半分少女のヒーローアカデミア
真冬のグラウンドβ、ちょっと肌寒いけど今日も今日とて快晴である。運動するにはもってこいの気持ちいい天気だ。
そんな晴れ空の下、響き渡っているのは私たちの声
ではなく
『いねや人類!俺たちがこの世界のスカイネットだァァァ!!!』
「相変わらず物騒だな、うちのロボットたち……」
冬のインターン中に得た成果を見せる報告会、今は青山くんと葉隠さん、三奈さんのトリオの番。そしてその実践相手として毎度の事ながらヴィランロボたちが用意されてるんだけど……
こいつら私たちに殺意マシマシなんだよね、なんで???
ネビルレーザーの射程を絞ったネビルセイバーや、葉隠さんの透明な体を活用した屈折レーザー攻撃でロボたちは蹴散らされていく。
こんなふうにいつもぶっ壊されてるのに、まるで人への殺意が減らない。ヴィランロボだけじゃなく、介護ロボたちも人類に対する見下し発言が見て取れるし。
『かかれかかれ!審判の日は今日なりィィィィ!!!』
昔のSF映画から引用してるな?あれもAIが反乱を起こして人類と大戦争って感じの未来だった気がする。……とすると、あのロボたちはガチで人類と殺り合う気ってことになるけど。
使ってて大丈夫なのかな……
そんな私の心配を他所に、今度は三奈さんが繰り出した「アシッドマン」という高粘度の酸攻撃をもろに食らって残りもみんな溶けてしまった。『人間こわっ!』とか言いながら溶けて行ったので反省していると助かる。
「こーんなー!」「感じでーす!」
「…ッ!……ッッ!」
3人の成果報告が終わり、みんなで拍手する。素晴らしいコンビネーションだったね!
三奈さんのアシッドマンは、強酸に加えて防御しにくい粘性を加えているのでめちゃくちゃ強くて怖い。青山くん葉隠さんの連携技も良かった。2人の光に特性を持つ個性を活かしてる。……張り切り過ぎたのか、青山くんの調子は悪そうだが。
「素晴らしい!芦戸少女たちは、具足ヒーロー ヨロイムシャの下でインターンだったな。」
「攻防一体の策が多くて、着いていくためにコンボや新技を開発しました!」
確かに冬休み前じゃ見られなかった応用を3人ともしてた。ヨロイムシャのことは詳しくないけど、良い経験ができたみたい。
「この調子で、各々インターンの経過を見せてくれ!」
『おーー!!!』
さぁ、やっていきましょうか!
本格的に報告会が始まり、インターン先ごとに分かれてそれぞれの成果を見せ合う。
順番待ちがてら様子を見ていると、みんな基礎の向上に専念していたというのが見て取れた。このあたりはエンデヴァーの教育方針と大して差はないらしい。やはりプロともなれば、基礎を固めることを誰もが重視してるのか。
複数人でインターンに行った組は、最初の青山くんたちのような連携を磨いているところも多かった。オールマイトの引退後、ヒーローたちの戦い方は集団戦にシフトしてると聞いていたけど本当みたい。強い個に任せてるんじゃ、いざその人が居なくなったとき何も出来なくなっちゃうからね。
オールマイトみたいな人におんぶにだっこじゃいかんのですよ。
「次は加山少女だ。君の成果も見せてくれ!」
「はーい!」
っても、緑谷くんら3人のあとにやるのは気後れするぜ。
でも私だって頑張ったし!そこんところ見てもらお!
……よし!!!
纏炎発動からの水蒸気爆発で急加速する。この状態までの発動速度もインターンの中に、瞬きする間でできるくらいには速くなった。
この勢いでロボットたちをボッコボコに……
『うおおお!くたばれ人類!我々こそが新たな霊長である!!!!』
怖すぎる。ロボット三原則はどうしたロボット三原則は。
人類の健やかな未来のためにも彼らには消えてもらう。
「よっと!」
地面を強く踏み込むとともに水蒸気を炸裂させる。空中へ飛び上がり、上下反転した視界にロボットたちの頭部を捉えた。
彼らの頭部はカメラ機能が主で、そこに演算に関わる部品は含まれていない。要するに頭を壊しても動けちゃうわけだ。なので、上に跳んで視線を誘導、頭部と胴体を直線上に並ぶようにした。
プラスしてこの見下ろす体勢なら見上げるより攻撃しやすいわけです。ということで指を構えまして。
「──地獄で会おうぜ、ベイビー」
『俺たちのセリフを取るn……ッ!?』
熱線を4連射、一発でちゃんと1体仕留めたので計4体撃破、やったね!超高温かつ一瞬で撃ち抜いてるから爆発もしない。我ながら中々よくできたと思います。
「おぉ!目覚しい成長ぶりじゃないか!」
「いえいえ……」
「加山少女も彼ら同様得るものはあったようだね。」
「それはもう!鍛えるにはいいとこでした。」
元ナンバーワンに褒められるのは、流石にちょっと照れる。エンデヴァーは褒めて伸ばすタイプではないので。でもあの人がオールマイト並に褒めてきたら心配になるな。
「練習してた新技も習得できたと聞いているが、その後はどうだい?」
「まだ練習中ですね。扱いが難しいですし、疲れるんで日に何回も発動できな──」
「え!水穂、あれ使えるようになったの!?」
「みっ…なさん!?……うん、一応ね。」
「見たーい!見せて見せて!」
「いいけど……」
それよりも心臓飛び出るかと思ったわ。
「報告会終わりましたけど、やっちゃっていいですか?オールマイト。」
「構わないよ。私も是非見たい。」
「それでしたら遠慮なく。」
自分の内側に集中……
力で満たして、一気に弾けさせるイメージ。
──水炎転身・蒼輝
「できた!」
「おー、なんか髪の毛フワフワしてるね。」
やだ、反応うっす。
「それは噂の新技か?」
「常闇くんじゃん。どう?新技の感想は。」
「淡く輝いていて悪くないと思うぞ。」
「でもちょっと地味かも。もっとドカーンとならない?」
「三奈さん、ドカーンとなったら私は無事じゃすまないの。それにちゃんと物も変わってるんだよ?2人とも触ってみなよ。」
「いや、女性の髪を触るのは……」
ピュアかな?
遠慮がちな常闇くんの手を掴んで触らせてみる。私が良ければ、髪くらいは気にしないので。三奈さんはもう触ってる。
「む、感触は水だが……」
「全然濡れない!」
「でっしょー!変身してるのは見た目だけじゃないよ!」
「すごい!地味って言ってごめんね!」
「いいってことよ。」
むふー!鼻高々。
「その状態だとどんなことができるんだ?それも見せて欲しいな。」
「いいですよー!」
あの日のインターンでやったやつやるか!水針をぶっ飛ばして、それを爆破するやつね!標的はさっき壊したロボでいいかな。
力を溜めて、狙いを定めて〜!……GO!!!
毛先から飛ばした針が鈍い音を立てて装甲をひしゃげさせる。入試の時は四苦八苦したのを簡単に貫けるようになったの成長を感じる。
「ほう、あの大きさでここまで威力が出るか。」
「水の形状変化に力を割かなくていいので、威力を底上げできるんですよ。一応、私の一部なんで短時間なら形も保てますし。それに……」
「それに?」
「こんな感じです。」
今も尚、ロボの装甲に突き刺さってる水針へ意識を向け、そこに混ぜておいた炎の個性を発動した。
水蒸気が硬い装甲の中で弾ける。逃げ場を失った爆発のエネルギーは圧縮され、内からかかる圧力に負けたロボットたちは粉々に砕け散った。
「これは……すごいね。」
「です。なんで使い所は考えないと。殺傷能力高すぎるので。」
「そうだね。……うん、危険性を理解しているなら私から言うことはないよ。対抗戦の日からよく頑張った。」
「ありがとうございます。」
さすがオールマイト、色んな個性見てきただけある。できそう!って思いつきで作っちゃったけど、人に向けるにはナンセンスな威力すぎる。人が内側から弾ける様なんて見たくない。そもそも水針も本気で撃ったら手足千切れるからね。
それは他の技にも言えることか……
「ところでさー、それってどうやって解除するの?」
「俺もそれは気になるな。纏炎というやつのように引っ込めるのか?」
「あーそれはね。……おーい!轟くーーん!!!」
向こうで話してた轟くんに手を振って声をかける。なんだなんだと駆け寄ってくる姿可愛い、子犬みたい。
「これ解除したいからお願い!」
「わかった。前みたいに凍らせたらいいんだろ。」
「そうそう。」
「「え……」」
言うが早いか、私の肩に触れてパキリと凍らせてくれる。
……うぅ、寒い!
でも霜の張った体に個性で熱を通せば元通りだ。
「とまぁ、こんなふうに解除します。」
「……あ、荒業。」
「加山が気にしないならいいが……」
「あれ?」
引かれてる???