キッカケは友達との会話だった。
リアルの会話
「髪の毛が主人公の異世界転生書いてみてよ。僕が主人公で」
「剣とかペットならまだしも髪とか馬鹿じゃないの?」
「試しでいいから。なんかチートもあってさ」
「鬼太郎の妖怪アンテナくらいしか思いつかないよ??」
「じゃそれで」
「期待はせんといて」
執筆時間僅か1時間!!メモ探ってたら出てきた下らない小説を公開します。なんか人気だったら続けるかも。
(あくまでも昔のなので別の小説執筆を探ってるわけじゃないヨ)

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十万の髪の一本が僕でした

プァァンッッ!!ガジャアンッ!!

僕が最期に聞いたのは、鉄の塊が自分の身体を壊す音。まるでブリキの人形を乱暴に壊すような音。意外と人の身体は頑丈で、トラックを凹ませる程度には僕の身体は丈夫だったようだ。人間が死ぬ時、最後まで残ってる感覚は聴覚だって何処かで聞いたことがある。こんなことで知りたくなかったけど、どうやらそれは本当みたいだ。意識も痛みも徐々に無くなる頃、消えかけた思想の端にかかったのは。

異世界転生って、本当に出来るのかな。

だった。

ーーー

気付いたら、僕は転生していた。

語りかけてきた声は優しく。まるで母親のような温もりを感じた。事実母と呼べる人物だったのだろう。自らに呼びかけられる名前が"アレク"だったことから、ちゃんと転生出来ていたことを理解する。しかし、その名前を呼ばれたのは僕ではなく、僕の"本体"に向けられていたと直ぐに悟った。

僕の体は、直径一ミリにも満たない細く全身が黒い身体。そう、僕は"髪の毛に"なっていた。

いや、そんなことある?最近の転生って何でもありだとは思ったけど髪の毛??

これが転生の始まり。控えめに言ってもクソだった。出来ることなんて、思いにふけることだけだからね。

なんなら死なせてくれ。

"魔法"、"剣術"、"勇者"、"モンスター"。アニメや漫画で聞いたフィクションの言葉が、無限とも言えるほどに脳に現実として流れ込んできてムカついたし、その状況にワクワクしていた自分に呆れていたのを覚えてる。

(はぁ~??意味わかんねぇ!!せめて人に生まれさせろよ駄目神!!)

決して"髪"と"神"を掛けたわけではない。僕の心からくる本心だ。

そんなもどかしさの下、15年が経過した。初めて自我を持ったのは15年前だが、宿主は18らしく、こちらではもう成人して独り立ちする頃らしい。まぁ転生前と一緒だ。

我ながら15年も"考えるだけ"でよく精神が崩壊しなかったと思う。毎日毎日悔しさで歯"噛み"してたし。

あ、再三いうが、髪と掛けたわけではない。

「俺が…勇者?」

宿主、アレクの誕生日に突然として彼の両親から告げられた言葉は、なんとアレクが勇者だということだった。

(もう勇者とか正直どうでもいいわ。せめて人が良かった…いや、もうほんとに贅沢は言わないから生き物が良かった。自殺も出来ないし地獄だわ…)

意志喪失。この時、すっかり諦めていた僕には他人事の関係ない話だった。もう一度転生するために死ぬのも試みたが、筋肉のない"髪"では動くことさえ叶わなかった。しかし、アレクの生まれ持つ三つの固有スキルに僕が関係しているため、毎日が同じことの繰り返しで、変化が無いわけではなかった。

「アレク、お前は神様から愛された子だ。お前は三つも生まれついて固有スキルを持っている…」

「それに、お前が生まれると同時に魔王が復活したという噂も流れ始めた、この間はついに王都が襲撃されたようだ」

「王都が…!?」

「こんな片田舎でお前の才能を腐らせるのを、きっと世界は望んじゃいない。でもな、俺達はずっとお前の親だ。お前が決めるんだ」

会話は確かこんな感じだったと思う。

そんなこんなの話し合いの末、宿主のアレクは冒険に出た。ゲームみたいに王様が最低限の木の棒(笑)や革の鎧(貧弱)で援助してくれる訳ではなく、全て現地調達のハードコアモード。一応狩りに使うナイフとか持たされたみたいだけど勇者よりも狩人じゃないか?

何度死にかけたが分からないが、アレクが生き延びれたのは僕のお陰だったと強く思う。

アレクの固有スキルの一つ。感知EX

危険なモンスターの接近、罠の配置、何かしらの死の予感、不意打ち初見殺しイベント。これらを感知すると、僕の体が天に向かってピンと立つ。このお陰で、何度も彼は死を回避した。

しかもEXと銘打つだけあって感知するのは危険だけでなく、幸運イベントや仲間が増えるような出来事も立って知らせるという、まさにチート。

(これが僕が人間であったらなぁ…)

これだけでもチートの癖してアレクはあと二つもチートを持っている。ゲームやラノベの主人公ってそりゃあ楽しいよな。こんなチートばかりあるんだから。

そうやって特に地雷を踏み抜くことも無く、アレクは仲間を集め、魔王を倒す旅は順調だった。

武者修行中に魔族に囲まれたところを共闘した戦士のレオ。たまたま街を観光しているときにお忍びで来ていて、暴漢に襲われているところを助けた聖女で姫のティアラ。現世から離れ山奥に一人で過ごしていたところを一月半の時間をかけて説得した魔法使いのグリード。こうしてテンプレ通りのパーティで挑んだ最終決戦。

魔王城の最上階。

僕には聴覚しかないから分からないけど、多分魔族の中でも龍人族の亜種だと思う。一目くらい拝みたかったなぁ…。

戦いは熾烈を極めた。僕の身体は常に立ちっぱなしで上下左右に動き回る。それほど魔王の一撃は全てが必殺の威力だったんだと思う。でも、終始卑怯な手は一切として使わず、恐らくは握った三叉槍と魔法だけでアレク達を圧倒した…のかな。多分だけど。

そんな魔王の決まり手は、勇者の二つ目の固有スキル、"契約と代償"による強化した一撃。

アレクは右眼と左腕、片肺、そして寿命の半分という代償によって身体能力を約50倍まで引き上げ、なんの魔法も纏わない、純粋な剣による両断での勝利をおさめた。

同じ身体だから割りと正確に効果わかるのウケる。

変な話。僕に視界はないけど、魔王は笑っている気がしたよ。

ボロボロになったアレク達は勝利、国に戻って王に報告に行った。

最初こそなんの期待もされていなかった根無し草達が、一国の王が頭を下げ、国中から称賛される存在にまでなる。凄まじいシンデレラストーリーだ。

羨ましいの一言に尽きる。

国を挙げての凱旋パレードは二日間続いた。

モンスターの攻めたてる脅威から一晩中眠れぬ夜は、その華やかさと喜びから、誰一人として眠らぬ夜を過ごした。日々を苦しめたモンスター達の唸り声は、日々を極彩色に彩る住人達の声に変わった。

そして、ここまでは僕のモノローグで、アレクという伝説の勇者の物語は一旦終わりを迎えた。

ーーー

魔王討伐から一年後、現在はアレクの新居でかつてのパーティと飲み明かしている。

(僕なんか飲み物すら飲めないんだぞ!!時代的にシャンプーやリンスも殆どないし最悪だ!)

相も変わらず僕は愚痴を心の中でこぼし続けていたけど、アレク達は清々しい気分だろう。証拠に、酒に強いレオ以外が酔いどれ声でお酒をどんどん空ける音がする。

「にしても、いい場所を貰ったな。アレク」

「ん?あぁ、だろ?森の中だから防音も完璧な上に王都からもほど近いぜ。今度レオも妹連れて来いよ」

「王様も気が利きますね。久しぶりにパーティ水入らずにさせてくれるなんて」

「ティアラの父君も気が利く人だろう?親バカなだけで。なぁグリード」

「こんなお転婆少女が姫なら親バカにもなるだろうさ」

「失礼な!私だって立派な淑女です!それに…何があっても、皆さんが護ってくれるでしょう?いつものように」

(なんの拷問だよ!僕にも異世界美少女の笑顔見せろよ!クソ!!…!?)

いつものような誰に聞かせるわけでもない愚痴を零していたその時、僕のスキルが全力で警鐘を鳴らす。でも何かおかしい。この反応はまるで決定事項…そう、運命のような…。

ピーン!!

「お?どうしたアレク。反応してるぞ」

「ん~?どうせこのままだと二日酔いなるとかだろ。小さいことにも反応するからな〜」

ドガジャァンッ!!

「「「「!!?」」」」

僕はその光景を見ることは出来ないけど、きっと瞬き一つの間だった。

扉、あるいは壁が壊れる音と同時に高火力の魔法の詠唱が複数聞こえる。

ーーーーッッッ!!!!

どんな効果音が似合うかすら分からない轟音。それが終わると、複数の知っている人間の声がする。

そう、あれはこの国の騎士団長と魔法師団の団長だ。どちらも技術としては超一級だと聞いた覚えがある。

「ほう…流石は勇者殿、まだ息があるのである」

「ゲボッ…レオ…グリード…ティアラ…!!」

「哀れな。早く止めをさせ。勇者の第三の固有スキルは厄介極まりないぞ」

「目の前の亡骸達に手を伸ばすとは哀れ哀れ。虚しいとまで思えるであるなぁ!」

バヅンッ!!グヂャッ…

「ふん…これで良いだろう。勇者達は魔王の残党に襲われ、その命を最後まで燃やして戦った。うむ、美しいシナリオである」

「さっさとずらかるぞ。魔力の残痕が色濃く残る」

「うむ」

ザッザッザッ

ただのシンデレラストーリーだと思ったらとんだグリム童話だった件。

漫画の展開で言うなら、魔王より強い勇者は怖いから処刑って感じ?

いやまぁ、長いこと連れ添った宿主が死んだのはショックっちゃショックだけど、そんなことより僕はどうなるんだろうっていう疑問で頭の中が一杯だよ。

髪って死後も伸びるらしいけどただの生地獄じゃね?

ピーン!

(?なんで立ち上がるんだ?本人はもう死んだのに…)

『固有スキルの開放条件を満たしました。』

(は?)

『固有スキル "移植"が開放されます』

(ん?)

『精神の移植が可能です。移植後の個体は一定の数値弱体化し、他のスキルによる影響が一度全てリセットされますが、移植しますか?』

(き…きったぁ!!まじこれ!王道ではないけど異世界転生パターン!!もちろんするに決まってんだろ!!)

『移植を開始します』

不思議な感覚が延々続く…わけでもなく。驚くほどあっさりと"移植"は終わった。

「…ん?」

声が出る!聞き慣れたアレクの声が僕の思考で再現される!

「あ、あ~!!」

フラッガツンッ

「痛っ」

ぐぅ~

この世界での初めての身体と眩しさに慣れず、フラついてテーブルの角に小指をぶつける。痛い。血の匂いが気になるけど、さっきまでの料理の良い匂いがするしお腹も減る。

「生きてるって素晴らしい…!やったぁぁ!!!」

……し~ん

虚しさは木霊するばかりだけど、そんなもの気にならないくらい今は喜びが大きい。

「で、鏡は何処だろな」

家を歩き回り水回りを発見する。

「…僕ってオレンジ色の髪の毛だったのか」

自分の顔、というより人生?髪生?の殆どを過ごした姿がオレンジ色だったことにまず驚いた。

顔は、やっぱり異世界にある西洋風の顔で俗に言うイケメン。

「落ち着かねぇー。でも、やっと人間になれた…あ、名前同じなのは本体死んだしまずいよね。名前…取り敢えず」

今まではアレクの人生を語った髪の毛のモノローグ。

ここからは僕だけの人生、"コハク"の人生を改めて始めようと思う。




初めて書いたときは意外とキレイにかけたな…
なんて自分に酔いましたが、なんてアホな話なんだ。
結局最後は移植なんて駄洒落スキルで人間にしてるし、どう続けるつもりだよコレ。
多分、物語的には魔王の墓とか行こうとする気がする。その過程でレオの妹とかに会うんじゃね?って感じですね。
それでは、無駄話に付き合わせて申し訳ありません。
メイン小説の方でお会いしましょう。
追記 具体的にはお気に入り100人くらい?で多分続き書きます。

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