くんが探してる相手を見つけてしまった。

 

2人のいる場所へ走る。戦闘してる原因は敵連合の一味だろう。あの2人が未だに仕留めきれないということは、マスキュラーに匹敵する手練だ。

 

「轟くん、爆豪!」

「加山!?なんで来た!」

「テレパス!」

「アァ?どいつもこいつも余計なお世話なんだよ!」

 

とりあえず無事でよかった。氷壁の向こう側にいるヴィランが大問題だけど、目立った怪我はない。轟くんに背負われてるのはB組の円場くんか?

 

「状況は?」

「相手は歯を刃物に変えられるヴィラン、森ん中だから俺も爆豪も全力で個性使えねぇ!」

「クソメッシュがいるなら問題ねぇだろ!」

「……ッ!回避!」

『肉ぅ!!!』

「「……!?」」

 

轟くんの氷壁を貫いて、件のヴィランが攻撃を通してくる。どこまで伸ばせて、切れ味も耐久性も高い。今の異常な人体への執着……死刑囚のムーンフィッシュか!現在、脱獄中で全国指名手配されていたはず。こんな凶悪犯が敵連合に加わってるなんて。

 

「っぶねぇ……爆豪、加山の水流があっても爆破は視界が塞がれる!手数も距離も向こうに分があんだぞ!」

「クソがァ!」

 

こっちも完全にノープランで来てしまったので、ムーンフィッシュへの有効打が思いつかない。2人には言ってないけど、私怪我してるし。

 

 

……爆発!?

 

離れたところで爆発したような音が響く。見ればモウモウと土煙を上げながらこっちへ何かが迫ってきてる。

 

「爆豪!轟!どちらか頼む、光を!!!」

「な!なんで加山さんがかっちゃんたちと!?」

 

暗がりから走ってきたのは障子くんと緑谷くん……あれは黒影?あんな大きさは見たことがない、見るからに暴走してる。黒影の制御を失った常闇くんを救けるために爆豪たちの個性を当てにして来たのかな。

 

「誰でもいい!常闇が暴走した!早く光を!」

「見境なしか……よし、炎を。」

「私も。」

「待て、アホども。」

 

私と轟くんが炎を使おうとして爆豪に止められる。黒影は光に弱い、常闇くんも苦しんでた、早く止めないといけないのになんだ?ていうかアホ言うな。

 

「肉、肉面……その子たちの断面を見るのは僕だぁ。横取りするなぁぁぁ!」

『ねだるな!三下ァ!』

 

黒影の乱入で弾き飛ばされたムーンフィッシュが起き上がってくるが、そこを容赦なく黒影に叩き潰される。

 

……なるほど、暴走した黒影にムーンフィッシュを倒させるって判断か!

 

潰された勢いそのまま奴を掴みあげた黒影が、勢いよく振り回す。切れ味抜群の歯もへし折り、乱雑に樹へ放り投げる。受け身も取れず、樹に激突したムーンフィッシュはたった一撃で沈黙した。爆豪、轟くんで苦戦してた相手をいとも簡単に……暴走してるとは言え、ここまで強かったか黒影。

 

『あぁ!まだ暴れ足りんぞ!!!』

「今だ!」

「おう!」

「……!」

 

爆豪の掛け声に応じて、個性を使用する。大の苦手な光を目の前に突きつけられた黒影は「ひゃん!」と凶暴な姿と裏腹に可愛らしい声を出して大人しくなった。常闇くんも制御を取り戻し、彼の中へ黒影が戻っていく。

 

「障子、悪かった……緑谷も。俺の心が未熟だった。怒り任せに黒影を解き放ってしまった。深い暗闇、俺の怒りが影響して奴の狂暴性に拍車をかけた。結果、制御出来ないほど暴走し、障子を傷つけてしまったッ……」

「……そういうのは後だ、とお前なら言うだろうな。」

「障子……」

 

黒影を暴走させた常闇くんは、とても悔しそうだ。自分の情けなさに打ちのめされているのか。個性が制御出来なくて周りに迷惑をかけた私としては、その気持ちは分かるところもある。しかし彼は障子くんの言葉を受けて立ち直ったらしい、良かった。

 

「そうだ。ヴィランの目的がかっちゃんだってわかったんだ。もう1人の目的な加山さんがここにいるのにびっくりしてるけど。相澤先生と合流出来たのに……」

「腕……」

 

じっと緑谷くんの腕を見る。

 

「緑谷が無茶しないように止めに来た、というところか?」

「障子くん、正解。」

 

無茶してた自覚のある緑谷くんがビクリとする。緑谷くんがちゃんと戻ってきてくれたらこんなところまで来なくて良かったんだけど、彼が居なかったら今の状況もないので何とも言えない。

 

「つか、加山の口数少なくねぇか?怪我してるみてぇだが。」

「んなもん見りゃ分かるだろ。」

「……」

 

自分の胸を指し示して、折れてますってジェスチャーをする。爆豪を除いた事情を知らない彼らの表情が曇る。そんな顔をさせるつもりはなかったんだけど……申し訳ない。私も緑谷くんと同じく無茶してました。

 

「と、とにかく先生たちがいる施設が最も安全だと思うんだ。」

「なるほど、これより我々の任は爆豪、加山を送り届けることか。」

「うん。ただ広場はプッシーキャッツが戦ってるから通れない。ここは道なりに行かず、最短距離の直線で行こう。」

「ヴィランの数わかんねぇぞ。いきなり出くわす可能性がある。」

「そこは大丈夫、障子くんの索敵能力があるから。そして轟くんの氷結。さらに常闇くんさえいいなら、制御手段を備えた無敵の黒影!」

 

緑谷くんの考えの元、施設に辿り着くまでの布陣が組まれる。障子くんと轟くんが前衛、常闇くんが殿だ。

 

「このメンツならオールマイトだって怖くないんじゃないかな。」

「なんだコイツら!!?」

「お前、加山と一緒に中央歩け。」

「俺を守るんじゃねぇ!クソども!!!」

 

他は作戦通りにやる気満々だが、当の爆豪は全力で拒否してる。そんなこと言ってる暇はないので無視して動くけど。動こうとしない爆豪の背中を押して歩かせる。

 

「ほら、行くよ。」

「触んな!!!」

「慎重に行くぞ。」

「無視すんな!!!」

「ちゃんと着いてこいよ。」

「命令すんな!!!」

 

元気すぎる。自分が敵連合に狙われてる事のヤバさ分かってる?……人のこと言えないわ。ま、まぁ爆豪も文句は言いつつ着いて行ってるし、危ないというのは分かってると思うけど。

 

これ以上、マスキュラー、ムーンフィッシュみたいなのが出ないことを祈る。

 

 

※ ※ ※

 

優秀な索敵担当の障子くんに頼りつつ、森の中を進む。私と緑谷くんが走り回ってたから何となく施設の方角も道のりも分かるので、多分ほぼ最短で行けてる。

 

「しかし爆豪と加山を狙う理由がわかんねぇな。」

「2人が狙われる訳は分からんが、俺たち他の生徒の命が狙われる可能性はあるだろうな。」

「そうだね。僕が交戦したヴィランもさっきの奴も人殺しを好んでするタイプだった。それを考えて相澤先生も戦闘許可を出したんだと思うし。」

 

敵連合の求めるところが分からないのは気持ち悪いけど、情報が足りなさすぎるし、いくら考えても答えは出ないだろう。ひとまずはプラスのことを考えよう。殺人を率先してする性格のマスキュラー、ムーンフィッシュは無力化出来た。多分ここまで凶暴なヴィランは、開闢行動隊とやらの中にもいないはず。

 

戦闘許可も出て、学生でも規則を気にせず戦えるようになった今なら、無抵抗に殺られてしまう心配も減った。仮に学生にもしもがあったら雄英の敗北になってしまう。それだけはなって欲しくないな。

 

「止まれ。」

「どうした、障子?」

「前方に3人いる。女……うち2人は麗日と蛙吹だな。もう1人は……知らない声だ。交戦音?まずいぞ、ヴィランと戦ってる。」

「そんな……急ごう!」

 

みんな無事であって欲しいと思った矢先、お茶子さんと梅雨ちゃんがヴィランに襲われていると情報が入った。2人に助太刀するため、移動速度を上げる。

 

……静かじゃない?

 

変だ、さっきまで爆豪がギャンギャン騒いでたのに。その声が知らないうちにパタリと止んでる。こんなくらいで大人しくする性格じゃないのに……

 

「爆豪……?」

 

胸騒ぎがして振り返る。

 

私の気にし過ぎなら、普通に爆豪と常闇くんがいるは……ず。

 

「……ッ!」

 

──いない!?

 

はぐれたの?そんなわけない、後ろが着いて来れない程の速さじゃなかった。もし距離が開いても、どちらかが声をかけてくるはずだ。

 

つまり、これは……

 

(おっとお嬢さん、そこまでだ。)

 

私の真後ろに誰かが降り立つ。聞き覚えのない男の声、雄英関係者なわけがない。……ヴィランだ。

 

姿の見えない男の手が肩に触れる。

 

(一緒に来てもらうよ。)

 

 

 

 

マズいと跳ね除ける余裕もなく、私の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

 

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