半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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ヒロアカ、人生で好きな漫画不動の1位すぎる。

評価ありがとうございます!


半分少女とヒーローインタビュー

半分少女のヒーローアカデミア

 

対抗戦のゴタゴタから時間は過ぎ、冬の寒さが本格的になってきた頃。雄英高校は今年初の降雪を迎えていた。

 

「雪だーッ!」

「心頭滅却、乾布で摩擦ッ!」

 

と言った感じに初雪に喜ぶ人は外へ飛び出して行ったりしている。みんなもすっかり冬の装いだ。少しずつだけど、季節とともに誰もが成長という変化を進めている。

 

私はと言うと、個性の方の進捗は全くない。あの日に掴みかけた何かを探る日々を過ごしている。進めているのか、止まっているのか、はたまた戻っているのか。それは分からないけど、悶々とはすれ、焦りはそこまでだ。壊理ちゃんに言ったように、重要なのはコツコツと努力を積み重ねること。劇的に変われなくとも確かに地力は着くし、地力あってこそ突破口も見えるはず。

 

「窓閉めてー!梅雨ちゃん動かんくなった!」

「うわ!ごめん梅雨ちゃん!」

 

物思いに耽る私の横で梅雨ちゃんが丸くなっている。個性故に両生類的な特徴を持つ彼女は寒さに弱いんだとか。外に出る時は人一倍防寒対策してるし、最近は朝も弱くなった。本人曰く、寒いと冬眠してしまうらしい。

 

「しょうがない。人間ストーブの私が暖めてあげよう。」

「んん〜、暖かいわ……」

「より深い眠りに落ちてしまった。」

「いいなぁ。水穂ちゃん、私も暖めて!」

「もちろん!」

「わぁ……あたたかぁい……」

 

私がギュッと抱きつくと、伝わる体温に梅雨ちゃんと葉隠さんが蕩けていく。冷え込んできてからというもの、個性由来の高めな体温で引っ張りだこだったりする。特に1階の共有スペースは朝方だとかなり寒い。ので、早起きした私が少し個性を使って暖めている。暖房要らず、私こそエコロジーだ。

 

暖房代わりにしたり、時には冷めたお茶を温め直したり、こんなしょうもない使い方をしていると昔の自分が知ったらズッコケるな……

 

「ね、轟たち何時くらいに帰ってくるか聞いてる?漫画の続き借りてぇの。」

「6時くらいって言ってた。」

「仮免補講最終日、彼らが合格すれば晴れてA組全員仮免取得だ!」

 

貴重な休日の自由時間、そんな時にA組がこぞって集まっているのは、実はこれが理由。みんな、2人の合格が気になってソワソワしている。

 

私もソワソワしている。

 

今朝なんて、試験に向かおうとする2人にあれこれ世話を焼こうとしてしまった。一緒に持ち物確認して……体調はどうか確認して……ってやってた。問題は甲斐甲斐しくやりすぎて爆発さん太郎が起爆したことくらいだ。……友達の大一番なんだから世話焼いたっていいじゃんね?

 

「2人は今頃テスト中かね。大丈夫かなぁ……」

「大丈夫でしょ!爆豪くんも最近感じ良いし!悪いけど!」

「お、葉隠さん分かってるぅ。」

「ケーキでも作って待ってようか。」

「やったーっ!」

 

合格祝いのケーキ作り……誰も2人が受かることを疑っていないな。素っ気ないところが共通項な爆豪、轟くんだけど、ちゃーんとみんなから大事にされてるんだねぇ。なんか意味もなく嬉しいね。

 

「俺があの2人に唯一勝ってたところが、仮免持ちっつうとこだったのになぁ……」

「ちんけなこと言うなよ!」

「上鳴ちんけ!」

「んだそりゃ!」

「くふっ……ちんけ。」

「あー!加山が笑った!相澤先生にチクってやる!!!」

「え?……ちがっ!今のは不意打ちされたから!」

「気にするな上鳴。お前だけの良さは多々あろうに。」

「障子ありがとう……」

 

ごめんやん……ちょっと上鳴ちんけの響きが良すぎて笑っちゃったの!障子くんのおかげで、チクられる心配はなくなった。

 

ふぅ、

 

「………」

 

2人が受かったら目一杯祝ってあげなくちゃね。とにかく、無事に帰ってくることを祈っておきますか。

 

 

 

 

 

と、思ってたんだけど……

 

 

※ ※ ※

 

「「ギャハハハハハッ!!!」」

「い、1時間もインタビュー受けて!」

「爆豪丸々カット、画面見切れっぱなし!」

「……使えやぁ!!!」

 

教室に響き渡る瀬呂くんと上鳴くんの爆笑。これくらいなら少し騒がしい程度で、いつもと変わらない光景。

 

……爆豪が笑われる対象になっていなければ。いつぞやの八二分けになってたのを思い出す。今の状況は実際そのくらい面白い。

 

「ある意味守ってくれたんやね……」

「もう三本目の取材でしたのに。」

「仮免事件の高評価が台無し。」

 

そう、なんと爆豪と轟くんは仮免補講から帰る途中、ヴィランによる大規模な強盗事件に遭遇。仮免とはいえ、既にクソ強い2人はヴィランを蹴散らして見事解決と相成った。そうなると当然、メディアが食いつくわけで、しばらくは取材を受けることに。

 

が、2人の相性は最悪なので、天然を発揮しまくる轟くんに対して爆豪がキレ続けるという、とてもお茶の間へ流せる内容ではなくなってしまった。轟くんが受け答えできてなかったら全部ボツにされてたよ、うん。端で見てたけどそのくらい酷かった。

 

「仮免取得したヒーローがその帰り道で事件解決!って大見出し記事だったのに……ぷっ、くく!口悪すぎて使われないとか!だ、だめお腹痛い!」

「おう、クソメッシュ表出ろや。むしゃくしゃしてんだ、軽く捻ったる。」

「嫌でーす!」

 

きゃー怖ーいと逃げ回る。相澤先生が来るまでは自由時間です!教室の端から端へと机を駆使して捕まらないように粘る。

 

そんな最中、気になるものを見つけて足を止める。途中で爆豪は爆笑し続ける瀬呂くん上鳴くんへ標的を切り替えたので助かった。

 

『──たった20人の暴動により、約50分ほどで泥花市は壊滅状態に追い込まれたのです。』

 

「それ、泥花市のニュース?凄かったよね、被害は神野以上だって。」

「みたいだな。地方だったため、死傷者は抑えられたそうだが。」

 

緑谷くんがスマホで見ていたニュース、ヴィランによって泥花市が壊滅させられたというものだ。オールマイト以降、目立った組織的犯行は撲滅されていたけど、彼の存在無き今、それが如実に現れてきたってとこだろうか?

 

……こんなことをしでかす奴らに心当たりしかないが、一般に報道される情報の中にその内容はなかった。

 

泥花市民へのインタビュー映像が放送される。もっと悪く言われるかと思いきや、擁護する声が多い。

 

『以前ですと、これ程の被害を出した事件はヒーローへの非難一色だったわけですが。しかし、時代の節目と言いましょうか、非難から叱咤激励へと変わってきているんですよね。』

 

「見ろやくんから皆の見方がなんか変わってきたよね!」

「あぁ、見ろやくんね。」

「エンデヴァーが頑張ったからかな!」

「………」

 

黙られてますよ、エンデヴァー。

 

「楽観しないで!」

 

扉がガラリと開き、雑談中の教室へ入ってくる人物が「2人」

 

誰であるか気づいた男子たちの反応で、見ずとも分かった。

 

「いい風向きに思えるけれど、裏を返せばそこにあるのは危機への切迫感!勝利を約束された者への声援は、果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか?ショービズ色濃くなっていたヒーローに今!真の意味が求められている!!!」

「Mt.レディ!?」

 

と、ミッドナイト先生。相変わらずだけど、出てくる時に毎回セクシーに決めないといけない決まりがあるんだろうか?いつまで経っても慣れない。

 

余程、自分に自信がないと出来ないよあれは。私?絶対やだ、恥ずいし。

 

「特別講師として彼女を招いた。お前らも露出が増えてきたしな。ミッドナイトはその付き添いだ。」

「露出増えてねんだよ!!!」

「次から頑張ろうぜ!」

 

あれはね、組み合わせがね、悪かったのもあるからね……そして相澤先生はまた寝袋と。しかも着る毛布的なやつに進化してる。そんなのを買うなら寝具を新調してください。どうせペラペラな枕、まだ使ってるんでしょ。

 

「おいらが言うのもアレだけど!アンタが一番ショービズに染まってんだろ!!!」

「お黙り!!!」

 

私が相澤先生に呆れた目線を送るのを他所に、峰田くんがMt.レディに鋭いツッコミを入れる。

 

そういや、ビジュアルに釣られて職場体験行ったら酷い目にあったんだっけ、彼は。実際、Mt.レディはメディア受けを意識してるタイプと思ってたんだけど……でも、受けを狙うかはともかく、当たり障りのなくスマートな受け答えをする力は必要かも。

 

「今日の授業はメディア演習!現役美麗、注目株であるこの私、Mt.レディがヒーローの立ち振る舞いを伝授します!」

「何するかわかんねぇが……みんな!Plus Ultra で乗り越えるぜ!」

『おーう!!!』

 

おー!!!

 

 

……今、Mt.レディ自分で自分を美麗って言った?やっぱりビジュアルで売ってるだけあるな……さすがだ。

 

 

※ ※ ※

 

「授業内容は……ヒーローインタビューの練習よ!!!」

「緩い!」

 

切島くんを筆頭に気合十分で臨んだ授業は大変緩かった。仮免試験の頃から割とキツイ授業内容が続いてたので、拍子抜けしてしまう。

 

必要なのは分かるんだけど……うん。

 

「ヒーロー ショート、こっちに。」

「はい。」

 

早速と言わんばかりに轟くんが呼ばれ、ステージへと登る。

 

いきなり始めるんだ。緩いとは思ったけど、いざやるとなると緊張してくるな。

 

「凄いご活躍でしたね、ショートさん。」

「……何の話ですか?」

「何か一仕事終えたていで、はい!」

 

ぽやっとしてるなぁ。

 

「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう?」

「俺が来て、みんなが安心できるような……」

「素晴らしい!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら、私逆に心臓バクバクよ!」

「心臓、悪いんですか?」

 

しまった。

 

轟くんはドが付く天然なことを忘れてた。

 

これは……なんとも……

 

「ぶはっ!」

「やめろ……笑うな……!笑うな加山……!」

「いや瀬呂くん……だってぇ……!」

 

吹き出した私に、隣の瀬呂くんが流れ弾を食らう。無理だってこれを堪えるの。心臓、悪いんですか?って君さぁ!

 

後ろに回した腕を抓り、込み上げてくる笑いを誤魔化す。

 

くおお、口角がピクピクする!!!

 

私が勝手にツボってる間にもインタビュー練習は続き、代表的な必殺技を聞かれた轟くんが一発デカイのを見せてくれた。彼の代名詞とも言える大氷壁は「穿天氷壁」と言うらしい。それに高熱をぶつけてできるのが「膨冷熱波」なんだとか。なんだかんだ近くで戦うとこ見て来たけど、技名とか知らんかったぜ。

 

ふぅ……氷壁の冷気でちょっと落ち着いてきた。

 

「あれ、対抗戦で使ったやつは?」

「あれな……エンデヴァーの……」

「赫灼熱拳!」

「赫灼熱拳は親父の技だ。……俺はまだあいつに及ばない。」

 

エンデヴァーには及ばない、だから「自分の」必殺技じゃない、か。高いよね、あの壁は。一朝一夕には超えられない壁だもん。

 

赫灼熱拳、炎熱系個性の到達点と言っていい、まさに極致。同じく炎の個性を持つ身としても、いずれ至らないといけない。私なりのアプローチで。

 

「パーソナルなとこまで否定しないけど、安心させたいなら笑顔を見せれるようにしないとね。あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ?」

「俺が笑うと……死ぬ?」

「もういいわ!」

 

「〜〜〜っ!……ふんっ!!!」

「急に自分をぶった!どうしたん!?」

「なんでも、なんでもないよ、お茶子さん。」

「真っ赤だけど大丈夫?」

「全っ然!」

「とてもそうは見えへんけど……」

 

あっぶない……最後の最後で凄まじい勢いで天然かまされた。あと少し遅れてたら爆笑間違いなしだった。セーフ!

 

「必殺技も披露するのか?インタビューでは?」

「あらら、ヤダわ雄英生。みんながあなた達のことを知ってるわけじゃありません!必殺技は己の象徴、何が出来るのかは技で知ってもらうの。即時チームアップ連携、ヴィラン犯罪への警鐘、命を委ねてもらうための信頼。ヒーローが技名を叫ぶのは大きな意味がある。」

 

……Mt.レディ変わったなぁ。私が抱いてたイメージとは、まるで別人みたい。

 

「ちょっと前までカメラ写りしか考えてなかったはずだぜ?あの女。」

「Mt.レディだけじゃないよ。今、ヒーローたち皆、引っ張られているんだ。ナンバー1ヒーローに。」

「エンデヴァーが、引っ張ってる。」

「変わってるんだ。ヒーローもヒーロー以外も。」

「へぇ。」

 

かつてのオールマイトのように、ナンバー1におんぶにだっこじゃダメってことかな?誰かが頑張るんじゃない、みんなで頑張るだって。なら、そこに私たちも続かなくちゃいけない。

 

「さぁ!バンバンインタビューしちゃうよ!」

 

そう言い切った瞬間、次々と名乗りがスタートする。みんな、今ここで考えたとは思えないくらい整った内容……私の知らないところで、そういうのを考える会してる?

 

謎に走った寒気を端に追いやりつつ、回ってきた自分の番も恙無くこなした。私、ヒーロー名アモルファス!事件事故災害、なんでもやれます!

 

そして残るはインタビューに不安たっぷりな例の2人……

 

 

「俺は適当なことは言わねぇ!黙って着いて来い!!!」

 

 

これだもの。

 

「1人だとインタビューはまだマシね……分かった。ソリが合わないのね、人類と。」

「悪ぃ爆豪、俺がいたから丸々カットに……」

「思い上がんな!テメェなんぞが俺に影響与えられるわけねぇだろうが!!!」

「そうか。」

「与えられてたよ、めちゃくちゃ影響与えられてたよ。」

「そうなのか?」

「そこ!要らんこと言うんじゃねぇ!」

 

無理だよ、みんなそう思ってるよ。明らかに轟くん意識で口悪くなってたし。

 

こんな感じで、爆豪がびっくりするくらい口調が荒いのに対して、もう1人の方はというと。

 

「デクくん、でしたっけ?活躍見ました!」

「それは……よかった、よかったです……」

「ご自身ではどのようにお考えでしょうか?」

「そ……よかった……」

 

びっくりするくらいのあがり症です。最近は人前で物怖じすることは見なくなってたけど、こういう注目される場となるとまだダメっぽい。逆に少し懐かしい気もする緑谷くんだ。

 

「あなたの技はオールマイトリスペクトが多いように思われましたが、やっぱり憧れてる?」

「はい!!!」

「ここは声でかいんかい。」

 

オールマイトに関しては立て板に水の如く声が出てくること出てくること。今は技名のリスペクトから発展して、自分なりのこだわりのフェーズに入っている。オールマイトオタクの悪いところが出た。

 

留まることを知らない緑谷くんの語りの中、ミッドナイト先生が小さく零す。それは対抗戦で起きた彼の個性の暴走。詳細は伏せられているが、個性の発展形であることは、A組も教師陣にも知らされている。

 

しかし、特別講師として招かれたMt.レディは当然知らない。ので、先程言った必殺技の披露によって自分を知ってもらう、これに倣い披露することになった。

 

「…………」

 

右腕を突き出し、静かに集中する緑谷くん。あのとき現れた黒い縄の威力が焼き付いているのか、誰もがじっと見守る。

 

あれからオールマイトと特訓はしてたと聞いてる。私とは別でやってたので進捗はよく分かってない。出さない制御はできるようになったらしいけど。

 

さて、どんなのが飛び出すか。

 

「……ッ!」

 

彼が目を見開く。同時に構えられた腕から、対抗戦で見た縄が現れた。

 

──ピョロっと。

 

え、

 

……え、

 

「よっしゃ!今はピョロっとですが、コントロールの第一歩です!行く行くこれも!」

「何それ……」

 

思ってたのと違う。

 

思ってたのと違うが、制御だけじゃなく発動のコントロールもできるようなってるんだ。よくこの短期間でここまで。

 

 

 

「ん、待てよ?」

 

……マズイ、足踏みしてるの私だけじゃん!

 

さすがにこれはちょっと焦ろう。コツコツやるものって壊理ちゃんに言っちゃったけどさ!?割とガチに焦ろう。

 

あの!ワン・フォー・オールの面影は、緑谷くんにアドバイスくれたらしいんですけど!私の方はどうなってますか!シノさん?シノさん!!!!

 

水の個性からやってみようじゃちょっとキビいかもです!!!!!

 

 




今回の連続投稿はここで終わりです。読んでくださりありがとうございました。また書き溜めたら投稿します。

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