半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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また書き溜めたので今日から3日間、0時に投稿します!

加えて、いつも読んでくださる方々にお礼を。12話の1万UA、1話の2万UA突破ありがとうございます。評価の投票者も50人もの方からいただけて嬉しい限りです。特に数が決まっている最高評価を頂いてしまった日には舞い上がってしまいます。また総合評価も1500ポイントをいつの間にか超えていまして、こちらもありがたく思います。

更新は遅々としていますが、完結まで頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします!


インターン再び編
半分少女とインターン再び1


半分少女のヒーローアカデミア

 

年末に持ち上がったエンデヴァー事務所へのインターン。私たち4人と、学校、エンデヴァー側の話がまとまり、無事に行けることになった。もちろん、誘いを受けてたことをすっかり忘れてたのは内緒だ。ちょっと忙しすぎて頭から抜けちゃったんです。

 

そして冬休みも終わった今日、晴れてインターンが始まる。電車とバスに揺られ、事務所最寄りの停留所へ。時間的に、もうエンデヴァーが来てるはずだけど……

 

お、あれだ。デカイからすぐ分かるね。

 

「ようこそ、エンデヴァーの下へ。……なんて気分ではないが。」

 

エンデヴァーの眉間にギュッとシワがよる。早速、ご機嫌ナナメだ。

 

「焦凍の頼みだから渋々許可したが……焦凍と加山くんの2人以外、受け付けるつもりはなかった!」

「許可したなら文句言うなよ。」

「しょ、焦凍!」

「半分野郎はまだ分かるけどよ、こいつも贔屓すんのか?……キチィな、補講ん時も含めて。」

「焦凍!本当にこの子と仲良しなのか!」

「まぁ、トップの現場見れんならなんでもいいけどよ。」

「友人は選べと言ったはずだ!!!」

 

分かるよ爆豪、キチィよね……職場体験のときとはずいぶん雰囲気が変わったけど、それでも取ってつけたような親子感がキチィ……轟くんに高校まで友達いなかったの誰のせいだと?

 

あと、若干身内よりの判定を受けてるのもヤダ。インターンやらせてくれるのは感謝しかないけど、そこはヤダ。普通のインターン生です。私は加山で、あなたは轟さんです。

 

「インターン、許可していただきありがとうございます!」

「……一度受けた以上、面倒は見る。事務所までは歩きだ、着いてこい。」

 

よし、とりあえず4人揃ってインターンできるっぽいね。不満タラタラと言った感じだけど……

 

まぁいいか。それよりも

 

「よいっしょと。」

 

シャツの袖を捲り、目いっぱい上まで上げる。実は今日、ブレザーを着てきてない。このまま個性使ったら制服がおしゃかになっちゃう。インターン生としてここに来た以上、いつでも即応できるようにしとかないとね。靴もちゃっかりコスチューム用です。ちゃんと相澤先生には説明して許可貰ったから、そこら辺は大丈夫だ。

 

「加山さん、それ寒くないの?」

「全然。私って体温高いし。着込んでたらすぐ動けないでしょ?だから腕捲り。」

「そっか、濡れたり焦げたりしないようにだね。」

「そゆこと〜」

「……悪くない心掛けだな。」

「あ、ありがとうございます。」

 

マジで今日のエンデヴァー、妙に私への態度優しいな?轟くんならともかく、私っていつの間にエンデヴァーポイント稼いんだんだろう

 

……前みたいなこと言ってきたらケツを蹴り上げますけど?

 

ほら見て?横の爆豪の機嫌、すごい勢いで悪くなってる。ここまで露骨に差のある対応されたら誰だってモヤると思うが。

 

「今度のナンバー1はスキャンダルで引退だな。」

「かっちゃん……!」

「私、歳上はタイプじゃないよ?」

「加山さんも乗らないで!すみません、エンデヴァー。」

「大丈夫だ、気にはしていない。」

「それでも今日からお世話になるので……ナンバー1ヒーローの活動、しっかり学ばさせてもらいます!」

 

緑谷くん真面目である、偉い。あとエンデヴァーが私寄りなのは、多分そういうことではない。

 

「焦凍は俺じゃない、だったな。」

「え?」

「……申し訳ないが、君らに構うつもりはない!」

 

言うが早いか、鞄を投げ捨てて飛び出して行ってしまう。

 

エンデヴァーどこ行くんですか???

 

……じゃない!そういう事か!!!

 

纏炎を発動し、エンデヴァーに遅れて動き出す。

 

「学びたいなら後ろで見ていろ!!!」

「指示お願いします!」

 

3人が動いたのも私と同時、その時点で彼の背中は遠くなっていた。

 

事件だ、事件!エンデヴァーが説明もなく私たちを置いていったってことはそういうことだ。微塵もそんな雰囲気を感じ取れなかったのに、これが職場体験のとき言ってたやつかな!

 

「後ろで……見ていろッ!」

 

見ていろって言ったってねぇ!!!ヒーロー活動は迅速果断、秒以下の世界で状況を見極めなきゃいけないけどさぁ!!!

 

速すぎる。エンデヴァーでこれなんだから、最速と謳われるホークスに食らいついた常闇くんは凄いよ。

 

「後ろで見ていろって……」

「着いていかなきゃ見れない!」

「ナイトアイって優しかったんだ!!!」

 

同じインターンでここまで違うのね!

 

……っと、あれが騒ぎを起こしてるヴィランか。

 

『逃げよ!国民!私は闇の元凶を……討ち滅ぼす者なり!!!』

 

奴を中心にガラスが集まってる……特定の物を操る系の個性だな。言ってる意味は分からんけど、個性の強さからして中々の実力者だろう。なら当然、ただの暴れたいタイプじゃない。

 

強いということは、それまで牙を研いできたということ。研いできたということは、それをするだけの頭はあるということ。

 

──何か仕掛けてるのが透けて見える。

 

「どうする?援護するか?」

「違ぇな。……クソメッシュ、上見てこい。」

「了解!」

 

トンと飛び上がり、滞空しながら辺りを見渡す。爆豪も何かあると睨んだらしい。と言っても、それが何かは見当ついてないけど……

 

「んーーー………あれだ。」

 

今いる通りを外れた路地裏に、怪しい3人組を見つけた。俺たち不意打ち狙いですと言わんばかりのワイヤートラップと……鉄パイプか?

 

体を反転させ、一直線に地上へ降りる。

 

「よっと。」

「どうだ?」

「エンデヴァーから見て9時方向の路地裏、何かいる。」

「なるほどな……先回りすんぞ。」

「わかった!」

「おお。」

 

近場の路地へ4人揃って突入する。ここ周辺の土地鑑はなくても、待ち伏せのところへ続く道だけは見て覚えた。先頭に私が立って進む。本当なら最短で行きたいが、目的地の路地がL字なのでそうもいかない。ビルを迂回してぐるりと回り込む。

 

『今じゃ!!!』

 

大通りに繋がる路地から明かりが迫ってくるのと同時、先程のヴィランの声が響く。待ち伏せ3人組が動き出すのを捉える。捉えた瞬間、それぞれが捕縛にかかった。

 

「上!」「真ん中ッ!」

「「下!」」

 

……轟くんと被っちゃった。

 

彼の氷結が一瞬先に到達する。拘束するならそれで十分だが、無力化するには一撃入れとかないと不味い。最近のヴィランはほんとに何隠し持ってるか分かったもんじゃない。

 

「ありゃ???」

「ん?……あぁ、インターンか!」

「ホークス!?」

「ごめん、俺の方がちょっと速かった。」

 

あと一歩のところで盛大に空振る。いきなり現れたホークスがヴィランを捕らえてしまった。サプライズホークス……

 

「エンデヴァーさんがピンチかと思って。」

「この俺がピンチに見えたか?」

「見えたよね、焦凍くん?」

「あ、はぁ……」

「来る時は連絡を寄越せ。」

「いや、マジでふらっと寄っただけなんで。」

 

捕まえられたのはいいことだ。ヒーロー活動は別にレースしてる訳じゃない。迅速なヴィラン捕縛、そこに早いも遅いも関係ない。それでも、今のは私たちで十分に間に合っていた。

 

「…………」

 

空いた手をグーパーする。

 

ホークス、こんな横取りのような真似をする人だったかなぁ?

 

 

※ ※ ※

 

何かホークスの乱入でごちゃごちゃしたが、無事に「星のしもべ」と名乗るガラスヴィランは捕まえられた。協力していたチンピラもパトカーに押し込められてる。

 

「放せ!放さんか!手遅れになるぞ!!!」

 

首謀者のヴィランは興奮してるみたいで、さっきからよくわかんないことを口走っている。

 

「そやつこそが元凶じゃ!奴の放つ光が、闇を、終焉を招くのじゃあああ!!!」

 

うーん……

 

言ってることは分からないが、今回の行動といい、エンデヴァーが狙いだったぽい?彼の言う、終焉やら終末やらはエンデヴァーが原因になるらしい。

 

「分からん。」

 

手放しで尊敬は出来ないけど、エンデヴァーはちゃんとナンバー1をやってると思う。

 

警察官数人がかりでパトカーに詰められ、連行されていく姿を見て何だかなぁと首を捻った。私が事件のことに疑問符を浮かべてる一方で、緑谷くんはホークスに挨拶している。ヒーロー好きな彼らしい。

 

「雄英高校ヒーロー科1年A組、緑谷出久と言います!」

「知ってる、指破壊する子。ツクヨミくんから聞いてるよ。俺も彼と一緒に仕事したかったんだけどねぇ。」

「常闇くんはホークス事務所でインターン続行では?」

「地元でサイドキックと仕事してもらってる。俺が立て込んじゃってて、悪いなぁって思ってるよ。」

「……さっきのは俺の方が速かった。」

「それはどうかな?」

 

噛み付いてる……まぁ、あれは爆豪じゃなくても気にするが。

 

「で、何用だ?ホークス。」

「用ってほどのもんじゃないんですけど。エンデヴァーさん、この本読みました?」

 

そう言って彼が懐から取り出したのは一冊の本。赤と黒のおどろおどろしい装丁に「異能解放戦線」とある。なんとも刺激が強そう。

 

「それがなんだ?」

「いやねぇ知ってます?最近、えらい勢いで伸びてるんすよ!昔の手記ですが、今を予見してるんです。”限られた者のみ自由を与えれば、皺寄せは与えられなかった者に行く”とかね。時間なければ、俺がマーカー引いといたんで、そこだけでも!」

 

ホークス、いつも以上に饒舌だな。

 

「異能解放軍の指導者デストロが目指したのは、究極あれですよ!自己責任に解決する社会!時代に合ってる!」

「……何を言ってる?」

「そうなればエンデヴァーさん、俺達も暇になるでしょ。」

 

ヒーローが暇な社会ってそういうことなんだろうか?仕事がないくらい平和、じゃなくて、それは仕事を放棄した社会では?

 

「読んどいてくださいね。」

「ナンバーツーが推す本……僕も読んでみよう、あの速さの秘訣が隠されてるかも。」

「………そんな君のために持ってきてました!」

「用意がすごい!どこから!?」

「そうそう時代はナンバーツーですよ!」

 

同じ本が4冊も出てきた。かなり分厚いのに、マジでどこから出したんだろう?そして気づいたら手に握らされてる……

 

「速さっつうなら、時代の先を読む力が着くと思うぜ?」

「渡すのも速すぎる男!」

「この本が大好きなんですね?こんなに持ってるなんて。」

「布教用だと思うよ。」

「そういうこと!」

「つまり観賞用もある?」

「ごめん、それはない!」

「ですよね。」

 

良かった、こんな尖った本を眺めてるホークスはいなかったんだ。

 

「全国の知り合いやヒーローたちに薦めてんすよ。この先、解放思想が下地になってくと思うんで……マーカー部分だけでも、目を通した方がいいですよ。2番目のオススメなんですから。」

「…………」

 

うぅ、エンデヴァーの目付きが険しい。ホークスが本の話をし始めてからずっと怪訝な顔をしてる。やっぱりエンデヴァーからすると違和感があるのかな。私は初対面だからイメージと違うなぁくらいしか思わないけど。

 

「5人とも、インターン頑張ってくださいねー!」

 

用も終わったのか、ホークスはそれだけ言って飛び去って行く。

 

「若いのに見えてるものが全然違うんだなぁ……まだ22だよ?」

「6歳しか変わんねぇのか。」

「ムカつくな!」

「私も苦手かも。」

「あぁ、そうだな。」

 

初めて会ったホークスの印象を思い思いに述べる。言った通り、私はホークスがちょっと苦手になった。デストロとかいう人の思想、「自己責任」は私には受け入れ難いからだ。

 

確かに、それは力のある人ならある意味自由だ。でも、子供は?老人は?無力な人たちはどうなるんだと思ってしまう。結局、多くの人が怯えて暮らす社会に逆戻りしてる。

 

たくさんの人に手を引いてもらって今ここにいる。そんな私からしたら、全てが自己責任になんて、

 

──とてもじゃないが共感できない。

 

 

※ ※ ※

 

「ようこそエンデヴァー事務所へ!」

『俺たち炎のサイドキッカーズ!!!』

「うわぁ、有名サイドキックのバーニンだ!」

 

ガラスヴィランの逮捕から時間は経過して、エンデヴァー事務所。その事務室の中で私たちはサイドキックたちから熱い歓迎を受けている。

 

エンデヴァーは戻ってくるなり、部屋に引きこもってしまった。ホークスから貰った本を読んでるらしい。オススメされたらちゃんと読む、律儀だな。

 

「爆豪くんと焦凍くんは、初めてのインターンってことでいいね?今日から私たちと同じように働いてもらうわけだけど、見ての通りここ大手!サイドキックは30人以上!つまりアンタらの活躍する場はなぁい!」

「面白ぇ、プロのお株を奪えってことか。」

「そういうこと。」

「焦凍くんも息子さんだからって忖度はしないから。」

「せいぜい食らいついて来な!」

 

やはりエンデヴァーのサイドキックだけあってテンションが全体的に暑苦しいね。ナイトアイ事務所とは大違いだ。あっちはユーモアが足りてないと、機械に括り付けられてくすぐられるけど。

 

「出動要請です!」

「場所は?」

「エリア37!」

 

どうやら出動要請が来たようで、ただでさえ騒がしかった事務所が殊更騒がしくなる。

 

この慌ただしさを丸1日、しかも毎日やってるのか。すごいなエンデヴァー事務所。ヒーロー科の忙しさや抜き打ちの試験や演習も、こういうことを見据えた内容だったんだなとしみじみする。

 

「活気に満ち溢れてる!」

「ナンバーワン事務所だからね。基本的にはパトロールと待機で回してます。緊急要請や警護依頼、イベントオファーなど、1日100件以上の依頼をさばいている。」

「100件……」

「そんじゃ早く仕事に取り掛かりましょうや。あのヘラ鳥に手柄ぶんどられてイラついてんだ!」

「ヘラ鳥ってホークス!?」

「珍しくいいネーミングじゃん。」

「まさかの採用!?」

 

気に入った、ヘラ鳥。頭の中で使おっと。

 

「威勢は認める。エンデヴァーの指示を待ってな。」

「100件以上さばくんだろ!?何してんだよォ!!!」

「かっちゃん、もうやめて……!」

 

実際、もう割と待たされてる。いつ読み終わるかもわかんないし、どうしようね?

 

あ、そうだ。こんな時にいいものを持ってきてたんだった。

 

「かっちゃん、エナジーバー食べる?」

「要らねぇッ!」

「そう……2人は?」

「僕は貰おうかな。」

「俺もくれ。」

「良かった。はいどうぞ。」

「遠足なら他所でやれや!」

「しょうがないじゃん、エンデヴァー戻って来ないんだし。」

 

3人でエナジーバーをもしゃもしゃ食べる。個性使うとお腹空くからね。ご機嫌ナナメな爆豪ちゃんは放置する。

 

「美味しそうなの食べてんね!」

「んぐ……バーニンさんもいります?」

「お、ありがと!」

 

バーニンさんが食べたそうなので、まだ何本かあるのを差し出したら、嬉しそうに受け取ってくれた。そして食べるのも早い。……ふた口って。

 

「まぁしかし、エンデヴァーは焦凍くんと加山さんだけを呼ぶつもりだったみたいだし、多分2人は私たちと行動って感じだね!」

「私の謎贔屓、サイドキックにも伝わってる……」

「ナンバー1の仕事を直接見れるっつうから来たんだが!!!」

「見れるよ!落ち着いてかっちゃん!」

「でも思ってたのと違うよな。俺から言ってみる。」

 

と、あれこれ雑談していたら、ついに所長室のドアが開く。

 

異能解放戦線って本、もう読み終わったんだ?

 

「ショート、アモルファス、デク、バクゴー……お前たちは俺が見る!」

 

おぉ、どんな心境の変化があったのか、キッパリ全員見ると言ってくれたぞ。緑谷くんと爆豪がオマケみたいな扱いなの嫌だったもんね。

 

でも、そろそろ私を露骨に贔屓する理由、教えてください。

 




ここまで読んでくださりありがとうございました。

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