半分少女のヒーローアカデミア   作:Akafuku2000

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また溜まったので今日から3日間投稿しまーす。

アニメヒロアカのラストシーズンはポルノグラフィティ!1期のOPもポルノグラフィティのThe Dayだったので終わりにふさわしい……


半分少女とお料理教室

半分少女のヒーローアカデミア

 

「加山、料理教えてくれ。」

「なんで????」

 

休日の朝、おもむろに轟くんから話しかけられる。どうしたいきなり。私、朝ごはん食べてるのに……

 

びっくりした拍子に沢庵を味噌汁に落としちゃった。

 

とりあえず箸を置いて彼の方を見る。豆腐を巻き込んで沈んでいく沢庵は悲しい気持ちで見送った。

 

「まぁ、それはいいけど……ほんとにどうしたの?」

「この前、みんなで鍋食ったときニラが上手く切れなかった。」

「あったねそんなこと。」

 

爆豪が「姉ちゃん泣くぞ!」って怒鳴ってたやつか。確かにあれは酷かった。しっかり研いである包丁渡したのに、全部繋がってたもん。

 

「いつも料理作って貰ってんのに、その弟の俺が包丁ひとつ使えないのはカッコつかないだろ。だから教えて欲しい。」

「そっかぁ。よし、であれば私が教えましょう!」

「頼む。」

 

てか君、カッコつくつかないとか気にするタイプだったんだ。男の子だね。

 

でも教えてくれって言われても、何を作ろうか。包丁の使い方から始めるくらいの初心者に油物は絶対にナシだし……あれはそもそも揚げ油の用意やら火加減やら片付けやらがめんどくさい。

 

「轟くんは何作りたい?」

「わかんねぇ。」

「だよね……なら好きな物は?それなら作れるかも。」

「蕎麦、だな。」

「蕎麦!?あーー、うーーん、ごめん蕎麦は無理。」

「無理なのか。でも蕎麦打ちは難しいんだってな。」

「そうだよ。よく知ってるね。」

「行きつけの蕎麦屋の人が言ってた。」

「行きつけ。」

 

ブ、ブルジョアめ。それめちゃくちゃ高いやつでしょ、創業年数がすごいことになってる老舗でしょ。なんだかんだ彼ってボンボンなんだよな。

 

……もう適当に誰か捕まえてリクエストさせるか。

 

ちょうど近くで暇そうな人はいないかなっと。……おっ、いたいた。

 

「爆豪〜!ちょっと良い?」

「……んだよ。」

 

通りすがりの爆豪がいました。呼びつけて素直に来るあたり、今日は機嫌いいぞ。マジ助かる。

 

「食べたいものプリーズ。」

「あぁ?いきなり意味わかんねぇぞ。」

「いや、轟くんがね、料理したいんだって。私が教えるからさ、いい感じに手頃な料理が欲しいわけ。」

「知るか。他所でやってろ。」

「そんな冷たいこと言わないでよ〜!爆豪の好きな物なんでも作ったげるから。」

「うぜぇ……」

 

ほんとにウザそう。爆豪がダメなら別の人に聞くかぁ?

 

「……麻婆。」

「なに?」

「四川麻婆。」

「……?あーはいはい、前に冬美さんが作ってくれたやつね。」

 

気に入ってたもんね。なんだ食べたいものあるじゃん。次は仏頂面をせず素直に言ってくれたら満点になります。

 

でもそうなるとレシピを知りたいところだけど……そうだ。

 

「レシピ貰うとか言ってたよね。2人どっちか持ってない?」

「あるぞ。そっちに送ればいいか?」

「……つーかお前ら料理すんのはいいけどよ。食えるもん作れよ。」

「誰に言ってますやら。」

「頑張ってみる。」

「けっ!」

 

聞き慣れた捨て台詞を残して爆豪は去っていく。あの感じは走り込みにでも行ってくるんだろう。朝から元気なやつめ。

 

見るからに期待してなかったなアイツ。絶対に轟くんを鍛え上げた上で、冬美さんに並ぶクソ美味麻婆作ったるぜ。

 

「兎にも角にもまずは食材か。」

「買い出しなら行ってくるぞ?」

「いや、ランチラッシュに貰ってくる。週末って日持ちしない食材余ってることあるんだよ。」

「詳しいな、さすが雄英住みだ。」

「どうもどうも。」

 

食堂の余り物、行き先はいつもうちでした。あれは食費が浮くし、雄英高校の食堂なので食材もいいの使ってて最高だった。

 

「あとは調味料だけど……まぁ、家にあるでしょ。」

「家?……あぁ、職員寮の方か。」

「そ、学生寮には中華系の調味料置いてなかったから。ランチラッシュのとこには轟くんが行って。私の名前出しときゃ大丈夫。」

「わかった。いるものは?」

「そうだなぁ……豚ひき肉と豆腐はマスト、あれば長ネギも欲しいかな。豆腐は絹ごしね。」

「豚ひき肉、豆腐、ネギ……メモったぞ。」

「OK!じゃあ30分後に集合!」

「あぁ、行ってくる。」

 

メモ帳を閉じたスマホを仕舞い、轟くんは玄関の方へ歩いていく。やる気に満ち溢れてる後ろ姿は大変頼もしいが……

 

大丈夫かな。はじめてのおつかいを見守る親の気持ちってこんな感じ?

 

と、ゆっくりしてる時間ないや。さっさと朝ごはん片付けて、私も家に帰らないと。

 

「今の水穂の顔見た!?」

「見ましたわ。」

「うちも。」

「見た見た!」

「バッチリ!」

「完全にお母さんの顔だったわ。」

 

…………

 

「そこっ!うるさい!!!!」

 

せめて小声でやって、小声でッ!途中からなにやら集まってると思ったら。ほんともう。

 

※ ※ ※

 

「はい、加山お料理教室開幕〜〜」

「おーー」

『いぇーーい!!!』

 

歓声多くない???なんでみんな集まってるの。まさか全員食べれる気でいるな?

 

いや、これがなんとびっくり全員分の食材があるんですよね……

 

なになに?ランチラッシュに料理するって言ったらA組分もどっさりくれて?みんなで食べる方がいいなと思ってそのまま持って帰ってきた?そうだね、君はそう思う可愛いタイプだね。

 

でも初心者に大人数の料理をやらせる私の身を考えて???

 

……初めに何人前か指定しなかった私が悪いんだけど。こっちのミスなので致し方なし。

 

ふぅ、やりますか。

 

「じゃあやってくけど、寮の設備でこの量作るのは無理だからざっくり5人前で分けます。そっちは適当にグループ作って、ひき肉と調味料は分けといたからレシピ通り混ぜといて。豆腐とネギも切る!さ、調理開始!」

『はい!!!』

 

うーん、元気はいいんだよな。元気すぎて制御できません。毎日これの面倒を見てるの?私たちの相澤先生は。……激務すぎる。

 

「轟くんはドのつく初心者なので、道具の使い方から教えます。これ、計量スプーン。」

「大さじ小さじってやつか。」

「おー正解、まずレシピに書いてある分量をこの小皿に取ってみて。ちょっとくらいこぼれてもいいよ。」

「……やってみる。」

 

めっちゃ真剣な顔してる。そこまで緊張しなくてもいいんだけどね。計量スプーンの値なんて大雑把だし。

 

「取れた……」

「うん、よく出来ました。それをこっちのボールでひき肉と合わせてー、次は手袋付けてね。揉み込んで味付けするときにビニール手袋あると汚れないから。」

「こう、こんな感じでいいか?」

「そうそう、均一になるように……OK!じゃあこれは馴染むまで少し置きます。」

 

下拵えの終わったミンチを端に置き、今度は豆腐を取り出す。ちゃんと絹ごし豆腐貰ってきてる、偉い。

 

でもここからは刃物を使うから気をつけて教えないと。

 

「次は豆腐切ろうか。まずは私がやってみるから見てて。」

「あぁ。」

 

パックの蓋の三辺を包丁で開け、中の水を軽く切る。豆腐を手のひらに乗せ、真ん中から上下に分割、最後に上から縦横に切ってやれば賽の目に切れた豆腐の出来上がり。あとで下茹でするからザルに入れて豆腐の用意は完璧。

 

「……手でやるんだな。」

「もしかして切らないか心配?大丈夫、引かなきゃ切れないよ。豆腐は軽く押したらいけるから。ほら、やってみて。」

「………」

 

神妙な面持ち……最初は怖いよね。

 

でも豆腐は絹ごしを切るなら、まな板の上でやるより手のひらで転がした方が楽なんだよね。難しくないし、覚えてた方が断然仕事が早い。

 

「押して……切る……」

「いいよー、上手い上手い。」

 

力加減もちゃんとできてるし、持ち方も合ってる。単純に切り方知らなかった感じだねこれは。

 

「ん、綺麗に切れてる。それもザルに入れといて。」

「……入れたぞ。次は何したらいいんだ?」

「残りの調味料を混ぜてて欲しい。私は豆腐の下茹でするから。」

「下茹で?」

「それも教えとこうか。下処理の1つで、アク抜きとか、余計な油を落としたりとか、そんな意味があるよ。今回は豆腐が崩れないようにするため、かな。」

「料理って色々あんだな。」

「まぁ、ここまで真面目にやるってなると、こだわりの域だけどね。」

 

うちは料亭じゃないからね。食べてくれる人が美味しいって言ってくれたらそれで良いのです。

 

さて、私の方もやらないと。また慎重に慎重に調味料を分けてる轟くんを横目に見つつ、予め沸かしておいたお湯にザルごとサッと湯通しする。軽く水気を切ったら空のボウルに重ねておく。

 

「出来た?」

「あぁ、大丈夫だと思う。」

「では、本調理に入ろー!」

 

フライパンを火にかけ、サラダ油を回し入れる。十分に熱したところでひき肉を投入!ある程度、火が入ったら合わせた調味料とスパイス類も混ぜていく。

 

んー、いい香りしてきた。

 

「俺もやっていいか。」

「いいよ〜、ヘラを手早く動かして焦がさないように、全体を混ぜる感じでやってみて。」

 

轟くんと場所を代わり、持っていたヘラを渡す。

 

ふむ、ふむふむ。よくできてるけど、ちょっと遅いかな。

 

横から手を掴んで、動かし方を伝える。そう、そんな感じ。良くなってきた。

 

「………」

「どうしたの?」

「いや、なんでもねぇ。」

「…?ならいいけど。次は煮込みの工程ね。」

 

煮込み用の調味料を混ぜ入れ、そこに豆腐も合わせる。よく混ぜたあと、少し煮立ってきたら弱火に落としてしばし放置。

 

「待ってる間に仕上げのネギを切ります!」

「ついに仕上げか。」

「仕上げです。最後は自分でやってみる?私が横から教えるから。」

「やってみる。」

 

いい返事でよろしい!

 

と言っても刻みネギの作り方はコツを知ってたら意外と楽です。

 

まず、片側に斜めに切れ込みを入れていきます。そうそう、包丁は引くように使って、完全には切っちゃわないようにね。そしたらひっくり返して反対側にも同じく切れ込みを入れて……OK!あとは端から切っていくと……

 

「これで刻みネギの出来上がり!」

「おぉ、すげぇ……」

「私は君が一発でできたことの方がびっくりだけどね。なんでニラ切れなかったの。」

「俺もわかんなくなってきた。」

「そう……」

 

まぁいいか、それで。

 

「でー、このネギを入れて、水溶き片栗粉を混ぜ混ぜしたら……麻婆豆腐の完成ってわけ。」

 

辛そうな見た目に、刺激的な花椒の香り、久しぶりに作ったけど上手くできたと思う。冬美さんのレシピはきっと黄金比なのだ。

 

早速、完成した麻婆豆腐とご飯を椀に盛る。待ちかねてる奴がいるので。

 

「じゃあ、向こうで1人座ってる爆豪に食わそう。」

「……思ったんだが、爆豪って人見知りなのか?」

「どうしたの急に。」

「みんなで何かやるとき混ざりたがらねぇから……」

「とりあえず違うよ。あと直接言ったらキレるから言っちゃダメだよ。」

 

彼はプライドがエベレストすぎて馴れ合いが嫌いなだけです。A組が嫌いな訳じゃないから、なんだかんだで参加はしてるけど。尖りすぎてるツンデレ。

 

「爆豪、麻婆豆腐出来たぞ。」

「朝言ってたやつか。」

 

……どんな感じになるかしっかり観察してたくせに〜、今思い出したってふうじゃん。

 

ポチポチいじってたスマホを脇に置き、黙って手を合わせる(真面目……)。中身を掬ったレンゲを口に運んで……さぁ、反応はッ!

 

「……まぁまぁだな。」

「まぁまぁかい。」

「美味くなかったか……」

「んなこと言ってねぇ。大抵の奴なら美味いって言うだろ、これ。……半分野郎を褒めるのは癪だが。」

「なら良かった。」

「キメェ顔すんな、不味くなるわ。」

「かっちゃん言い過ぎ。」

「かっちゃん言うなボケ。」

「あ゛?」

 

ボケ言いましたコイツ!

 

うーん、でも割といい出来だったと思うけどなぁ。想像以上に辛口だ。変なとこで忖度しないから率直なら感想だろうし……

 

思い当たる節はなくはないけど。

 

「クソメッシュ、スパイスを有り合わせで使ったな。」

「お、やっぱりそこか。」

「本格的にやるならホールからだろうが。」

「しょうがないでしょ、粉末のやつしか持ってなかったんだから。」

 

便利だし、基本は粉末のスパイスを使ってたのが裏目った。あれ、ホールスパイスと比べると劣化しやすいからなぁ。日付経ってたし。

 

普通わかんないけどね、そこの違い。料理人みたいに繊細な舌と鼻してるね、この才能マンめ。普段から辛いものばかり食ってるのに。

 

「わかった。今度はそのホールスパイス?ってやつを使えばいいんだな。」

「俺は試食係やんねぇぞ。」

「爆豪はいいよー、私がやるから。」

 

こっちが待ったするまで延々と麻婆豆腐作ってきそうでちょっと怖い。孫の好物をずっと出してくるおばあちゃんになってしまう。

 

「じゃ、残りの分は轟くんがやってみて!できる?」

「できる。」

「おぉ!なら行ってらっしゃーい!」

 

自信に満ち溢れたキリッとした顔だ。

 

意気揚々とキッチンへ走っていく背中が頼もしい。もう君は麻婆豆腐マスターだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

麻婆豆腐第2弾?あぁ、彼なら消し炭になってしまったよ。

 

轟くんは強火なら時短できる!と思うタイプの人だったので。

 

 

ミスったなぁ。火加減のこと教えるの忘れてた。

 

 

硬い麻婆豆腐、私初めて食べました。

 

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