リコリス・リコイル -運命の邂逅-   作:銀の匙

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お久しぶりです。

久しぶりに作ろうと思い書きました。

併せて、昔のを読み返して一部修正などを加えましたので

一体リコリス・リコイル 新作いつやるんだろ?


MISSION 10 Crossed Mission ― 交差する任務 ―

「Bonsoir」

 

倉庫の奥から現れた男は、余裕のある笑みを浮かべていた。

 

八馬人は息を呑む。

 

その名前を、彼は知らない。

 

だが、インカム越しに聞こえたリュウジの声で理解した。

 

『八馬人、撤退して。今すぐに』

 

「リュウジさん?」

 

『そいつは危険だ。君が今戦う相手じゃない』

 

千束とたきなも、ただならぬ気配を感じ取っていた。

 

「たきな、あの人……普通じゃないね」

 

「分かっています」

 

たきなは銃口をエンターへ向ける。

 

エンターは楽しげに肩をすくめた。

 

「おやおや。リコリスに、見慣れないエージェント。ずいぶん賑やかですね」

 

「あなた、何者ですか」

 

たきなが問う。

 

エンターは笑うだけだった。

 

その瞬間、倉庫内の照明が一斉に落ちる。

 

「来る!」

 

八馬人の視界に、敵の動きが線のように浮かび上がった。

 

空間認識能力が周囲の状況を一気に整理する。

 

敵性反応、複数。

 

武器ケース、右奥。

 

人質なし。

 

退路、三か所。

 

「千束、たきな! 右から来る!」

 

「えっ、今名前呼んだ?」

 

千束が反応しつつ、飛び出してきた男を素早く制圧する。

 

たきなも迷わず動き、別方向の敵を止めた。

 

「あなた、なぜ私たちの名前を」

 

「説明は後で!」

 

八馬人はスマートウォッチを操作する。

 

TRANS MODE。

 

肩にホルスターの感触。

 

続けて、手元にイチガンブレードが転送される。

 

それを見たたきなの目が鋭くなる。

 

「その装備……何ですか」

 

「だから説明は後!」

 

倉庫奥の銀色のケースを、取引相手の一人が持ち出そうとする。

 

八馬人は走った。

 

身体が軽い。

 

昨日までの自分とは明らかに違う。

 

女神から授かった力が、全身を押し出している。

 

「速い……!」

 

たきなが小さく呟く。

 

八馬人は男の進路を塞ぎ、イチガンブレードを構えた。

 

「そのケースを置け」

 

男が銃を向ける。

 

だが、その銃口の向きも、指の動きも、八馬人には見えていた。

 

一歩踏み込み、銃を弾く。

 

男は体勢を崩し、ケースが床に落ちた。

 

「回収成功!」

 

その時、エンターが静かに拍手した。

 

「素晴らしい。ですが、少々惜しいですね」

 

「何がだ」

 

八馬人が振り返る。

 

エンターは指を鳴らした。

 

床に落ちたケースのロックが勝手に外れる。

 

内部から、不気味な赤い光が漏れた。

 

『八馬人! 離れろ!』

 

リュウジの叫び。

 

八馬人は反射的に後ろへ跳ぶ。

 

次の瞬間、ケースから強い閃光が放たれ、倉庫の床を焼いた。

 

「なっ……!」

 

千束の表情が変わる。

 

「これ、ただの銃じゃないね」

 

「レーザー兵器……」

 

たきなの声が低くなる。

 

エンターは満足そうに笑った。

 

「この世界には、まだ早すぎる玩具です」

 

八馬人は歯を食いしばる。

 

「だったら、ここで壊す」

 

スマートウォッチが反応する。

 

NEW FUNCTION READY

 

画面に新たな表示が現れた。

 

BARRIER MODE

 

「陣さん……!」

 

八馬人は迷わず起動する。

 

淡い光の盾が展開し、再び放たれた光線を受け止めた。

 

衝撃で腕が痺れる。

 

だが、耐えた。

 

「千束! たきな! 今のうちに!」

 

「よく分かんないけど、助かる!」

 

千束が駆ける。

 

たきなも別方向から回り込み、取引相手たちを制圧していく。

 

八馬人は光の盾を維持したまま、エンターを睨んだ。

 

「お前の目的は何だ」

 

「目的?」

 

エンターは微笑む。

 

「この世界が、どれほど美しく壊れるのか。それを見たいだけですよ」

 

「ふざけるな」

 

「では、また会いましょう。木浪八馬人」

 

「俺の名前を……!」

 

エンターの姿がノイズのように揺らぎ、倉庫の闇へ消えていく。

 

残されたのは、焼け焦げた床と、破損した銀色のケース。

 

そして、互いに銃を下ろせない三人。

 

千束が最初に口を開いた。

 

「ねえ、八馬人君」

 

「はい」

 

「君、何者?」

 

たきなも銃を向けたまま言う。

 

「今度こそ、説明してもらいます」

 

八馬人は小さく息を吐いた。

 

インカムからリュウジの声が聞こえる。

 

『……隠しきれないね』

 

八馬人はスマートウォッチを見た。

 

そして、二人に向き直る。

 

「分かった」

 

「話します」

 

「俺は、AFT所属。木浪八馬人」

 

「この世界に流れ込んだ、別世界の武器を止めるために動いています」

 

千束とたきなは、言葉を失った。

 

その夜。

 

AFTとDA。

 

交わるはずのなかった二つの任務が、初めて同じ場所で重なった。

 

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