リコリス・リコイル -運命の邂逅-   作:銀の匙

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MISSION 5 Under Investigation ― 疑惑のエージェント ―

 

銀行から連れ出される八馬人の姿を、遠く離れた建設中のビルから見つめる者がいた。

 

岩崎リュウジである。

 

彼はソウガンを片手に、銀行周辺の状況を確認していた。

 

立ち入り禁止のロープ。

 

不自然に配置された黒服の男たち。

 

そして、妙に整いすぎたパトカー。

 

「野次馬はいない。あのパトカーも本物じゃないな」

 

リュウジはポケットからスマホを取り出す。

 

「先輩、八馬人君が連れていかれました」

 

通信の向こうで、陣マサトの声が低くなる。

 

『DAか?』

 

「おそらく」

 

『黒リン、大変だ。八馬人がDAに捕まった』

 

『何?』

 

黒木タケシの声が割り込む。

 

『リュウジ、追跡を続けろ。こちらで身元確認の手続きを進める』

 

「了解」

 

リュウジはソウガンを下ろし、車へ向かった。

 

一方、八馬人は黒い車に乗せられていた。

 

「おーい、どこへ連れて行くんだよ」

 

返事はない。

 

車は警察署へ向かうどころか、高速道路へ入っていく。

 

「……警察署じゃないよな、これ」

 

数時間後、車は人気のない山道へ入った。

 

やがて、厳重なゲートが現れる。

 

『ここから先は国有地につき、立ち入りを禁ずる』

 

「国有地……? おいおい、何されるんだ俺」

 

車は複数のゲートを抜け、山奥の施設へ入っていった。

 

地下駐車場に到着すると、黒服の男たちが八馬人を降ろす。

 

そこには、秘書らしき女性と、鋭い目つきの女性が待っていた。

 

「この男か。報告にあった武装した民間人というのは」

 

「はい。現場のリコリスからの報告と一致しています」

 

八馬人は眉をひそめる。

 

「ここはどこなんですか。俺は警察に連れて行かれるんじゃ?」

 

女性は冷たく告げた。

 

「質問はこちらがする」

 

八馬人は取調室へ連れて行かれた。

 

机の上には、マガジンを抜かれたコルトガバメントが置かれている。

 

「この武器をどこで手に入れた」

 

「俺のです」

 

「民間人が拳銃を所持できると思っているのか」

 

「民間人なら、そうですね」

 

八馬人は静かに答える。

 

「でも、俺はAFT所属です」

 

取調官の表情がわずかに変わった。

 

「AFT?」

 

八馬人は懐から身分証を出す。

 

---

 

Alliance Freedom Treat

NAME:YAMATO KINAMI

Affiliation:TOKYO JAPAN

 

---

 

取調室の様子は、別室のモニターに映されていた。

 

そこにいた女性――楠木は、画面を見つめる。

 

「嘘をついているようには見えないな」

 

秘書が報告書を確認する。

 

「登録情報を照会中です。該当機関は国際協力機関として記録があります」

 

「……国際機関?」

 

その時、部屋の電話が鳴った。

 

楠木が受話器を取る。

 

「楠木です」

 

数秒後、彼女の表情が険しくなる。

 

「……分かりました」

 

受話器を置き、楠木は短く告げた。

 

「釈放しろ」

 

「ですが」

 

「上からの通達だ。彼は国連関連機関に所属するエージェントとして照会が取れた。これ以上の拘束は外交問題になる」

 

秘書は小さく頭を下げた。

 

「了解しました」

 

同じ頃。

 

施設近くで待機していたリュウジのスマホが鳴る。

 

『リュウジ、八馬人の釈放が決まった。迎えに行け』

 

「早いですね」

 

『手続きはこちらで済ませた。必要書類と通行許可は転送してある』

 

「了解」

 

リュウジは車を発進させた。

 

数十分後、八馬人は地下駐車場へ連れて来られた。

 

「何だったんだよ、いったい……」

 

その時、聞き覚えのある声がした。

 

「八馬人君!」

 

「リュウジさん?」

 

リュウジは手を上げる。

 

「乗って。事情は車で説明する」

 

八馬人は助手席に乗り込んだ。

 

車は施設を出て、山道を下っていく。

 

一般道へ出たところで、八馬人はようやく息を吐いた。

 

「助かった……」

 

「ごめんね」

 

リュウジが静かに言う。

 

「前に、ベージュの制服には気をつけろって言っただろ」

 

「ええ」

 

「彼女たちはリコリス。DA、ダイレクトアタックに所属する治安維持要員だ」

 

リュウジはダッシュボードの資料を示す。

 

そこには、ベージュ、ネイビー、レッドの制服を着た少女たちの写真が載っていた。

 

八馬人は資料を見つめる。

 

「この世界の平和を、裏で守っている存在……」

 

「そういうこと」

 

「でも、俺たちの世界の技術が犯罪組織に悪用されるのは避けたい」

 

リュウジの表情が少しだけ険しくなる。

 

「だから君が必要なんだと思う」

 

車内に沈黙が落ちる。

 

しばらくして、リュウジが明るい声で言った。

 

「ところで、八馬人君。仕事は決まってる?」

 

「いえ。銀行口座を作ろうとしたら、強盗に巻き込まれました」

 

「じゃあ、これから俺の行きつけの喫茶店に行かない?」

 

「喫茶店?」

 

「ちょうど求人を出してる。昼飯も食べられるしね」

 

八馬人の腹が小さく鳴った。

 

「……そういえば、昼飯食べ損ねてました」

 

リュウジは笑う。

 

「よし、決まりだ」

 

車は街へ向けて走り出す。

 

八馬人はまだ知らない。

 

その喫茶店で、自分の運命を大きく変える出会いが待っていることを。

 




ありがとうございます。

投稿完了しましたが、取り調べの模様を書こうとおもったのですが

結構遠回しな言い方になると思い、到着して2時間で釈放という話にしました。

普通ならあり得ないですがまぁ2次創作なのでご愛嬌を。

八馬人が連れてこられたのは、DAの建物で指令の名前を出しました。

ようやく、リコリスの世界と通じ合うことができました。

次回、リュウジの行きつけのお店でようやくようやく(長かった)リコリスが登場します。

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