半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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主人公の個性にオリジナリティを出しつつ、ちゃんと成長させていくの難しいですね。この個性なら何ができるだろう、どう変わっていくんだろうっていつも考えてます。


半分少女と圧縮訓練

半分少女のヒーローアカデミア

 

お部屋披露会だったり、梅雨ちゃんが大変だったり入寮初日から色々とあった翌日、私たちはA組の教室へ集められていた。

 

「昨日話した通り、ヒーロー科1年A組は仮免取得を目標に動く。」

『はい!!!』

「ヒーロー免許ってのは、人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然ながら取得のための試験はとても厳しい。仮免と言えど、その合格率は例年5割を切る。」

「か、仮免でそんなキツイのかよ……」

「そこで今日から君らには一人最低でも2つ……必殺技を作ってもらう。」

『必殺技!?学校っぽくて、それでいてヒーローっぽいの来たーーー!』

 

胸踊る内容にクラスが沸き立つと同時、教室へエクトプラズム、ミッドナイト、セメントス、3人の先生らが入ってくる。

 

「必殺、此レ即チ必勝ノ型、技ノ事ナリ!」

「その身に染みつかせた技、型は他の追随を許さない。戦闘とは、如何に自分の得意を押し付けるか!」

「技は己を象徴する。今日日、必殺技を持たないヒーローなど絶滅危惧種よ!」

「詳しい話は実演を交え、合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γに集合だ!」

 

必殺技か、なかなか面白くなってきたぞ!

 

* * *

 

相澤先生の指示通り、体育館γへ集合した私たちは必殺技習得に向けた訓練を行っている。この体育館はトレーニングの台所ランド、通称TDLという。どこかのネズミの国に略称が似てるが、USJの時点でアレなのでご愛嬌だ。しかしTDLはその名の通り、個性訓練に特化している。私たち一人一人にあった地形、ものを用意出来るのだ。

 

「しかし必殺技かぁ……」

 

腕を組んで唸る。色々とやりたいことがあるけど、どこから手をつけて良いものか。

 

そもこの訓練は、残り10日ほどの夏休み期間で必殺技習得を目指す圧縮訓練だ。仮免試験においては緊急事態が起きた時に、どれだけ的確にそれでいて迅速に人命救助へ動けるかを見る。試験内容は毎年変わるが、敵連合を初めとしたヴィランの活性化が危険視される今、戦闘力は最重要項目になると先生たちは考えている。故に必殺技を作ることが求められるのだ。どのような状況でも安定行動を取れるヒーローは、それすなわち高い戦闘力を有していることになるから。

 

私の現在持てる技術、解決すべき課題から見て、必殺技とすべきなのは……

 

「纏炎、かな?」

「ドウダ、方向性ハ決マッタカ。」

「はい!やっぱり苦手な炎からやっていこうかと。林間合宿で結構掴めてきた気がするので、もっと深めたいんです。」

「分カッタ、ヤッテミヨウ。」

「お願いします!」

 

エクトプラズム先生から一歩離れ、意識を内側に向ける。

 

──集中、個性を全身に巡らすイメージ。

 

……よし!

 

足元で炸裂させた水蒸気を推進力に一気に間合いを詰める!

 

「中々ノ速サダ。」

「どう、も!」

 

加速の勢いを乗せた拳はヌルりと避けられる。当然、プロ相手にちょっと速いだけの攻撃なんて温すぎる。でも……着いた右脚を軸に回し蹴りを打つ!

 

「ムッ!」

 

左腕が動いた。こっちで受ける気だ、なら私の読み通り!当たる直前で脚を引き、水蒸気の加速で蹴る!

 

「はぁッ!」

「……良イ蹴リダ!」

 

クリーンヒット!エクトプラズム先生が大きく後ずさるのが見える。

 

けど、それで終わりじゃない。反動で回転しながら炎を撃って追撃だ!直撃コース、回避するのは見えなかったし、これは決まったぞ。

 

意外と私って筋良い……

 

「あだっ!う、後ろ!?」

 

警戒していなかった後頭部を一撃される。振り返ればいつの間にか先生が後ろに回り込んでいた。

 

「今ノハ悪クナカッタゾ。我ガイキナリ追イ詰メラレルトハ。」

「えぇ……さっきの避けたんですか?」

「避ケタ。蹴リマデは良カッタガ、詰メガ甘カッタナ。炎ノ範囲ガ大キスギ、視界ヲ塞イデシマッテイタ。」

「うっ、確かに……」

 

まだ痛む頭を擦りながら起き上がる。

 

今のは正しく痛いところを突かれたという感じだ。エンデヴァーに教わった放出の基礎、それが全くなってなかった。決めに行ったつもりが、逆に隙を晒していた。

 

……もっと練習しないとね。

 

「シカシ、君ハ炎ノ個性ニ使用上限ガ有ルト聞イテイルガ、問題無イカ?」

「それなら大丈夫です。これがあるので。」

 

トントンと胸部に装着したサポートアイテムを指さす。これは今日届いた私の特注品だ。轟くんの使っているものを参考に、排熱へ特化させたアイテム。今までなら既に体温が上がっているはずだけど、これのおかげで今でもほぼ平熱と変わらない体温を維持できている。

 

サポートアイテム1つでここまで動きやすくなるとは、最初から考えておかなかった昔の私は阿呆だと思う。

 

「ソウカ、ナラバ体ニ不調ハ無イノダナ?」

「もちろんです!」

「デハ、続ケヨウ。」

 

ようやく掴めてきた炎の使い方。こっちの方ばかり上手くなってしまうのは癪だけど、強くなるためだ。頑張れ私!

 

 

* * *

 

訓練開始から4日目、基礎の個性伸ばしをする人、応用に入っている人と様々だ。サポート科にも協力してもらってるらしく、みんなの実力と装備の変化はたった数日とは思えない変わりぶりだ。

 

かと言う私も……

 

「はぁ…はぁ……ど、どうですか?」

「ウム、相当良クナッタ。朝カラノンストップノ個性使用、格闘訓練、ココマデヤレルトハナ……特ニ格闘ハ流石イレイザーヘッドガ仕込ンダダケハアル。」

「あり、がとうございます。……あつい〜!」

「ナラ此ヲ飲メ、良ク冷エテイル。」

「……いただきます。」

 

エクトプラズム先生から貰った飲料水をガブガブと飲む。体温が上がりきった体にめちゃくちゃ染み渡るよ……

 

訓練始まってからのぶっ続けだ、排熱仕様のサポートアイテムも音を上げてる。でもその甲斐があって纏炎の使用時間はかなり伸びたし、時間制限は纏炎のみならほとんど気にしなくていいレベルだ、体感だけど。炎への耐性も向上してる。今ぶっ倒れずにいるのがその証拠である。

 

しっかし暑い、いや熱い。耐性が着いたからと言って熱がなくなったわけじゃない。全身から滝のように汗が出ている、轟くんに氷漬けにしてもらうかな。

 

「暫シ休憩トシヨウ。」

「はい……」

「休憩ツイデニ聞クガ、君ハ何故水蒸気ヲ加速ニ使ウ?」

「何故、ですか?えっと、私の個性の使い方でそれが一番使いやすいからです。加速力、操作性を考えると、どちらか片方より扱いが簡単なので。」

「アァ、ソウデハナイ、質問ガ悪カッタナ。我ハ、其ノ水蒸気ヲ何故一瞬ノ加速デシカ使ワナイノカト聞イテイル。君ノ纏炎ハ水蒸気爆発ニ溜メガ要ラナイナラ、ソレヲ使イ続ケラレルノデハナイカ?」

「……あ゙!」

 

今の言葉に雷に打たれたような衝撃を受ける。もう頭の天辺から足のつま先までビリビリと痺れるような衝撃だ。

 

──固定観念

 

ずっと私は水蒸気爆発は加速にしか使えないと思っていた。基本的に、使うには溜めが必要で連続使用は出来なかったからだ。でもそのネックは纏炎状態になることで解決出来ていた。

 

……ちょっっっとおバカがすぎないか、私。今まで炎の制御の次に課題だった継続的な機動力、それを克服する手段を私は既に持っていたんだ。なのに気づいていなかったとは……

 

あまりの馬鹿さ加減に頭がクラクラしてきた気がする。でも糸口は掴んだ。

 

もうこれは試さずにはいられない。思い立ったが吉日、すぐやろう今すぐやろう!

 

「ありがとうございます!エクトプラズム先生!」

「ソ、ソウカ……君、目ガグルグルシテルガ大丈夫カ?」

「大丈夫です!ちょっとやってみるので見ててください!」

「ヤッテミル……?」

 

個性を巡らせ、纏炎状態になる。

 

「待テ!新技ハ手順ヲ踏ンデ……」

「うおおおお!」

 

水蒸気爆発!

 

いつも一瞬で終わる爆発を噴出という形にして続ける。加速は安定していて特にブレはない、なんならどんどん速くなってる。

 

先生の言った通りだ、できるじゃん!よーし!このまま……このまま?

 

 

 

 

……これ、どうやって方向変えるんだ?

 

それに思い至った頃には時すでに遅し。私は強かに天井へ頭を打ち付けた。ゴチンとかガチンとか生優しい音じゃない。口じゃとても言い表せない鈍い音を頭が立てる。

 

「痛ったああああああ!」

 

視界に火花が散る。個性の使用が途切れる。

 

……残るは自由落下だ。

 

ぐんぐん地面が近づいてきてる!ヤバいヤバいヤバい!!!

 

「へぶ!!!」

「加山少女!?」

「なんで加山さんが上から?」

「何してんだお前……」

 

あ、危なかった。あと一瞬、水流出すのが遅かったら地面の染みになってた。

 

うぅ、相澤先生たちの視線が痛い……見えないけど。

 

「あたた……ちょっと新技思いついて試したら大失敗しました。」

「……そういうのはもっと慎重にやれ。」

「はい、すみません。」

 

あとでリカバリーガールのとこ行こう……絶対クソでかいタンコブになってる。

 

「なんかすげぇ音したけど……」

「加山、タンコブデケェ!」

 

上鳴くんと切島くんがドタドタと走ってくるなり、私の頭を指さす。

 

笑わないで、やめて……やっぱりタンコブできてるんだ。恥ずかしい、穴があったら入りたいよ。

 

「タンコブはまぁいいや!緑谷のキックやばかったな!破壊力すごくね?」

「まぁいいやって……」

「お前パンチャーだと思ってたぜ!」

「さっきの破壊力は発目さんが作ってくれた、このソールのおかげだよ。飯田くんに体の使い方を教えてもらってスタイルを変えたんだ。まだ付け焼き刃で、必殺技という程じゃないんだけど……」

「いいや、付け焼き刃以上の効果があるよ。こと仮免試験ではね。」

「そうなんですか?」

 

なんか私が間抜けに落下してくる前に緑谷くんがすごいことしたらしい。聞くに戦闘スタイルに足技を加えたっぽい。コスチュームもよく見れば、細かく変わってる。

 

「オールマイト、危ないんであまり近づかんでください。」

「いやぁ、失敬。爆豪少年もすまなかった。」

 

……ん?爆豪のやつ、緑谷くんと私を見た?なんだろう。

 

「ケッ!気をつけろや!オールマイト!」

 

一発爆破を撃って彼は訓練に戻っていった。ほんとなんなんだろう?

 

「3人ともコスチューム改良したんだね!」

「おっ!気づいちゃった?お気づき?」

「流石、緑谷くん。鋭いね。」

「ニュースタイルは何もお前だけじゃないぜ!俺ら以外もちょこちょこ改良してる。気ぃ抜いてらんねぇぞ!」

「だがな!この俺のスタイルチェンジは群を抜く!度肝ぶち抜かれっぞ!見るか?いいよ!すごいよ!マジで……」

「そこまでだ!A組!!!」

 

上鳴くんが新装備を見せてくれようとしたタイミングで、TDLの扉が派手に開かれる。入ってきたのはブラドキング先生率いるB組だ。

 

「今日は午後からB組が使わせてもらう予定だ!イレイザー、さっさと退くがいい。」

「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないな、ブラド。」

「ねぇ、知ってる?仮免試験って半数が落ちるんだって、君ら全員落ちてよ!」

 

物間がまたなんか言ってる……ていうかあの格好なに?

 

「物間のコスチュームあれなに?」

「個性がコピーだから変に奇を衒う必要はないのさ、って言ってた。」

「てらってねぇつもりか……」

「十分てらってるよね。」

 

ことある事に絡んでくるし、何故か上から目線だし。大丈夫なのかな、この子。

 

「しかし彼の意見は最もだ。同じ試験を受ける以上、俺たちは蠱毒。潰し合う運命にある。」

「だからA組とB組は別会場で申し込んであるぞ。」

「ヒーロー資格試験は毎年6月と9月に、全国三ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合うを避けるため、どの学校でも時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになってる。」

「……ホッ。」

 

あ、アイツ今ホッって言ったな。散々言っといてA組とかち合うのは不安なんかい!しかもまた高笑い始めてるし。

 

「……どの学校でもか。そうだよな、普通にスルーしてたけど他校と枠を奪い合うんだ。」

「しかも僕らは普通の習得過程を前倒ししてる。」

「そして1年で仮免を取るのは全国でも少数派だ。つまり、君たちより訓練期間が長く、未知の個性を持ち、それを洗練してきた者たちが集うわけだ。試験内容は不明だが、明確な逆境であることは間違いない。気にしすぎるのも良くないが、忘れないようにな!」

『はい!!!』

 

2人の先生から仮免試験の話をいただき、今日の訓練は終わりを告げる。今日も疲れた!

 

え、お前はとっととリカバリーガールのとこ行ってこいって?

 

分かってます。はい、すぐ行きます。

 

頭ズキズキするよぉ……

 

 

* * *

 

「ふへ〜!毎日毎日大変だぁ!」

 

そう言ってソファーに溶けてるのは三奈さん。今日も訓練に次ぐ訓練でみんな疲労困憊だ。溶けたくなるのも無理はない。

 

「圧縮訓練の名は伊達じゃないね!」

「とはいえ、仮免試験まで1週間もないですわ。」

「塗りつぶされていくカレンダーを見ると焦りがね、来るね。」

 

今日も精一杯頑張ったし、明日もそれ以上に頑張るつもりだ。でも近づいてくる試験日を意識すると、今の実力が通用するのか不安になってくる。

 

「圧縮訓練と言えば必殺技!ヤオモモはどう?」

「うーん、やりたいことはあるのですが、まだ体が追いつかないので少しでも個性伸ばしをしておく必要がありますわ。」

「梅雨ちゃんは?」

「私はカエルらしい技が完成しつつあるの。きっと透ちゃんもビックリよ。」

「水穂ちゃんはどんな感じ?」

「炎の方は結構形になってきた。あとは練習中の新技を実用レベルに持っていってるところ。」

「おぉ、みんな頑張ってるねー!」

 

基本的に自分の訓練にかかりきりで、他の人の様子は見れてないけど、みんな経過は順調らしい。梅雨ちゃんの新技も気になるところだ。

 

「お茶子ちゃんは?」

「…………」

「お茶子ちゃん?」

「うわあああ!」

 

呼ばれても上の空なお茶子さんが、肩を叩かれ飛び上がる。さっきからボーッとしてるけど……

 

「お疲れのようね。」

「いやいやいや!疲れてなんかいられへん!まだまだこっから!……のはずなんだけど、なんだろうね。最近、無駄に心がザワつくんが多くてね。」

 

まぁ!頬染めちゃって、この子……

 

「恋だ!!!」

「な、なに!故意!?濃い!?鯉!?知らん知らん!!!」

「お相手は緑谷か飯田?一緒にいること多いよね!」

「ちゃうわちゃうわ!」

 

三奈さんに詰め寄られ、顔を隠したお茶子さんはそのまま宙へ浮かんでいく。

 

「誰?どっち?誰なのー!」

「ゲロっちまいな。自白した方が罪、軽くなんだよ?」

「違うよホントに!私そういうの分からんし!」

「あーーー」

「え、なにその反応!水穂なにか知ってるの!?」

「やべ……」

 

うっかり顔に出してしまった。私はお茶子さんがどっちを気になってるのか検討がついてる。……ほぼ間違いなく前者だ。

 

どうしよう、私が言っちゃうのは絶対違うし、かと言ってジリジリと寄ってきてる三奈さんをかわし切れるかどうか。どうしよう……

 

「ていうかさ!水穂も轟とどうなんだよー!一学期の初めから仲良かったじゃん!職場体験も同じだったんでしょ?」

「え゙!?」

「ねぇねぇ!」

「あの、それはぁ……」

 

カァーッと顔が熱くなるのが分かる。……また顔に出してしまった。

 

いや?別に?轟くんとは普通に友達だし???なんか仲を探られると恥ずかしいだけだし?彼となんてそんなそんな……

 

「そこまでにしましょう。無理に詮索するのは良くないわ。」

「えぇ……それよりも明日も早いですし、もうお休みしませんと。」

「えええ!?ヤダーっ!もっと聞きたいー!なんでもない話でも強引に恋愛に結びつけたいーーー!」

「そうだね、八百万さん!私もう寝ないと!じゃ!部屋に戻るからーー!」

「コラ!逃げんなーー!話聞かせろーーー!」

 

梅雨ちゃんと八百万さんが話を切ってくれた隙にそそくさと退散する。

 

危ない危ない、あのままだったらあらゆることを根掘り葉掘り聞かれるところだった。

 

轟くんとは何も無いから聞かれても大丈夫だったけどね!?彼とはただの友達関係だからさ!

 

 

 

 

 

まぁ、でも、ちょっとくらいは……

 

 

 

 

 

 

 




水穂のA組に対する認識は

クラスメイトの時点で友達

その中でより親しい友達

そして異性なんだなと認識してる友達です。
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