リコリス・リコイル -運命の邂逅-   作:銀の匙

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MISSION 16 Protect LycoReco ― 守るべき場所 ―

# MISSION 16

 

## Protect LycoReco

 

### ― 守るべき場所 ―

 

喫茶リコリコ周辺。

 

千束とたきなは、店へ続く路地を走っていた。

 

「反応は近いです」

 

たきなが端末を確認する。

 

「場所は……店の裏手!」

 

「うわ、よりによってそこ!?」

 

二人が裏口へ回ると、そこには小型の配送ロボットが停まっていた。

 

赤い光。

 

不自然な駆動音。

 

「たきな、下がって!」

 

千束が叫ぶ。

 

次の瞬間、配送ロボットの外装が開き、砲口が現れた。

 

たきなは即座に発砲し、砲口を撃ち抜く。

 

だが、ロボットは止まらない。

 

「硬いですね」

 

「だったら、動きを止める!」

 

千束は跳び込むように距離を詰め、ロボットの脚部を撃つ。

 

火花が散る。

 

その時、上空からドローンが飛来した。

 

『千束ちゃん、たきなちゃん、聞こえる?』

 

リュウジの声だった。

 

「リュウジさん!」

 

『八馬人君と向かってる。あと少し持ちこたえて!』

 

「了解!」

 

たきなはロボットの動きを見極める。

 

「コアの位置が分かりません」

 

その瞬間、路地の奥から八馬人が駆け込んできた。

 

「EXPLORATION MODE!」

 

スマートウォッチが光る。

 

八馬人の視界に、赤い反応が浮かび上がる。

 

「左下! 装甲の内側です!」

 

「分かりました」

 

たきなが狙いを定める。

 

千束がロボットの攻撃を引きつける。

 

「こっちこっち!」

 

八馬人はBARRIER MODEを展開し、放たれた熱線を受け止めた。

 

「ぐっ……今です!」

 

たきなの銃弾が装甲の隙間を撃ち抜く。

 

同時に、八馬人がイチガンブレードでコアを斬った。

 

配送ロボットは火花を散らし、完全に沈黙する。

 

「ふぅ……間に合った」

 

千束が笑う。

 

「ナイス、八馬人君!」

 

たきなも静かに銃を下ろした。

 

「助かりました」

 

「こちらこそ」

 

その時、店の扉が開く。

 

ミカとミズキが顔を出した。

 

「無事か」

 

「こっちは大丈夫!」

 

ミズキは壊れたロボットを見て顔をしかめる。

 

「何これ、最悪なんだけど」

 

リュウジも車から降りてくる。

 

「これで三つの反応は全部止めたはず」

 

だが、その言葉を否定するように、八馬人のスマートウォッチが再び警告音を鳴らした。

 

WARNING

SIGNAL REMAINING

 

「まだ……?」

 

画面に表示された場所は、喫茶リコリコの店内。

 

全員の表情が変わる。

 

「まさか」

 

ミカが店内へ戻る。

 

カウンターの上。

 

そこに置かれていたゴリラのキーホルダーが、赤く点滅していた。

 

リュウジの表情が凍る。

 

「嘘だろ……」

 

キーホルダーの中から、ノイズ混じりの声が響く。

 

『Bonsoir』

 

エンターの声。

 

『大切な場所ほど、壊れた時に美しい』

 

八馬人は歯を食いしばる。

 

「ふざけるな!」

 

千束がすぐに周囲を確認する。

 

「みんな、外へ!」

 

たきなはミズキを誘導する。

 

リュウジはキーホルダーへ手を伸ばそうとした。

 

「ダメです!」

 

八馬人が叫ぶ。

 

「触ったら起動します!」

 

スマートウォッチが新たな表示を出す。

 

RESCUE MODE

LIMITED TRANSFER AVAILABLE

 

「これなら……」

 

八馬人はキーホルダーではなく、店内の全員へ視線を向ける。

 

「全員を外へ飛ばします!」

 

「八馬人君、それは負担が――」

 

リュウジの声を遮り、八馬人は叫ぶ。

 

「RESCUE MODE!」

 

光が店内を包む。

 

次の瞬間、ミカ、ミズキ、千束、たきな、リュウジが店の外へ転送された。

 

八馬人だけが、カウンターの前に残る。

 

「八馬人君!」

 

千束が叫ぶ。

 

八馬人はイチガンブレードを構えた。

 

「ここは、みんなの居場所なんだろ」

 

キーホルダーの赤い光が強くなる。

 

「壊させるかよ!」

 

八馬人は踏み込み、刃を振り下ろした。

 

眩い光。

 

爆音。

 

喫茶リコリコの窓が震える。

 

煙が晴れた時、八馬人はカウンターの前に膝をついていた。

 

キーホルダーは砕け、赤い光は消えている。

 

千束が駆け込む。

 

「八馬人君!」

 

たきなも続く。

 

「無茶をしすぎです」

 

八馬人は苦笑した。

 

「すみません。でも、守れました」

 

ミカは静かに店内を見渡した。

 

カウンターは少し傷ついたが、店は残っている。

 

「ありがとう」

 

その一言に、八馬人は小さく頷いた。

 

その時、店の電話が鳴った。

 

ミカが受話器を取る。

 

しばらく沈黙。

 

そして、表情を険しくする。

 

「……分かった」

 

受話器を置き、ミカは全員を見た。

 

「楠木からだ」

 

「エンターの信号が、延空木方面へ移動している」

 

八馬人はゆっくり立ち上がる。

 

千束とたきなも視線を交わした。

 

リュウジはモーフィンブレスを握る。

 

守るべき日常は、まだ完全には守られていない。

 

戦いは、次の場所へ移ろうとしていた。

 

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