個性:英霊召喚   作:金属粘性生命体

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青年期その14

 

 

 

 

 

 騎馬戦が終わり、一息ついた所。予想外に消耗をしてしまったこと以外は割と予定通りと言えるだろうか。心操に操られてしまい個性を使用していたからか肉体性能の限界を発揮していた。お陰様でレースの時よりさらに体がバッキバキだ。

 

(……やりようはあるが、キツイかもな)

 

 あとテンション上がってそのまま使用していたせいもあるだろう。ネモなんて絆レベル5しかないのに無理をして80%まで出力していたのだ、アキレウスほど無茶していないとはいえ30%の自己負担だ。

 

「無茶したが、この休憩で体を休めないとなぁ」

 

 もっきゅもっきゅとトガちゃんが作ってくれたお弁当を食べていく。

 

 いやぁ、いつの間にか料理できるようになっていたとは……読めなかった、このリハクの目を持ってして。

 

「おいしぃです?」

「うん、うんまい」

「ふへへへへ」

 

 そのトガちゃんだが普通に隣に座っててビビった。

 

「そっちも体育祭があったはずだろ?どうしてまたこっちに来たんだ?」

「立香くんと食べたくて来ました!」

「そっかァ……」

 

 犬か?キラキラとした目でこちらを見られると少々キツイものがあります。前世含めても結構人の暗い部分を知ってるから無駄に擦れてる俺にはキツイ。

 トガちゃん自身も両親の事でそこら辺知ってると思うが、アタランテ居たことでそんなくだらない事を思い出す暇もないほど明るく過ごせていたみたいだな。

 

「それで立香くん、この後のトーナメント戦はどうするんです?手加減とかはします?」

「ん?本気でやるけど」

()()でやらないです?」

「…………あー」

 

 そんな事聞いちゃう?

 

「立香くんは確かに強いです。でも強いだけじゃ楽しくないです」

「だから全力で戦えってこと?」

「ううん、違います。全力で楽しめればいいんです」

「楽しむ……」

「今、立香くんは体育祭が楽しいですか?時折ネットで確認してたですけど、全然楽しそうじゃなかったです」

「……そっか」

 

 楽しむ、楽しそうじゃない、ね。

 

「サーヴァントの人達が居なくなって、何とかしようって思ったんですよね?」

「ま、まぁそうだね」

「でも、その前に立香くんは学生です。学生は楽しまなきゃ損です。サーヴァントの人達だって立香くんが楽しめるように頑張ってたんです。そういった所を無視しちゃダメですよ?」

「……オーケイ、分かった。降参だ……ったく、いつの間にそんなことを言えるようになったのやら」

「これでも立香くんより1歳年上ですので!」

「こりゃ参った、最初っから勝てなかったか」

 

 それはソレとしてなんか押しが強い女性が周りに多くねぇか?ジャンプだからか?少年ジャンプだからか!?

 

 

 

 

 

 

『ヘイ1-A組ィ!なんだそのサービスはァ!』

 

 あ、そういやこんなイベントもあったな──楽しむ、楽しむ……うん、確かに最強とか言って勝手に少し気負いすぎてたな。少しはちゃめちゃに行ってみようか。

 

「まぁまぁ全員落ち着けよ」

「ですが藤丸さん」

 

 チアガール姿でプンスコ怒っている女性陣へ近づいて宥める。それと同時にこっそりあるサーヴァントのクラスカードを手に取る。

 

「せっかくのイベントだ、楽しまなきゃ損ってもんだぜ?今できる体験は今のうちに楽しもうぜ」

「ケロ、一理あるわ」

「そうだよ!みんなでやろうよ、本戦まで時間あるしさ!」

「そういうわけで俺も混ぜてもらうから」

「え?」

「ケロ……?」

 

 セイバーのクラスカードを頭上に突き出し叫ぶ。

 

夢幻召喚(インッストォール)!!」

 

【セイバー:アストルフォ】

 

 頭の上でぴょこりと耳がふたつ、黒と白を基調とした姿。太ももギリギリまで上がった絶対領域ギリギリのスカートに、その鍛え上げられた足を隠すように黒のニーハイ。そしてガッツリとおへそが輝かしく堂々と現れている。つまり剣トルフォの第二再臨である。

 

『ふ、藤丸のやつうさ耳メイドになっちまったぞ!?見た目だけなら女に見えなくもねぇ!』

「はーはっはっはっ! だ が 男 だ !」

「お、驚きですわ」

「……うさ耳メイドの英霊って何?」

「おっと耳郎、それ以上はダメだ。俺にも分からないからな!なんてったって理性が蒸発してる奴の姿だ!理解しようと思うな、ありのまま受け止めやがれ!」

「……?」

 

 あ、耳郎が宇宙猫になっちゃった。背中に宇宙を背負って呆然とする姿にさらに笑いを深める。

 

 新月の時以外は常に理性が蒸発するという意味わからん特性持ってるからな、インストールしてる今の俺にも影響してるし。多少思考がパッパラパーになってる。

 

「んじゃ、応援、したるか」

 

 八百万に頼んで出してもらったポンポンを握りしめて顔に笑みを貼り付ける。これ、正式名称もポンポンらしいんだよね。あ、どうでもいいか、あはは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなもありちょいと盛り上がった応援合戦。地上波に流れているとトガちゃんから情報を貰ったので一部の人は性癖が歪んだことだろう。あまり言いたくは無いがこの身は藤丸立香(♂)の外見そのもの、遠坂凛をベースに作られたこの外見は女装すればかなり様になり、オマケに蒸発した理性で好き勝手した結果である。一切の反省はしない、面白かったからそれでいいのだ。

 

 いやどうでもいい話は置いておこう、ここからが本番なのだ。気を抜いている暇は無い、ぶっちゃけ下手な行動すれば首を掻き斬ってくるヤベェやつが2人もいるんだ。油断してらんねぇ、爆豪とかは下手したら体中で爆破する方法を俺と戦ってる最中に思いつくぞ。

 それにアストルフォのインストールのせいで体が本格的にダメになってきている、もはやインストールをするだけで多大な負荷を感じるほどに……。精神的や魔力的には問題ないはずなのに肉体が追いついていない──甘かったか、いやそもそも俺自身がサーヴァント並に戦う事を想定しているわけがない、仕方がない。割り切っていこうか、馬鹿やったとはいえ楽しかったからヨシ。

 

 さぁさぁさぁ、本日のメインイベント。一騎打ち、どちらが勝つかは実力次第。今までは運も絡んできたがこっから先はそんな甘っちょろいもんに頼ってたら即死だぜぇ!

 

「クジ引き結果は──いいね」

 

 

第1試合・藤丸vs飯田

 

第2試合・切島vs八百万

 

第3試合・緑谷vs常闇

 

第4試合・爆豪vs塩崎

 

第5試合・芦戸vs麗日

 

第6試合・轟vs瀬呂

 

第7試合・上鳴vs発目

 

第8試合・心操vs鉄哲

 

 

 

 バトルフィールドへ進む、そこには既に飯田が立っており体を解すように体操をしていた。それと同時にその目には炎が灯っているかのように、スタートダッシュを始める前に何度かエンジンを大きく吹かすかの如く燃えていた。

 

『ヘイガイズ!アァユゥレディ!?色々やってきたが、結局これだぜ、ガチンコ勝負!頼れるのは己のみ!心技体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!』

 

 原作とは大幅に変わった内容、そのどれもが楽しめそうな内容だ──第1試合から出番か、それも飯田。彼の家系はヒーロー一族、その影響か基礎というものがきちんとしている彼。すごく楽しみだ……それはそれとして瀬呂、ドンマイ。

 

「藤丸くん、()の僕は君に勝てるとは思ってない。だけど諦める事はしない、勝ちに行くからな!」

「あぁ、来いよ」

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする。あとは“まいった”とか言わせても勝ちのガチンコだ!怪我上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから、道徳倫理は一旦捨ておけ!だが、もちろん命に関わるようなのは駄目だぜ!アウト!ヒーローはヴィランを捕まえる為に拳を振るうのだ!さぁ、行くぜ!?レディィイ、スタートォ!!』

 

 

 

「出し惜しみはなしだ!レシプロッバースト!!!」

夢幻(インスt)ッ、はっや!だが」

「させないぞ!」

 

 個性を使おうとした瞬間、レシプロバーストで捨て身の吶喊をしてきた飯田。その判断は素早く、手にしていたはずのクラスカードを蹴り飛ばされてしまった。見えていたし、反応もできていたが、疲弊した体が追いつかずにその行動を許してしまった。

 だがこれで1分弱ほど動けなくなるのを知っているからそのまま別のクラスカードを呼ぼうとした……したのだが、飯田はその速度と反対にあまり俺から離れておらずそのまま近接戦闘に発展した。

 

 背中から襲い来る蹴りを咄嗟にしゃがみこむことで回避するが、その足を見て違和感を覚える。

 

「は?なんでエンジンが残って──」

「出し惜しみをしないといったが、余力を残さない訳じゃないんだ!」

「──全力で吹かしてねぇのかよ!」

 

 未だエンジンが稼働していた。その事に違和感を持っていたが余力を残していた、という言葉でピンと来た。こいつトルクの回転数を多少抑えていたんだ、全力では無い回転数だからこそ足が残るってか?

 

「厄介だな!」

「君に個性を使わせてはいけないと学んでいるからな!」

「その思惑はいいが──そもそも素の俺に勝てんのかって、話ィッ!」

 

 回し蹴りが飛んでくる、合わせて回し蹴りで迎え撃つ……が打ち負けた。多少魔術で強化済みとはいえその効果はあまり高くない、やはりと言うべきか、この身は凡夫。身体能力も多少高い程度、魔術を使っても魔力のゴリ押し。唯一武術だけは長年使ってきてるからこその経験がある、それでも目の前に立つ飯田を見ていると自信がなくなってしまう。

 

「しゃァ!」

 

 反撃の拳をお見舞いしようにも器用に片足のエンジンだけ動かして滑らかにスライドする。体に痛みが走る、肉離れとはいかないが筋肉にダメージが溜まりすぎていた。

 それでも普通ならこの時点で勝てている、でも勝てないって事は……才能の問題なのだろう。

 

「羨ましいぜ、こんちくしょう!उत्थापयतु(隆起しろ)!」

「しまっ──」

 

 鈍くなった動きに差し込むように足を引っ掛けられ転ばされる、後手に回されている。が、対処のしようがない訳でもない、真言(マントラ)を利用した魔術で地面を3mほど隆起させ飯田の動きを阻害する。

 

夢幻召喚(インストール)

【ルーラー:マルタ】

「くっ!個性を許してしまったか……でも負けるつも──」

鉄拳

 

 レスラーの様で海パンを履いた姿に代わり、震脚。受けてみろ飯田。

 

制裁

 

 ステージ全体にヒビが入るほどの震脚、地面が柔らかかったせいであまり体重を載せられず威力は無いが、元々飯田の動きを止めることが目的だったから問題ない。

 

 宝具を使用してないとはいえ宙に浮いた飯田に当たる数瞬前に拳を止め直撃を避ける。サーヴァント未満の威力とはいえ軽く岩を破壊できる拳だ、風圧だけで飯田は場外へ飛んでいった。

 

『飯田天哉、場外!よって勝者、藤丸立香!』

 

 そのまま夢幻召喚(インストール)を解除しながら飯田の元へ歩き手を差し出す。

 

「多分もっと持久力があれば俺は負けてたな」

「そうか……悔しいが、今回は僕の負けだ。次は勝つぞ、藤丸くん!」

「次も勝たせてもらうよ。飯田」

 

 





 トーナメントはマジでランダムでクジ引きしました。結果瀬呂はドンマイとしかいえなくなったけど……

 そういえばなんかいつの間にか40万UA越えてました、いつ越えた……?
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