リコリス・リコイル -運命の邂逅-   作:銀の匙

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MISSION 12 Briefing at DA ― DA本部にて ―

DA本部。

 

八馬人は、リュウジ、千束、たきなと共に会議室へ通された。

 

以前の取調室とは違う。

 

だが、空気の重さは変わらなかった。

 

正面には楠木。

その隣には秘書。

そしてモニター越しに、黒木タケシと陣マサトの姿が映っている。

 

楠木は八馬人を見据えた。

 

「木浪八馬人。改めて聞く。AFTとは何だ」

 

八馬人は一度、黒木を見る。

 

黒木は静かに頷いた。

 

「説明できる範囲で話します」

 

八馬人はゆっくり口を開いた。

 

「AFTは、通常の警察や自衛隊では対処できない特殊技術の流出を調査・回収する組織です」

 

楠木の視線が鋭くなる。

 

「特殊技術とは?」

 

陣がモニター越しに答えた。

 

『今回のレーザー兵器だ。あれは本来、この世界に存在しない技術だ』

 

たきなは眉をひそめる。

 

「存在しない技術……?」

 

千束は首をかしげた。

 

「つまり、すごく危ない未来兵器ってこと?」

 

『まあ、そんな感じだ』

 

陣は軽く返す。

 

だが、黒木の表情は真剣だった。

 

『問題は、その技術を持ち込んだ者がいるということです』

 

「エンター、ですね」

 

リュウジが低く言う。

 

その名前に、陣の表情がわずかに強張った。

 

楠木は腕を組む。

 

「その男は何者だ」

 

黒木は短く答えた。

 

『我々の世界で、かつて大きな災厄を起こした存在です』

 

『知能、戦闘能力、技術理解、すべてが高い』

 

『この世界で自由に動かせるわけにはいきません』

 

会議室に沈黙が落ちる。

 

千束は珍しく真面目な表情になった。

 

「じゃあ、あの人を止めないと、もっと大変なことになるんだ」

 

「そういうことだ」

 

楠木はしばらく考え、八馬人へ視線を戻す。

 

「こちらとしても、正体不明の武装組織を信用するわけにはいかない」

 

「ですが、現場で八馬人さんは人質を守りました」

 

たきなが静かに言った。

 

楠木がたきなを見る。

 

たきなは続ける。

 

「少なくとも、敵対する意図はなかったと判断します」

 

千束も笑って手を上げた。

 

「私も同じ。八馬人君、悪い人って感じしないし」

 

「判断基準が曖昧です」

 

「えー、でも大事だよ?」

 

八馬人は少し苦笑した。

 

楠木はため息をつく。

 

「いいだろう」

 

全員の視線が楠木へ向く。

 

「DAはAFTと限定的に情報共有を行う」

 

「ただし、こちらの監視下でだ」

 

黒木は頷いた。

 

『十分です』

 

楠木は八馬人を指差す。

 

「木浪八馬人。今後、勝手な単独行動は認めない」

 

「了解しました」

 

「それと」

 

楠木は千束とたきなを見る。

 

「しばらくの間、彼の監視兼連絡役をお前たちに任せる」

 

「えっ、私たち?」

 

千束が目を丸くする。

 

たきなは即座に姿勢を正した。

 

「了解しました」

 

八馬人は固まった。

 

「え、つまり……」

 

千束がにこっと笑う。

 

「八馬人君、しばらくリコリコ出入り決定だね」

 

「そうなりますね」

 

たきなも淡々と言う。

 

陣がモニター越しに笑った。

 

『いいじゃねぇか。働き口も見つかりそうだしな』

 

「陣さん、他人事みたいに……」

 

その時、会議室のモニターに警告表示が出た。

 

秘書が慌てて報告する。

 

「楠木司令。倉庫から回収したケースの破片に反応があります」

 

「何?」

 

画面に映ったのは、赤く点滅する小さなチップ。

 

陣の表情が変わった。

 

『まずい。それ、ただの破片じゃない』

 

黒木が低く言う。

 

『発信機か』

 

陣は歯を食いしばる。

 

『いや、もっと悪い』

 

『あれは、エンターの仕掛けたビーコンだ』

 

その瞬間、DA本部の照明が一瞬だけ揺らいだ。

 

八馬人のスマートウォッチが警告音を鳴らす。

 

WARNING

UNKNOWN SIGNAL DETECTED

 

千束が立ち上がる。

 

「来る?」

 

たきなは銃に手を伸ばした。

 

八馬人も息を呑む。

 

モニターの端に、ノイズ混じりの文字が浮かび上がる。

 

Bonsoir.

 

陣が叫ぶ。

 

『全員、警戒しろ!』

 

会議室の空気が、一気に戦場のものへ変わった。

 

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