入学式当日、雄英高校へ向かいながら手持ち無沙汰に刀印を切って遊んでいた俺。いや、なんかねヴィランっていう直接的な脅威があるせいか空気がこう淀んでるんだよね。それを散らす意味で軽ーく祓ってるンだわ。鬼一法眼に一端の術士だなって褒められる程度には技量上がってるけど、まぁ……一端程度なんだよなぁ。
とりあえず身の回りの空気がキレイになったことで気分爽快、あと目的地である雄英高校に辿り着いた。家から雄英高校って結構遠いからアパートの一室借りてんすけどね、そのアパート無駄に豪華なもんで生活に苦労はしないかなって。あと母親からの大丈夫かの声がけがあったが問題ないの一言で片付いた。いや、気楽すぎではぁ???
まぁそんなこんなあって、とりあえず目の前にある雄英高校を見て感想を一言。
「うわでっけー」
いや、色々とでかすぎない?門もここまででかいヤツとか個性持ちでいる──あぁ、ヘラクレスとかそのサイズ?ならいるかもなぁ。
(それにしては大きいと思いますよ)
「おや、珍しい。」
(そうかな?)
「いつも奥に引っ込んで顔を出さないじゃん?」
(確かに……そうかも)
とまぁそんなことを考えていたから表に出てきて声をかけてきたのはパリスくん。ギリシャ神話が誇る男の娘系美男子である、普段は俺の中にある英霊格納空間(景色はどうやらノウムでは無い方のカルデアらしい)で訓練したり、他の子供系サーヴァントと遊んでいるらしい。
んで、何やら気になるようで顔を出してきたようで。
(現代の学校が気になるんだよね)
「それもそうか、普段顔を出さない分現代そのものをあんまり知らんもんな〜」
内に引きこもる英霊と、外に出て活発に活動する英霊。この両者に大体英霊達は分かれる訳だが、その分内に引きこもっている英霊達は現代の情報が少ないらしく外に出たやつの話を聞いたり、召喚待機部屋でこちらが見ている光景を見るくらいらしい。それなら別に外出て来れば?としか言えないんだが、己の危険性を理解したり、あとシンプルに外が怖かったり……変わり種だと外に出ないように抑えつけられていたりとそんな感じで一定数外に出ることを拒んでいる英霊達がいる。
(ケイローン先生に外に出て学んだらどうだろうか?って提案されたんだ)
「なるほどね〜、じゃあ他の子供達もいるのかな?ナーサリーとか」
(ナーサリー?彼女なら確か今お茶会をしているはずだよ?)
「あぁ、王女様とね?彼女そういえばなんで外に出てこないんだろうか」
(うーん、分からないや)
あれま、まぁあの王女様なら自分が出た時の危険性を理解してるんだろうね。
子ギルを出した件でひとつ学んだことがあるんだけど、それが極まった美は人をイカレさせるって事だ。彼の肉体は神が創り出した人間としての極限の存在であり、その精神性も神と人の運命を決別させたという極限の精神性だ。極限と極限が合わさったらどうなるか?簡単だ、至上の存在になる。
そして子ギルはその性格も非常に穏やかだ。人に対する認識は大人ギルと違い穏やかで可能性を信じるそれだ。そんな性格完璧、肉体完璧、精神性は極上のモノ。そんな物が今のヒロイックを求める人々の前に現れたら人々が狂うなんてことは簡単に分かる事だった。
んで、結局どうなったのかと言うと子ギルを求めてor仕えるためor助けを乞う為に人々が暴動を起こしかけて────キャスター総動員で記憶処理をして、平和な日常へ戻したんだよね。だから結局子ギルを表に出すことは諦めて、子ギル名義だけの会社をミドキャスとかに任せてるって感じかな。ミドキャスもミドキャスでカリスマ結構あるから魔術で誤魔化したりとかあるけど。
「あの王女様、あの時代でも結構特異な存在だったからねぇ……今の官僚たちなんて足元に及ばない程度には格が違うし……」
(僕達英霊も迂闊に表に出れないのもそういったことなんでしょ?)
「うん、英霊は今のヒーロー社会には薬所か毒になりうるし、反英霊はちょっと……ね?」
(だからヘクトール兄さんは僕を表に出そうとしなかったのかな?)
いやそれはシンプルに変態おじさん達が……おっほん。ヘクトールの懸念点は別のところだから別にいいや、正直英霊としての格で見ればパリスは多少他の英霊からは劣るが、それでもギリシャ神話最大の戦争に参加していた英霊だからか普通に脳みそが焼かれるやつは焼かれる。
……今更ながらにヒーローになっていいのかどうかが疑問になってきたが──気にしないでおこう。
とりあえず目の前のもじゃ髪をどかそう。
「出久〜、邪魔やで〜」
「ぉあ!?りっくん、良かった……同じクラスなんだね」
「おう、まぁ元々予想はしてたけどな」
「え、というと?」
「そんな事よりはよ中に入れ、後ろ詰まっちまうって」
「そう、そうだね、ごめんよ」
どうせブラドキング程度、程度っていうのは失礼だけどあの人じゃ俺の事を止めようだなんて思えんよ。確かにヒーローだが……相澤先生程では無いさ。
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめー! どこ中だよ端役が!」
「ぼ、俺は市立聡明中学出身飯田天哉だ」
……
「あの馬鹿が……」
「あわわわ、かっちゃん!?」
この前言葉遣いを改めるように言ったのに、直そうとすらしてねぇなこれ。シバキ回してやろうかコノヤロウ。ズカズカと爆豪の後ろにたちその頭を掴み、手に力を込めていく。
「おいウニ頭の爆発三太郎、俺は言葉遣いを直せって言わなかったかァ!?」
「ンだよ、離せ立香ァ!」
「おん?やんのか?良いぞ?久々に本気で叩き潰すぞ?」
「ッ!上等だコノヤロウ!!!」
後ろをちらりと見ると出久は麗日と飯田に絡まれていた。てことはそろそろ来るかな。軽ーく爆破の個性を向けてくる阿呆のそれを軽くいなしながらドアの方をちらりと覗く。
「お友達ごっこしたいなら他所に行け、ここは、ズビッヒーロー科だぞ」
……やっぱその位置って麗日のパンツ見えてません?
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね……担任の相澤消太だ。よろしくね」
おや……?最後の言葉でコチラに視線を向けてくる。ふーーーーん???ふーーーーーーーん??????
「(ニコォ)」
「ッ、早速だが
不敵な笑みはお気に召さなかったらしい。少し警戒心を出した相澤先生はそのままグラウンドへ歩き出したようだ。
「行くか、爆豪」
「おう……これが雄英か」
「自由が校風とはいえ慣習は守って欲しいものだけどね〜」
他の奴らが困惑する様子を見ながら更衣室へと向かう。
「とりあえずアンタらも早く行動しなよ?あの先生の事だ、何がしか罰則とかつけてくるかもしれんぜ?」
そう言ってやるとバタバタと行動を始める。さすがに初日からやらかすのは嫌だよね〜。
「「「個性把握……テストォ!?」」」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る余裕ないよ」
(規則ってものを知らないんですか……)
やはりと言うべきか不満が漏れるが……ま、これも雄英ってことで慣れないとやってけんぞ〜。と、原作を知ってるから余裕ぶっこいてやる。あとパリス、この先生にそれ言っても無駄だぞ。多分一番雄英の規則を悪用してる先生だからさ。
「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り。お前達も中学の頃からやっているだろう? 個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録をとって平均を作り続けてる。合理的じゃない」
「分かる」
(確かにわかる気がします、異形系個性なんか混ぜたら平均が狂っちゃいそうですもんね)
小声で同意してやるとまたもや視線がこちらへ向くがスルー。勝手に同意しただけだからな、反応を返してやる理由は無いしあちらにもない。
パリスが言っていたように異形系個性なんかは常に身体強化してるようなやつもいるからマジで意味が無い。これに関してはガチで文部科学省の怠慢だよ、最早意味ないのに。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げは何mだった」
「82m」
「じゃあ個性使ってやってみろ。この円からでなきゃ何してもいいよ、早よ」
おや、俺じゃないのね。爆豪が歩みでる。既にこの時点で最終決戦並の個性、どれほどの記録が出るのか楽しみだね。
(球威に
「んじゃまぁ、死ねぇエ!」
((((……、死ね?))))
「ゴラァ!爆豪!言葉遣い直せっつってんだろ!!!」
おー、飛んだなこりゃ。
「まず自分の「最大限」を知る、それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
相澤先生の端末に表示されるその数字は。
「1589mってなんだよ!?」
「なんだこれ、すっげー面白そう!」
「個性思いっきり使えるんだ、ヒーロー科すげぇ!」
「あ、やっぱこうなるのか」
「どうしたのりっくん」
「ん、いや、こいつら前途多難だなぁって」
「りっくんは余裕だね」
「実際問題余裕だし、それよりお前は自分の心配しな。あの先生、やるときゃやるぜ?」
「……お前ら楽しそうだな。ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
空気が固まる。その顔に影を背負い生徒を睨みつける相澤先生の姿を見ると不穏な気配を醸し出している。
「よしトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「はああああ!?!!?!?」
「面白くなってきたじゃねェか、」
「確かにこれは油断出来ないね……!」
さぁって、とりあえず────みんなの壁になってあげようか!
地味に藤丸くんは前世から相澤先生に脳みそを焼かれてます。
エクストラクラスで皆が好きなのは?作者はフォーリナー
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