半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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今回で文化祭準備編は終わりです。原作だと次は緑谷とジェントルの話ですが、オリ主はそこには関わらない予定です。あそこは2人の一騎打ちだからこそ意味がある話だと思うので、そこにオリ主を入れるのはあまりに野暮だと思いやめました。


半分少女と文化祭へ3

半分少女のヒーローアカデミア

 

文化祭の出し物が決定した週の土曜日、私たちA組は本格的に文化祭に向けて動き始めた。決められた隊に分かれ、練習したり演出を考えたりと様々だ。

 

私はダンス隊、しかもあろうことかセンターを仰せつかってしまったので、練習もそれなりにキツイ。基本は他のみんなの動きと同じだけど、途中途中に私メインのパートがある。私が真ん中にいるとバンド隊が見えなくない?と思ったが、そこら辺は各隊が話し合ってバランス調整してるみたいだ。目立つ立場になった以上、かっこ悪いところは見せられない。あと峰田くんとのパートもあるから合わせも必要になってくる。

 

頑張らねば!

 

「緑谷、ちがーーう!もっとこう、ムキッと!ロックダンスのロックはL・O・C・Kのロックだよ!」

 

ダンス隊の先生である三奈さんの指導もガチだ。動きに甘いところがあれば容赦なく指摘してくる。

 

「鍵をかけるように………ビシッと止まる!」

 

間違いを指摘しながら見せてくれる振り付けも彼女が熟練のダンサーというのが如実に分かる。素人目にも静と動の緩急が美しいと思った。

 

みんなの頑張りを横目に見つつ私も共通パートを自分なりにやってみる。が、これがなんとも難しい。

 

「水穂はもっとリズムを意識!細かいところは後で調節するから!」

「こ、こう?」

「そうそれ!動き時は動く、止まる時は止まる!それを体に覚え込ませる!メインパートもあるから、みんなより巻きで行くからねー!」

「ハードだ……」

 

まだ始まったばかりなのに、もうびっしょりと汗をかいてる。自分のイメージする動きをそのイメージ通りに体へ反映するのは思ったより体力を削られる。でも慣れていけば動きも熟れてくるだろうし、最後まで体力も持つかな。

 

けどなんだか昔やってた相澤さんとの組手を思い出すなぁ。あれも言わば作りたい動きを作る訓練だ。相手の速さに対応し、混ぜられるフェイントに対処する。相手がいるかいないかの違いだけで、リズムを意識するというのは共通してる、気がする。

 

みんなと一緒に練習に勤しむ中、あることを思い出す。

 

……そういえばそろそろ時間じゃなかったかな?

 

「あ、通形先輩!」

「………桃がなってるよ!」

 

緑谷くんが声をかける先には桃がなってるらしいミリオさんと壊理ちゃんが来ていた。

 

「壊理ちゃん、来たんだね!」

「デクさん。」

「なになに先輩の子供!?」

 

突然の訪問者に練習中だったみんながドタバタと詰め寄っていく。

 

「素敵なおべべねぇ。」

「私のお下がりだけど似合っててよかった。」

「水穂さん…こんにちは。」

「はい、こんにちは!」

「この子、もしかしてあの時の!可愛い〜〜!」

 

壊理ちゃんはまともな服を持ってなくて、選ぶ暇もなかったので私のお下がりを着てもらってる。当然、クリーニングに出してから渡したけど、状態が良かったみたいで古ぼけた感じもしない。

 

こうしてちゃんとした服を着せてあげると、壊理ちゃんの年相応らしさが感じられてとてもグッドだ。見てて可愛いし安心する。

 

「緑谷、校長から許可が出た。今日は文化祭の人混みにパニックを起こさないよう、1度来て慣れておこうってわけだ。」

「そうだったんですね。もしかして加山さんは知ってたの?」

「あーうん、外出用の服が必要だったから。相澤先生に頼むのは怖いし。」

「俺はお前が怖がる理由が未だに分からん。」

 

いやだって、相澤さんのファッションセンスって壊滅的だし……折角、外に出られるのにダサい格好させたら可愛そうだ。まぁその代案がお下がりというのも申し訳ないけど。

 

「君は……そうか、壊理ちゃん!インターンの子か!俺は飯田、よろしく。」

「おいら峰田!10年後が楽しみだ。」

「やめなさい。」

「アダッ!」

「……?」

 

峰田くんの頭を叩く。壊理ちゃんが将来、美人になるのは同意するけど、君はそこまで射程圏内なのか。壊理ちゃんもミリオさんの後ろに隠れちゃったし。

 

「壊理ちゃんは照れ屋さんなんだよね。」

「照れ屋さんかー」

 

もう既にみんな壊理ちゃんにメロメロらしい。可愛い子供を見たら誰だって癒される。優しくしてあげたいって思うよね。

 

「これから壊理ちゃんと雄英を見て回ろうと思ってんだけど、緑谷くんと加山さんもどうだい?」

「「行きます!」」

「いい返事!」

 

壊理ちゃんを雄英に案内するって話なら一緒に行かないわけにはいかない。三奈さんも私たちに合わせて休憩を入れてくれたからめちゃくちゃ助かった。

 

※ ※ ※

 

運動用のラフな格好から制服に着替え、4人で校舎の中を歩く。ミリオさんの服を引きながら歩く壊理ちゃんは超可愛い。

 

A組の出し物は教室を使わないからこっちに来てなかったけど、他のクラスはもうガンガンと飾り付けしたり小道具作ったりしてる。楽しいお祭りの雰囲気だ。

 

準備中の教室をあちこち見回りながら歩いていると、ミリオさんへ声をかけてくる人達がいた。

 

「あ、通形じゃん!」

「え!子供!?隣の女子ってヒーロー科の1年か!休学ってお前まさかそういう……」

「………フッ。」

 

盛大に勘違いしてるけど、ミリオさんはそこであえて何も言わない。お、面白いぞこれ。乗っかっちゃえ。

 

「見られちゃいましたね……」

「お前それ悪ノリしてるだろ!?やめろよガチっぽいなぁ!」

「くっ、バレるのが早い。」

「……冗談は置いといて。今年のI組はすげぇから!絶対来いよ!」

「行く行くー!」

「後輩くん2人も!」

「すごい立派なフライヤー……」

「経営科恐るべし。」

 

ミリオさんと私の冗談はあえなく流されてしまった。経営科の先輩たちはどうやらビラ配りをしていたようで、ずいぶん凝ったフライヤーを貰った。宣伝効果を高められるように広告デザインとかも学ぶんだろうか?

 

時間が合えば是非行ってみようと思いつつ、今度は校舎の外へ移動した。外では資材が行き来したり、立て看板や出店の用意が始まってた。人の往来も多くて、校舎内よりもっと騒がしい。

 

「1か月前なのに慌ただしいですねー!」

「みんな去年よりもすごいものを、Plus Ultraで臨んでるんだよね。」

「当日が今から楽しみで……うぉっ!?」

「すんません!ってA組の緑谷じゃねぇか!」

 

小道具を運んでたらしい鉄哲くんと緑谷くんが危うくぶつかりそうになる。なんか恐竜の骨格模型みたいなやつでやたら大きい。これは前が見にくそうだ。

 

「あれあれあれー!こんなところで油売ってるなんて余裕ですかぁ?」

「げぇ……」

 

鉄哲くんの後ろからひょっこり出てきたのはB組の物間だ。こんなところでこんな奴に絡まれるとは運がない。壊理ちゃんの教育に悪いので早く退散して欲しいんだけど。

 

「壊理ちゃん、大丈夫?」

「降ってきた人かと思った。」

「降ってきた人?……あぁ、リューキュウのことだね。」

「言われてみれば似てなくもない。」

 

髪色が似てるし、あの時のリューキュウは変身してたから分からないのも無理ない。でも物間にちょっと似てるというのは彼女への悪口になりそう。

 

「おやおや無視かい?いいのかい?A組はライブ的なことをするんだってね。今回はっきり言って君たちより僕らB組の方が凄いんだが!」

「へぇ?」

「ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人─王の帰還─!僕らの完全オリジナル脚本、超スペクタクルファンタジー演劇!」

「オリ、ジナル???」

 

なんか全部聞いたことあるタイトルだったぞおい。

 

……よくこんなごった煮企画が通ったな。止める人は誰もいなかったんだろうか。いいですか、ブラキン先生。

 

「準備しといた方がいいよぉ?僕らに食われて涙する、その時のためのハンカチをねッッッ!!!アッハハハハハッ!」

「緑谷くん、壊理ちゃんを目隠し。」

「……うん。」

 

緑谷くんが壊理ちゃんの目隠しをした瞬間、物間が後ろから思い切り殴られる。泡瀬くんが彼の背後に立ったのを見て下した判断は正解だったみたい。ていうか物間のやつ、「アワセ」ってダイイングメッセージ書いてるのまだ余裕ありそうだな。血も出てないのにインクを用意する暇があったらしい。

 

「いつにも増してめっちゃ嫌味……」

「ごめんよA組、拳藤がいねぇから歯止めが利かねぇ。」

「あー、だからうるさかったのか。いつもすぐ黙らされるのにおかしいと思ってた。」

「あいつミスコン出るから別行動なのよ。」

「ミスコン!!」

「無理やりエントリーさせられてな。じゃ、こいつ連れて行くわ。」

「物間じゃねぇけど、お互い気張って行こうぜ!」

「負けないからねー!」

 

無事に物間も回収されB組の2人は作業に戻っていく。タイトルには面食らったが、あの物間が半端なものを出してくるとも思えない。内容に関しては割とガチの可能性高いな。アイツにはグゥの音も出ない出来をA組で見せてやる。

 

「いきなり雄英の負の面を見せてごめんよ、壊理ちゃん。」

「……ん?」

「壊理ちゃんはまだ分からなくて大丈夫だからね。」

 

物間が壊理ちゃんに悪影響与えてたら嫌だったが、あいにく妖怪すぎて言ってることがよく分からなかったみたいで良かった。

 

「……先生、ミスコンのこと一言も言ってなかった。」

「そういえばそうだね。誰も言わないからてっきりみんな興味無いのかと思ってた。」

「ミスコンといえば、あの人も今年は気合い入ってるよ!」

「あの人……?」

「去年の準グランプリ、波動ねじれさんだよね!」

 

え、波動さんミスコン出てたんだ。

 

 

※ ※ ※

 

「あ!ねぇねぇ、なんで壊理ちゃんがいるの?不思議〜!なんでなんで?楽しいね!」

 

衣装合わせをしてるから見に行こうかとミリオさんに提案され私たちは波動さんのところへ移動した。ちょうどタイミングが良かったみたいで、ふよふよと浮いてる波動さんに出迎えられる。写真撮ってるとこだったのかな?

 

先輩の後ろではクラスメイトの人たちが更なる衣装選びをしていた。カメラマン役で天喰さんもいる。

 

「やっぱりねじれはセクシー系より可愛い系だよ!」

「それで去年負けたろ?」

 

聞こえてくる会話を掻い摘むに中々に本気でグランプリ狙ってるみたいだ。でも波動さんがグランプリ取ったって話は聞かないし……結構ハイレベルな戦いなのか。

 

「波動先輩は個性も派手だし!その、お顔も、プッ!プルプル、プロ……」

「プロポーション。」

「そんな先輩でも準グランプリなんですね!」

 

完全にテンパってる。

 

こういう緑谷くん久しぶりに見たな。でもまぁ波動さんの着てる衣装、かなり攻めてるよね。……胸元の開放感が。先輩自体がめちゃくちゃスタイルいいことも合わさって大変なことになってる。

 

同性の私でもちょっと目のやり場に困るくらいだ。波動さんの子供っぽい所作もあるから悪いことしてる気分になる。

 

「そう聞いて!聞いてる?毎年ね、勝てないんだよ!すごい子がいるの!ミスコンの覇者、3年G組サポート科、絢爛崎美々美さん。」

「なんかすごい……!」

「絢爛崎、美々美。」

 

最初から最後までギラギラしてそうな名前の人が出てきた。相当な美人と言い切れる波動さんでも敵わない人か、どんな人だろうね。

 

「今年のミスコンには、CM出演で隠れファンが急増しつつある拳藤さんも出る。波動さんも気合いが入ってる。大衆の面前でパフォーマンスなんて、考えただけで……痛、お腹痛くなってきた……」

「天喰さんもお変わりないみたいですね。」

「あのお兄さん、お腹痛そうだけど大丈夫なの?」

「先輩はいつもあんな感じだから大丈夫。」

「そうなんだ……」

 

超年下の女の子にまで心配されてる……自分が出るわけじゃないのに想像してダメージ受けてるのはさすがとしか言いようがない。色々あったけど相変わらずの緊張しいだった。

 

「最初は有弓に言われて出てみただけだったんだけど。なんだかんだ楽しいし、負けると悔しいよ。だから今年は絶対優勝するの!だって最後だもん!」

「私、波動さんのこと応援します!」

「ありがとー!」

「波動さんならできるさ!」

「うん。」

 

最初はあまりミスコンには興味なかったけど、波動さんの意気込みとさっき見た飛び切りの笑顔には思わず応援せざるを得なかった。ミリオさんたちも同じく先輩を応援してる。

 

ミスコンの投票は絶対に波動さんに入れよう。

 

 

※ ※ ※

 

場所は移って、サポート科の工作室に私たちはいる。トントンカンカンバリバリと作業音がめっちゃうるさい。

 

「彼らは全学年一律で技術展示会を開くんだ。」

「これ知ってます!毎年注目されてますよね!」

「………そう文化祭こそ、サポート科の晴れ舞台なんですよ!」

「ヒィッ!」

「うわ!発目さん!?」

 

作業風景を眺めてる私たちの背後にスっと近づいてきたのは発目さんだった。急に現れて耳元で囁かないで欲しい、怖い。

 

「それよりも見てください!ドッかわベイビー第202子です!」

「おっきいね!でも発目さん、なんか汚れてるね……?」

「ヘヘッ!お風呂に入る時間も勿体ないので!」

「えぇ!?」

「すごいね!」

「すごいけどシャワーくらいは浴びようね。」

「お断りします!」

「そんないい笑顔で言われても……」

 

サポート科の発目明というのは雄英じゃちょっとした有名人だ。発明が大好きで、すぐ寝食も忘れて没頭し新作を作り上げる。そしてそれはよく謎の爆発を起こす。体育祭の時からマッド味があると思ってたけど、お風呂にさえ入らないのはヤバいと思う。もう女の子としてというより人としての尊厳を捨ててないか心配だ。

 

「体育祭はヒーロー科に対する副次的なアピールの場でした。が、今回は私たちが主役の場を与えられているのです!より多くの企業によりじっくり我が子を見てもらえるのです。恥ずかしくないように育て上げなくては!!!そう考えたらお風呂なんて気にしてる暇はありません!」

「くそぉ、妙な説得力がある。」

「分かっていただけたようですね!」

「頑張ってるんだね!この前作ってもらったアイアンソールも凄く助かったし、発目さんは立派な技術者になれるよ!」

「私のベイビーが人の役に立てるなら本望です!」

 

発目さんは自分の作品が役に立ってて鼻高々と言った感じだ。彼女の言葉で言うなら我が子の活躍が誇らしいだろうか。

 

 

 

なんかベイビーの様子が変じゃない?

 

と思ったのも束の間、202番目のベイビーは唐突に煙を上げ火を噴いた。

 

「ベイビーーッッッ!?」

「うわぁ!発目またかよ!」

「早く水!水持ってこい!」

「わ、私の個性で消火できますよ!」

「マジか助かる!」

 

辺りに燃え広がる前に慌てて水をぶっかけて鎮火する。中の基盤とか全部ダメになるだろうけど仕方ない。

 

「ごめん発目さん、もう行くね!ほら、壊理ちゃんも。」

「う、うん。」

「俺たち食堂にいるから後でおいでよ!」

「分かりました!これ片付いたらすぐ行きまーす!」

 

サポート科の人たちと消火作業にてんやわんやしてる私を置いて、ミリオさんたちは足早に工房を後にした。また爆発したら壊理ちゃんも危ないし、移動してくれた方が安心だ。

 

「また爆発したぞ!!!」

「もっと水出して!」

「はい!」

「待て待て!他の作品も工具も濡れる!」

「それなら何とかできます!」

 

ベイビーを消火するために水量を増やしたら、周りにも影響が出始めてしまった。今出してる水は私の個性由来だからわざわざ触れなくても操作できる。これで工房が水浸しになるのは防げそうだ。この操作が中々難しいんだけどもね。

 

「おぉ!水が止まった!」

「でもなんかじわじわ来てねぇか?」

「放出しながら離れたところを操るのはムズいんです!広がる前に濡れたら困るものは移動させてください!」

「なるほど。それでも助かるよ!」

「おーいお前ら!水没する前に諸々移動しろ!」

「高ぇ工具は絶対壊すなよ!パワーローダー先生にドヤされるぞ!」

 

私がベイビーに対処してる間に3年生を筆頭にして工房内の緊急避難が行われた。みんな、工房を守る、特に展示用の作品が壊れたら文化祭に出せなくなってしまうのでめっちゃ必死だった。自分をアピールする場を逃す訳にはいかないってのは、科が違っても同じみたいだ。

 

そしてしばらくしてベイビーも大人しくなり、びしょ濡れになった工房の片付けも済んだところでやっと私は一息つけた。

 

「つっかれた〜!」

「何とかなりましたね。ありがとうございました!こちらどうぞ。」

「あぁ、発目さん。タオルありがと。」

「いえいえ!」

 

発目さんから手渡されたタオルを受け取り、濡れた髪や制服を拭く。ついさっきまで先輩とパワーローダー先生からお叱りを受けてたけど終わったらしい。周りの反応を見る限りいつもの事みたいで、怒られた本人もケロッとしてた。

 

「でもごめんね。せっかくのベイビーをダメにしちゃって。」

「問題ありません!確かに電子部品はもう使えないでしょうが、フレームやギアなどは再利用できますから。」

「今から文化祭に間に合わせるの大変だと思うけど大丈夫なの?」

「フフん!私は今まで200以上のベイビーを作ってきたんですよ?今までにもこの子のようにあえなく散ったベイビーはたくさんいます。だからへこたれることはありません!」

「そっか……発目さんは努力家なんだね。」

「もちろんです。私は発明を愛していますから!」

 

そう言い切った発目さんの表情は、たった今失敗したとは思えない溌溂さだった。マッドの気があったり、私生活に心配なところはあるけど、彼女の熱意と技術は本物だ。

 

「じゃあ今度は私のサポートアイテムを頼もうかな。」

「是非来てください!あなたもヒーロー科ならば、私の未来のクライアントたる可能性大です!たくさんベイビーをアピールしなくては!」

「爆発はさせないでね?」

「それは保証しかねます!」

「えぇ……」

 

それでいいんだろうか?まぁ彼女も爆ぜさせたくてやってる訳じゃないし……

 

発目さんとの会話もそこそこに私はサポート科をお暇する。出ていく時は他の生徒たちからめちゃくちゃ感謝された。毎日、発目さんの起こすトラブルには困り果ててたんだと思う。一部からは消火担当として常駐してくれとか言われたけど流石にお断りした。

 

しかし他科の人たちと交流するというのは存外楽しかった。サポート科は誰もが発明を愛して日夜頑張っている。それはヒーロー科とも同じだった。誰かが好きなものに全力を注いでる姿を見るのはとても心地がいい。

 

ただ1つ思うところがあるとすれば

 

 

──絶対に防火設備は強化した方がいい。

 

※ ※ ※

 

「そうそうA組の出し物、職員室でも話題になってたよ。」

「緑谷くん、ミリオさん、戻りましたー!ってミッドナイト先生じゃん。」

「あら加山さんじゃない。そんなに煤だらけでどうしたのかしら?」

「いやそれがサポート科のボヤ騒ぎに巻き込まれまして……」

「それは大変だったわねぇ。」

「あれが日常なんて信じられないです。」

 

食堂にいると聞いた3人に合流しに来たら、ミッドナイト先生とばったり会った。先生とも古い仲だけど、未だに名字で呼ばれるのは慣れない。加山(かやま)と香山(かやま)で読みが同じだし。

 

「A組の出し物について話してたんだけど、あなたセンターやるそうね?」

「もう話がそんなところまで!?」

「いいわぁ〜!これぞ青春!あんなに小さかった女の子が舞台に上がるなんて感動しちゃう!」

「やめてください。本番でとちらないかこっちはヒヤヒヤしてるんですよ。」

「でも楽しみにしてるわ。頑張ってね!」

「それはもちろんです。」

 

それだけ言ってミッドナイト先生は食堂を去って行った。しかしそこまで話が広がってるとは思わなかった……予想以上の注目度、天喰さんじゃないが私も胃が痛い気がしてきたぞ。

 

「デクさんは何するの?水穂さんはセンター?っていうのをするんだよね。」

「僕たちはダンスと音楽、踊るんだよ。壊理ちゃんに楽しんで貰えるよう頑張るから必ず見に来てね!」

「来たら壊理ちゃんビックリするよ!」

「ビックリ?」

「うん!」

 

A組の出し物は雄英生に楽しんでもらうのが表の目的だけど、私たちには壊理ちゃんの笑顔を取り戻すっていう目的もある。今のうちに彼女の期待感を煽っておくのは得策だ。

 

「そろそろ休憩時間が終わりそうなので僕たちは先に戻ります。」

「あぁ、行っといでよ。言っとくけど俺も楽しみにしてっからね!」

 

ダンス隊の休憩時間もそろそろ終わりが近くなり、ミリオさんに壊理ちゃんを任せて私たちは食堂を後にした。

 

壊理ちゃんの表情は文化祭の話をしたときみたいに朗らかだった。これは下見に来てもらってて正解だね。

 

 

※ ※ ※

 

そして時は流れて文化祭前日、私たちA組は舞台となる体育館で最後のリハーサルも終えて、いよいよ明日の本番を寝て待つのみとなっていた。

 

ほぼ全員がド素人から始まった文化祭準備だったけど、蓋を開けてみれば人前に堂々と出せる代物に仕上がった。バンド隊は耳郎さんの指導のもと、ギター初心者2人が爆豪についていけるレベルに、ダンス隊は鬼教官の三奈さんによって随分洗練された動きをできるようになった。もちろん演出隊だって負けてない。体育館全体を大胆に使ったプロ顔負けの派手な演出プランを考え、それを実行出来るものにしたし。

 

まぁその演出プランのために緑谷くんがダンス隊クビ(ただの演出隊への引き抜き&兼任)になったり、私のメインパートがギリギリまで仕上がらなくて三奈さんをやきもきさせたりしてしまったけど。

 

今は明日のへの最終確認したい人と興奮冷めやらぬ人が残って駄弁ってるところだ。

 

「わーー!眠れねぇぇ!!!」

「興奮MAXッッッ!」

「静かに、寝てる人もいるから…!」

 

上鳴くんと峰田くんはさっきからこの調子だ。今日も練習で疲れてるだろうに全然落ち着く気配がない。明日に響かないか心配になる。

 

「みんな盛り上がってくれるだろうか……」

「そういうのはもう考えない方がいいよ。恥ずかしがったり、おっかなびっくりやんのが一番よくない。」

「とにかくできることは全部やった。あとは本番を私たちが全力で楽しんで、みんなを楽しませるだけ、だよね。」

「でも耳郎、あの時めっちゃテレッテレだったんだぜ!」

「あれはまた違う話でしょ!」

 

少し頬を赤らめて耳郎さんがツッコミを入れる。

 

その場に私はいなかったけど、出し物を決めるとき音楽をやろうってなって耳郎さんがやるやらないで少しごちゃごちゃしたって聞いた。でも耳郎さんの音楽にかける情熱を知ってる人たちから説得されてやることにしたんだってさ。変に恥ずかしがってやらないのはロックじゃないって決めるのは実に耳郎さんらしい。

 

そんな風に話していると、テーブルの方で使う道具の確認をしていた緑谷くんから声が上がる。

 

「あ、ロープが解れてる。危ないし替えを用意しなくちゃ……」

「八百万に作ってもらえば?ですわ!」

「ヤオモモもう寝てるよ?便利道具扱いしないの!」

「……俺のことは充電器扱いするじゃん。」

「これが男性蔑視……!」

 

八百万さんに作ってもらう案が提案されたけど、三奈さんに却下されてた。その事に普段から便利道具扱い受けてる上鳴くんは不満そうだけど。私も時々スマホ充電させてもらってるから何とも言えない。

 

「僕、明日の朝一で買ってくるよ。朝練もあるし、ついでに買いたいものもあるから。」

「いやいや、本番10時からだぞ?店ってだいたい9時からじゃん。」

「雄英の近くにあるホームセンター、あそこなら8時から開いてるんだよ。」

「結構、ギリじゃん。」

 

確かに緑谷くんの言ってるホームセンターはあるけど……当日の準備もあるのに大丈夫かな。

 

「私も手伝おうか?」

「ううん、大丈夫。加山さんはみんなと準備してて。」

「緑谷くんが言うならそうするけど……」

「そうだよ!水穂は明日色々と準備しなきゃなんだから。化粧もやるし!」

「えぇ、いいよ別に。観客側からそんなに見えないし、そもそもしたことないし。私にはまだ早いんじゃないかな〜」

「女の子が着飾ることに遅いも早いもありません!」

「はい……」

 

三奈さんの押しの強さには相変わらず敵わない。大人しくされるがままでいよう。

 

「さて、そろそろガチで寝なきゃ!」

「うん!」

「そんじゃ明日またやると思うけど、夜更かし組一足お先に……絶対成功させるぞッッッ!」

『おーーーー!!!』

 

気合い入れていこう、明日の成功を願って!

 

 

 

でもほんとに私ってそこまでしないとダメ?あ、ダメ……

 

無言の笑顔って圧力あるよね。

 

 

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