木曾が現代に紛れ込んでしまったようです   作:ビクトリー

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今回の話は前の話と比べると少し長いです。


同棲

同棲

 

 

「信じられないって言いたいが、たぶんお前の言っていることは本当なんだろうな」

 

木曾はどうやら俺の言ったことを信じてくれたらしい。

逆に信じてもらえなかったらどうしようかと...。

 

「理解してくれたか」

 

「理解はした。だが、俺は元の世界にも出れるのか?」

 

「...わからん」

 

分かって貰ったのはいいが、これからどうしよう。

木曾をもとの世界に戻してやりたいがそう簡単に帰れるとは思えない...。

だとしたら木曾はどうなる。この世界に木曾の居場所はない。

誰かの手助けがなければ木曾はこの世界で......。

 

「木曾、泊まる場所とかはあるのか?」

 

まあ、あるはずないだろうな。

答えが分かり切っていて、こう言うは少しずるい気もするが...。

 

「もし、泊まる場所がないなら俺の家に泊まれ」

 

「いいのか?あってまだ少ししか経ってないやつを泊めてもいいのか?」

 

なぜに2回言った?

そんなことより困っている女の子がいたら、助けなくてはいけないのが男だろう。

 

「そんなことは関係ない。それに木曾が悪人には見えないしな」

 

艦これを知らない人から見たら、

変人に見えるかもしれないが...。

 

「いや、だが「不安なのか?」...分かった。これから世話になる。」

 

ようやく木曾の説得に成功した。

ちょと木曾のセリフを拝借したが俺が言っても安心感があんまないな...。

木曾が言うとなんであんな安心感があるんだ?

さて、じゃあまず...。

 

「木曾、風呂場でシャワーを浴びてきてくれ。体がベタベタだろうから...」

 

俺はその間に『アレ』を隠そう。

 

「どこにあるんだ?」

 

そうだ、木曾はこの家をよく知らないんだ。

頭が現実に追いついてないな...。

 

「ちょっと着いてきてくれ」

 

そういえば木曾の武装って外せるのか?

外せないなら相当不便だが、聞いてみるか。

 

「木曾、その武装って外せるのか?」

 

「これか?これは外せるぞ」

 

そうか、ならよかった。

もしはずせなかったら家の外にも連れ出せないからな。

一応、武装している状態でもコスプレって言い張れば何とかなるかもしれないが、

この田舎でそんなことをすれば有名になることは目に見えている。

場合によっては、海外にいる親の元に連絡がいく可能性も捨てきれない。

そんなことを考えているうちに着いたようだ。

 

「シャワーの使い方はわかるな。それと服は洗濯機に入れてくれ」

 

「洗濯機の使い方なんて俺は知らんぞ?姉さんたちなら知っているかもしれんが...」

 

洗濯機は知っているのか。

だけど姉さんって球磨型の子たちだよな。

俺のやっている艦これでは、木曾以外みんなレベル99にしてそのままだな...。

久しぶりに球磨型で演習をやってみるかな。

 

「洗濯機の中に入れておくだけでいいよ。後は俺でやって置くから」

 

だけど、木曾が風呂から上がったらいろいろ説明しなきゃな。

使い方ぐらいは教えておこう。

 

「じゃあ、ごゆっくり」

 

ゆっくりとシャワーを浴びていてくれ。

その間に俺は『アレ』を隠さなくてはいけないんだ。

 

「ありがとな」

 

不意にお礼を言われる。

 

「お礼なんて言う必要はない、それにこんなことでお礼をしてたら疲れるぞ」

 

そう言って俺は扉を閉めて部屋に急ぎ足で急ぐ。

実際、そんなことでお礼を言われちゃこっちが大変だ。

さっさと『アレ』を隠さないと....。

 

 

 

 

「これが見つかったら公開処刑だな...」

 

俺はそんなのんきなことを言いながら手に持ったそれを見る。

そこには、R18の文字が書かれたかなりきわどい表紙のうすい本が握られている。

確かこれで最後のはずだ。

これをダンボールに入れて押し入れの中にしまえば任務は完了だ。

 

「よっと」

 

俺はダンボールを持ち、それを押し入れのに突っ込む。

少し布団が邪魔だったが何とか入れることが出来た。

これで任務完了、これで木曾に木曾の薄い本を見られる。

最悪の状況はなくなった。

もし、見られたらおれ生きていけないからな。

物理的にも、精神的にも...。

 

「ふう、こういうのもアリだな」

 

「ようやく来...た..。お、お前なんて恰好してんだっ!?」

 

なんでコイツは裸なんだ!

そういえば服のこと考えてなかったな...。

だが、それでなんで俺の前に出てくる!

 

「まず、風呂場に戻れ!」

 

「?わかった」

 

多分アイツなんで風呂場に戻れって言われたか分かってないな...。

あいつが着れそうな服、探すか。

 

「俺、これから大丈夫なんだろうか?」

 

さっきの光景は、忘れないようにしよう。

 

 

 

木曾が裸で出てきた後、俺は大急ぎで木曾が着れそうな服を探したんだが結局は、

上はワイシャツ下はジーパンというなかなか見ない服装になってしまった。

 

「俺にそんな気を使わなくてもいいんだが...」

 

気にしなくてもいいと言われても、女の子を裸で放置するはずないだろ!

てか、そんなとこ人に見られたら確実に通報されるわ!

 

「人の好意はありがたく貰っておけ」

 

明日あたりに木曾の服を買いに行こう。

さすがに同じ服を着続けるわけにはいかないし。

しかも木曾が着ていた服が乾いたとしても、着れないからな。

目立ちすぎる。特にあのマントが。

 

「そういえば、まだお前の名前を聞いていない」

 

あれ?

俺まだ木曾に名前言っていなかったけ?

 

「俺は『木村宗太』だ」

 

ぐうぅー

 

どこかで腹の音が鳴る。

この部屋には俺と木曾しかいない。それで俺じゃないとすると...。

 

「すまないがなんか食べるものはないか」

 

...さすが木曽だ、全く恥ずかしがったりしないな。

木曾の赤面少し期待してたんだが...。

そう言えばまだ夕食を食べていなかった。

...今から作るか。

 

「木曾、食べれないものとかは無いよな?」

 

「無いぞ」

 

さて、何を作ろうか?

あんまり時間もないし、手早く作れるパスタでいいか。

 

 

 

「完成」

 

やっぱりパスタはいいな、手軽にできてそれでいて美味い。

さてあとは皿に盛り付けて木曾の居るところまで持っていけばいいな。

 

「木曾、できたぞ」

 

「おっ、美味そうだな」

 

そういえば、人のために料理を作るのっていつ振りだっけ?

確か最後に作ったのは、確か親が海外出張に行く前の日だったはずだから、

もう半年ぐらい経つかな?

 

「「いただきます」」

 

そう言って木曾がパスタを食べる。

味付け大丈夫だよな...。

 

「....」

 

木曾が一口食べてフォークを止める。

まさか、口に合わなかったか!?

 

「...うますぎる!」

 

あんたはどこの伝説の傭兵ですか...。

まあ、口に合ったようでよかった。

 

「そうか、それよかった」

 

だけど、明日木曾の服を買いに行くついでに食材も買ってくるか。

さっき確認したら、冷蔵庫の中が少し寂しかったし...。

さて、俺も食べるか。

 

その後、俺は食べ終わった食器を片づけ、木曾に電化製品の使い方を教えていた。

 

「なかなか簡単だな」

 

「そうか?」

 

木曾は簡単に使い方を覚えて行った。

これで明日には大体使いこなせるようになるな。

そうだ、後でパソコンの中の画像も隠さなくちゃな、パソコンの中に入っている方がさっき隠した『アレ』より、量も質も段違いだからな。

 

「ふぁ~」

 

木曾が大きなあくびをする。

俺も眠くなってきたし、そろそろ寝ようか。

確か押し入れに木曾の分の布団もあったはず...。

 

「よっと」

 

「どうした?」

 

俺が立ち上がると木曾に声をかけられる。

 

「いや、布団を押し入れから出そうかと思ってな」

 

「俺にやらせてくれ、これから世話になるんだ。それぐらいことはやるさ」

 

そうか、それなら少し甘えさせてもらうか...。

......。

ちょっと待て、そういえば俺『アレ』が入ったダンボール...押し入れに入れたよな...。

 

「木曾やっぱり俺が「なんだこのダンボール?」...」

 

...まだだ、まだダンボールの中身が見つかったわけじゃない。

外見だけならただのダンボールだ、ここで下手に焦るとかえって怪しまれる。

冷静に、冷静に対処すれば...。

 

「木曾、ちょっと貸せ」

 

「ああ、わかった」

 

そう言って俺はダンボールを木曾から受け取る。

だがここで安心してはいけない、たぶん木曾はこのダンボールがなんだか聞くだろう。

 

「そのダンボール中身に何が入っているんだ?」

 

予想通り聞いてきたか...。

ここは即興で思いついた言い訳を言うべきだろう。

ウソはあまり付きたくないが、これはしょうがないだろう。

これで中身を見られましたなんて言ったら死ぬ。

 

「その中には、昔読んだ本が入っている。今はもう読まなくなったからダンボールに入れて置いてお いたんだ」

 

よし、一回も嚙まずにしかも顔を変えずに言い切ることが出来た。

これで納得してくれるだろう。

 

「そうか(昔読んだって割には、押し入れの戸をあけて目の前に入っていたが...。

 まあ、誰にでも 秘密はあるか)」

 

「ダンボールはこのまま俺が持っているから、木曾は布団を取ってくれ」

 

後は、木曾が布団を取ったら、このダンボールを押し入れの奥に入れればいい。

 

「わかった。よっと」

 

木曾が押入れから布団を取り出す。

手伝ってやりたいが、今ここでダンボールを手放すわけにはいかない。

 

「引き終わったぞ」

 

あとはダンボールを入れればいいだけだ...。

 

「ありがとな」

 

俺は木曽にお礼を言うとダンボールを押し入れの奥に入れる。

最悪の状況は避けられた。

これでようやく眠ることができる。

 

「木曾、そろそろ寝ようか」

 

「そうだな。俺も眠くなってきたしな」

 

俺は部屋の電気を消し布団に入る。

 

「おやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

今日は、本当に忙しい一日だった。

これからどうなるかはわからないが、今年の夏は楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 




最後のほう、調子に乗りました。すいません。

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