トレセン学園のある東京。世間一般から見れば大都会なこの都も、中心地から少し離れれば農村の風景がやってくる。眼前に広がる野菜畑は農村ののどかさを醸し出すとともに、置き去りにされたような孤独感も生み出していた。
「トレーナーさん…本当にここ行くんですか?」
そんな農村地帯だって東京なのだ。200年の時を遡ればそこには花の都、江戸の街へ通ずる郊外になる。そんな郊外には当然、様々な『いわく』というモノが存在する。
「大丈夫だって。ただ暗いだけでしょ?」
農村地帯の中で、一際目立つ林があった。大きさは数百平方メートルにも満たない小さな林だが、周囲の赤土畑の中でポツンと生い茂るそれは有名なスポットだった。心霊スポットとして、だが。
260年の太平の世江戸時代。大きな合戦こそ存在しなかったが、小さな悪党はそれぞれ悪事を働いた。そしてその悪党の中には時たま、我々が想像もできないような悪逆非道の限りを尽くす者もいる。そんな彼らは捕まり、裁かれ、そして首がはねられる。そんな悪党の首が埋められているのがこの林なのだ。
「でも…ここ変です。なんかこう…すっごい変なんです」
草木も眠る丑三つ時…には少々早いが、それでも今は亥の刻。新月の今日は星明りとスマホの小さな懐中電灯のみが2人の心の提灯だった。
「もう…トプロは大げさだなぁ。ほら、僕の手握る?」
男…先程『トレーナー』と呼ばれた彼が手を差し出す。その先には彼の担当ウマ娘であるナリタトップロードがいた。ナリタトップロード…トプロと呼ばれた彼女は差し出された手を取り、トレーナーに体を寄せる。
ビクビクし、一歩一歩を慎重に進めていく彼女を見て、トレーナーは少し肩をすくめた。
「うぅ…本当に変なんですってばぁ…」
何の異変も感じていない。そんな態度の彼を前に、トプロは違和感を必死に告げる。事実、彼女はここに来てからずっと空気の違いを感じ取っていた。都心の胸が詰まるような狭苦しさとは違う、体全体が押し込められるようなプレッシャーを感じ取っていた。
「うっわ…先に行ってたアヤベたちとあんなに離れちゃった。…トプロ、急げる?」
「む~り~で~す~!!!」
今日はトプロの同期の覇王世代揃っての肝試し。何を思ったか、オペラオーのトレーナーの提案でガチ心霊スポットであるここに来ることになったのだ。
オペラオー、メイショウドトウ、ハルウララ、アドマイヤベガ、ナリタトップロードの順で自身のトレーナーとペアを組み、林を通り抜けるだけという単純なミッション。前者3組は難なく終え、現在林の中を歩いているのはアドマイヤベガとナリタトップロードの二組のみとなっていた。
アドマイヤベガたちと距離が離れすぎていることを危惧したトレーナーがペースアップを提案するがトプロはそれを拒否。長くはいたくないが、怖すぎて急ぎたくもない。何とも難儀な状況だった。
「ひゃぁ!」
「きゃぅ…」
「きゃぁぁあぁ!!」
その後も、枝を踏めば飛び跳ね、鳥が羽ばたけば委縮し、影が横切れば悲鳴を上げ、ゆっくりゆっくりとしか進めずにいた。だが塵も積もれば山となると言う様に、10分も歩いていれば林の半分以上には到達できた。
「ん…ドトトレから心配のメールが。『一応大丈夫ではあるよ。でももう少しかかりそう』っと」
「ぜんっぜん大丈夫じゃないです!!」
そうトプロが大声を上げた時だった。一瞬、彼女の後ろで何かが囁いた。そんな気がした。ひんやりとした気配が首筋を通り過ぎ、耳を駆け抜けていく。背中からゾクゾクを超えた恐怖が到来し、脳が、脊髄が、彼女の脚へ危険信号を発したのだ。
「いいいいいいいいいいいいいいやぁああああああああああああ!!!!!!!!」
物凄い悲鳴を発し、彼女は一目散に走り出した。あれだけ遠く感じた林をものの数秒で駆け抜け、そのまま畑に突っ込む勢いで彼女を待つ友人たちの所に飛びつく。
「怖いですっ!!ここすっごく、とっても怖いです!!もう嫌です!!」
「落ち着きなさいトップロードさん。もう林は抜けたわよ」
「ふぇっ……アヤベさーーーーーん!!!もうほんっと、ほんっと怖かったです~!」
「ええ、そうね。怖かったわね」
胸に飛び込み、おんおん泣きじゃくるトプロをなだめながらもアドマイヤベガはオペラオーのトレーナーをキッと睨み付けた。睨まれた彼はバツが悪そうにオペラオーにすり寄るも、アドマイヤベガのトレーナーが静止し、彼を裏へ連れ出す。その後ろ姿はまさに『ドナドナ』さながら、悲しさに満ちていた。自業自得だ。
「ハーッハ!ボクが一緒に行けばきっとお化けも来なかっただろうにね。
「残念だったよねー。トップロードちゃんのトレーナーさん、
「…へ?」
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「あ~あ、残念。せっかくおもちゃ増えるって思ったのに」
「ったくよ~。まさかあんな
「まぁしょうがないわ。でもいいの」
「それもそうだな」
「「
トプロ排出祈願の純度100%物欲小説です。150連…
正直突貫工事なので各キャラのセリフなどに違和感があるし(特にウララ)、ベッタベタなオチなのはご容赦ください
ちゃんとしたホラーもいつかまた書いてみたいですね